運命?なにそれ?と言わんばかりにデレない美しき巫女 作:レオ2
これは拓斗の実体験なのだが人は誰かに対して「これをやるなよ……絶対にやるなよ」と祈っていたらその反対の出来事が良く起こる事なんてないだろうか?
言葉では分かりづらい。
例えば、授業中に教師が生徒に当てるような人だとしよう。その人が誰かに問題を答えてもらおうと辺りを見渡された経験はないだろうか?
その際、よほど向上心がある人以外は「当てるな、当てるなよ」と祈っている人が大半ではないだろうか?
拓斗にもある。しかし、拓斗はそうなった時に当てられなかった記憶がない。つまりそう祈った暁には必ずと言っていい程当たってしまうのだ。
他の例としてはカードゲームだろう。後一歩という所で相手が逆転の切り札を翳したった一枚のカードが大番狂わせを起こすなんてことがよくある。
拓斗自身もされたことあるし自分も経験している。あの時はとてつもない快感を味わったものだ。逆転した瞬間、自分の脳内にアドレナリンを大量に分泌したと分かるほど高揚感が当時の拓斗にはあった。
ただし反対の立場の時は「あ──っ!!」とその切り札に絶望するのだが。その時は次にどうその切り札を凌げるか、それを考えるのが楽しい。
話が脱線したが何を言いたいのかというと……言葉のしっぺ返しには気を付けようと言う事だ。
さて、この物語の主人公拓斗は他の教室とは一線を画している生徒会室の前にまで来て……
(面倒くさくならないように面倒くさくならないように面倒くさくならないように……etc)
全力で祈っていた。今までの経験から言ってそんな事を祈った暁には面倒くさくなるのなんて分かり切っているのにも関わらず拓斗はまるで懲りていなかった!
永遠とドア前で待つわけにもいかないので面倒くさい事はやめろオーラを全開にしながらコンコンとノックする。
「入ってくれ」
中から先程の豪快そうな男の声が聞こえ一末の不安を抱きながら拓斗は少し思い扉を開けた。
「失礼します」
拓斗が中に入りながらサッと辺りを見渡す。手前には大きな机が鎮座しておりピカピカになっていた。そしてその更に奥にはこの高校のヒエラルキー最上位に君臨する生徒会長の机がまるでどこかの大ボスのような感じであった。
その存在感は優輝の存在感自体も合わさり何とも言えない迫力がある。そしてその生徒会長の机に座って何やらタブレットをいじっていたらしいが拓斗を見るとそのまま立ち上がった
「よく来てくれた。そこの椅子に腰を掛けてくれ」
拓斗はその言葉を受け何だか高そうな椅子に何となく「失礼します……」と言いながら腰を下ろした。
そして生徒会長の方を見ると自身の反対側に先程まで見ていたタブレットを置き簡単なキッチンに向かう
(というかキッチンがあるんだな)
と自分の学校が金を費やしている所をまじまじと見る。しかし別に文句はない。特待生としてここに通わせてもらっている以上、それなりに学校には恩を感じてるからだ。
その為には中間考査も不本意ながら頑張らなければならない。
もしかしたら毎回赤点ギリギリか赤点を取ってしまう事がままある大智の勉強も見なければならないかもしれない。部活に力を入れるのは良い事だが勉強しない理由にはならない。ただ、この学校に入っているだけあって地頭は良いのでマシっちゃマシだが。
閑話休題
目の前では小さい冷蔵庫から何やら取り出しカチャカチャと何かを作っている。その仕草は男なのだがよく見ると偶に涼花に重なって見える。
体格が大きい男故に華麗さは全くないが垣間見える育ちの良さは涼花を彷彿とさせた。
(……確かにこれは兄妹だな)
そして元々準備してただろう小鍋に入れて火をかける。その間に世間話を振って来た
