死を司る瞳   作:蒼井 宇宙

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初投稿です。
義勇さん今回全然喋りません。


1話 その女、線を切る

「……せめてあなたたちだけでも………義勇……………葵を…よろしく頼むわね………………」

大量の血を流し床に伏せる姉

 「………蔦子姉さん!………蔦子姉さ…!…………」義勇の叫ぶ声が聞こえる

 

「…………お姉…………ちゃん…………」

 

 

 

 

 

意識が闇に堕ちるー

 

 

 

 

 

 

 

1話 その女、線を切る

 

 「お姉ちゃん結婚したら、私たち二人より旦那さんのこと好きになっちゃうの…………?」

冨岡家の次女、冨岡葵(あおい)は長女である冨岡蔦子にべっとりだった。そんな彼女の髪を撫でながら姉は言う。

「姉さんは結婚しても二人のことが大好きなんだから、安心していいのよ。…………ほら義勇も、そんな所から覗いてないでこっちにいらっしゃい」

覗いているのが早々にばれた長男、冨岡義勇はゆっくりと姉の近くに出てくる。そして妹と同じように姉に抱きしめられた。

「みんな家族だからね、かけがえのない家族よ。嫌いになんてなるわけないじゃない。姉さんはいつでもあなたたちのことを愛しているわ」

姉と弟と妹。彼らの抱きしめ合う光景はひだまりの様に暖かく、慈愛に満ち溢れていた。

 

 

 

 

こんな光景がいつまでも続くと思っていたーーーーあの日までは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祝言前夜。

 

 

床に這いつくばる女性。飛び散った血。それが姉だと認めたくなかった。

 

 

 

 

「うひっひひ………こりゃ美味そうな女だなァ…………こっちに来て正解だったぜ」目の前には血塗れの姉。「ッお姉ちゃん!!!!」隠れろと言われたが、居ても立っても居られず飛び出した。別の押し入れの中で隠れ震えている義勇を置いて。

「…………ァッ!!!!」

痛い。痛い。背中が燃えるように熱い。息ができない。何が起きたんだ

ーその瞬間自分が攻撃を受けたと察した。

暗くてよく見えなかったが、月明かりに照らされてその侵入者の出立ちが露わになる。今まで生きてきてこんなおぞましい生物は見たことがない。もはや人としての原型は留めておらず、化け物と呼ぶに相応しい出立ちの生き物。

「…危な…にげ…て………」「俺は今食事中なんだよ!邪魔するんじゃねぇ!てめぇも食ってやる!」

ー死ぬ

生き物の直感だ。生存本能。死にたくない。

ー生きたい

火事場の馬鹿力ってものだろう。死に面している身体が動く。私が死ぬ前にあいつを殺さないと。私が守らないと

視界が霞む。頭痛がする。でも身体は動く。目の前には姉の嫁入り道具ー懐刀があった。

這いつくばって刀を手に取る。

何故か酷く手に馴染んだ。

振り返ってその化け物を見たら

つぎはぎの線だらけだった。

本能的に線を切る。何も考えずに。

「そんなんで切ったって俺は消えね」

 

 

 

 

 

ー消えた。跡形もなく。散りすら残さず。

 

 

 

 

 

ー月光がやけに美しい夜のことだったー

 

 

 

 




義勇さんの雰囲気がなんとなく式に似ていると思ったことから膨らんでいった話です。

次回は鱗滝さん、錆兎が登場します。
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