LAFI様の戦闘開始
「これはまた、敵の数が多いですね・・・」
「あのーLAFIさん、呑気に言いながらヘッショはしないでくれませんかね?」
「呑気ではありませんよ、退屈なだけです」
万能者の捜索も中盤に差し掛かった頃、私たちは謎の集団に襲われていた
その集団はマークからパラデウスと分かるが、これまでとは大きく違う外観をしている
恐らく、私達S13基地用に強化改修した戦力だろうと推定される
「面倒ですね・・・デルフィニウムが使えるのでしたら撃破は容易なのですが」
「流石にあのデカいのはヤメてくれよ、私らも死ぬ」
M16は私の発言したデルフィニウムの正体を知っている
と言うより、今作戦におけるS13基地の参加戦術人形の全員が知っている
仮想空間における模擬戦闘訓練において私が用意した切り札の名だから
「というよりあんなの持ち出したら万能者も巻き込まれてしまうような・・・」
「それに関しては問題ありません、他の部隊が信号の発信源を特定したようです」
「お、それはラッキーだな。俺らの仕事が減って便利だが」
「マスター?」
「悪いがお客さんだ、パラデウスの連中が押し寄せてきてるぞ!!」
マスターの方にもパラデウスが来ているようだ、何気にあちらの方に集中している
「今日は敵対勢力の大盤振る舞いですね・・・纏めて駆逐して良いんですよ?」
「アレをまたやったら今度こそ火山噴火だ、やるなら最後のダメ押しにしないと二次被害がでるぞ!!」
「状況を正確に判断できていて何よりです、ハイメガは使わないのですか?」
「それでも同じ結果だ、優先事項は味方部隊の万能者確保の確実性の保障、そして撤退の支援にある!!」
「では、どうされますか?こちらはパラデウス、あちらはpawm関係の謎存在の敵襲。状況の打開には高火力兵装の高効率運用が求められますが」
一瞬、マスターは反応を返さなかった
でもその頭の中では次の行動計画を立てているはずだ
「LAFI」
「はい」
「パラデウスを潰せ、過去に運動プログラムでバグを見つけていたはずだ」
「アレをですか?参加している戦術人形や我々に問題はないとは言え、品がありませんね」
「贅沢できる状況じゃない、視覚毒を使うしかなかろう。峰島ちゃんに怒られるなぁ・・・遺産使われるの嫌悪しているし」
今匿っているとある人物に怒られるのだけは避けたかったようだが、背に腹はかえられない状況であるのも事実だ
恐らくそれは私も含めて説明すれば、冷ややかな目で見られるだけで問題ないのだが・・・
「名字で呼ばれるのはいい加減やめられることをオススメします、私のフレームがもちません」
「逆になんで峰島ちゃんが持っているかが驚きだよ」
「一応、技術的原点の保有者なので親近感がありまして・・・」
「・・・」
子供のような言い訳だが、実際は彼女が持っているとあるモノの中にいる存在と話をしているからという理由がある
それはマスターも理解している事であるが、親近感があるのも事実ではある
「はぁ、まぁいいか・・・今度はどんなふうに誂うか考えとこ」
「そんな事をするから邪険に扱われるのでは?」
あの人は自己評価が低い、隣にいつもいる男の人は危機察知能力が無いという欠陥を抱えているけど
峰島さんはもう少し自己評価を上げてもいいと思う、具体的には少し目立つとある部分と同じくらい
・・・一瞬、寒気がしたがなんだろうか?
「なにか寒気がしたぞ・・・」
「同感です、私も寒気を覚えました」
UMP45はよい関係を築いている。互いに利用しあう関係とか言っていたが
M4A1とは互いに少しだけ苦手なようだ。M4は頼ろうとせず自分だけでどうにかしようとしている所が気に食わないとか言っていたし、彼女は頼りにする相手くらいは見極めているつもりだとか言っていたが
「しかし驚きましたよ、マスターが彼女に言う事聞かせられるなんて」
「なぁに、少しだけオハナシしただけさ」
匿った当初、彼女は何もアクションを起こさなかった
いわゆるニート状態だったのだ、ちなみに彼女とともに来た青年は自分に出来ることがないか聞いてきたのでスプリングフィールドのカフェでバイトしてもらっている(もちろん賃金は適正なものを渡している)
店長であるスプリングフィールドによれば、意外にも器用で客(大半は戦術人形)対応も良いのだとか
で、そんなニートの彼女を働かせてるのは単純にマスターが煽りまくったからだ、それにキレた(相変わらず沸点が低い)彼女が自ら進んで仕事をし始めたのである。といっても肉体労働ではなく頭脳労働だが
「いやー助かったよ、私だけでは大変な事が多くなってきてたしな」
「彼女のお陰でシステム周りもだいぶマシになりましたね」
彼女が来る前、S13基地のシステムは崩壊寸前になっていた
戦術人形の子達からくるデータ量が捌ききれる限界に近くなっていたのだ
彼女はそれを改善できると発言して実際に合理化を実現した、その後はマスターにあれこれ投げられながらもきちんと仕事をこなしている(本人はそのたびに嫌そうな顔をしているが給与はしっかり貰っている、そしてマスターは渡した給与の行き先を知っている)
「さて、敵は一個師団級戦力だ、しかも対こちら用で強化を施しているな」
「装甲強化のドッペルゾルドナー、火力強化のロデレロ、機動強化のガンナーと言ったところでしょうか?相変わらず我々をナメていると見れますね。3回も妨害されてまだ学習が足りないのでしょうか?」
「峰島ちゃんはこれ見たらなんて言うかねぇ・・・いや呆れて何も言わんな多分」
「で、そのまま殲滅しかねませんね」
「無茶もワンセットでな」
また寒気がした、なんだろうか?
