運命?なにそれ?と言わんばかりにデレない美しき巫女   作:レオ2

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格の違いを思い知ったよ

 お見舞いイベント

 

 その言葉を聞いた人は瞬時にどんな事が頭に浮かぶのだろうか? 

 

 これは拓斗の偏見だが先ず彼女の家をまじまじと見て普段彼女がどんな生活をしているのかを想像する。

 

 次にインターホンを押せば彼女の姉か妹、母親が出て「あらあら彼氏さん?」などと言ってこっ恥ずかしい話をしながら自然と家族と接点を持つ。

 いや、これが現実ならば配布物を渡して終わりなのだが何故かアニメやラブコメだとこんなパターンが多い。

 

「だがそれはご都合主義がなせる業」

 

 そもそもなぜクラスメイトとは言え男子を家に上げるのだ。そこから最早意味が分からない。少しは警戒感を持つがいい

 

 そして次に彼女が弱っているだろう部屋に案内され弱っている彼女を見て少しきゅんとしてしまう展開になる。

 

 しかしこれも拓斗は「そうはならんだろ」と思っている。何度家族からしたら初対面の男を娘の部屋に上げるなと言えば良いのだ。

 

 ついでに言うなら涼花の事はまた振出しに戻ってしまったが花としての涼花は今でも拓斗は好きなのできゅんとは……するな

 

「この世界は非情だ」

 

 などと少し中二病チックな事を言いながら拓斗は歩を進める。その頭の中ではラブコメの伝統お見舞いイベントについて考えていた。

 

 部屋に通された後は病人を相手に何故か長時間話す。弱った女は男からしたら胸を躍らせる要素しかない。

 そして彼女をそのお見舞いイベントの後にもかかわりを持ち好きになっていくとかいう王道パターン。

 

 しかし拓斗は今、そんな王道パターンになるとは思っていなかった。寧ろ今までの事でそんなパターンになるとは全く思っていなかった。

 

 ──ていうか

 

「でけえなおい!!」

 

 彼の目の前に聳えていたのはこれだけで自分の家のドアの何倍の長さがあるのか分からない開閉門だった。何かの間違いかと考えるのも無理はない

 先程、担任経由で来た優輝のメールに書かれた住所を見るとここであっている。

 

(こんなの夢の中でしか見てねえよ)

 

 だが現実逃避をしていたのはそこまでだった。次の瞬間には顔を引き締める。先程思い浮かべた王道パターンを想って顔がにやけるなんてことはしない。

 

 というよりも最悪は本当にそれとは反対の感情になるかもしれない。

 

 何故なら……

 

『私は親が嫌い』

 

 そう花と話してた時にそんな会話をしたことがあったからだ。その時に何故嫌いなのか知った

 

 継父は自分の存在を全否定して偶に性的な視線を向けてくるから

 

 母は会社ばっかり、継父のことを言っても離婚もせずに助けてくれない。それどころか偶に冷たい眼で自分を見てくるから

 

 特に継父が嫌いと言っていた。当時の話だと絶賛ニート生活のようだ。涼花じゃないが本当に何で結婚したのか謎だと拓斗は思った。

 

 今回、もしかしたらその継父に会うかもしれない。その時に何を話すかなんて決まっちゃいないが今回は何も言わないつもりだ。

 

 家族の問題……そう言われてしまったら自分にはどうしようもない。でも……彼女が助けを求めてきたら直ぐに助けたいと思っている。それが綺麗事だろうが関係ない。

 拓斗は掌を見つめた

 

 ──あの時とは違う。手の届くところにあなたがいる

 

 一つ深呼吸してからその巨大な開閉門の隣にあるインターホンを押した。そうすると直ぐに応答があった

 

「はい、三月です」

 

「すいましぇ……」

 

 噛んだ。それはもう言い訳のしようもない程完璧に嚙んだ。拓斗の頬が羞恥によってじわじわと赤くなっているのが分かる。

 

 

 

 ──死にたい

 

 

 

 と本当に思ってしまった。というよりも涼花の前に自分がそうなってしまってどうするのだという話だ。

 向こうが一瞬笑ったように息をつめたのがインターホン越しでも分かったが拓斗は一つ咳払いをすると羞恥を声色に乗せたまま言った

 

「すいません。三月……涼花と同じクラスの氷火拓斗と言います」

 

 拓斗はインターホン越しに自己紹介をした。これくらいなら普通の筈だ。一応セキュリティーが高いのかもしれないので顔の隣に生徒証を見せる。

 

「——!」

 

「?」

 

 だが何故かインターホンの向こう側にいる人物は息を飲んだ気がする。それが不思議に思い拓斗は首をかしげたがまるでそんな事は無かったと言わんばかりに相手は返事した

 

「あ、申し訳ありません。確かに優輝様から仰せつかっております。扉が開いたらそのまま真っすぐ正面玄関まで来ていただけますか?」

 

 え、そんな距離あるの? という拓斗の純粋な疑問は直ぐに解決する事になった。何故ならその開閉門が開き始めて直ぐに見えて来たのは拓斗の家の何倍あるんだと思わせるような豪邸だった。

 