「高校生活は慣れたかな?」
その声は涼花の斬撃よりずっと柔らかく好感が持てた。ずっとあの冷たい声しか聴いてないから血縁者からちゃんと優しい声が出せると知ってひそかに希望が持てた。
何時かこんな優しい声の涼花の声を聞いてみたいなとか思った拓斗なのであった。
「そうですね、まあ特に中学と変わらないですよ」
拓斗のクラスには中学からエレベータ式に上がってきた人が多いので新しいコミュニティもそんなに出来た訳じゃない。
他のクラスには自分のおい立ちを盾にして威張ってる人もいるらしいが拓斗のクラスにはおらず、寧ろ割と団結力がある。
その団結力が行使された日、涼花にカードゲームを没収された日は忘れないだろう。
「強いて言うならバイトが楽しいとかそんなところでしょうか」
拓斗は一応先手を打っといた。何を話そうとしているのかは知らないがそれが放課後の時間も使うような厄介事ならバイトあるから出来ませんよ、という意味で。
優輝はそれに気が付いて口元を笑みに変えた
(涼花の隣にずっと入れられるだけあって根性があるようだな)
涼花の性格やその冷たさは兄なので知っている。嘗ては自分ですらそんな冷たさを全開に当てられたことがあるのだ。
その時のメンタルブレイクは割と忘れられない。そんな涼花の隣の席にずっと居座っている拓斗の印象を少々上げた。
優輝は客観的に見て大男の部類に入る。それ故にその圧力は並大抵ではなく背中越しと言えどその胆力は見事だと言えた。
「そうか。流石に全国大会常連ともなれば人気者なのか?」
だから優輝も軽いジョブを当てることにする。
遠回しに自分は少しはお前の事を知っているぞという意味で。拓斗は優輝の言葉で一瞬ぴくっとしたが直ぐに落ち着きを取り戻した。
相手は生徒会長、自分が出したアルバイト許可届も眼を通しただろうし拓斗自身の事は検索すればカード業界ではニュースに乗っていることが多いからだ。
「ええ。おかげさまでバイト中は引っ張りだこになる事が多いですね」
自分で言っていたら自惚れているように聞こえるかもしれないが人気者なのは確かだし問題は無い。これも拓斗からしたらカウンターの気だ。
人気者だから話の内容に沿えるかは分かりませんよ? という意味で。
「そうか……」
優輝は一旦降参して鍋の中の飲み物をそれぞれのコップに注いだ。そして鍋を水に漬けコップを二つ持ってくる。
一つは拓斗の前に、もう一つは自分のタブレットの隣に置き自身も椅子に座った。
拓斗の眼の間には真っ赤なドリンクが置かれていた。見たこともないそのドリンクをまじまじと見る。
「それはコンポートというロシアの飲み物でな。中々に美味しいぞ」
そう言って見本を見せるようにコンポートを掲げ飲んで見せる。その姿は単純に飲み物を飲む人で何だか面白い。
拓斗もそれを見て口をつけてみる。そうすると甘酸っぱい味が口いっぱいに広がっていき素直に美味しいと思った。
「……ロシアにはこういうのがあるんですね」
「涼花が特に好きでな。あいつが生徒会に来てからは冷蔵庫には材料がストックされている」
コンポートの材料は冷凍ベリーと砂糖に水、そしてレモン汁だ。
その内冷凍ベリーが冷蔵庫に常備されている。何だかんだ他の生徒会のメンバーも好き嫌いが分かれるこの飲み物を気に入っているので冷蔵庫に常備されているのは特に気にしていない。
「へえ……あいつロシアの飲み物好きだったのか……あ」
つい涼花の事を「あいつ」呼ばわりして兄に向けて失礼と思ってしまった。しかし優輝を見てみると特に気にしてなさげな表情でコンポートに口を付けている。
そしてそれを証明するかのようにコップをゆっくりと置き拓斗に言った
