『佐々木民子は立派な死霊族になるために巫女少女をぶちころがします。(仮)』   作:ゼルダ・エルリッチ

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【登場人物紹介】


佐々木 民子(ささき たみこ)

 「年齢」15歳です。5月13日生まれです。高校一年生です。
 「趣味」名所案内を読んで行った気になることです。 
 「好物」レバーとウニと海老以外なら何でも食べられます!
 「身長」まだまだ大きくなります。

 ある朝突然、死霊の王族(リッチ)の力に目覚めたアンデッド系高校生。
 死霊界の封印を解くために町の巫女少女を倒す使命を帯びているが、別に能力を開花させたわけではないので苦労している。施し(食べ物)に弱い。 


稲田 菖蒲(いなだ あやめ) 

 「年齢」15歳。12月20日生まれ。
 「趣味」古いゲームのルールブックとか読むのが好きかな。
 「好物」カシューナッツ。
 「身長」164cmで止まってると思う。

 神性伝導士の一族の巫女少女。
 死霊界の封印を守り継ぐ役目はあるが、本人は引退済みを自称。過去には町の悪霊とかと戦っていたという噂で、腕力的にも普通に強い。巫女モードになる時には変身する。あまり自分のことは話さず寡黙だが、民子の世話を焼いている時には前につんのめり気味。


ごせんぞ様(ヨルーラック)

 「年齢」多分3000歳くらいじゃな。寝てて覚えてない期間もあるな。
 「趣味」グラディウスとか、シューティングゲームじゃな。
 「好物」ふ菓子。
 「身長」民子よりは高い。 

 民子の偉大なるご先祖であるリッチ(死霊の王族)。見た目は民子にそっくりだが、ちょっと上くらい(20歳くらい)の年齢に見える。巫女少女によって封印空間に長く封印されている。民子が死霊族の力に覚醒してから、民子の意識にそこそこ干渉できるようになった。過去の巫女との対戦成績は、かんばしくないらしい。




第1話『民子目覚める!!今は透けふわってても気にするな!!』

 

 私は佐々木民子― 

 

 どこにでもいる、普通の15歳―

 

 

 

 夢を見た。

 

 布団の中でまどろむ私に声が響いてくる。

 

『民子……』

 

『民子よ、目覚めなさい』

 

 ……誰?

 

 暗闇の中から誰かが私の名前を呼んでいるけれど、何だろう。女の人の声。

 

 むー、眠い。

 

 ぐー。

 

『目覚めなさい』 

 

 また呼んでる。今私眠いので、後にしてくれませんか。

 

『そなたは死霊界の王族、リッチの血を引く者。この町にいる巫女少女を倒し、一族の復興を遂げるのです』

 

 えと……何て? んー、むり。眠い。

 

 布団をすすすと上げる。また明日来て下さいお願いします。

 

 ぐー。

 

『…………あの、ちょっと?』

『…………』

 

『起きてー。目覚めてー。聞いてるー? もしもーし?』

『…………』

 

『起ぎろゴルァ!!! このバカちんがぁ!!!』

 

 キレられた。

 

 そして布団ごと蹴られた。

 

「ほわわーーーーー!!!」

 

 目が覚めました。

 

 

 

  ♪ しばしオープニングソングをお楽しみ下さい ♪

 

 

 

第1話『民子目覚める!!今は透けふわってても気にするな!!』

 

 

 むー。

 

「……なんか、凄く圧の強い感じの夢を見た気がする」

 

 目が覚めると、自分の家の布団の中でした。

 

 鳥がちゅんちゅん鳴いてます。朝です。日曜です。にちあさです。

 

 むー。なんだか頭がふらふらする。

 

 とりあえず、起きて顔洗おう。

 

 洗面台へ。

 

 顔を洗って、タオルで拭いて、鏡を覗き込む。

 

「んー?」

 

 なんかおかしい。

 

 私ってこんなに透けてたっけ?

 

 ん? 透けてる?

 

「…………」

「なんぞこれ?」

 

 顔が半分透けてるし、手足も透けてる。

 

 おまけになんだか、身体がふわふわする。

 

 それから、頭の両側に青い人魂みたいなの浮いてる。なんかカワイイ。 

 

 って、違う!!

 

 色々、なんぞこれー!!

