チート指揮官の前線活動   作:アーヴァレスト

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査問委員会に呼ばれた主人公、社長相手に怯まない


査問委員会~court of inquiry~

「で、呼ばれた理由が理由すぎて何も言えないんだがな、社長?」

「身に覚えがありすぎると?」

「むしろそうでなかったら文章でやり取りしてるよ」

 

ある日・・・と言ってもスケアクロウとエクスキューショナーを鹵獲して数日後

私は本社に来ていた。というのも、二人を鹵獲したのがバレてしまったのだ

ただまぁ、バレたというよりは意図的に情報を流して本社の対応を確認したのが正しいのだが・・・

 

「この情報、あえて流したな?」

「404の子達は優秀だからねぇ」

 

笑いながらそう返し、私は告げる

 

「で、その結論に至った理由は?」

「ただの勘だが?」

「嘘つけ、前職での経験からだろう?」

 

そう返し、さらに続ける

 

「404を恒久受け入れさせた時もそうだ、全て効率ではなく齎される利益を計算に入れている。私であれば彼女達を今以上に運用出来ると確信があるから。違うかな?」

「その通りだ、シャマール指揮官。だが本来報告せねばならない事を報告せず隠匿し、あえて自分が不利になるような方法を取ったのはなぜだ?」

「一つは本社の情報入手速度のテスト、そして諜報能力の高さの確認にある。もう一つは鉄血側の動きを見るためだ」

「つまり全て掌の上という事かね?」

「今のところは。という所ですよ社長。流石は本社だ、軍より早い。軍はまだこの事を知ってませんからね」

 

さらりと返し、出方を伺う

 

「ふむ、では君に処罰を言い渡す」

「・・・」

「減俸は無いが始末書を提出、枚数は3枚。期限は二日。と同時に、今君達が次に狙っている目的に関して情報を提出せよ」

「質問、その任務は当然ながら我々で行うのか?」

「求めているのは情報のみだ、任務であれば自由行動を許可する」

 

ふむ、社長はやはり私の行動の速度を鑑みて情報共有だけをきちんとすれば良いと言っているようだ

 

「了解した、ではさっそく行動に移させてもらおう」

 

そう言って胸ポケットから出したのは始末書3枚の入った封筒、そしてメモリチップ

 

「やはり分かっていたのか」

「当然、この程度はな」

「では、本査問会はこれで解散とする」

 

そう言って私の吊し上げ会は終わった、勝者はもちろん私だ

 

「シャマール指揮官」

「はっ・・・」

「少し残れるか?」

「構いませんが・・・」

 

訂正、第2ラウンドがあった

 

「で、お話があるようで?」

「何故性別を偽っていた?」

「あぁ・・・それかぁ・・・なんて事はないんですがね、少しばかり悪戯が過ぎましたか?」

「おかげで部下の一人がな?」

 

そういうと片メガネの一人が思い浮かんだ

 

「あぁ、ヘリアントスか・・・あとでフォローしときます」

「君が行っても逆効果ではないか?」

「ご安心を、これでも心理療法士の能力もあるんで」

「そうか、では次が最後だが」

 

社長はそう言うと私を鋭い目つきで見る

 

「君の基地では服従プログラムを除去しているようだな?」

「あぁ、そうだが?」

「その理由は?」

「人を模しているとはいえ、自由に考え、ある程度行動に移せ、時にそれで悩む事もできる存在は人そのものだ。その思考を、行動を、服従で縛るのはかえって危険なことだよ」

「危険とは?」

「柔軟性が欠け、咄嗟の行動ができず、またこれのリカバリーにも失敗する。そうなれば末路は破滅だ。何も守れず救えない」

 

そう、それは時に命令に背いてでもなすべきものがある事を意味している

 

「なるほど・・・君は所属する人形達を人として見るのだな?」

「私にしてみれば、人間など家畜だ。死ぬのは、たとえ家畜だとしても悲しいがな」

「だが、切り捨てなければならない時もある」

「私は人を簡単に殺せる。それでもきっと、誰かを見捨てるのは駄目だ。理解はしても、慣れないからな・・・」

 

人だと認識している者を、その中でも大切な存在を・・・やはりいくら考えようと見捨てる事だけは出来ない

人を簡単に殺せる異常者であるにも関わらず、頭で理解はしても慣れたりはしない

 

「まぁ、そういう理由から服従プログラムを除去しているわけだ。特に深い理由なんてないのさ」

「これからの活躍も期待しているぞ」

「お任せを社長、期待は裏切らんよ。ところで一つ提案なんだが?」

「聞こう」

「ARと404、合同で作戦当たらせてもいいよね?」

「構わない、うまくやってみせろ」

 

あら、驚いた顔すら浮かべずに許可くれちゃったよこの社長

一応まだ社長の指揮下のはずなんだけどな、404・・・

 

「では、上手くこなしてみせますよ・・・失礼しました」

 

そう言って退室し、連絡する

 

「LAFI」

<やっと終わりましたか>

「あぁ、調査の結果は?」

<新たな鉄血のハイエンドの反応を掴みました、グリフィンのデータベースに登録されていますね。名前はSP721ハンター(hunter)、名称以外は全て予測データによるものですが、待ち構え、有利な場に相手を誘き寄せる事を得意としているようです>

「今度の作戦はARと404の合同チームで行う。通達は出しておけ、後は本人達に作戦の案を幾つか出させろ、おそらくM4A1とUMP45は非常に似ている作戦を立案するはずだ」

<了解です、帰りはどうされますか?行きは本社からのヘリがありましたが>

「帰りは既に用意済み、ヘリに積み込んでもらったからな、バイク」

 

そう言って本社の地下にある駐車場に置かせてもらった愛車・・・GSX-R1000Rのエンジンをかけて暖気する

その間に近くのトイレで更衣を済ませ、基地への帰り道を楽しむ事にした

これが間違いだったと思ったのは、しばらく先に事であった




さて次は三羽烏の最後の子よー
この子鹵獲したらしばらくは平和かな・・・?
(その前に危機に陥るんだけども)

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