「そうだな。まあ俺やあいつのルーツになる場所だから何かを感じるんだろう」
「??」
拓斗は思わず頭上に? を掲げた。何故ならどうして優輝や涼花のルーツがロシアになるのだろうかと思ったのだ。
そんな拓斗を見て優輝は少し面を喰らった顔になる
「なんだ。あいつから聞いて無いのか?」
「……何がですか?」
「俺と涼花の祖先にはロシア人がいるんだ。俺を見ているとそんな風に思わないかもしれんが涼花にはそんな影が見えると思うが?」
そう言われてみれば確かにあの綺麗な髪色や瞳に納得いった。如何せん、目の前の男が涼花と違って黒髪黒目なので日本人だけど突然変異的な何かが涼花なのだろうと思っていたがどうやらロシア人の血が入っているのであんな姿になったようだ。
「……隔世遺伝どころではないですね」
隔世遺伝とは祖父母から孫に遺伝的に受け継がれた遺伝子の事を言う。
しかし優輝はそのロシア人の事を祖先と表現したので少なくとも祖父母ではない。その前の代にいた人の事だろう。
「そうだな。そういう訳で涼花は自分の容姿にロシアを感じるからかロシアの文化には強いんだ」
そうなると今度はなぜ巫女さんをやっていたのか気になる所だが流石にそこまで教えてはくれないだろう。そもそもそこまで聞いたら自分が涼花に気があると勘違いされてしまう。
「さて、それじゃあすまないが本題に入らせてもらおうか」
少し気を引き締めるように一度椅子に座りなおしコップを机に置いた。
拓斗もそれを敏感に感じたのか一度座りなおした。優輝は再びどこぞの総帥の様に腕を組み拓斗を見据えた。
「小細工は無しで行こう。単刀直入に言わせてもらう。生徒会に入る気はないか?」
総帥ポーズのおかげで優輝の圧力が増す。涼花相手にこれをすればただのシスコン兄貴に見えるがあれは家族だから成り立つのであって拓斗のような第三者から見たら一瞬頷いてしまいそうになってしまう。
拓斗はそのプレッシャーに身体をこわばらせる。しかし、先程の胆力を持って聞き返した
「……どうして俺なんですか?」
当然来る質問だと思ったのだろう、優輝は狼狽える事もなく淡々と話した
「ここの生徒会は会長のみ選挙で選出され他は会長、つまり俺が生徒会に相応しいと思った人を信任することになっている」
そしてその眼付きの悪い……言い換えれば男らしい眼光を持って拓斗を見定めるように見回す。
「そして……俺は君が生徒会に相応しい人物だと判断した」
優輝の眼が光ると錯覚するほどの眼光!
それを受けた拓斗は
「……俺はそんな大層な者ではありませんよ。ヴァンガードでしか威張れない男です。他を当たってください」
颯爽と断った!
拓斗がそう言ったのは半分は本当で半分は嘘である。残りの半分は面倒くさいからだ。バイトの事もあるし生徒会に入れば自分の時間が少なくなるではないか。
そして……涼花と一緒に仕事なんて御免だと思っている。あの日から何だか気まずくなっている。生徒会に入って更に気まずくなるようなことはクラスの精神衛生上避けたい。少なくとも自分のせいでそうはなりたくない。
だからこその断り、何も問題は無い!
「だが断る!」
「……ええ」
あっけにとられたように呟く。こんな大男からそんなジョ●ョの言葉が飛び出すとは思わなかったのだ。
優輝は今度は腕を組みながら拓斗が生徒会に相応しいのか話し始めた
「先ず、君は自分で思っている以上に大層な男だ。ここに特待生として入学している時点でな」
やはりというかそこから攻めて来たかと拓斗は思った。
生徒会長なのだから自分が特待生かどうかは頑張ったら直ぐに分かるだろう。まさか涼花の隣の席にいるからと言って詳しく調べようとか思ったわけじゃあるまい!