 

 

 

 

 慌てて、台所にいるお母さんの所に、どたばた走る。

 

「おかあさん、おかあさん!!」

 

「何ですか騒々しい」

 

 割烹着姿でおみそ汁作ってたお母さんが振り向く。

 

「なんか透けてるー!! あと、ふわふわする!! 透けてふわして、透けふわってる!!」

 

 身体の異変を主張したけど、

 

「落ち着きなさい」

 

 ばっさー!

 

「はう!!」

 

 いきなり、私の身体に塩をかけられた。

 

「動けない!! 何だか身体がぴりぴりします! 何ですかこれ!!」

 

 あたふたする私に、お母さんが神妙な面持ちで言ってくる。

 

「とうとうこの日が来てしまいましたか」

 

 

 

 

 しばらくしたら動けるようになりました。

 

「もうー、にちあさから何なんですかー。ってか、何が起こったんですか私」

 

 おみそ汁用のどんぶりを持ってお母さんに食いつく。

 

「……実はあなたは、普通の人間の子ではありません」

 

 お母さんがどんぶりにおみそ汁注ぎながら言ってきた。

 

「そうなんですか」

 

 大根のおみそ汁、美味しそう。

 

 って、

 

「えええ!?」

 

 人間の子じゃないって、何ですかそれ?

 

「佐々木家は古来より、生者のエナジーを糧とするもの……封印されし死霊界の王族、リッチの末裔なのです」 

 

 お母さんが普通におみそ汁渡しながら言ってきた。

 

「へぇ。王族……」

 

 えーと。

 

「私まだ寝てるみたいなんで、もう一回寝てきます」

 

 布団に戻ろうとしたら、

 

「お待ちなさい!」 

 

 ばっさー!

 

「はう!!」

 

 塩をかけられた。

 

 動けない! 体がぴりぴりする!

 

「現実を見るのです民子」

 

 塩まみれの手で頭の両側を掴まれる。

 

「溶ける!!」

 

 頭がしゅわしゅわ音を立てて溶けかけた。

 

 

 

 

「ともあれ、なんで私透けてるですか? 透けふわってるですか? ひとだま浮いてるし」

 

 おみそ汁ずずずと飲みながら聞いてみる。とりあえず、おみそ汁は普通に飲めました。飲んだ後、お腹を見たら透明だったので、お腹の中が見えちゃうことはないみたい。

 

 ちょっと安心です。ってか、かなり安心です。見えたらグロい。

 

「どうやらあなたは、先祖がえりを起こしたようです。ですが、あなたの霊力が弱すぎて、この世界とうまくリンクできていません。だから透けふわってるのです」

 

 お母さんがお鍋かき回しながら説明する。霊力がこの世界とリンクする?

 

「つまり、ラジオみたいなものですか?」

 

 ダイヤル合わせて調整ってこと?

 

「いえ、どちらかというと、昔のテレビのようなものです」

 

 そう言って、うりゃ! と私の頭の横をはたいてくる。

 

「はう!!」

 

 ざざざ……と音がして、身体がパッと元に戻りました! ふわふわもしません。ひとだまは消えないみたいだけど。

 

「戻りました! って、こんなんで治るんですか!?」

 

 なんかすっごくポンコツのような気も……。でも戻れたから良かった。

 

「あれ?」

 

 喜んでいたら、またちょっとずつふわふわしてきました。

 

「戻っちゃったです」

 

 また半透明になりました。シースルーです。透けふわです。

 

「頑張って霊力を強めるしかないですね」

 

 お母さんが、ふう、と頬杖ついて言いました。

 

 

 

 

 塩は霊だから直振りNGということでした。直接身体にかけると、動けなくなったり溶けかかったりするみたいです。でも鍛えれば耐えられるそうだし、食品に混ぜれば食べても大丈夫だそうなので、良かった。

 

 そうと分かれば、まずは朝ごはんです。朝はしっかり食べます。

 

「あれ? お母さん、ご飯入ってないですよ。炊き忘れてます」

 

 電気ガマのふたを開けて覗き込んだら何もありませんでした。ねこまんま食べられません。

 

「今月はもうお米がないのです」

 

 そんなー! 朝はねこまんまなのにー!

 

「あなたの力が覚醒したからには、きちんと話しておかなければ……」

 

 お母さんが真剣な顔して向き合ってきました。大事な話みたいです。

 

「私たちがこの貧乏生活を強いられているのも、じつはみんな、一族の宿敵である『神性伝導士』の一族のせいなのです」 

 

「しんせー、でんどーし?」

 

 漁師さんみたいなものですか? 

