運命?なにそれ?と言わんばかりにデレない美しき巫女 作:レオ2
彼が妹の蒼葉? ちゃんが病院に運びこまれた龍神病院に向かって走り去った後、鉄村君と雷同君が弾かれたように動き出した。
それは彼のスマフォに龍神病院へのマップ情報を送ったり先生への言い分をどうするかとかを残り数分でテスト勉強もそっちのけで動いていた。
(全然違う)
今まで自分と触れ合った人たちを思い出していた。自分が友達だと思っていた人達は最終的には自分を裏切って来た。
だから自分は友達なんてものは信用しなくなった。信用できなくなった。そうする事で結局傷つくのは自分だから。
だから期待しないことにした。期待するだけ無駄だと思っていたから。だがこの前自分を助けてくれたことにせよ今の事にせよ……何が正しいのか最近は分からなくなってきた。
それだけ最近の出来事は涼花にとっても刺激的で……自分の価値観が分からなくなるのだ。
残り時間30秒って時にやる事を終わらせた2人に涼花は知らず知らずのうちに口が動いた
「ねえ……どうして他人の為にそこまで出来るの?」
この二人はたとえ今回の事で転校する事になっても拓斗について行くと迷いなく言い切った。友達と言っても所詮は血のつながりも何もない赤の他人、そんな人の為にどうしてそこまで出来るのか涼花は知りたかった。
2人は顔を見合わせた後、当たり前のように答えた
「どうしてって……親友だから当然だろ?」
「——ッ!」
──拓君と同じ眼だ
そう思った。拓斗が2人を語る時の眼と同じだった。
大智はどうしてそんな事を聞いてきたのか分からず疑問符を浮かべているが力也は「また何か言いたい?」と言いたげに眼を細めてる。
しかし涼花は被りを振って席に座った。それと同時に最後のテストの予鈴が鳴り響いた
★
拓斗は大智の自転車にまたがり力也が送ってくれたマップ情報を見ながら全速力で龍神病院へとたどり着いた。
荒々しく自転車を止めて呼吸を整える事もせず受付まで走って看護師に聞いた
「すいません、氷火蒼葉の兄ですが妹はどこですか!?」
そう言ったら話は伝わっていたのか直ぐに病室に案内された。病室と言っても誰も入れない、医者や看護師以外は入れず拓斗は窓から様子を見ることくらいしか出来ない。それでも拓斗は窓に張り付いて中の病室で辛そうな赤い顔で眠っている蒼葉に叫ぶ
「蒼葉!」
声をかけるが窓越しで届かず中にいた医者が反応しただけだ。そこで拓斗は背後から視線を感じて見るとスーツの女性がいた。
スーツ姿の女性は蒼葉の担任らしく頭を下げた
「申し訳ございません。蒼葉ちゃんの容体に気が付かなくて……」
「いえ……それなら朝無理やりでも引き止めなかった俺が悪いです。本当に……ご迷惑をおかけしました」
そこからは少しお互いに謝り続けたが互いにやめようと言う事になり拓斗は蒼葉が倒れた時の状況を聞いた。
倒れた状況は授業中に熱がいきなり出てきてそのまま倒れたと言う事だ。
熱の原因は”麻疹”という麻疹ウイルスによって起こる病気だった。簡単に言えば熱が出まくる病気だ。麻疹は空気感染によって起こるので拓斗も後で検査する事になった。
拓斗は一点だけ気になったので聞いた
「どうして俺の所に連絡が来たんですか? 緊急連絡先は母になっていたはずですが……」
「ああ……それは最初はお母様に連絡しようと思ったのですが留守番電話になっていて……」
「そうか。仕事でスマフォを見れなかったのか」
「それで蒼葉ちゃんの生徒手帳にお兄さんの電話番号があったのでかけたのです」
「そうだったんですか……今日はありがとうございました」
そう言って再び頭を下げた。担任はそれを受けつつまだ学校でやる事があると言って学校に戻っていった。
拓斗は椅子に座り窓の向こうの蒼葉を見守った。ここからではよく見えないが無事であることを祈るしかあるまい。それに……蒼葉が麻疹になったのは初めてではない。前になった時の免疫が役に立つかもしれない、いやそうであってほしい。
「蒼葉……元気になったらまた遊びに行こうな」
今回の事で特待生は剥奪されるかもしれない。それをもし回避出来たとしても期末では本気でオール100点くらい取らなければダメかもしれない。
流石にそれは……分からない。今まで程よく手を抜いてきたからその分を本気でやれば出来るかもしれないが今回の様に蒼葉が倒れてしまったら迷うことなく蒼葉を選ぶ。
(ここにいて俺が出来ることなんて無い。だけど……お前の近くで祈る事は出来る)
手を固く握り、百恵が慌ててくるまで拓斗はその場を動かなかった。一刻も早い蒼葉の回復を祈っていたからだ。
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