しかし拓斗にも一応反論がある
「特待生だからと言って生徒会に入る理由にはならないはずでは? そもそも特待生の俺が妹さんに負けている時点でそんなもの在学中の称号に過ぎません」
そう、拓斗は一応学年順位は常に上位にいるが涼花が転入してからは一度も勝った事が無い。
そしてそれを涼花の兄である優輝が知らないはずないだろうと思ったのだ。
実際優輝は涼花の学年順位を把握している。そして拓斗の順位も。拓斗の順位は涼花の後ろをついているくらいだ。
もとより1位以外普段は目立たないので拓斗も学校生活は平和なのである。そんな所に生徒会に入ってしまえば大なり小なり目立ってしまう。
それは何となく避けたいなと思う拓斗なのである。
「そして……君は人を惹きつけるものを持っている」
「俺がですか? それは無いと思いますよ」
自分自身の事は自分が一番分かっている。自分はそんなに人を惹きつけていないし普通の学校生活を送って来ただけの自分にそんなものがあるとは思えない。
だが優輝はそれこそが間違いだと言いたげに拓斗を見据える。
「君が気が付いていないだけさ。実は君には黙ってバイト中の君を調査したんだ」
それには流石の拓斗もビクッとする。全く気が付かなかったのもあるが何故たかが一般生徒の自分を調査したのかが分からないからだ。
いや、もうそれ自体は1万歩譲って良いとしよう。問題はこの会長だけが調査に乗り出したのか生徒会総出で調査したのか、或いはもっと別の何かで調査したのかが今の拓斗には気になる。
「君は余り見ないかもしれないがタッチのレビューが最近更に良くなっている。そしてその内容だが……」
そこで自分のタブレットを拓斗に見せる。本当は見る義理などないのだがつい流れで目に入れてしまった。
そこにはお店の評価がされているページがあった。そして既にページにはタッチが看板と共に出ていた。優輝の言う通りタッチのレビューには色々書かれていた。
「恐らくこれは君のおかげでもあると思うが?」
優輝が指さした所にはこんなレビューが書かれていた
『家の子がよくこのお店に行っています。何時もは宿題を終わらせてから行きなさいと言っているんですが最近は宿題を終わらせて帰ってきます。
いきなり宿題をきちんとしてくるようになったので理由を聞いてみれば店員さんが業務と関係ない勉強を凄く分かりやすく教えてくれるからあそこで勉強するのは楽しいと言って家でも勉強をするようになりました。
まだ成績が伸びたかどうかは分からないですが子供を変えてくれたのは確かなのでレビューさせて頂きました』
……確かにバイト先で勉強を教える時、皆凄い真剣に聞いてくれるなと思っていたがまさかそんなに好評だったとは思わなかった。
自分は店長に言った通り店長にされてきたことを他の子供達につないでいただけでそんなに凄い事をやっている自覚は無かった。
優輝はタブレットを自分の方に引き戻した
「それに、君を調査した人間も君を褒めていたよ。あれだけ人に尽くせる人は中々いないとね」
「……何だか裏の世界を見てしまった気がするんですが」
「安心しろ。至って表の世界だ」
真面目くさった表情で言った。拓斗の内心は「本当か?」とか思っていたが言うタイミングを逃してしまったので聞くのは諦めた。
しかし拓斗が断ろうとする理由はまだある
「仮に入ったとしてもそれこそ勉強の時間が無くなるじゃないですか。まさかバイトをやめろなんて言わないですよね?」
この龍神学園ではバイトは無断ですること自体は禁止されているが拓斗の様にバイト許可届を出せばよっぽどのことをやらかさない限り受理される。
つまり拓斗のバイト許可届は生徒会の権限ではなく学校の権限で受理されたので流石に会長の一声だけでどうこう出来るものではない。
そして拓斗はバイトをやめたくない。何が悲しくてバイトを始めて2カ月でやめなければならないのだ。
勉学にしてもそうで拓斗とて何もしなければ学年順位なんてあっという間に落ちてしまう。だから不本意ながらテスト勉強には力を入れているしその分時間も無くなる。