 

 

 

 

「太古の昔、死霊族の王族である我らリッチの一族は、死霊界の領土をこの世界にまで拡大させ、大いなる叡智を収めておりました。しかし、我らに対抗する神性伝導士の一族が結託し、死霊界をこの世界から封印したのです。その戦いの中で、我ら一族の力もだいたい残らず封印されてしまいました」

 

 なんか凄くスケールの大きな話のような気がします。死霊界?

 

「我らリッチの一族の末裔は、今この世界に散り散りになって普通の人間のように暮らしていますが、伝導士のさまざまな呪いを受けてその生活は大変困難なものになっています。私達一家の場合では、『金回りが生活最低限レベル』の呪いがかけられているのです……」

 

「何ですかその嫌なネーミングの呪いは!!」 

 

 おみそ汁おかわりです。ヤケみそ汁です。

 

「領地も力も運も、取るもの取られつくしました……」

 

 お母さんが遠い目をして言いました。

 

 

 

 

「まさか私達にそんな呪いがかけられているとは知りませんでした。何なんですか、そのしんせーでんどーしって。怖い系?」 

 

 何となく呑み込めません。でも私の一族が死霊族って、ネーミングからしても、そっちの方が怖いような気も……。

 

「神性伝導士とは、天界からの聖なる神託を受けた、言わば正義のヒーローの一族です」

 

 お母さんがにっこり笑って言いました。

 

「ヒーロー!? いいモンじゃないですか!」

 

 あれー? 聞けば聞くほど、悪者じゃないような感じですけど。

 

「じゃあ私達の死霊族って?」

 

 恐る恐る聞いてみます。

 

「カオスな力で世界征服しちゃおうとか、そんな感じですね。一言で言うと、わるモンです」

 

 やっぱりわるモン!! だめじゃないですか!!

 

「そんなわるモンの一族だったんですか。普通にだめじゃないですか」

 

 追及したけど、お母さんは笑ったままでした。

 

「いえいえ、わるモンと言っても、そんなに悪いことをするわけじゃないのですよ。ちょっと世界中のあらゆる悪のエナジーを集めて、人々を堕落させて、支配して、こき使っちゃおうとか、せいぜいそのくらいです」

 

「それは充分悪いのでは!!?」

 

 

 

 

 なんかよく分からなくなってきました。私はいったいどうすればいいのでしょう?

 

「とにかく、私はこんな身体でこれからどうすればいいのですか?」

 

 透けふわってるし、わるモンだし。

 

「あなたがその姿になったということは、あなたには使命が与えられたということです。一族の封印を解き、死霊界の復興を遂げる時なのです」

 

 なんか、凄くめんどうそう。その前に、わるモンだし。

 

「でも、わるモンなんですよね? 私、悪役はちょっと……」

 

 何の得にもなりません。私はみんなと仲良くしたいです。

 

「でも、一族の封印が解ければ呪いも消えます。金回りが多少良くなって、その上、力が戻って、多少背も伸びます」

 

 お金……背……。う、それは……。

 

「コメダにも行き放題、頼み放題」

 

「シロノワールもですか!! 母さん私何でもします!! お祭り騒ぎです!!」 

 

 

 

 

「それで私は、具体的に何をすればいいですか!」

 

 よいさー!! うりゃさー!! 

 なんでもこいです!

 

「我ら一族の力を封印した神性伝導士の巫女、巫女少女を倒しなさい」

 

「みこしょーじょですね!! がってん!!」

 

 おいっちにー! おいっちにー! どっからでもかかってきやがれです!

 

「そしてその魂を吸い取って、我が家に代々伝わる先祖の経箱に捧げるのです」

 

「え!? たましー吸い取る……!?」

 

 なんかエグい……。ほんとに死霊っぽいし。テンション・ダウンです。

 

「ってか、きょうばこって何ですか? 箱? そんなものがどこに?」

 

「ああ、それならちゃぶ台の上に」

 

 ちゃぶ台の上? 

 

「えーと、醤油とかソースとか入れてるやつならありますけど」

 

 平たくてちっさい木の箱で、ポゲモンのシールとか張ってあるやつ。

 

「それです」

 

「これですかっ!?」

 

 扱いが雑!

