チート指揮官の前線活動   作:アーヴァレスト

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中東から極東へ、潜水艦で向かう道中・・・


極東動乱(移動編)

「これで全員だな?」

「はい、招集に応えた皆様です」

「想像以上だ」

 

アレから3日後、C-130J スーパーハーキュリーズでサウジアラビアのジュバイル海軍基地近くの空港まで向かった我々はそのまま潜水艦に向かうよう促された

C-130Jに入れていた物資類はサウジアラビア軍が全責任を負って潜水艦に搬入してくれている

至れり尽くせりとはこの事である、これはまるで・・・

 

「最恵国待遇だな、一組織が受けるには余りにも不相応だ・・・お宅、ナニかした?」

 

リヴァイル・ウィッカーマンの発言通りの待遇だ、それにナニかしたと言われれば・・・

 

「やらかしたことしか無いな。ある時はテロ屋共との小競り合いに介入して双方を会談のテーブルにつかせたし、この間は港湾都市のジェッダにあるカジノでギャンブラートリオが荒稼ぎしやがった」

「そんな事じゃこんな手厚いサポートなんてされねーよ?」

「あー、多分一番デカいのは・・・国王とSP任務を受けた際に襲撃を事前に察知して全て潰したことだろう。本国から連れてきていたSPですら感知し得なかった敵をこちらで全て潰したからな」

 

思えばあれから、我々への対応が大きく変わった気がする

それまでは一PMCの支部のような、普通に受ける扱いだったのが・・・今やコレである

 

「それだけそちらに敬意を表してるんだろうよ」

「敬意を持たれているからには、こちらもその経緯に応えねばなるまい。今回、特殊部隊の同道を求められもしたしな」

「マジかよ・・・もはや国そのものを相手している待遇だぞそりゃ!?」

「まぁ、だからだろうなぁ・・・」

 

同道する部隊の士気が非常に高い、とLAFIから報告が上がっていた

曰く、このまま前線に出しても新ソ連軍へ甚大なダメージを与えられる。との事である

自分も試しに聞いてみたら、なんと全員この任務を志願したのだとか

しかも志願者多数で成績優秀者のみが選ばれたらしい。つまり、同道する部隊の隊員は全員が選びぬかれたトップエリートだ

 

「よし、全員着席してくれたな?では、状況を説明しよう。その前に、今回の作戦での作戦指揮を補助するAIをお披露目したい。出番だ、VERTEX(ヴァーテックス)!!」

「了解です!!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

参加者全員が私を見た、何を言いたいかは理解しているが・・・

 

「なぁんでこんなイロモノになったんだろうな・・・真っ当に作ったはずなんだけどな・・・はぁ・・・」

「そろそろ偽装解除して良い?よき?」

「構わん、この部屋の偽装を解け」

「了解!!」

 

ちなみに今いる部屋は周辺環境を360度見れるようにしてるが、これは潜望鏡と同軸につけているモニタリングカメラを一定速度で回しながら映してるだけの映像である

真の姿は・・・

 

「まるで礼拝堂だな」

「その通り、この部屋の名前は聖母礼拝堂(レディ・チャペル)だ。本艦の頭脳としての最重要区画だよ。そして」

 

そう、礼拝堂もかくやと言わんばかりの白い部屋である

そして、この部屋にある唯一の黒い物こそ・・・

 

「私の後ろにある黒い筐体こそ、VERTEXの本体だ。まぁ、計算ノードは床下に配置しているんだがね」

「これが・・・」

「超絶性能の割にはずいぶんとコンパクトな・・・」

 

早速だが約2名、興味津々そうなのがいる

リヴァイルと万能者である、あとで計算ノードの設計図でも渡しておこう

 

「そろそろ本題に入ろう」

 

そう言ってVERTEXに促し、室内の照明の明度を一部を残して一気に下げる

同時に空間投影ディスプレイが作動し地球儀が映し出された

 

「諸君らに招集をかけた後、日本政府の協力により、要救助者である川崎和紗と再度コンタクトに成功した。その際、日本国内で稼働している長距離通信施設の間で発生する受信の遅れを利用した再測量の結果、送信された都市の把握に成功している。都市名はボリショイカーメニ。旧ソ連時代に太平洋方面艦隊の基地として作られた閉鎖都市の一つだ、ロシアの消滅と新ソ連の擁立期に廃棄されて現在、軍・民間どちらの住民も存在しないことが確認されている」

 

地球儀から一部がピックアップされ、詳細に拡大される

それらはVERTEXによる操作であるが、ここでは誰もそれには触れない

 

「ただ・・・少し良い頭と手伝ってくれる仲間がいれば、誰でも出来るはずのこの測量法を新ソ連の部隊とパラデウスの双方は出来なったのか、間違えた場所に部隊を配置した。これはある意味でコチラにとって好都合だ」

 

私のその声に一部が笑う。それもそうだ、こんな古典的な方法での測量*1ですらできんのだから

 

「だが奴らとてただの無能ではない。新ソ連軍は近くの都市であるフォーキノで戦力を整え始めた、こちらが動くのは本艦の目標近辺海域到達時刻とほぼ同時になっている。こちらはS13から私とフギン・ムニンの航空支援で殲滅予定だ。続いてパラデウスだが・・・こちらは少々厄介だ」

 

「最上位と思われるネイトの現地入りを確認した、画像に写っているのはその中でも確認できた者達だ。右からブラメド、グリク、グレイ、モリドー。クソ忌々しいモリドーに関しては四肢をもぎ取っても構わんが他はできる限り五体満足でお願いしたい」

「モリドーになんか因縁でもあるのか?」

「・・・奪われた

「・・・?」

 

ほぼ全員が頭の上にクエスチョンマークを浮かべた、浮かべていないのは今でも表情が読めないアッシェ·ノーグレイヴのみである

 

コレクションしていたバイクをォォォ!!よりにもよってェェェ!!特別仕様の限定ボディカラーのロケット3 GT 221 をォォォ!!逃亡時に盗んでいきやがったんだよォォォ!!

