「交換要員の方が来ましたよ、指揮官様」
「あぁ、まさか車を運転してくるとはな···見たところドイツのボクサー装輪装甲車か。またいいもの乗ってきたな···」
「ひと目でわかるのは指揮官くらいですよ···」
カリーナに呆れられながら降りてきた戦術人形を見る
制服のように見える服と凛々しい顔つきが特徴だ
持っている武器からRFの戦術人形か
「S9基地より本日付で派遣されました、モンドラゴンM1908です。よろしくお願い致します」
「こちらこそ、よろしく頼む。この車輌は?」
「S9基地の余剰機材です。未使用のままで放置されていましたので、今後のお付き合いのためにこちらに譲渡するとの事です」
「なるほど、無償でか?」
「ジャンシアーヌ指揮官からそう聞いてます」
「了解した。では早速、こちらでの受付をしてきてくれるか?」
そう言って私は執務室に戻る
「モンドラゴンM1908···またとんでもないのが来たな」
事前に彼女のことは聞いていた
合理的で真面目、豊富な戦闘経験を持ち、規律と規則を第一に考えているらしい。そしてほとんどの人形の欠点を知っていて、それを修正することに専念している。目標を達成するためにはどんな厳しい手段もいとわない。他の戦術人形たちから"悪魔"と恐れられているそうだ
「さて、おそらくはそれが悩みかな···?」
<そろそろ来ますよ?>
「OK、こちらも終わった所だ」
そう言った瞬間、ノックがされる
入っていいと返事して入室させる
「さて、モンドラゴンM1908、君にはS9基地との連絡要員の他にもう一つ仕事を頼みたい」
「この基地の戦術人形の戦闘能力向上と欠点の修正。ですか?」
「あぁ、頼めるか?」
「お任せ下さい」
即答だった、そして彼女から質問が来る
「先程の受付時の措置ですが···」
「服従プログラムの除去と相互演算代行プログラムのインストールか?」
「はい、後者はとても効率的で分かるのですが、前者の措置は何故でしょうか?」
その質問に、私は笑いながら返答する
「簡単な事さ。私は君達を道具として扱わない。一人の人として、戦士として、仲間として扱う。その決意と覚悟だよ」
「人として、戦士として、仲間として···ですか」
「今は分からずとも、これからその答えを探してくれればいい。探して見つからなければ、振り返るのも一つの手段かもな」
「分かりました、探してみます···訓練の方は?」
「明日からで構わない、今日はカリーナから基地の設備などの案内を受けてくれ」
そして退室させて一息つく
「いやー緊張するな。あぁいう子は」
<昔っから苦手ですもんね、凛々しい顔つきの方と長話するの>
「どうしても固くなっちまうからな···治したくても治らねぇ」
<モンドラゴンさんの方も緊張していた様ですけどね>
「マジか?」
<あの子、任務や訓練以外だと押しに弱いかもしれませんよ?>
その瞬間、私とLAFIは同時に悪い笑顔を浮かべたのは言うまでもない
「お、コレは···あの子の銃か」
<だいぶ使い込まれてますね>
「うわ、機関部ガタき始めてんじゃねぇか···交換部品あるかな」
<あ、本人こっちに全力疾走してますよ>
「ASST切ってなかったな?」
その瞬間、扉が思いっきり開かれる
「何をしているのですか?」
「君の銃がだいぶ酷い状態だったから直してる。因みに君の後ろで構えてるM1ガーランドの銃を整備したのは私だ」
「あなたは指揮官でしょう?なぜこのような仕事を?」
「人員不足。あと私の本業は科学技術者。銃器整備はオマケだけど一流整備士の腕はあるよ。つか無かったらやらねぇわ」
そう言ってから、M1ガーランドに銃を下ろすように伝え、50メートルほど離れた場所に鉄板を3枚立てるように伝えた
「納得できません」
「じゃあ今のままで3発、あれに撃ってみろ」
そう言って整備の準備をしていた彼女の銃を渡し、鉄板を撃たせる
3発とも命中したが、最後の一発で表情が僅かに変わったのを見逃したりはしない
「最後の一発、左下にズレたな。君の腕ではなく、銃の問題だ」
「···」
「10分貸せ、軽く整備してやろう」
そう言って銃を預かり、軽く整備する
銃身内と薬室の清掃。これだけでも大きく違ってくる
「もう一度、3発撃ってみろ。今度は速射だ」
「分かりました」
再び3発、立て続けの発砲
表情は驚きになっていた
「ただの清掃でもそれだけ違う。だが君の銃の場合は本格的な重整備が必要だ。まぁ、パーツはすぐ作れるから2日あれば渡せるがな」
「失礼しました···」
「構わんよ、むしろ君の反応はとても正しいものさ」
そう言いながら、カリーナを退室させる
「それに、君の悩みが何か知れたからな」
「私に悩みなどありま···」
「皆と仲良くしたいけど、怖がらせることばかりで上手くいってないんじゃないかな?」
「つっ!?」
当たりだ、表情が再び驚きに変わった
「何故、それを?」
「君の感情は読みやすいよ、性格的にもね。だから私からアドバイスを与えよう」
「アドバイス···ですか」
「そう、アドバイスだけ。そこからは自分でどうにかするしかない」
そう言って、胸元に一つのアクセサリを付ける
「ワンポイントで人目に着きやすいところにアクセサリを付けてみるといい。それを起点として、話に花を咲かせやすくなる。あとは非番の日はしっかり休む事、ジャンシアーヌから君のデータを貰っていたけど、ワーカーホリック過ぎるきらいがある、そこを改善すればみんなも打ち解けてくれるさ」
S9基地の時の彼女の事をジャンシアーヌに確認したらやはり上手く打ち解けてなかったそうだ
その原因はワーカーホリック過ぎるきらいがある事だ
ならそこを改善すれば、自然と打ち解けていけるはずだと考えた
「難しいですね···仕事一筋でしたので」
「あー、うん。私やLAFIが言えた事ではないから深く言えないのが辛いんだがな?趣味探すなんて案外簡単だぞ?」
<マスターなんて今の仕事は単なるオマケで、新技術の開発が趣味ですもんね?>
「書類がオマケなだけだ、他は真面目だぞ?」
<と言いつつ、
「あっあー、キコエナーイ」
相棒がチャチャ入れてきたが、要は無趣味なのが問題なのだ
なにか趣味を見つければ大きな変化もあるだろう
モンドラゴンM1908、凛々しいお姉さん人形
解説見て即座にご登場願いました