チート指揮官の前線活動   作:アーヴァレスト

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ようやくかけた・・・
遅れた理由はまさかのスランプと肘部管症候群(らしき症状)の発症による小指の痺れで集中力が削がれてしまったためだ・・・(あとがきに続く)


極東動乱(After)

「マスター、ただいま着岸しました」

「あぁ、これからの予定は?」

「日本国政府代表との協議と、本艦への補給で48時間停泊です」

「分かった。確認だが向こうは我々の方に保護を求めてるので間違いないな?」

「えぇ、我々のほうが安全に生活できるであろうとの理由です」

「その当たりは交渉だな」

 

戦闘終了から2日後、東京港大井コンテナ埠頭に着岸した

1日後には既に東京湾近海まで来ていたが、秘匿や箝口令のために手間取ったらしく一日ズレての着岸になったのだ

 

「政府関係者は既にこちらに来ているそうです」

「こちらでも最恵国待遇か・・・」

「致し方ないかと、なにせマスターはあちらからすれば恩を売り続けて受け取ってくれない方ですから、意趣返しにこれくらいされても文句は言わんだろうと思われてますよ?」

「私にそのような厚遇など望まないと言っているはずだが・・・」

「貴女があちらからの礼を受け取らないからです。与えるだけ与えて相手からは受け取らないからこうなったのですから諦めて下さい」

 

LAFIにそう言われて肩を落とす

身から出た錆というものだろうが、あまりにもぞんざいな言い方に少し気がまいってくる

 

「それとも何か?最恵国待遇に文句が?」

「いや、文句があるわけではないが・・・なぁ」

「言っておきますが全てはマスターの不手際です、国際問題にならないだけマシといえますが考えモノではありますよ」

「はい・・・以後気を付けます」

「よろしい、では行きましょうか?」

 

外に出ると、すでに森谷が愉快そうに話していた

その横でジト目で森谷を見ている藍澤が先にこちらに気づいて肩をすくめる

 

「おう、来たか」

「随分と仲良さそうではないか森谷?」

「これでも元クライアント様だからな」

「お初にお目にかかります、私は朝香宮遥実(アサカノミヤハルミ)と申します」

 

国家元首から頭を下げられてしまった・・・さてどうするかと悩んだ瞬間、基本余計な事を言う森谷がやはり余計な事を言った

 

「こう見えてヤンキッシュなお姫様だから気をつけろよ?」

 

発言した瞬間、ヒールの踵部分で思いっきり踏みつけられて悶絶していたのは言うまでもない

しかもかなり勢いをつけたうえでの踏みつけである、相当の激痛だろう

 

「さて、余計な事を言った馬鹿を処断したことですし・・・東京観光と行きませんか?ここからでしたらいくつか寄れる所もありますし」

「あんた・・・一応国家元首だと分かってんのか・・・?」

「チッ・・・しぶてぇなコイツ」

「そっちが素か?」

 

相変わらずリスポーンの早い森谷の質問に一瞬でゴミを見る目になって吐くように言った元首に驚く

明らかにイラついてるのがわかるほど声のトーンも低かった

 

「藍澤さん、このゴ…おバカな人の対応お願いしますね?」

「適当な熱源の近くで炙っておきます」

 

普通な顔でそう言った藍澤は森谷を引きずってどこかに行った

私たちは中型の観光バスに移乗して一路東京観光にしゃれ込むことになった

 

「ここは相変わらず盛況だな・・・」

 

途中で秋葉によった、希望したのはM16A1とHK416でM4A1とSOP2も乗り気だった

 

「指揮官は来たことが?」

「個人的な用事と別にも何度かある」

「・・・?」

 

懐かしさもある場所だ。金が足りない時に民生品を応用して低予算で開発しなければならない時、ここに来ればほぼ全て揃えられた

ないものはほぼ特注で買わなければならなかったが、それはそれで作るための機材を買えたりもしたので凄い場所である

表立ってはメイド喫茶やアイドル系の店が多いが、裏では私のようなギークの要件を満たせるディープでマニアックな店もある

 

「マスターは速攻でそちらに行きましたか・・・」

「いろいろと揃えられるからな・・・お、これは使えるな」

「基地のメンテナンス用にですか?」

「あぁ、古いからなかなか規格に合う部品が見つけられんが、やはりここには変換系のパーツが揃っているな」

 

基地の設備の一部が古すぎて交換パーツがなくなりかけていた、その互換と変換を同時にやれるパーツがあったのだ

 

「日本円ではないが買えるか?」

「えぇ、問題ありませんよ、レートは少し変わりますがね」

「構わない、幾らだ?」

「〇〇円です」

「今のレートだと○○ユーロだな?」

 

確認するとにっこりと店主は笑った、どうやら当たりのようだ

 

「凄いですね、こちらよりも正確だ・・・外交員さんで?」

「いや、今は非番だがPMCの代表だ、あちこち行ってるからその国と別の国のレートを覚えててな」

「なるほど、それはまた・・・はい、商品です」

「ありがとう、またこの国に来たら買わせてもらうよ」

 

