運命?なにそれ?と言わんばかりにデレない美しき巫女 作:レオ2
あの拓斗の中間考査、1位宣言が起きて初めての日曜日が来た。
中間考査までは後2週間、拓斗もボチボチ大智と共にテスト対策を始めている。大智自身も拓斗の為に自ら勉学を進めている。
『分からない処だけ頼らせてもらうぜ』
という心強い言葉と共に……その後「分からない、教えてくれ」とLINEがバンバン来る。あの力強さは一体なんだったんだと言いたくなる。
だがいつにも増してやる気があるのは拓斗としても助かる。本人のやる気があるのとないとでは大分違う。ただやる気だけあってもその分壁にぶつかった時に挫折しやすくなってしまうがそこら辺は拓斗が上手くコントロールしている。
拓斗と大智の付き合いは中学1年からなのでそれなりに拓斗は大智の事を理解しているつもりだ。
そして今日は午後の15時まで図書館で2人で勉強して別れた。まだ2週間前なので大智は部活がある。大智は何だかんだ毎回赤点は回避しているので練習にもちゃんと出られる。
拓斗はテスト対策のノートを開きながら大智の弱点を克服させるか長所を伸ばすか悩む。いつも通りにしていれば赤点は回避できる。
今回に関しては大智自身にもやる気があるのでそれも容易いだろう。だがそれだけでは何だか涼花に負けた気がしてならない。
大智の点数も伸ばした上で涼花を一度叩き潰す。そうしなければ涼花は友達の有難みを永遠に分からなくなってしまう。
過去の自分と似たような事になってしまう。そんな姿だけは拓斗も見たくない。
「……行くか」
ノートを鞄に入れてそのまま歩き出した。向かうのは習慣となっている龍神神社、今週も花さんの幸せを祈る。この瞬間にも涼花は勉強しているかもしれないが拓斗からしたら花さん>涼花なので関係ない。
それに普段から勉強はしているので今更ペースを極端に変えるのもよくない。徐々にギアを上げていくのが拓斗のやり方だ。
今目の前のテストも大事だが拓斗にとっては花さんも同じくらい大事な事だ。だから今日も神社にやって来る。
そして……
「「あ」」
鳥居から丁度出て来た人と声が重なった。
思わず互いを見て出て来た声だが相手は……涼花は不機嫌そうに拓斗を睨んだ。
今は一応敵対している中なので話す事なんて余りない。しかし拓斗は一応挨拶だけはしておいた
「よ、よう。昨日ぶりだな」
「……」
(なんか言えよ──―ッ!!)
無言が一番心に来る。拓斗もそれは例外ではなく拓斗の心には80ダメージが与えられた。
ただ、向こうも何も話す気がなさそうなのは分かったので拓斗は会釈をしながら涼花とすれ違った。
拓斗は後ろからの視線を感じながら長い坂を上りいつも通りに境内に来た。
そしてこれまたいつも通りに花さんの幸せを祈った。正直今の自分が花さんのおかげで形成されたのかは分からない。
ただ花さんのおかげで優しさを大事にしようと思えたのは確かだし家族や友人の有難みを理解したのは確かなので花さんには感謝している。
(……出来るなら貴方の隣にいたかった)
それが拓斗の想いで花さんに未練がありまくるので普通の女性に魅力を感じなくなった。だから余り他の女性を好きになれないし好きになるつもりもない。
拓斗は花さんの隣にいたい。だが拓斗は花さんの居場所を知らないし姿を見たこともないので……会いようがないのだ。
それが悔しく自分の情けない姿を鏡で見る度に歯を食いしばる。そんなのを3年間続けている。この神社に来て花さんの幸せを願った後は決まってそんな顔をする。それも無意識レベルで。
正直前妹と来た時はそんな顔の自分を隠すのが苦労した。
だけど今は自分一人なのでそんな顔を我慢する必要はない。特に意識せずに拓斗は神社から出てきて……
「なんて顔してるのよ」
鳥居の陰に隠れて真っ白なワンピースを着て胸元にはリボンを付けている涼花が高そうな鞄を手に立っていた。
涼花の髪にもリボンが結わえられていて拓斗が言うのもあれだがとても綺麗と思った。
余り女性に魅力を感じなくなった拓斗が一瞬ドキッとする程に。
この前の巫女姿の時も思ったが涼花と白色の親和性が高すぎると拓斗は意識の端で思った。
(……まあ何着ても似合いそうだが)
などと彼女に言えばどうなるかなと思ったが何かされたら怖いので言わない。妹からよくデリカシーが無いと言われるので最近は気を付けている。
これで何も問題は無い!
(……何か言いなさいよ)
だが涼花はそう思っていなかった! 寧ろ感想を求めていた! 拓斗は自分の安全を取りそのせいで若干涼花の機嫌が悪くなっていく。
勿論それは涼花の顔にも出ていて
(な……なんでそんな不機嫌な顔になってるんだよぉぉおおお!!)
自分は最善手を選んだはずなのに何故か涼花が機嫌が悪くなっていくのを見て拓斗の中の常識が崩れていく。そしてこのままだったら後味が悪くなりそうなので何とか会話を繋げようと試みる
「え……とそ、そうか?」
「ええ。今までで一番って位に酷い顔していたわよ。あんな顔、妹ちゃんには見せない方が良いわ」
「……ご忠告どうも。……それで三月は何してるんだ?」
気が付いたらいつも通りに拓斗は話しかけていた。三月は明後日の方角を見ながら言った
「迎えを待っているのよ。悪い?」
「いや全く」
(迎えってお嬢様かよ! ……お嬢様だったわ)
明後日の方角を見ていた涼花がいつも通りの冷たい眼を向けながら言った
「あんな大見え切ったのに神頼みしてたの?」
「……三月って巫女さんだよな?」
いつかお前バチ当たるぞ、と拓斗は思った。
「別に聞くだけなら問題ないわ」
……絶対そんな事ないぞ。絶対神様に聞かれているぞ。……俺自身祈る場所が欲しいからここにきているのであって神様がいるかどうかははっきり言って意識してないのだが。
それはそれとして何だか涼花が馬鹿にしていると感じたのでムッとしながら返す
「ちげえよ。それとは別件だ。ここには毎週来ているし勉強の事で来ている訳じゃない」
「そうなの? じゃあどうして毎週?」
前も思ったが拓斗が何故そこまでマメにここに来ているのか涼花には分からなかった。それだけ拓斗が神様に信仰心があるのだろうか?
だが涼花が見て来た拓斗という人間は少なくとも余り神様に祈っているイメージは無い。
しかし、次に拓斗が見せた哀愁が漂った顔は不思議と涼花の脳裏に刻み込まれた。
(どうして……そんな顔するの?)
その理由が次に語られた。躊躇いもなく、それが恥ずかしい事とは思ってない声で涼花ではなく会った事もない元彼女を思い浮かべながら言った
「好きな女の幸せを願う位、別に良いだろ?」
木枯らしが吹いている中、拓斗はセリフとは裏腹な寂しげな表情を見せてそう言った。その寂しげな表情に隠れている感情は涼花にも理解できないものだった。
「……え?」
だからそんな声しか出せなかった
普段小説っていつ見てる?
-
朝の通勤・通学時間
-
昼休み・休憩時間
-
帰る時
-
夜
-
バラバラ