武装整えて行くぞ!!
LAFI
「武器弾薬の補充を最優先に、破損した武器はこちらにお預けください。再出撃に間に合わせて整備します」
LCAC-100の帰還に合わせて出迎えに出ていた私は、参加していた各部隊の方達にそう声をかける
実際、今回の作戦では武装の損傷を見越して、自動的に破損箇所を修復する特別な装置を大量に用意してきており、一個大隊くらいの損害なら数時間あれば補充できるレベルにある
今回の戦力であれば、再出撃時には間に合うだろう
<<このまま海上航行で予定地点に向かうよ!!ちょっと潜るのキツイから!!>>
「外殻に損傷が?」
<<深刻ではないけどそれなりに!!>>
「わかりました、艦長の判断ですね?」
<<うん、念には念を入れて・・・だって!!>>
「正確な判断です、到着までは?」
<<2時間!!>>
VERTEXからの報告をメンバーに伝え、私は別室に入る
そこには先に来ていた戦術人形(?)がいた
「さて、この部屋に入れられた理由はわかりますね?」
「・・・」
相手は無言で頷いた、分かっているようだ
「貴女を作った人物は?」
「対象が多すぎる」
「ボディの制作者は?」
「森谷闘真」
その人物に思い当たる点があった
というより、自分のアーカイブに詳細な情報があった
マスターの共同研究者であり・・・敵対すれば非常に厄介な相手だ
「搭乗していた機体はどこから入手したものですか?」
「自分と同じく流れ着いたものを技術解析し強化改修を行った、技術流出などはしていない」
「なぜ、そう言い切れますか?」
「作業者は2名のみ。それ以外の人物がデータベースにアクセスした経歴なし」
言葉よりも顔が真実を語っていた
表情が変わらない。"出ない"のではなく"出にくい"のは最初で分かった。
そこにある事実を淡々と語ってるだけだ。ただ、本人の性格(?)的に多くを語らないだけである
「この写真の人物に関しての情報は?」
「名前と指示は受けている。アリス・ファルクマン。指示は指揮下に入ること、及びその指揮の遵守」
「・・・」
今度はこちらが黙り込むことになった
つまり、最初からこちらの味方として制作されたということか?
しかし、流れ着いたということだから、AIとしての部分は別の人物による作成と見ていい
ならばなぜ、そのような先の未来を予測し得た?
マスターいわく、例の人物は盲打ちが得意と言っていたが・・・未来視能力があるのではないか?
「尋問は・・・終わり?」
その声で我に返った、相変わらず表情は読みにくいが少し疲れ・・・いや、退屈してそうだ
それに味方としてここに居るのであれば拘束する意味もあまりない
「えぇ、これで終わります。案内は必要ですか?」
「不要・・・ここに来るまでで道は覚えた」
それは格納庫までの道だと言い返したいが、どうせ格納庫でも一緒かと考え直し、退室してもらう
そして・・・
「はぁ・・・聞いてましたね、マスター」
「奴は殺す」
「お好きにどうぞ」
そう言って、途中から聞いていたマスターとの通信も切る
「さて、VERTEX」
<<んよ?なにかなお姉ちゃん!?>>
「彼女の味方登録を早急に済ませなさい。あと12時間はカメラで監視を」
<<念のため?>>
「いえ、人物像のプロファイリングのためです」
そしてこちらも通信を切り・・・そのまま部屋で横になった
「何で私の周りにはこんな奇人変人ばかりが来るんですか・・・?」
そろそろ心労で倒れそうである
シャマール
「やはりアイツか・・・あのクソボケが・・・!!」
LAFIとの通信であのクソ野郎の思惑を理解した事でさらに怒りが湧いた
あの野郎、盲打ちで極東に来た場合の事を想定していたようだ
どう転んでも自分が面白ければそれでいいという精神には本当にムカついて堪らない
「いいだろう、貴様がその気ならコチラにも考えがある」
そう言って、プロトタイプゼロにいくつか搭載している武装パッケージを選択するべく画面を開く
「エクストラアーマメントユニット!!コール、ホワイト・グリント!!」
プロトタイプゼロは本体の機体性能よりも追加装備の装着による運用範囲の拡大に重きをおいた仕様として制作した機体だ
その追加装備の中でも、エクストラと名付けたモノたちは総合性能の向上等を目的として制作し保存している
