運命?なにそれ?と言わんばかりにデレない美しき巫女 作:レオ2
拓斗が急遽生徒会室に呼ばれ涼花についてあれこれ考えながら向かったのを見届け、拓斗の親友2人と涼花は平常運転に戻った。
少なくとも見た目は。涼花に関してはイライラが体を支配していた。実はこの後、涼花も拓斗に話しかけようと思っていたのだ。
それを兄に意図せず邪魔をされて思わずイライラゲージが溜まった。涼花が拓斗に話しかけようとした理由、
それは中間考査についてだ。
『中間考査等の今までの定期考査での結果によっては十分生徒会には誰でも入れるだろう。中等部からのエレベータ式に上がっている奴は特にな』
兄が生徒会に入る条件みたいなものを教えてくれた。ある日の2人だけの生徒会業務をしていた時の事だ。
ここ最近、涼花と一緒に仕事をしたいが為にクラスの垣根を越えて「俺、生徒会に入ります!」みたいな輩が増えて来たのだ。
確かに生徒会に入ればクラスが違う故に接点を余り持てなかった涼花との関係も築ける……と言葉の裏には甘い関係を持ちたいと打算する輩もいる。
そんな欲望だらけの輩の眼を見れば涼花からしたら中途半端に来るのはやめろ……となった。それをやめてほしいからどうしたら良いのかを兄に相談した結果テストの点数で見極める……という事を言われた。
勿論そんな輩には「中途半端になるのなら来ないで」とは言ったが怖いもの知らずなのかただのバカなのか「絶対に中途半端にはなりません!」と清々しい程のスマイルで言ってきた。
そういう欲望が出た人が何人も来て涼花は辟易した。
そこで拓斗の事を思い浮かべた。そんな中途半端な人が来るくらいなら拓斗に生徒会に入ってほしい。拓斗自身はどう思っているのか知らないが涼花自身はそんな拓斗に悪感情を持っている訳じゃない。
拓斗は例え自分でも怖がらずに接するときは接してくれるし学校では唯一日常会話で感情を出せる相手、それに自分の事もいやらしい眼で見ないと分かっているので中途半端な人達を迎えるくらいなら拓斗一人を迎えた方がずっといい。
(それに……最近氷火君と喋る機会減っちゃったし)
……しかし涼花は自分が少しその中途半端な人達と同じ思考をしていることには気が付いていない。
という訳で涼花は何としても拓斗に良い点を取ってもらってその
その計画は兄がいきなり拓斗を連れて行ったことにより頓挫してしまった。
ただ、それは放課後に回せばいいと考え涼花はある事を考えていた。それは……
(氷火君って絶対やろうと思えばもっと上に行けるのにどうして順位は変わらないんだろう?)
涼花はスマフォに写っている中学三年の最後に行われた期末テストの結果を見ていた。1位の所には当たり前のように涼花がいるがその5個下には拓斗の名前がある。
その前のテスト結果を見ても拓斗は常に10位以内には入っているが何時も5、6をうろうろしている。これだけ同じ順位を取るのなら少しくらい頑張って順位を上げようとしないのか?
上があるのなら何故目指さないのかが涼花には気になった。
因みにこの順位の写真は前回の自分の順位を思い出す為に撮っているのであって決して拓斗の点数が気になったからではない。
(……何か勉強と関係ない事をしてる?)
拓斗の日常は知らないが拓斗の可能性を信じている以上その可能性を邪魔する何かがあるのではないかと涼花は考えた。
それは……例えばあのカードゲームとか……
(……今度こそ1回没収しといた方がいいかしら。せめてテスト期間が終わるまでは)
自分がとんでもなく自分勝手な事を考えているのには気が付いていない。
ただ、そんなに拓斗の事を考えているが別に恋愛感情は持っていない。
「……ダメだ。分からねえ!」
と涼花は隣から発せられた声にチラリと見た。そこには拓斗を除いた2人が教科書を広げて大智が唸っていた。大智の目の前では拓斗の机に座って力也が勉強を教えていた。
大智の事は中学時代からよくは知らないが普通に進学していると言う事はちゃんと進級試験自体には受かったのだろう。
今回のテストはまだ中学時代に培った知識で少しは何とかなる所がある。数学なんかは特にそうだ。進級試験には受かっているのなら今大智が開いているページの問題は楽に解ける筈だと涼花は思った。
「君に勉強を教えていると拓斗の凄さがよく分かるよ」
心底疲れた表情をしながら力也が呟く。
この二人、互いの名前を変えた方がキャラとしてはピッタリである。
大智は名前的にはとても賢そうだが実は逆で毎度のテストで赤点ギリギリ。
力也も名前的には大智の様に運動部にいた方が自然な名前だが部活は科学部だし拓斗には及ばないものの割と学年順位も上の方にいる。
(氷火君の凄さ……?)