学年順位が下がれば特待生なんて称号は剥奪され自分は他の公立高校に転校せざるを得ない。働くという選択肢もあるが母親からは「絶対に大学にまで行かせてあげるから」と泣いて言われ、母親と妹の涙には弱い拓斗は頷かざる負えなかったのだ。
「勿論そんな事は言わないさ。生徒がやりたいことをあれこれ禁止にするのは逆に学校の風紀が乱れる」
優輝もそんな事をさせるつもりは毛頭になかった。
何故なら、拓斗の調査をする過程である程度拓斗の家の経済事情も知っているからだ。最もそこまで言ったら調査どころかストーカー? となってしまうので口には出さないが。
「だが……君にも生徒会に入るメリットがある」
そこで優輝は指を一本立てた
「一つ目、この高校……いや学園のブランドは先人達がこの国を引っ張るような人達が多いから成り立つ。テレビで見ないような人達も含めてな」
龍神学園のブランド力は他の学園とは一線を画していると言ってもいい。政財界や産業分野、そしてスポーツの分野などのありとあらゆる分野を牽引する人が多く在籍していた。
「だからこの学園の生徒会にいたという事実だけでも大学進学に大きいアドバンテージを得ることが出来る」
そんなハイスクール学園の生徒会にいたという事実は客観的にその人の有能さが示されており、大学の推薦入試などには無類の切り札になる。
優輝のような生徒会長ならば更にその先の領域……海外の大学も夢ではない。それが優輝が拓斗に示せるメリットの一つ
「そしてもう一つは……」
そこで声を潜め身を乗り出した。優輝はそこで内緒話をするような感覚で続ける
「これは公表されていないんだが……実は特待生が生徒会に入っている間の任期中はある程度学年順位が下がっても特待生剥奪は大目に見てくれることが多いんだ」
「え?」
それは本当に初耳だ。特待生なんてほんの一握りしかいないが確かにこれは内緒話の部類だろう。
この話は本当にその通りで生徒会は入った暁には時期にもよるが忙しくなる。それに特待生が学校に尽くしてくれるのは学校としても助かるので例外的にこのような処置がとられる。極端に順位が落ちれば流石に特待生は剥奪されるが少し程度なら剥奪のラインが低くなる。
……まあ確かにそれだけ聞いていれば魅力的なメリットだろう。だがそれでも拓斗は難しい顔をしていた。
その理由は言い換えれば生徒会に入る事で大目に見てくれることもあるが逆に業務が激しいと言う事にも聞こえるからだ。
優輝も拓斗が難しい顔をしているのを見て態勢を取り直した。
「今、即決する必要はない。俺としてはその方が有難いが君にも君の考えがあるだろう。入らないという選択肢を選んでも俺達生徒会が君を恨むことは無い。ゆっくりと考えてくれ」
話は以上だ、と言って拓斗を見据える。拓斗は先程の難しそうな、そして2割程面倒くさいオーラを出していた。
そして互いに無言の時間を5分程過ごし昼休みも終わりの時間が迫っていた。拓斗も不意に見た時計を見た。
「すいません。今日は戻ります」
「ああ。もしその気があるのならここに来るか涼花に言ってくれ」
「いや……三月に言うのはちょっと……って……あ」
今目の前にいるのも三月だった。と言う事に気が付き思わず口を開けた
優輝も拓斗が思った事が分かったのかふっと微笑み言った
「俺の事は会長か優輝で良い。妹と区別がつかないだろうしな」
最も……と何やらニヤニヤして爆弾発言(拓斗目線から見たら)をした
「君が妹の事を名前で呼ぶのなら俺を名字呼びしても分かるが?」
「……勘弁してください。三月を名前呼びなんかした時には教室にブリザードが吹き荒れますよ」
心底疲れたと言った表情をしながら拓斗は生徒会室を出て行った。まあ今のは優輝もからかうつもりでやったのでどっちもどっちだが。
しかし拓斗が生徒会室から出て行った後も優輝は拓斗が出て行ったドアを見ていた。その瞳は先程のようなおっちゃけられた瞳ではなく真剣なまなざしだった。
そしてその手にあるタブレットには拓斗とある人物のDNA検査の結果が示されていた。
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