ホワイト・グリントはその中でも、超高速突撃戦仕様であり武装よりもブースターの割合のほうが大きい
何せ、大小合わせて13基のブースターで無理矢理な形で機体をかっ飛ばすのだから
そもそもコンセプトからして破綻しているようなものである。
一体誰なのだ、長射程と高火力を誇る強敵に対して超高速で接近、その懐に入り込むことで損害を最小限に抑え、また、火力を封じる。などというトチ狂ったコンセプトを完成させたのは
・・・そういえば自分か
「まぁいい」
最終的に各ブースターが正常に機能することを確認し、目標地点を定める
どうせあの男のことだ、例の極秘研究所に居るに違いない
「突撃する!!」
ボリショイカーメニ極秘研究施設
「君達少し遅くね?」
研究所内に入った私達を出迎えたのは、そのような不服そうな声だった
「貴方は?」
「君達がさっき会ったチャラいおっさんの連れ、といえば分かるか?」
「えぇ、分かりますが・・・何故そんなに不機嫌なのですか?」
「来たくねぇしやりたくねぇんだよなーめんどくせーし」
開いた口が塞がらないとはこの事である
眼の前の人間は本当に面倒そうにそう言って床を指さした
「この2つ下に目標の子がいるぞ、今のところ誰も接触はしてねぇ。俺もだが・・・しかし何だ、君達全員、自衛隊の装備縛りなんだな?」
「わざと外の人のこと真似てるなら、やめてくれると助かるかな・・・」
その男性の声に64式が返答をするように返し、89式がそれに頷いた
それを受けて眼の前の男性は・・・
「優れた洞察力だ、ではコチラも素で行こう」
先程までの表情から一変して真剣な眼差しに変わった
64式の読み通り、コチラがこの人の素の姿なのだろう
それにしても、先程から気になるのだが・・・この人物、細かな点で指揮官に似ているところがある
真剣なときの眼差しが、少しだけ指揮官を若返らせた様に思えてくる
所作もどこかしら優雅さがチラついてくるし。なんというか、こう・・・休日の仕事オフで素の姿の指揮官と良く似ている
裕福な家庭に生まれた事が伺えるのだ。そういえば指揮官もいいところの出だと聞いた気がする
「でだ、先程からずっと人口の振動が混じっていることに気づいているかな?」
「え・・・?」
話し合いの最後に、彼はそう言ってきた
私達の誰もがそれに気づいていなかった、今でさえ分からない
「ちょうど、君達が目的としている階に目掛けて掘削している連中がいるようだぞ?」
「なんでそれを?」
「超高感度振動センサーが足裏にあってな、本来は高精度観測のための補助装置だが、こういうときに意外と便利なのさ」
「なんでもありなんですね、そのパワードスーツ」
「限界はあるさ、本来は戦闘用じゃなくて災害救助用だからな」
そう、彼は最初からパワードスーツを纏っていた
私達のバトルドレスに非常に近いがより機械的な部分が多いのが違いと言える
あと、関節部に高出力のサーボが使われているみたいだ、身長と同じ長さの高火力な装備を片手で持ち上げて平気な顔をしている
「で、ここでいいアイデアあるけど聞いてみるかね?」
「まさかと思うけどそのデカい武装で床ぶち抜くとか言わないよね?」
「ぶち抜くよ?」
「飛び降り自殺は嫌だよ!?」
「懸垂下降すれば良くね?俺そこまで鬼畜じゃねえし」
そう言ってコチラが反論する前に床を本当にぶち抜いた、しかも自分の足元に
それでいながら落下しないのは、同時に重力制御がされているからだとすぐに分かる
1ミリも落ちてないのだから
「よし、それじゃワイヤーを取り出しって・・・と。よし、じゃあ俺が先にいくぞ。降り立ったら円を描くように揺らすから降りてきてくれたまえ」
そう言って彼は先に行ってしまった、それで初めて床を見渡すことができた
ところどころに黒いシミやヒビが入った場所がある・・・まさかと思うが敵がいて、彼が全て撃退したのだろうか・・・
だとしたら、彼の戦闘能力は私達が束になろうと・・・
「あ、合図来た」
「M24、SFP、MP5、89式の順で降りて、私は最後に降りる」
「了解!!」
裕福な所の出だとバレちまってるシャマールさん。なお軍人家庭なので躾も厳格だったので所作などはバッチリ
問題は性格である。あと胸小さ(作者の意識は狩られた模様)
それと似てるし、容姿にも似通うところがあるということは?