そう言って一店舗目を離れて二店舗目に向かう

ついてきているLAFIは組み立て型の3Dプリンターや卓上の小型射出成型機などを買っている

M16A1は表側の店舗でグッズなどを買い漁っててM4A1とSOP2はメイド喫茶で楽しんでいるようだ

3時間ほどで合流し、目的地である皇居に向かうことになる

 

「ここに来るのは初めてだ・・・」

「だろうな、ここは日本人ですら来れる人間は限られる場所・・・言い方を変えれば聖地と言っていい場所だからな」

「そう考えれば一番似合わない男がいるな?」

「おう、それ言うならお前にもクリーンヒットだからな?」

 

森谷が言ってきたので反論しつつも中にバスは入っていく

入った瞬間、空気が変わったように感じる。都会の中でありながら、森にいるような錯覚を覚えた

それだけでなく、水の流れる音までも聞こえる

 

「聖域といった理由が分かったか?」

「オカルト系は苦手だがな、確かにこれは・・・」

 

苦手である私ですら感じる変化に森谷は笑いながら言ってくる

ただし、声は真剣なものだった

 

「そりゃ、ここはオカルト的な意味でも日本の要だ。日本において幾つかある龍脈の合流点、そしてそれと別の地脈の合流点、二つの力が交わる場所だからな」

「森谷は家が寺社系だったな」

「厳密には俺の家ではなく何代か前に分岐した分家のほうだがな、まぁ俺も本家ではなく分家筋だが」

 

深いため息をつき、森谷は国家元首のほうを向いた

そして久しぶりに見る叱責の表情で話しかける

 

「北側の守りが弱まってるぞ?サボってるな?」

「うっ・・・」

「数日中に祈祷でもいいからやっとけよ?こればかりはそっちでしないと駄目だからな?」

「は・・・はい」

 

森谷はそう言って出されたお茶を飲み、藍澤はのんびりと外を眺めていた

 

「藍澤さんも座ってくれませんか?」

「いや、俺は立ったまま聞いておくよ。堅苦しいのは性に合わなくてな」

「そういうところは好きですけど、今はお願いされている立場ですからね?」

「なかなか強硬だ・・・」

 

国家元首のにこやかな恐喝にヤレヤレと肩をすくめながら椅子に座った

そしてそこから話が始まる

 

「さて、ここからは仕事のお話としましょう」

「彼女達はここにいても?」

「問題ありませんよ」

 

確認にすんなり応じてくれた、柔軟な対応というよりは最初から想定済みという感じだ

キレ者だとは前からわかっていたがいざ本人を目の前にすると、年齢以上に狡猾だとわかる

 

「では、単刀直入に申し上げます。我々と協定を結んで下さい」

「内容にもよる、と返そう。ただで受け入れるわけにもいかないからな」

「それに関しては飲んでいただけるかと」

 

出された書類に目を通した

その中身は絶対譲れない事項とある程度は妥協できる事項、別にどうでもいいこと。それらを受け入れてこちらが享受できるモノ、失うもの。メリット・デメリット全てが事細かに書かれていた

 

「なるほど、ここまで丁寧にまとめられたら、前向きに検討せざるを得ないな・・・LAFI、どう思う?」

「問題はないかと。こちらに得られるメリットも、あちらが得られるメリットも釣り合ってますから」

「決定だ。協定を結ぼう。ついでにこちらからも条件を加えていいか?」

「はい、問題ありません」

「君の次の代以降も協定は継続してもらう。これは可能か?」

「えぇ、問題ありません」

 

こちらの要求があっさり通った。やはり計算ずくだ

それから2時間かけて詳細を粗方詰め終わり、協定の契約書にサインを行う

そして・・・

 

「かったるい書類は終わったか?」

「えぇ、たった今終わりましたよ?随分と遊ばれていましたね?」

「いやぁ、遊ぶつもりなくて昼寝のつもりだったんだが猫ちゃんが寄ってきてなぁ・・・」

「相変わらずネコには好かれているようだな?人には好かれないくせにな」

「ちょっと?俺ディスるの楽しいか?」

「非常に楽しい」

「いい笑顔しやがってちっくしょう・・・」

 

国家元首の飼い猫と部屋の隅で戯れていた森谷が終わったタイミングを見計らってやってきた

服のあちこちに猫の毛がついている

 

「ふむ、では模擬戦してもらいましょうか。武装は剣のみで」

「げぇっ・・・俺はやめとくぞ!!」

「最初は貴様だ森谷、逃げれると思うなよ」

「最悪だ・・・!!」

 

そう、話の最後らへんで実は模擬戦の企画をしていた

森谷が遊んでいてこちらの話を聞いてない状態だったので都合が良かったのだ

 

「でも場所がねぇだろ!?」

「あるじゃないですか、むかし使われていた庭園が」

「あそこは触れ合う場所であって戦う場所じゃないだろ!?」

「戦争時はあそこで訓練をしていたらしいですよ?噂程度の話ですが」

「・・・」

 

それを言われて森谷は黙り込んだ、眉唾ものの噂話を口実にして模擬戦に持ち込んできたからだ

 

