運命?なにそれ?と言わんばかりにデレない美しき巫女 作:レオ2
昨日の衝撃的な光景から翌日、何時もより早い時間から拓斗は登校していた。普段は拓斗も朝礼の5分前くらいに教室に入るが今日は訳あって早めに家を出た
その理由は日直だからだ。クラスによってシステムは違うが拓斗のクラスは隣の席の人と2人一組で日直になる。つまり、拓斗の今日のパートナーは涼花である
そして昨日、拓斗は何だか見てはいけないものを見た気がしてならない。あの時の背後からの視線は「ズサズサ」という効果音が出そうなほど鋭かったからだ。
帰る際に一度眼を向けてみれば羞恥に耐えるような表情をしているのは覚えている。
(こりゃ今日は平和の1日になりそうにないな)
そう眼に若干ハイライトをなくし思った。
少なくとも日直をきちんとしなければならない位には。何時もちゃんと真面目なのだが気持ち的にも真面目にしなければならない。
何か一つでもお嬢様の機嫌を損ねるようなことすれば1日教室にブリザードが吹き荒れる。それだけは勘弁だ。
クラスがそうなったら責任を投げつけられかねない。
普段よりもずっと早い時間に登校しているからか他の生徒の姿は見えない。これはこれで何だかいつもよりずっとゆったりした登校だなぁ……
「——」
なんて思いながら角を曲がった時、拓斗はその光景を見て思いっきり来た道を少し戻ってしまった。その心臓の鼓動は一気に動き出しながら。
(何でだよ──っ!!)
角を曲がって目についたのは綺麗なアッシュブロンドの髪だった。アニメの世界ならばいざ知らず3次元のこの世界では残念ながら(?)黒髪以外の高校生を見つける方が逆に難しいと拓斗は思っている。
だからあの髪が目立っていると考えているのだ。……と現実逃避気味に考えた
(あいついつもこんなに早かったのか)
拓斗はクラスの中でも来るのは遅い方だ。だから涼花が自分よりも早く来ていることには違和感はない。だが、まさか今日早めに出た自分と同じ時間帯とは思わなかったのだ。
早めに学校に行って涼花のご機嫌を取るという拓斗の崇高な目的が早くも頓挫した。
「さあ……どうすっかなぁ」
選択肢一つ目、
『よお! 偶然だな!』
と装って気安く声をかける。偶然なのは間違いではない。その答えは
『何? キモ』
「ダメだ!」
選択肢二つ目、
『見つからない程度に登校しよう』
と距離を保ちつつ普通に登校する。一見平和に見えるが答えは
『何? 昨日の事と言いストーカー?』
「ダメじゃん!!」
昨日も偶然にも出会ったしまったのでこのタイミングでもし見つかればストーカーと言われるかもしれない。
(そんなに性格悪くないと信じたいけど!! けどね!!)
選択肢三つ目、
『気づかれる前にダッシュで追い越して先に教室に行く』
何ともリスキーな作戦だが答えは
『そんなに一所懸命私から逃げてダサ』
「俺に平和の道はないのか」
拓斗は自分が取るべき選択が分からずに項垂れていた。もう何も考えずに普通に登校しようかと思った。だが通学路は同じだ。後ろ振り向いたら拓斗がいるという状況は何かを疑われかねない。
そんな時だった、神が現れたのは
「何してるの?」
その心底冷えッとした声で拓斗はビクンと震えた。ギギギっと効果音を付けそうな感じで振り向いたら髪をポニーテールにしている涼花が奥底を抉るような冷たい瞳で拓斗を見ていた。
尚、先程神と言ったがどういった類の神かは言っていたない。だがそこでふと拓斗は思った。
(……そう言えば俺は何でこんなにビビらないとダメなんだろう?)
別に自分としては何も悪い事はしていない。ただ妹を連れて神社に行っただけ。そこに涼花はいたが涼花に対して何か悪い事をしたわけでもない。強いて言うなら涼花の巫女姿を拝んだぐらい。だがそれ自体は涼花自身も見られるくらい分かっていたはず、つまりキレられる心配はない! (ここまでが約0.5秒の思考)
「よ、よお! おはよう、三月」
しかし涼花は返事を返さずに拓斗を見つめていた。
(え、なにこの視線。こわ! 俺何かしたのか!?)
一方涼花の思考は
(視線を感じたから見に来たけどどんなことを話せばいいのかしら)
拓斗は涼花が自分を見つめているが何事かを考えていることに気が付いた。少し考えた末普通に声をかけることにした
「おーい、三月。起きてるか?」
「——! 起きてるわよ。おはよう氷火君」
「いや今寝t」
「起・き・て・る! ……3年前じゃないんだから」
思わず呟やかれたそのワードに拓斗は少し眼を見開いた。涼花も何故か無意識に出てしまったそのワードに口許を少し抑え
(あれ? 私何で)
(まあ……偶々だよな)
両者一瞬でそう思考した。拓斗が涼花の言葉を待つこと3秒、涼花はいつも通りに戻る
「まあ良いわ。ほら早く行きましょう」
どこか自分を誤魔化すようにそう言った涼花に拓斗は訝し気に見ていたが観念したように頷いた
「分かったよ、行こうか」
そう言って2人は残り少ない通学路を歩き出した。
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