運命?なにそれ?と言わんばかりにデレない美しき巫女   作:レオ2

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幻想を語るな!

 昼休みも後少しで終わるという時に拓斗は話を聞き終えた。

 拓斗は何故涼花がそんな自分の順位に拘っているのかが分からない。別に成績を落とさない程度に頑張りその上で大智の勉強も見ているだけだ。

 

 だけど涼花は拓斗が大智の勉強を見ているのが気に食わないらしい。その理由が分からない限り喧嘩は収まらない。

 

「えーと、三月。取り合えず何で俺の順位を上げたいんだ?」

 

 その理由さえ言えば拓斗も代替案を出すつもりだ。

 

 一見、拓斗は平静を装っているが心の中では流石に怒気が溜まっている。だがここで自分まで熱くなってしまったら意味がない。

 

 何とか涼花が変わった理由を知らなければならない。その為にこの質問をしたのだが……

 

「……言いたくない」

 

「はぁっ!?」

 

 思わず拓斗は言ってしまった。当然だ。順位を上げてほしいのならそれなりの理由があるはず。それなのにその理由を言いたくないって言うのは可笑しくないかと思った。

 

 だが涼花からしたらそれは当然だ。何故なら

 

(言える訳ないじゃない! 貴方が生徒会に入りやすくするためなんて!)

 

 ……まあ現実では拓斗は既に生徒会からスカウトを受けているのだが涼花は知らない。あのスカウトは兄の独断でやったものだからだ。

 

 拓斗は納得できなくて更に聞こうとしたが涼花が遮った

 

「貴方こそ、そいつの勉強ばかりじゃなくて自分の勉強したらどうなの!?」

 

 とうとう大智をそいつ呼ばわりし始める涼花。

 本人は気が付いていないがその傲慢な態度は自分が忌み嫌っている母親や継父と同じ姿だ。

 

「それは大地を見ている間にちゃんとしてる」

 

「ほら、そいつのせいで自分の時間が取れてないんじゃない!」

 

「はぁ……三月、お前は結局何を言いたいんだ?」

 

 それが拓斗には気になる。親友を否定されただけでも腸が煮えくり返るというのにその上自分の行動まであれこれ言ってくるのだ。

 流石の拓斗も冷静さが少し保てなくなる。だからここで何か確信をつくようなことを言ってほしいのだが……涼花は反対側に向かった

 

「そんな足枷だらけの友達ごっこなんて止めて勉強しなさいって言ってんのよ!」

 

 傲慢

 

 拓斗は自分が小さな頃に母をDVして病弱な妹と母親と自分を捨てた男の顔を思い浮かべた。当時はまだ自分は小さかったが顔だけはしっかりと覚えている。

 

 あんな男の遺伝子が自分に入っていると思うだけで嫌気がさす。そして……今そんな男の影を涼花から見た。あの男を変えようなんて思わない。

 自分に変えられる力があったとしても変えたいとは思わない。そのまま地獄に落ちろとしか思わない。

 

 だけど……

 

「……お前には、そんな事を言ってほしくなかった」

 

 小さく呟かれたその言葉はギリギリ涼花の耳に入った。拓斗の顔を見ると悲しげな表情を見せた

 

「え……?」

 

 何故そんな悲しそうな顔をしているのか涼花には分からない。だけど、今拓斗の意識がここに無いような気がした。

 

 だが次の瞬間には今まで彼が見せたことのない、怒気と感情を全開にした顔を涼花に見せた。その表情を見た涼花は一瞬足が竦む。

 そして拓斗は自分の右手の人差し指を立てた。それが涼花には意味が分からなくて呆気にとられる。だがその意味は直ぐに拓斗の口から発せられた

 

 

「この中間考査でお前から王者の座を奪還してやる。親友の勉強を見ながら1位、取ってやるよ。そしてこいつらが俺の足枷なんかじゃないってことを証明してやる」

 

 

 その普段の拓斗が見せない声色と迫力に殆ど帰ってきてるクラスの面々が息を飲む。その拓斗の不敵な顔に驚きを禁じ得ない。

 

 そしてそれを言われた本人である涼花わなわなと震えている。

 

 涼花はこの学園に来てから1位しか取ってこなかった。それ故に培ってきた自信もあるし今回のテストだって手抜きをする気なんて全くない。

 

 それは今回も1位を取るという意思表示。

 

 拓斗はその涼花に向かって親友の……それも赤点候補の勉強を見ながらその王者の座を奪還するというのだ。

 涼花からしたら面白くない。いや、順位を上げてほしいとは思ったが自分の座を奪還させるつもりは無かった。

 だけど拓斗はそれすらも超えるつもりだという。

 

 涼花は拓斗を睨みながら叫んだ

 

「上等よ! 後で泣いて喚いて命乞いしても絶対に許してあげないんだから!」

 

(待て、俺命まで懸けてない)

 

 等と今怒り狂っている涼花に言えば更に爆発する事が眼に見えているので言わない。

 

 でも……それを抜きにしても今回は負けられない理由が出来た。チャイムがなり席に座った涼花を横目に見ながら自分も着地する

 

(お前の過去に何があったのか知らないが……それでも俺は友達の有難みを知ってほしい。あんな男みたいになって欲しくないんだ)

 

 その為に……今回のテストで涼花の尊厳を討ち砕く。拓斗はそう心の中で誓ったのだった。

 

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