チート指揮官の前線活動   作:アーヴァレスト

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主人公「油断した」


指揮官誘拐事件~Commander kidnapping case~

「ん・・・」

 

頭の痛みで目が覚めた、本社で吊し上げが終わり帰る途中だったのを思い出し

 

「あぁ、クソ・・・」

 

同時に襲撃された事を思い出した

考えれば分かりそうなものを見落としていた

 

「目が覚めたか、クソアマ」

「誰かと思えば、2ヶ月ほど前に強制退去にした奴か・・・逆恨みかね?」

 

その直後、腹部を殴られる

だがしょせん一般市民のパンチ、痛みはあれど耐えられないほどではない

現在は十字架に磔にされているようだ、腕と足とついでに腹部も固定されている

 

「あぁ、そうさ。テメェのせいでこっちは商売あがったりだ」

「だから殺すと?随分と甘く見られたものだ・・・」

「あぁ、突然の失踪という形でな。お宅が所有している全ての電子端末は破壊したし、ココには証拠も残さねぇ」

「それは何とも・・・で、その前に何かしようとでも?」

 

ワザとらしくせき込み、私は続ける

正直に言えば、私の目の前の男は一つ見落としている。彼が言っているのはあくまで触ってわかる範囲の事だ、服を開いたりはしていない

それをすれば、死体が見つかった時に他者による犯行を裏付けるからだ

 

「女だからなぁ、それも考えたが・・・貧相だからやめるわ」

「言ってくれる・・・人が気にしていることを・・・」

「はっ・・・!!下の方の具合はよさそうだけどなァ?」

「そうかい、ゲスめ」

 

スタンガンで身体が痺れる

 

「お宅が死んだのを見届けてから、その死体を川に流してやるよ」

「私はしぶといぞ?」

「そうかい、じゃあこれでも飲んでおくんだな」

 

そう言って無理やりビールを飲まされる

なるほど、利尿作用を利用して体内の水分を一気に減らすのが目的か

 

「不味い、どうせ飲ませるならもっと上質なのにしてくれ。最後の晩餐がビールだけというのは物悲しいがな」

「はっ・・・誰がそんな高いものを殺意を抱いた相手に飲ませるかってんだ」

 

そう言って男は私を拘束している部屋から出ていき、部屋の外に男二人が見えた

 

「・・・」

 

策を考える、幸いだがこの場にいる兵は全て民兵だ、職業軍人ではないため正規の訓練も受けていない。相手を混乱させる事は容易だろう

だが問題は今の拘束をどうやって抜け出すかだ

 

「やりたくはないが、仕方あるまい」

 

そう言って左手の拘束具を見る、革製のベルトで以外にも安物ではないが・・・

 

「この程度の拘束で、私を捕えた気でいるとは・・・度し難いな」

 

そう言って親指を自分の意志で脱臼させる、瞬間、強烈な痛みが襲うがそれを気にせず強引に手を抜き、左ポケットから人差し指と中指でカードを取り出す

それを口にはさんで展開すると・・・ナイフになる

これはカードナイフという商品で、見た目はそこら辺にある商品券に偽装しているが使い方によっては武器になる代物だ

 

「よし、第一関門は突破だ・・・」

 

拘束していたベルトをナイフで切り、途中で脱臼させていた親指も戻す

この時にまた激痛が襲ったが、それを気にしている暇はない

 

「よし、まずは入り口の二人だ」

 

近くにあった大きな空き瓶を見て私は嗤う、こんなところに武器になるものを置くとは、愚かにもほどがあるだろう

 

「なんだ!?」

「中からだ、見てみようぜ?もしかしたら今頃失禁してるかもな?」

「あぁ、そうだな」

 

馬鹿二人が空き瓶落として割っただけで釣れた、こいつら馬鹿にもほどがある・・・

 

「なっ!?」

「い、いない!?」

 

馬鹿二人が驚いた瞬間、二人の首に後ろからガラス片を回し込むように突き付けて告げる

 

「死にたくなければ、武器を下ろせ。下手な行動をすればその首かっ切るぞ」

「「わ、分かった・・・」」

 

二人が武器を下ろしたのを確認して気絶させ、私はもう一つのあるものをスーツの内ポケットから取り出す

 

「LAFI、聞こえているな?」 

「緊急用にカード型の端末を用意していて正解でしたね、マスター・・・まぁ、胸が薄いから敵を誤魔化せるか心配でしたが」

「お前まで私を怒らせる気か?さっき敵の首魁にも似た事を言われたぞ」

「それはご愁傷様ですね、私ではなく敵がですが」

 

