チート指揮官の前線活動   作:アーヴァレスト

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それは主人公が過去を探りたどり着いた真実である


第3セーフハウス~Sorrowful Past~

「・・・」

 

ある日私はとある施設跡に来ていた

それはAR小隊がとある任務で訪れた場所である

 

「ありました、その機械です」

「旧式のコンピュータか、なるほど苦労するわけだ」

 

そう言って機器を立ち上げ、内部のデータの復旧をLAFIに任せる

同時に中にある紙の資料を漁ることにした

 

「マスター、内部データの復旧完了しました」

「流石だ、LAFI。後で見る、保存しておいてくれ」

「了解です、マスター。ところでいま何をしているのですか?」

「紙媒体になにか隠れていないか粗探し、以外にもザクザク出てきてるな」

 

部屋の中にあった紙媒体はとある事件より前のこの部屋の主の事を知る上でとても重要なものばかりだった

その中には日記もあった。まだ数ページしか読んでないが、それでも人物を知る上でとても参考になるものであるのは間違いない

 

「なるほど、この部屋の主は几帳面だな。技術者としても誠実だ」

 

おそらく彼はここで研究と開発をする中でその対象であるOGASの危険性に気づき始めた

だが悪用などする気はさらさら無く、自分の研究の為だけにOGASを使おうと思っていたのだろう。

しかし彼はOGASの本質、そしてそれがもたらす災厄に気づき、もう一度封印を試みOGASを隠したのだ

そしてそれが面白くないと思ったクソ野郎に殺されたのだろう

 

「間違いなく文句のつけようのない天才だ、彼は・・・私よりも先見の明があった」

 

喪うには惜しいくらいの・・・いや、喪えば今後100年の科学史が闇に閉ざされる程の人物だった

心の底からそう思う、実に惜しい。人類全体の多大な損失と言って過言ではないはずだ

 

「そしてペルシカリアの後輩でもあったか・・・」

 

彼女も何故リコリスが死んだのか調べたかったのだろう

AR小隊をここに派遣したのもその一つか・・・

 

「だが、ここから先はやはり本拠地に侵入するしか無いか」

 

ここを訪れて、リコリス博士の人となりはなぞることが出来た

問題は鉄血に入った頃から死の間際までのデータが無い事にある

それが分かれば最後のピースが嵌まる

 

「流石に無理があるが」

 

本拠地・・・旧鉄血工造本社跡には正規軍でさえ中々近づけない高レベルのセキュリティが施されている

 

「そんなマスターに朗報です、ここから鉄血のサーバーにアクセス可能ですよ」

「なに・・・?」

「この施設は鉄血の手がかかっています、そのためネット回線をたどることで鉄血の本社へのアクセスに成功しました」

「でかした!!バレないように偽装をしながら取れるだけ・・・」

 

その瞬間、背中に冷たいものを当てられた

 

「マスター!!」

「これで逃げられなどしないでしょう?」

「これはこれは・・・」

 

とてもではないが逃げられない、後ろを取られた時点で既に積んでいる

だって触れられるまで気づきさえしなかったのだから

 

「一度ならず二度までも侵入するとは思いませんでしたよ、グリフィン」

「あいにく、会社は関係ないぞ。ここには個人的な興味で来ている」

「そうですか、死にたいようですね」

「それよりも聞きたいことがあるんだが、答えてくれるかな?」

 

相手はその言葉に意味がわからないと溜息を零した

 

「なんです?質問とは」

「君から見たリコリス博士はどういう人物だった?」

「つっ・・・!!」

 

その質問に息を呑んだ瞬間を見逃さず、振り向きざまに武器を叩き落とし背負投げで地面に叩きつける

そして腰からナイフを出して首元にすえる

 

「さっきの息を呑んだので答えは知れた。君にとっても重要な、いや、大切な人だったのだろう?」

「答える必要がありますか?」

「答えなくても構わんよ、こちらの推理を展開するだけだ」

 

ナイフをしまいながら相手を見る

相手はよりにもよって代理人(エージェント)と呼ばれる個体だった

 

「ずっと疑問に思っていたことがあった、君たちが何故M4A1を狙っているのか。そして今ここに訪れてその答えに一歩近づけたよ」

「なんです、その答えとは」

()()()()()()()()だろ、そしてその前例が」

 

そう言って自分が指を指したのは目の前の存在、代理人(エージェント)だった

 

「お前だな、代理人(エージェント)?」

「何を馬鹿なことを」

「ここには紙の媒体が豊富にあって助かったよ、おかげであらかた絞り込めた」

 

ずっと前から疑問に思っていた。M4A1を狙っている理由が何なのか

そしてここに訪れてその疑問は多少解決した、前例との比較だと今は結論しているがもしかしたら他の理由もあるかもしれない

 

「さっきの動き、人形としての動きというよりは人としての動きだった。とっさに受身の姿勢を取ったのは人としての恐怖心からだ。人形であればそれがないから多少の損傷は覚悟で反撃をしてるからな」

「・・・」

 

人形でも、損傷が嫌な個体は受け身を取るものもいる。だが大抵は損傷覚悟で反撃を行っているだろう

しかし代理人(エージェント)はそのどちらでもない人間的な動きだった、戦術人形のような隠しきれない不自然さがなかった

 

「自然な動きであそこまでキレイな受け身を取れるのは人間くらいだ、人形なら僅かに不自然な違和感が残るからな」

 

そして銃を向けた瞬間、彼女はそれを抑え込んだ

 

「どうした、落とさないのか?」

「つっ・・・!?」

 

その指摘に代理人(エージェント)が凍る

戦術人形であれば今のは相手の武器を落として無力化、という選択になるはずのそれを彼女はしなかった

その理由は部屋の中のものを守りつつ落とした際の暴発を防ぐため、自分だけでなく部屋そのものと目の前の相手を守るためのそれを自然に選択していたのだ

 

「とっさの行動でボロが出てんだ、認めちまえよ」

「・・・」

 

認めないところはM4A1と似ている・・・頑固というかなんというか・・・

 

「まぁ、お宅はどうやら単独行動で、こちらもそれは同じな訳だ、ここは大人しく一時休戦にしないかね?こちらは少し調べ物をすれば帰るし」

「それには及びません、こちらは別の目的でここに来ています」

「紙媒体の回収か?迂闊な持ち出しはやめておいたほうがいいぞ、この部屋の環境だから保たれているだけで、外に持ち出したら着くまでに見れなくなっている可能性が高い」

「それではありません」

 

ん?紙媒体の持ち出しではない?

とすれば何だ?

 

「貴女の目的を探りに来ただけです、そしていま貴女は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それが知れただけでも収穫ですから」

「なるほど、そもそも敵意もなかったか。これは失念していたな」

「敵意ならありますよ、貴女はこれからますます危険な存在になると」

「ここで殺すか?」

 

私の問いに、代理人(エージェント)は笑う

 

「利用させていただきます、私達の目的のために」

「それは困ったな、M4A1を渡すのだけは出来ん。対新ソ連軍の方なら目的も合致しているし互いに利用価値があるけどな?」

「私達の敵はそちらだと?」

「多分な、そしてまもなくそのための()()()()()()()()()・・・いや」

 

一旦言うのをやめて意識を切り替える。冷静に、冷徹に、全てを淘汰して駆逐する

 

()()()()()()()()




あーぁ、ついに真相へたどり着きやがったよコイツ
すげえのはノーヒントで導き出してるってとこだけども
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