運命?なにそれ?と言わんばかりにデレない美しき巫女   作:レオ2

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偶然って怖いよね

 突然だが男女が通学路を共に歩いていたら何を思うだろうか? 

 友達? カップル? リア充? 

 成程、それは強ち間違いでもない。

 だが! 

 

((気まずい!))

 

 この二人はそのどちらでもない。友達という程喋った事は無いしカップルなんてもってのほか! 

 2人とも過去にそういう人はいたが今はいない。

 つまり! 共通の話題が無い! ……訳でもない

 

(氷火君に昨日の事釘刺さないとダメなのに……なんで言えないんだろう)

 

 話題はあるにはある。だが先程の一件で涼花は話しかけにくくなってしまった。

 一方拓斗というと

 

(3年前……か。まあ十中八九偶々だろ)

 

 先程の涼花が意図せずに繰り出した言葉について考えていた。

 3年前、それは拓斗の運命が変わったと言っても差しつかない年だからだ。

 

(それにしても3年前じゃないんだから……か)

 

 拓斗の脳裏の辞書から起立性調節障害の特徴を引っ張り出す。起立性調節障害、自律神経系が異常を起こしよく眠れなかったり立ち上がることが出来なかったり……人によって症状は様々だがその中には朝起き上がる事が出来ないというものもある。そのせいで学校に遅刻をしやすくなる、だが起立性調節障害の特徴として午後からは体調が普通になる事が多い。

 だから午後からは普通に授業に出ることが出来るのだがそれを見た他の人からはサボっているように見えてしまう。一番苦しいのは本人だ。

 

 勿論、起立性調節障害だけが朝起きれなくなる病気ではない。それこそ不眠症や過眠症だってあるだろう。いやその前に単純に涼花自身がお寝坊さんだったという可能性も否定できない……がそれは普段の涼花を見ると考えられない。

 

「起立性調節障害……か」

 

 どこか思い出すように拓斗は呟いた。拓斗がその病気を知ったのは3年前、それを患っていた人とずっと話していた事があるからだ。

 恐らくあの人と話すことが無かったらまだ知らなかったかもしれない。ここで呟いたのは特に意味はない。ただこの無言の時間が気まずくなっただけだ。

 

「……え?」

 

 だが意外にも涼花は反応した。それだけではない、顔には出てないがその名前が出た瞬間に心臓が跳ね上がった。

 

「どうした?」

 

「……そっちこそそれがどうしたの?」

 

「何で睨むんだよ」

 

「——! 何でもない」

 

 何でもないことはなさそうだがここで下手に何かを言ってブリザードを貰うのは本望ではない。

「そうか」と一言言って悪趣味な龍の校門を通る。まだ朝早い時間だからか生徒は少ない。その少ない生徒は一瞬拓斗たちの方を見て思わず二度見する。

 

(あ、変な噂立つ奴だ)

 

 と拓斗は思ってしまった。

 下駄箱にて靴を履き替えた後2人して職員室で鍵を受け取った後教室に向かう。その道中でようやく決心がついたのか涼花が声をかけた

 

「拓君、昨日の事だけど」

 

「は?」

 

「え?」

 

 涼花は拓斗の素っ頓狂な声に思わず聞き返した。そして自分が言った言葉を吟味した瞬間涼花の顔が少し蒼白になった

 

(わ、私何で……)

 

 拓君……それは過去にネット越しに交際していた男性の名前。何故その名前をこんなあっさりだしたのか自分でも分からない。

 いやそもそもその名前がここで出ること自体おかしいのだ。何故ならその人物とは既に涼花が振るという形で別れているのだから。

 

 涼花が何かを言おうと口をパクパクしているがうまく言葉が出てこない。それを見かねた拓斗は苦笑い気味に言った

 

「あー、まああだ名としてはいいんじゃないか? 拓って字は入ってるんだし」

 

「そういう問題じゃない!」

 

 思わず大声を出し拓斗はビクッとした。涼花から大声が上がるのが拓斗には意外過ぎたのだ。今廊下に他の生徒がいないことを祈っている。

 

(私何で氷火君に……最低だ)

 

 嘗て想い人を裏切りあまつさえその想い人の呼び方を全く関係ない人物に言ってしまった事に罪悪感が涼花を貫く。

 

 そんな涼花を拓斗は何とも言えない眼で見ていた。

 正直に言おう。拓斗は涼花が「拓君」と言った時、心臓が先程の涼花と同じように跳ね上がった。何故ならその呼び方は「花」さんが拓斗を呼ぶときに言っていた愛称だからだ。

 

(いや、そんな訳ないよな)

 

 偶々だと無理やり考え涼花が治るのを待っていた。涼花も自身の中で決着がついたのか深呼吸した後に元に戻った

 

「ごめんなさい。行きましょ」

 

「あ、ああ」

 

 先に歩き出した涼花の後ろ姿を見ながら拓斗は一縷の可能性を考えていた

 

(まさか……な)

 

 少しばかりの疑念を抱きながら2人の教室に向かったのだった

 

 

 

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