 

 

 

 

「これは我らの偉大なるご先祖が封印されている経箱。ご先祖の魂のよりしろなのです」

 

 お母さんが、ごせんぞ箱から醤油とか外に出して言いました。ちょっと底に醤油こぼれてます。

 

「そんな大事なものだったんですか!? 何でこんな雑なところに」

 

「カモフラージュです」

 

「なぜに?」

 

 さておき、ごせんぞ箱をキレイにしないと。

 

「えーと、水で洗ってもいいですか?」

 

 台所の流しに持っていって聞いてみます。

 

「いいですけど、ご先祖の顔にはあんまり水かけちゃだめですよ。おぼれちゃうかもだから」  

 

「顔?」 

 

 顔なんてどこに? ってか、溺れるんですか!?

 

 よく見たら、箱の側面になんか模様みたいなものが浮き彫りになってます。上にリポDの応募シールぺたぺた張ってあって、良く見えんかった。

 

 ペりぺりと剥がしてみたら、なんか顔みたいなのが出てきました。漫画のバイ菌みたいな顔。

 

 むー。

 

 やっぱわるモンくさいです。

 

 

 

 

 とりあえず、ごせんぞ箱がキレイになりました。お弁当箱くらいのサイズ感。フタもあるとのことで、どこかと聞いたら玄関の花瓶敷きに使ってました。扱いが雑でした。

 

 フタをしめたらピッタリはまって取れません。なんか霊的なパワーで引っ付いてるとのことで、逆さにしても落ちませんでした。ちょっと凄い。

 

「凄いくっつきました。これ取れないんですか?」

 

 心配になって聞いてみます。

 

「缶詰のプルトップ開けるくらいの力を込めれば開きます」

 

「そんなんで開くんですか!?」

 

 試しにうりゃーと力込めたら、ぺきょっ、と音がしてふた開きました。あっさり。

 

 あと、箱の中に魔法陣みたいな模様がありましたけど、これ何でしょう?

 

 あと、まだほんのり醤油臭い。

 

 

 

 

「ともあれ、まずはあなたが活動を開始したという届けを出しましょう」

 

 お母さんが紙とボールペン出して言いました。ちょっと嬉しそう。

 

「届け? そんなのどこに出すんですか?」

 

「霊界役所」

 

 どこにあるんですかそんなの。

 

「活動名も考えなくちゃね。何か霊っぽくて強そうな」

 

「活動名?」

 

 そんな芸名みたいなの要るんですか?

 

「どれがいいかしらね?」

 

  『ばけらっ子』

  『暗堀井(アンホーリー)霊子』

  『和威徒(ワイト)』

  『ファントムエンプレス民子』

 

「ふぇぇ!? 急に言われても。っていうか、どれもアレだよ!!」

 

「じゃあ、ファントムエンプレス民子で。ファックス送信♪」

 

 ピーヒョロロ、ピー!!

 

「決まっちゃったんですか!?」

 

 こっぱずかしい!!

 

 

 

 

「でも、巫女少女を倒すといっても、どうやって倒せばいいのでしょう?」

 

 ファントムエンプレス……。

 

「先祖がえりを起こしたわけですから、何らかのエナジー的なものは得ているはずです」

 

 お母さんがひとだまつんつん、つっつきながら言ってきます。ちなみに、何かこのひとだま、意志で動かせます。ペットみたいでかわいい。ペット二匹。

 

「霊的なパワーとか感じない?」

 

 尋ねられたけど、

 

「そんなざっくりした概念感じません!! 空腹しか感じません!」

 

 プリーズ、ねこまんま!

 

「何か強くなった感じは? 筋力アップとか」 

 

「むしろ体がふわふわして力入りません。重心もグラつきます」

 

 立っててもなんか落ち着かないし。体重が三分の二くらいになった感じです。さっき走った時も、軸がぶれてる感じでした。

 

「……うーん、見事に何も変わってない」

 

 お母さんが気まずそうに言ってきます。

 

「むしろむしろ!! 透けふわってるし、塩で動けなくなるし、明らかな弱体化です!!」

 

 

 

 

 さておき、さっそく活動開始です。この町にいる巫女少女を探して挑みます!! 何か夢でも、そんなこと言われたような気がします。

 

 ところで、出発前に玄関でお母さんに聞いてみました。

 

「お母さん、戦いに出るにあたって、何か武器とかの補給はないんですか? ゲームとかでよくあるやつです!!」

 

 あと、薬草とかゴールドとかでもOKです!!