そう、それはカード型の通信端末だ

別にこの時のためというわけではないが、カードサイズまで小さくした端末の電波受信実験として持ってきていたのだ

ここで役に立つとは思ってもみなかったが

 

「状況は?」

「ARと404をそちらに二方向から潜入させてます、404は敵の陽動、ARがマスターの確保を担当してますが・・・その様子だと相当ご立腹そうなので、好きに暴れて構いません」

「あぁ、そしてお前たちはそれを聞きつけて急行し今回の件を知った。そういうていで報告書を作らせろ」

「了解、ではマスター。お好きにどうぞ」

 

それを聞いて私は笑いながらショットガンに弾を込める

 

「ド派手に暴れてやろう・・・!!」

 

その言葉と同時に、一発目をぶっ放した

その扉の先には様々な服を着たサル共がいる

 

「お疲れ様諸君、では死ね」

 

死ねと入ったが装填されているのは殺傷性の低いゴム弾だ、気を失いはするが死ぬまでの威力はない

まぁこの後彼らは社会的に死ぬが

 

「ミツケタ・・・みつけた・・・見付けたぁぁっ!!

 

そして最後の一人、私を激怒させた男を見つけた

逃がさず近くの長いワイヤーで足をすくって転倒させ、そのまま踏みつける

 

「なんで、逃げられる・・・!!」

「お前達とは覚悟が違うんだよ犯罪犯した小市民。あぁ、それと貴様、言ってはならんことを言ったな?」

 

ショットガンの銃口を向けて私は告げる

 

「誰の身体が貧相だって!?人が気にしていることを言いやがってぇぇぇ!!」

 

3発連続で叩き込み、ゴム弾を再装填、念入りに追加でもう一発ぶち込みぼろ雑巾になったその男を縛り上げる

 

「指揮官!!」

「おう、M4、上手く侵入できたようだな」

「指揮官が暴れたからです、お怪我は?」

「左指を脱臼させて戻したからそれと、あと不味いビール飲まされて腹痛いな」

 

そこで合流してきたM16A1が私に質問してくる

 

「なんで酒なんだ?」

「ビール類の成分による利尿作用ですよ、M16姉さん。指揮官、一体どれくらい飲まされたんですか?」

「500ミリ缶一本を一気飲み、不味くて吐きそうなんだが・・・」

「近くに川があるわよ、指揮官?」

 

 

更に合流するのは404のメンバー別方向から犯人たちを追い詰めていた

 

「基地に着くまで我慢する・・・私の愛車は?」

 

その瞬間、全員がそっぽを向いた

 

「M4、指揮官命令。私のバイクは?」

「・・・これを」

 

耐えきれず、命令した私にM4が見せたのは一つの写真だった・・・そこには信じたくないものが写っている

 

「冗談・・・だよな?」

「事実です・・・」

「うそだそんなことぉぉぉ!!うわあぁぁぁ!!」

 

愛車はぶっ壊されていた、完膚なきまでに。修理はもうできないだろうというレベルで

 

「やっぱ殺すか・・・」

「待て待て、指揮官それだけはやめろ後々面倒になる!!」

「えぇそうよコイツに賛成するのは癪だけど面倒だわ!!」

「えぇい止めるなM16、HK416ゥ!!」

 

M16とHK416が私を抑える、さすがの私も戦術人形二人は振りほどけない

 

「ぜーはー!!」

「落ち着きましょう指揮官、もっと良いのをこいつらから巻き上げた金で買えばいいのよ?」

「それはそうだがな、UMP45・・・こいつら多分もう金ないぞ?」

「なら強制労働ね、死ぬまで借金を払い続ける地獄の日々に耐えられるかしら?」

 

今知ったんだが、UMP45はサディストのようだ・・・敵には回さない方が良いだろう

 

「さて、あとは本社の部隊が来るのを待つだけか?」

「いえ、警察を呼んであります。という間には来たようですね」

「事情聴取かぁ・・・とりあえずお前たちも来るのか?」

「「当然です」」

「だよなぁ・・・」

 

そして現地警察の事情聴取が終わったのは、真夜中近い時間になってからだった

流石にこれでは基地の方が問題だろうと判断し急遽本社に電話してヘリを用意してもらい、帰りは結局ヘリ移動になった




ドSなUMP45が書きたくなったので最後らへんに投入してみた

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