そこで涼花はその言葉が引っかかった。今の言い方ではまるで普段から大智の勉強を教えているのは……
そこまで思考した時、それが正解だと確定する言葉が大智から放たれた
「よーし! 今回も拓斗に付き合ってもらおう」
「そうしてくれ。君に教えれるのは拓斗位なものだよ」
ガタッ
その言葉が放たれた時、涼花は拓斗が真に順位を上げられない理由が何か分かった。
今、隣で会話をしている2人なのだと。
「貴方のせいだったのね」
冷たい……とっても冷たい氷の声色で涼花は呟いた。普通なら聴き取れない小さな声だった。
しかしその声はしっかりと空気を辿り大智と力也の耳に入っていった。それを聞いた2人の背筋が一瞬でビクッと跳ね上がった。
2人して隣の涼花を見ると心の底から軽蔑しているといった眼で二人を……大地を見ていた。
背筋が凍るとはこういう事なのか……
と現実逃避気味に大智は考えた。だがそれは涼花が許さなかった
「ねえ、貴方氷火君にテストの度に頼っているの?」
その上から目線の女王様みたいな瞳で大智を見下ろしていた。そこには「嘘は絶対に許さない」と言外に語っていた。
「……は、はい」
「こいついつも赤点候補なので拓斗がよく勉強を見てるんだよ」
と力也が何故涼花が怒っているのに気が付かず地雷を踏みぬいた
「……恥ずかしくないの?」
「え?」
何が何だか全く分からない大智はそんな素っ頓狂な返事をしてしまった。それが余計に涼花の怒りのボルテージを引き上げた。
「そんなに氷火君に頼って恥ずかしくないのって聞いてるのよ!」
「な、何ですかいきなり」
大智からしたら意味が分からないに決まっている。涼花の中で完結しているのだから。
「貴方の勉強を見てるから氷火君が自分の勉強を出来ないんでしょ!?」
……ぶっちゃけ言えば全く否定できない。
大智は中等部からこの学園に通っている。小学時代の受験戦争を勝ち抜いたので昔は割と頭が良かった。それでも拓斗や力也よりかは下だったが毎度赤点候補ではなかった。
しかし野球部にのめり込むようになって徐々に成績が落ちて行った。
それから大智は拓斗によく教えてもらうようになったのだ。だから……
「まあ……そう言えない事もない……かな」
涼花の青筋が一瞬見えた。ゾッとする程の冷気を纏って口を開いた
「偶には自分一人でやって見たらどうなの?」
「そそそんなことしたら赤点取っちまうよ!」
「そんなの貴方が普段から勉強していれば何も問題ないじゃない! 貴方のせいで氷火君の順位が上がらないのよ!」
その言い方では完全に敵に塩を送っている言い方だが涼花もどうせなら拓斗と生徒会の仕事をしたい。他の自分目当ての人が来るくらいならば拓斗に生徒会に来てほしい。
だが、これは大智と拓斗が決める問題なのであって涼花は関係ない。力也は何だかんだで親友を助けるために動いた
「三月さん、何故そこまで怒ってるんですか?」
「貴方は黙ってて。今貴方は関係ないわ」
あくまでも自分は大智と話しているのだと涼花は言う。しかしそれではいそうですかと離れる程力也は薄情じゃない。
この前拓斗を見捨てたのは気のせいだ。
「そういう訳にはいかない。こんな奴でも僕の……僕達の友達だ。貴方こそ、いきなり人の話に入ってきて挙句人の事をどうこう言うのは可笑しいんじゃないですか?」
あくまでも大智と拓斗が勉強を一緒にするのは2人の勝手なのであってそこに涼花が入る余地はないと力也は言う。
しかし涼花は心底くだらないと言った表情で……
「何よ友達って……虫唾が走るわ! そんな形のないものに何の意味があるの!?」
涼花は過去、病弱な体のせいで余り上手く動けなかった。学校に行ったとしてもそれは余り変わらなかった。
それでも自分と喋ってくれる人はいた。それだけではなく動けなかった時は手伝ってくれた。
でも
『ごめん、もう涼花ちゃんに付き合えない』
そう言われてその人達は離れて行った。
それがショックで入院しても誰もお見舞いに来なかった。だから悟った。友達なんて何も形にならないものは幻想なのだと。
”友達”も”絆”なんてものはこの世界には存在しないと。何故なら、所詮そんな関係を謡っている人達は結局は赤の他人なのだ。
だから涼花が信じるものはただ利害の一致で出来る信頼関係のみ。その利害すら一致しなくなったらその人を信用なんかしないと涼花は決めている。
「……」
流石の力也も呆気にとられた。そこから攻めてくるとは斜め上過ぎた。それで味を占めたのか涼花が畳みかける
「結局は赤の他人じゃない! いざとなったら見捨てるのにそんなこと言わないで! 気持ち悪い!」
涼花のボルテージが上がって色々言ったら不味い事を言ってくる。だが思っていることは本当だ。
ヒートアップする涼花にクラスの面々は段々と離れて行っている。それだけ今の涼花は怖いのだ。前拓斗が怒らせた時以上に。
だが言われっぱなしは力也も望むところではない
「貴方がそう言うのは勝手だ! だけど貴方の勝手なイメージを押し付けるな!」
「そんな戯言は2人とも氷火君の足枷を卒業してから言ってほしいわ!」
この一言をきっかけに大智・力也と涼花の口喧嘩が勃発したのだ
「
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