「彼女、エスパーか何かですか?」
「さぁ、知らんな。交信終わるぞ、殲滅戦開始だ」
「ご武運を」
さて、こちらも行動を開始しよう
「さて、我々にお客様です・・・と言ってもパラデウスですが」
「今回はあちらさんも本気のようだぜ、強化型だ」
「私が奴らの動きを止めます、皆さんは閃光防御をした上でいつでも相手を破壊できるようにして下さい」
「閃光防御の理由は?」
私の発言にAR-15が質問してくる、答えは分かっているがあえて発言したのだろう
「視覚毒を使い相手の動きを止めます。かつて戦闘を行った際に、ある一定の明滅パターンを認識すると動きが止まるというバグを見つけていたので」
「私達に影響は?」
「無いとは思われますが念のためです、参加している各部隊と我々の距離は離れているので問題はありません」
そう言って一応のマップを出す、現在展開している各部隊のマップとパラデウスの動きをリアルタイムで出しながら
「パラデウスは我々のみを狙っていますので他に影響は出ません。我々が倒されなければですが」
「でもさ、今来てるの既存の強化型じゃん?私らバカにされてる?」
「金が無いか、時間がないか、余裕もないんだろうな・・・どっちにしろ敵として侮られているとしか言えないけどな」
「皆さん武器のチェックと渡したデバイスの起動をお願いします、我々の恐ろしさを再認識させてあげましょう」
全員が配ったデバイスを起動した、全て正常に動作している・・・あれ?
「なぁ、LAFIさん、一つ聞いていいか?」
「何でしょう、M16?」
「私のだけなんでコレになったか説明してくれねぇか?コレ、指揮官のと同じ仕様じゃねぇか!?」
その時、マスターから文書で連絡が来た
「あ、M16のだけ武装を私のと同じCQB仕様にしていたわスマソ、盾役頑張れ!!との事です」
「グレていいよな?鉄血Verになってもいいよな?というかもうキレた、なってやる!!」
そう言うとM16の髪色が黒から白へと変化し目の色も金色へと変わった
そしてそのままパラデウスの殲滅に乗り出してしまった・・・他の参加部隊にはどう言い訳をしたら良いか考えるか・・・
「さて、私も本気を出しますか」
そう言って私も自分のデバイスを取り出し、展開した
型式番号 ARW-X-018
正式名称 バエル・グリンブルスティ
マスターに渡したデバイス(一号機)とはフレーム構造が同一の別仕様機だ
性能は私が使うのに最適化されたものになっているがスペックは全体において見劣りはない。
広範囲殲滅兵装こそ持たないものの、その代わりに継続戦闘能力においてはこちらが有利ですらある
しかし、それ故に
自分の思うがままに動く武装も心の在り方次第でどこまでも強くなる技も月さえ見えれば何度でも撃てる最強兵器も全てが等しく無力と化す絶対的な力すらも無い
だがそれ故に、
「参ります」
その言葉と同時に、私はスラスターを吹かして敵に接近した
それと同時に腰に懸架した金色の両刃剣を抜き放ち首を断ち切る
そしてその一体目の首が地面に落ちるまでの間に、三体目を屠っていた
「は、速い・・・」
「雑魚はまだまだ沢山います、マスターに大半は流れていますがこちらに来てる戦力も相当のものです。圧倒して蹂躙しますよ、皆さん!!」
「「了解!!」」
そこから先はまさに蹂躙だ、マスターが全体の8割弱を受け持ち私達は残った手勢を相手に数の差を物ともせずに圧倒する
やさぐれていたM16も途中からは正気に戻り戦っている(M4がM16を止める際に敵と一緒に爆撃したように見えたのは気のせいだろうか?)