 そしてその豪邸の存在感を更に引き立たせているのが左右に開けている庭でその庭の大きさで既に拓斗の家の面積を越えている。というよりも家の中に池があるのとか初めて見た。

何ならアパート全てを入れても負ける。

 

 ──これが経済格差か

 

 と拓斗はどこか現実逃避気味に思った。勿論、こんな家や庭を建てるくらいに努力したのは涼花の母親なのでも文句はないがそう思ってしまうのはしょうがない。

 

 それだけ圧倒されたのだ。少し現実逃避する気持ちは全く悪くない。

 

 だがもうインターホンを押してしまったので引くに引けなくなった。再び深呼吸をした後、その庭を一歩一歩踏みしめるように歩き始めた。近づくにつれてその豪邸が余り日本ぽくない事に気が付いた。

 どこか外国の……恐らくロシア辺りの家を元にしたと思わせる程の外観だった。

 2分程あるけばようやく玄関前に辿り着く。

 

(……でけえ)

 

 と同じことを繰り返しながら辿り着いた拓斗はその豪邸を見上げる。

 

(というか見上げなければならないってそうとうだよな)

 

 大智や力也の家に行った事はあるが流石にこのレベルではなかった。寧ろ遥かに凌駕している。

 

 そんな事を思って足を止めていたからだろうか、目の前の扉が唐突に開き始めた。

 

 ──家に自動ドア!? 

 

 と思ったがそんな訳なくその扉の先には人が立っていた。中性的な顔立ちでショートヘアー、これだけでは男女の区別はつかないが唯一のヒントは服装だった。

 その方は女性がこういう所で仕えてそうなエプロン姿ではなくスーツだった。それもブラックの。

 だから拓斗が目の前の相手に対して出した答えは……

 

「えっと……執事さんか何かですか?」

 

 ──っていきなり何を聞いているんだ俺は!! 

 

 と自分にツッコミを入れていたら何故か執事? がくすっと笑った。笑われる要素が分からない拓斗は? を頭上に掲げる。

 しかし違和感も持った。それはその笑った表情が男ではなく寧ろ……

 

(今なんか凄い女性らしさが垣間見えたような……)

 

 何だか拓斗の中で嫌な予感がする。そしてそれを証明するかのように可愛らしく片目だけ空けて答えた

 

「失礼しました。こんな格好をしていますが私は女ですよ」

 

「すいませんでした──ッ!!」

 

 言われた瞬間に速攻で土下座する勢いで謝罪した。それを目の前の女性は掌をひらひらとして答えた

 

「構いませんよ。こんな格好をしていたらよく間違われるんです」

 

 そう言って拓斗が顔を上げるまで待った。拓斗は間違ってしまった羞恥に耐えながら顔を上げる。

 だけどもまたその顔に疑問符を浮かべた。何故ならその女性が拓斗の顔をまじまじと見つめていたからだ。

 

「えっと……どうかしましたか?」

 

「あ……いえ。なんでもありません。さあ、お嬢様がお待ちです」

 

 そう言って家の中に招き入れようとする女性に拓斗は慌てて声をかけた

 

「いや俺は配布物を涼花に来ただけなので……」

 

 そこで拓斗は目の前の女性から名前を聞いていなことに気が付いて固まった。女性は何事だと思ってフリーズしてしまった拓斗を見ていたが自分でも思い出し申し訳なさそうに言った

 

「失礼しました。まだ名前を名乗っていませんでしたね。私は遠上、社長……つまりお嬢様達のお母様の秘書をしています」

 

「あ……じゃあ遠上さん。遠上さんから配布物を渡してもらえませんか?」

 

 あくまでも目標は配布物を渡す事、涼花に出来るなら会いたいが無理をさせて悪化させるわけにはいかない。

 涼花とは遅かれ早かれ教室で会える。自分か涼花が転校なんかしない限り会える。先ずは当初の目標を達成する為に動いた。

 

 しかし遠上は歩を止めてそのまま首を振った

 

「……それはお受け取りできません」

 

「え? どうしてですか?」

 

 正直待ちに待った展開だが今このタイミングで会ってもいいものかと拓斗は考える。会うべきか会わないべきか分からなかった。

 でもそこで遠上の受け取り拒否、理由が知りたいのは当然だった

 

「優輝様から拓斗様をお嬢様のお部屋にお通ししろと仰せつかっておりますが故、お時間を取らせていただきますが問題ないですか?」

 

 有無を言わせぬ口調に拓斗の喉がつまる。どうして優輝がそんなことを遠上に頼んだのかは分からない。

 でも……どこからか自分に囁く声が聞こえた

 

 今行かないといつ行くんだよ

 

 ──ああ……そうだな。

 

「大丈夫です。じゃあ……涼花に会わせてもらえますか?」

 

「かしこまりました」

 

 そう言って遠上は歩いていく。拓斗は三度深呼吸をした後、遠上の背中について行った。今日の出来事で何かが変わる事を信じて




いつもありがとうございます。そろそろタイトルブレイクの時がやってきたかもしれない。まあ…考えてたよりも早くお互いの事ばらしたからね、しょうがないね。

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