 

「残念ながら、今のご時世ではちょっとした武器とかでも、持ち歩いていると職質されてしまうのです……。だから、竹ざおとかも無理です」

 

 お母さんがベランダの物干しざお見て言いました。さすがに私も、あれを持ち歩くのはちょっと……。

 

「そこで……これを」

 

 お母さんが割烹着のポッケから何か取り出して掲げます。

 

「近年何かと出番が無いけれど、あれば安心なこのアイテムです!!」

 

 って、栓抜きにしか見えません。

 

「せんぬきですか? 良く知ってますけど……」

 

 私の反応は悪かったけど、お母さんはふふふと含み笑ってます。意味深です。

 

「わるモンの武器と言えば、定番なのです!!」

 

「よく分かりません!! でもありがとうございます!!」

 

 武器:せんぬきを装備しました。 

 

 あと、ヒーリングポーションも持っていきなさいといってリポDくれました。

 

 一日一本限定です。用法容量厳守!!

 

 

 

 

 というわけで、ごせんぞ箱持って早速、町ぶらです。でも……。

 

「うーん、勢いで出発してしまった……。とりあえず武器とポーションは用意したけど、どうやって戦えばいいんだろう」

 

 お母さんの言うことには、巫女少女に物理的にちょっとケガして頂いて、出血して頂いて、その傷口にごせんぞ箱を被せると、たましいのエネルギーを吸い取れて封印解けるとかなんとか。

 

 むー。

 

 人にケガさせるなんて嫌だし、血とか無理だし。

 

 それに私体育の成績1だし、そんなの無理だよぉ。

 

「それに、巫女少女なんて方が、どこにいるのかも分からないし……」 

 

 交番でお巡りさんに聞いてみようかな。

 

 考えてたら、足取りがふらふらしてきました。やっぱり重心がグラつきます。足の動きと歩幅が合わない。歩きづらい。こんなんで戦えるんでしょうか……?

 

 

 

 

 そんなこと考えて歩いてたら、

 

「あっ」

 道端の灯油缶につまづきました!! 何でこんな所にー!!

 

「ぶぇへ!!」

 そのまま電柱に突っ込む!!

 

 よろよろと転がった先で、バウウウ!! バウウウ!! 

 近所の犬に吠えられる!!

 

「ぽえー!!」

 何が何だか分からないーー!!

 

「ぎゃん!!」

 犬から逃げた先でまた派手に転んだら、ごせんぞ箱落として、道の先の下り階段に!!

 

 コロコロコーロー!! ガン! ゴン! ガン!

 

「はわー!! 封印されしご先祖様が!!」

 

 破壊されるー!!

 

 

 

 

 慌ててダッシュして追いかけます!!

 

 階段の下の川沿いの道へ。ごせんぞ様が川に一直線!!

 

「ごせんぞ様―!!」

 

 慌てて飛び出したら……、

 パパアアアアアア!!!!!!

 

「みぎゃーー!!!!」

 目の前にトラックがー!!

 

 その時!!

 

「危ない!!」

 声が聞こえて、むらさきの光が弾けた気がした。

 

 

 

 

「うう……」

 

 道にへたり込んで動けません。腰が完全に抜けてます。

 

「……大丈夫?」

 

 声が聞こえて、我に返りました。

 

「あ、あれ……? 確か、トラックがきて……」

 

 顔を上げたら目の前にトラックが止まってて、その前にヘンな格好の女子が立ってました。

 

 白とうすむらさきの、ヒラヒラしたドレス(?)みたいな服着てて……、何か片手突き出してトラック止めてます。

 

 CGみたいな魔法陣が空中に描かれていて、トラックとの間にバリアーみたいに張り巡らされてる。それと、足が道路にめり込んでる。

 

「!?」

 

 

 

 

 その少女がトコトコ歩いてトラックの人に話しかけます。ゴミ収集の青いトラックでした。

 

「トラックの人も大丈夫? なるべくふわっと止めましたけど」

 

「あ……うん……。君こそ、大丈夫……?」

 

 トラックのお兄さんが困惑気味に言いました。

 

「大丈夫です」

 

「あ……そう……。じゃ、じゃあ、ごめんね」

 

 トラックが走っていってしまいました。

 

 ヒラヒラ服の女子が私に振り返ります。同い年くらいの女の子。髪は長めの黒髪で、後ろでひとつに結んでる。それと、背が高い。

 

「急に道路に飛び出したら危ないよ。ちゃんと確認しないと」

 

 静かな口調でしたが、ちょっとオコ気味でした。

 

「は、はい……。ごめんなさい……」

 

 しゅーんです。本当に危なかった……。

 

 助けてくれてありがとうございます……。

 

 だけど、それはそれとして……。

 

 この格好は、ひょっとすると?