「このブレードを使うまでの相手ですらありませんね、あなた方にはコレで十分です」
そう言って私は両刃剣をホルスターに戻し、手甲部から発振したビームサーベルで敵の頭を貫いた
そしてそのまま最大出力に移行して長大になったビームサーベルで周囲の敵を薙ぎ払うように斬り捨てる
「おや、欲張りすぎましたか・・・敵が案外不甲斐ないですね」
「巻き込まれかけたんですけど!?」
影響範囲は半径150m弱、その範囲内にAR小隊のメンバーがいることを失念していた・・・と言うのは嘘で彼女達なら大丈夫だろうという確信を持って行っている
「あなた達ならどうにか出来ると思ってましたから」
「LAFIさん、身体得てからストレス溜まってませんか?」
「いいえ、そんな事はありませんよM4、むしろ少し浮かれているという自覚があります」
ですので、と続けながらビームライフルを構えて4体を同時に撃ち抜いて続ける
「コレで少しだけ冷静さを取り戻しましょう」
「ところでいま気づいたんだが、LAFIさんの機体はずいぶんとシンプルなんだな」
「マスターの機体の武装が多すぎるだけです。まぁ、それを十全に扱えるだけの技能を有しているので気にしてはいません。私の思想はシンプルゆえの極限なのですがね」
そのまま立て続けに3連射、それぞれ4体ずつ葬る
「さぁ、我々に平伏せよ愚か者共・・・そして屍体へと戻るが良い」
マスターのその発言と同時に拡散メガ粒子砲が放たれる
1500mの上空から放たれたそれは着弾地点を熱で殺菌処理しながら敵を葬り去っていった
かくしてパラデウスの軍勢は一個師団で攻め入ったにも関わらずS13の2個小隊相手に大敗を喫し7割も損害を出して撤退・・・
「させると思いますか?あなた方には全滅というシナリオ以外ありません」
残った戦力も私が使用した視覚毒・・・複雑な光の明滅パターンによって運動プログラムのバグを突かれて動けなくされ、すぐさまマスターが爆撃して全滅させた
「すげぇな、これ、私らがやったのか?」
「今まで長距離支援攻撃を含めてやっていたことよ。新装備のお陰でそれが無くなっただけじゃない、浮かれないでよM16。LAFIさんも」
「反省しているよ、UMP45」
「えぇ、私もですよ」
そう言って上空からマスターが降り立つのを待ち、ハリセンで思いっきり叩いた
「いったぁ!?何すんだLAFI!?」
「何すんだ、ではありませんよクソマスター、機体のリミッターを強制解除するとは何事ですか!!戦闘時だから言いませんでしたが反省しなさい!!」
「いやだって外しやすかっ・・・」
「あ゙ぁ゙!?」
「ひっ・・・!!」
そのまま首根を掴んで引きずりながら万能者の反応がある地点へ急いで向かう、状況によっては我々の出番があるかもしれないからだ
それにこの敵襲によって他の参加部隊に悪影響がある可能性も否定できない
「LAFI・・・LAFIさん?普通に歩けるんで放してもらえませんか!?LAFI様アァァァ!!」
「うるせぇ黙れクソマスター、お前はこのまま連行じゃボケェ!!」
「イヤアァァァァァ!!」
なにやら騒がしいクソ指揮官がいるが気にせず進もう、面倒だし
機体解説!!
型式番号 ARW-X-018
正式名称 バエル・グリンブルスティ
LAFIが開発された自身の専用機
マスターであるシャマールが使用する一号機、ヴィルキス・オーヴェロンと同一のフレーム構造を有する別機体(二号機)である
一号機が広範囲高火力殲滅兵装を利用した非現実的な強襲決戦仕様なのに対して、二号機である本機は武装を簡素化して継続戦闘能力に特化した現実的な仕様になっている
同一のフレーム構造を有する理由は開発コストの低減と一号機の仕様が不成立となった場合の保険としてのバックアップであったが、幸いにも成立したためそのまま開発が続けられた
また、本機においても2つの存在をミックスしている
それはASW-G-01 ガンダム・バエルとORX-008 ガンダム[グリンブルスティ]である
一号機では双方の外観とかけ離れた見た目となったが、本機においては外観においても共通点を有する
頭部防護ユニット、腕部及び脚部はガンダム[グリンブルスティ]のものを採用、残る胴体部及び背面ウイングバインダーはガンダム・バエルのものを踏襲している
武装
バエルソード
腰部ブレードホルダーにマウントされる二振りの近接白兵武器。刀身の色は金色
硬度に優れるが素材の希少価値が高く加工も難しい特殊超硬合金製、やたらと頑丈
ブレードホルスターはアームによってフレキシブルに可動し、スムーズな抜剣が可能
電磁砲
スラスターウィングに1門ずつ内蔵されている小口径レールガン。
ウィング自体が持つ高い可動性により広い射角を誇る。
主に装甲の隙間に打ち込んだり、牽制に使用する。
今話において使用されなかった武装の一つ
ビームライフル
ストック部分に独自規格のエネルギーパックを装備する長銃身型ビームライフル。
予備のエネルギーパックは左右のサイドスカートに計4基マウントされている
非使用時には腰背面にマウントされる
ビームサーベル
手甲部に装着された装甲に内蔵されているビームサーベル、リミッターを解除した場合の刀身長は150mに達する
基本的にはサーベルとして使われるがビームガンとしての機能も有する割と万能な兵装
バルカン砲
頭部防護ユニットに搭載されるレーザーバルカン砲、用途は牽制のみなので単体で敵を撃破するほどの威力はない
使用されなかった武装その2