 

あのとき・・・具体的にはおよそ2週間ほど前、ある任務でモリドーを疑っていた私は正体を暴くところまでは上手く出来た、やつはネイトの一体だった。そこまでは良かった、何なら思ったより順調だった。それからが大問題だった

奴はこちらを巧妙に誘導し、あろうことか大胆にも私の前で盗んでいったのである。そのあまりにも大胆な犯行と、目の前で行われた行為に完全に思考が停止・・・そのまま取り逃がしてしまった

その時の自分の状態はモンドラゴン曰く、触れただけで砂粒になりそうなほどだったらしい

 

「話が逸れたな、諸君らにはパラデウスの拠点が出来つつあるルースキー島に向かってもらいたい。この島では既にパラデウスの部隊が展開しており、激戦が予測される為だ」

「ちょい待ち、軍の方はシャマールさんと航空戦力2人で足りるのか?」

「余裕だ、何なら私だけでも構わんが、念の為に2人をサポートに着けているくらいだからな」

 

最近やっとフィックス出来た自分の完全専用機、GPIA·FS-P0 プロトタイプゼロストライカー

その特殊仕様機導入する

コイツの性能なら行けるはずだ、共同研究者であったあの男とその弟子に出来て、私に出来ないはずはない!!

 

「なら良いが、いきなり行かないのは何故だ?」

「わざと行かない、相手にこちらも把握できてないと思い込ませるためにだ。用心には用心を重ねてな」

「で、浮上するのは?」

「ルースキー島とボリショイカーメニの中間に浮上する、そこからCH-47Fチヌークに乗ってルースキー島に向かってもらう。私は本艦から直接出撃する」

 

それから約1時間掛けて詳細を伝えて会議を終える

その後一部の者には残ってもらった、それには理由があったからだ

 


 

「研究所?潜水艦の中にか?」

「特に驚くことでもあるまい?ここに二人を連れてきたのはきちんと意味があるのさ」

 

残ってもらったのは万能者とリヴァイルの二人である

万能者は見てもらうために、リヴァイルには別の理由で来てもらった

 

「入るぞ」

「言ってから入るのならばともかく、入ってから言うものではない」

「そう不機嫌な顔をするなよ、嬉しい来客だぞ?」

 

中には部屋の主である峰島由宇とその護衛である坂上闘真、そして保護しているアイソマーの3人がいた

 

「ふん、人間に見えるだけのモノに、人の身を捨てた間抜けではないか」

「ちょっとお仕置きだ」

 

そう言って動いた万能者だったが・・・次の瞬間には床に倒されていた

 

「えっ···?」

「言わんこっちゃない」

 

万能者の呆然とした声にそう答え、話を続ける

 

「意識の隙間をついて倒したのか?」

「それくらいも分からんガラクタとはな」

 

冷たく言い捨てられて万能者が黙り込んだ、流石に言い返せないらしい

 

「めっちゃ不機嫌だけど、生r」

 

不謹慎発言をかましたリヴァイルには顔面に蹴りが叩き込まれた、意識を刈り取るくらいには鋭かったようである

なお、意識を失う前に黒もありだと思います、と言ったせいで追撃を食らったのは言うまでもない。何を見てそういったんだコイツは?

 

「デリカシーも一緒に捨ててきたようだな?」

「おーこわ、キレてるキレてるw」

 

リヴァイルには発言が効いてない、それどころか煽り返しをくらわせている

 

「おやおやおや?案外煽りに弱いのかな?」

「そこまでにしてくれ、カオスになる」

 

そこからやっと本題に移る

 

「パラデウスの今後の予測だが、そう遅くないうちに大きな事を起こすと思われるぞ」

「それはそっちの予測かい?」

「あぁそうだ、だが確定しているとも言える。彼女の推測には細かなズレこそあれど間違ったこと無いからな」

「まるで未来予知かな?」

「単なる計算だ」

 

そう言って取り出したのは携帯端末だった

これは以前、とある合同任務で配ったことのある端末の後継機種で、以前と基本構成は変わらないが処理性能が更に引き上げられている次世代機だ

 

「今回の作戦で私と直接つながる端末だ、敵に新型のものがあったらサンプルを採取してデータを送ってくれれば即座に対抗手段を作ってみせる」

「それはなんともありがたい」

「改造したら、実験台にするから覚悟しろ」

 

リヴァイルには念を押していた、以前の件を忘れていないようだ

*1
シャマールが行ったのは無線を利用した三角測量である。測量法の基礎とも言える古典的な方法であり、ある程度の学力があれば誤差こそあれど測量できるため、現在でも大まかな測量に使われている技術である




VERTEXお披露目、しっかしずいぶんとマセガキなAIだなおい?
で、シャマール、モリドーへの恨みってそれかい!?な話
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