「俺の命日は今日だったか・・・」

「そんなお通夜の前のような顔をするな、棺桶にはいるんだぞ?」

「おいこら、ガチで殺しそうな顔と声してんじゃねぇよ!!」

「まだ決まってはいないぞ?頑張って足掻け」

「それができたらどれだけマシだろうなぁ!!」

 

そう言いながらも準備はしていた、抜かりなく細部まで確認しているようだ

 

「で、ルールは?」

「飛行禁止、転移なし、武装は剣のみの一回勝負だ」

「ふむ、なら・・・先手必勝じゃあ!!」

「甘いッ!!」

 

開始の掛け声もなしに仕掛けてきた森谷だったが、私はそれを柄頭を抑えることで防いだ

 

「なにぃ!?」

「剣で私に勝てた試しがあったか?」

「俺は近接武器クソ苦手なんだよ!!」

「ならばこの機会に少しは出来るようになってもらおうか?」

「お前のはスパルタンだからイヤッ!!俺は褒められると伸びるタイプなの!!」

 

その言葉にカチンと来た、裏拳気味に胸部を殴って距離を開けて私は言う

 

 

「嘘を言うんじゃないぞ貴様ぁ!!褒められると調子に乗って自滅する奴が偉そうにほざくなぁ!!」

「キレるのそこかよ!?」

「そこに居直れ!!性根から叩き直してくれるわ!!」

「ノーサンキューだ!!時間まで逃げ切ってやるぅぅぅぅ!!」

「逃さん!!生かして帰さぬ!!」

 

久しぶりにギャアギャアと騒ぎながら、私には珍しく当てる気程度で戯れる

森谷は剣こそ躱していたが殴りと蹴りは普通に受けて最後には体力限界でふらついていた

 

「ちょ・・・ちょっ・・・タンマ・・・もう無理・・・」

「コレくらいにしておいてやる・・・後で地獄を見てもらうからな」

「ふえぇ・・・」

 

それから2時間ほど休憩し、今度は私と藍澤の模擬戦だ

 

「ほう・・・様になっているな」

「師匠と違って近接にも気をつけていてな・・・それでも貴女に勝てる確率はかなり低いが」

「細かく分析してるようだ・・・遠慮はいらないな?」

「あぁ、互いに全力で」

「分かった」

 

 

私は大剣を構える、藍澤も同時に日本刀を構えていた

 

「尋常に」

 

藍澤がそう言ってきたのでこちらも応える

 

「勝負!!」

 

動いたのは同時だった、振り落としに突きで対抗してきた

とっさに柄頭で突きを横に弾き首を切り落とそうとするが、藍澤は後ろに下がる形で体勢を立て直した

それだけでなくこちらの胴体を狙ってきたので、私も後ろに下がる形で回避せざるを得ない

 

「堅実だ、実に見事」

「お褒めいただき恐悦至極だ。聞いてはいたがここまで大胆と繊細を兼ね備えているとは思った以上だ」

 

<模擬戦場所、森谷>

 

「全力を出してなかったですね?」

「いやいや、全力だったよ。言ったとおり俺は近接戦だとクソ雑魚なんだ」

 

アリスとカズマの模擬戦を見ながら、俺は質問してきた国家元首・・・元クライアントの質問に返していた

 

「指揮官・・・楽しそうですね」

「好敵手だと思った相手にはあぁいう顔するんだよ、アイツは」

 

互いに笑いながら激しくやり合っている。女性が使うには厳つすぎる大剣を片手でぶん回す女傑、かたや男性が使うには心もとなくも見える細剣・・・実力が互角であることは服に損傷がないことから明白だろう

 

「そろそろ時間も限界だな?」

「あぁ、そのようだ」

「では、行かせてもらおう」

 

その瞬間、アリスが構えを変えた。それに俺は叫ぶ形でカズマに告げる

 

()()()カズマ!!()()()()()ぞ!!」

 

だが、カズマは避けることなく剣を構えて・・・突きで攻撃したアリスの剣を力を受け流す形で逸し、首に触れるギリギリで剣を止めた

 

「見事だ、相打ちとはな」

「突きから相打ちに持ち込む技量には驚きだ、実質的には負けと言ってもいいだろうな」

 

カズマの下腹部にもアリスの剣先があった、間違うことなく相打ちである

 

「良いものを見せていただきました。ありがとうございます、お二人とも」

「こちらとしても良いものだった。久しぶりに面白いものだったよ」

「貴様に見せるためものではないぞ森谷。まぁ良いものだったのは間違いないがな」

 

アリスは満足げだ。カズマは少々不満そうだがおそらくそれは自分が相手に追いつけなかったことだろう

 

「まだまだ、だな」

「あぁ、アリスから剣を学べ。必ず役立つ」

「反面教師のいうこともたまには聞いといてやるか・・・ま、クソ師匠も役には立つだろうしな」

「オマケ扱いされる俺氏は辛いです・・・」

 

それから数日後・・・俺は潜水艦の中で酔いまくることになったのは言うまでもない




肘部管症候群はしんどいね・・・指は動くのに痺れや痛みが出てくるんだもの
おかげで執筆にクソほど時間がかかるわ・・・早いとこ治そう・・・(なお手術以外に選択肢はない模様)
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