 

「……あの……それは、ええと……。コスプレ……ですか?」

 

 コスプレであってください。コスプレであってください。コスプレであってください。コスプレであってください。コスプレであってください。コスプレであってください。

 

「違うよ、巫女少女」

 

「ですよねー」

 

 

 

 

 ターゲット見つけてしまいました……。 

 

 ど、どどど、どうしよう!!

 

 あたふたしていたら、

 

「変身したのなんて何年ぶりだろう。っていうか君、そのひとだま、本物? あと、なんか透けてるけど」

 

 むらさき巫女少女が追及してきます。

 

 うう、私、死霊族だし、一目でバレバレだし、この後どうされちゃうんでしょうか? 

 やっぱり封印される? ひええ!!

 

 こ、ここは、先手必勝で……。

 

 ポッケからせんぬき出して握りしめます。助けてくれたのは事実だけど、やっぱりここは死霊族のはしくれとして、宿敵の巫女少女を取り逃がすわけには……。

 

「あ……あの……」

 

「……ん? 何か飲みたいの?」 

 

 ふぇ?

 

 むらさき巫女少女が、手にしたコンビニ袋をガサガサしてます。

 

「これあげる」

 

 なんかオレンジジュースもらいました。

 

「ビンじゃなくて、ペットボトルだけど」

 

 あ……せんぬき……。

 

 これ持ってたから間違われた? ぐぬぬー、そうじゃなくて!!

 

 

 

 

「あ、あの、そうじゃなくて!! ですね!!」

 

 その時、

 

 ぐーーーーーーーーー……。

 

 お腹が盛大に。

 

 今日はみそ汁しか飲んでません……。

 

「あ……そっち……」

 

 ふぇ?

 

 またコンビニ袋ガサガサして、

 

「これもあげる」

 

 なんか、パンもらいました。まるいパンの上に、白い物が乗ってます。

 

 えんがわデニッシュ。

 

 アイテム:えんがわデニッシュを手に入れました!!

 

 って、そうじゃなーい!!

 

「わ、私は死霊族です!! 一族の宿敵である巫女少女からこんなのもらえません!!」

 

 私にだって、死霊族として覚醒したプライドというものが……。

 

「うん、でも、おなかすいてるみたいだから。あと、小さいから」

 

「あ……、そ、そう言われれば、なるほどです……」

 

 納得です。

 

 ……ん? 

 

 って、ちがーう!!

 

 

 

 

「むきーーー!! このような屈辱的なアンチ・サティスファクションは初めてです!!」

 

 ぽがーーー!! ぽがーーー!!

 

 飛び跳ねてたら、

 

 ぐーーーーーーーーー……。

 

 お腹が盛大に。

 

「やっぱりおなかすいてる。いいから食べて」くす。

 

「あ、はい。いただきます」

 

 えんがわデニッシュ、おいしそう。 

 

 って、ちがーう!!

 

 なんか笑われてるし!! ぐぬぬぬ!!

 

 きょ、今日の所は、ひとまず出直しだ!!

 

 ごせんぞ箱は川端のフェンスにぶつかって止まってました。良かった。

 

 慌てて拾い上げます。どうやら壊れてないみたいで、それも良かった。

 

「お、覚えてやがれ、巫女少女ーーー!! でも助けてくれてありがとうございまーす!!」

 

 ズダタタタタ!!!! ご飯食べてきます!!

 

「……変な子」

 

 

『頑張れ民子!! この悔しさをバネにして、立派な死霊族になるんだ!!』

 

 

  

♪ エンディングソングで余韻を感じようね ♪

 

 

 

                    第1話、終わり! 2話が待ち遠しいね!

 

 

 

 

 

 

 

 




反響があったら2話があるよ!

無かったら無いよ!

無くてもあるかもよ!


読んでくれてありがとうございます!!!

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