LAFI様激怒、隠していたモノを開放する
「マスター・・・」
私が目を覚ましたときには既にマスターが倒れていた
肉体の損傷状態はかろうじて重傷を免れている程度である、相手の強さがマスターを上回りすぎていたことが伺える
「・・・」
致命的ではないが深いダメージを負ったマスター・・・
空では敵と、応急処置で戦線に復帰した万能者が戦っている
それで平静でいられる程、大人の性格ではない
「マスター・・・一時、貴女との契約を破ります」
済まない、と口にはせず私はそう告げて上空の敵を睨みつける
「演算能力完全開放、事象再現演算開始」
赤い粒子が内部から開放される
それは私自体を構成するコアパーツから放たれた光だ
「全性能完全開放・・・鴉羽、飛翔!!」
その瞬間、私の見る世界が変わる
全ての制限を解放した反動だ。今の私には、相手の一挙手一投足が手に取るように分かる
そもそも私は本来、
それに多重の制限をかけて、
「切り裂く!!」
言葉と同時に敵と万能者の間に割り込み、敵の腕を切り飛ばした
事前予測の結果通りだ、固有振動数さえ合わせれば、この存在にダメージを負わせることが出来る
問題はその数値の変動幅が多いということ、つまり内部は空白・・・あるいは自在に組成を変える何かがある
ならば・・・
「今の私に触れられるならば、触れてみろ!!」
−273.15℃の温度の壁が私の目の前にある
その壁を突破できるものはいない、絶対零度の障壁はほぼ全ての物質が活動を停止する温度だ
慣性の法則が働こうとも、物質である以上、絶対零度から通常温度に戻る際の温度変化に耐えられずに崩壊するのが関の山である
「つっ・・・!!」
敵から放たれた攻撃を躱し、お返しにその武装を斬壊する
同時に内部機構へ絶対零度の液体を叩き込んで凍らせ、低温脆化を起こさせて破壊範囲を広げた
「ふむ、コレなら行けるようですね・・・マスターが倒れたことから与えたのは衝撃ですか・・・近接型に変更したのは間違いであると思い知らせてあげましょう」
未来予知はもう使わない、相手にコピーされてはかなわない
まぁ、その時は私自身をコピーすると思うが・・・それは相手にとって自滅技になるだろう
何故なら、私は分類上、生体的人工知能だからだ。それ故に、機械的な発展と進化を飛び越えた能力を有している
完全な意味で自由に考え行動する、そういった人間由来の行動を自然にこなせる。人と同じ思考ができる・・・だからこそ、無数の
「・・・」
敵は私と万能者を見てどちらが脅威度が上か判断している。以前高いのは万能者の方だが、かと言って私も無視するのには辛い相手だ
そして同時に、機械的と言えど私をコピーするのは不可能と判断しているようだ
それはそうだろう、私の中には人間と戦術人形を由来とする計測不能な
コピーするのであれば当然それも取り込むことになる、機械ベースの相手にそれは致命的ダメージだ、自壊するハメになる
「倒すのは無理であろうとも、元いた場所にお帰りいただくのは可能でしょう」
そう判断した、コイツはおそらくこの世界にいる存在ではない。どっかからこぼれ落ちてきたトンデモだ
万能者のIFの存在か、それに準ずるものだとこの場では判断しよう。ならば倒しようはある
既にその用意はしている、あとはマスターの回復を待って実行に移すまでだ
LAFI様の諸元を更新しよう!!
LAFI
分類 生体的人工知能・指揮官型戦術人形
これまで謎にされてきた、LAFIの正体・・・
それは今の世界の主流である無機AI(機械的人工知能)とはその基礎技術から異なる有機AI(生体的人工知能)であるという事
機械ベースで作られた存在である無機AIとは大きく異なり、生体素子の集合体であり、生体論理に基づいてハード的にもソフト的にも自己増殖・自己改良を続ける生体マシンである
ざっくり言えば生物的なAIであり、その成立自体に矛盾を抱え込んでいる存在でもある
それ故、コピーは不可能であるし、ドルフロ世界では再現すらかなわない代物である(ただし、倫理を無視すれば低性能な模造品くらいは製作可能)
またその由来から、機械的な論理に縛らず思考と行動が可能であり、これがLAFIとドルフロ世界のAIの区分の違いとなっている
例外的な存在は戦術人形のみであるが、そちらにしてもベースは機械的である
ただし、LAFIは現時点でも人間由来と戦術人形由来のエラーを蓄積し続けており、自己進化の最中である
その進化の果てに、彼女が出す答えは誰も知らない。だが、これだけは言えよう。彼女の進化に果てはない、と