運命?なにそれ?と言わんばかりにデレない美しき巫女   作:レオ2

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どうしようもないよなこの想いは

 夕日が照り付ける中、拓斗はその顔を安堵と不安で埋めて高校の駐輪場へと自転車を止めた。

 あの後、蒼葉は無事に眼を覚ました。しかし麻疹のせいで暫く近くに寄る事は出来ないと言われて拓斗は百恵とバトンタッチして戻って来た。

 

 安堵なのは蒼葉が取り合えず目を覚ましてこのまま何事もなかったら快方に向かう事。

 不安なのはやはり特待生の事。

 

 今からテストを受けられるとは思っていない。龍神高校は中等部の頃からそうだがテストでは厳しいところがある。

 カンニングは当然として中等部の頃は体調不良で保健室に行ってしまった子はテストを受けられず前回の点の7割が見なし点となっていた。

 

 それを聞いた時は正直理不尽だと思ったが……まああれは体調管理が出来なかった本人も悪かったというのもあるだろうからその時は何も思わなかった。

 

 だがいざ自分がそんな立場になろうとは思わなかった。いや正確には自分が体調不良になった訳じゃないが自分の意志でテストをほっぽりだしたのは変わらない。

 

「はぁ……」

 

 拓斗は最初は大智に連絡して駐輪場に返した旨を話して帰ろうかと思った。今は何だか会えない気分だった。

 

 自分が転校することなったらお前らどうする? という質問の本当の意味をあの二人は知らない。少なくとも拓斗から特待生の事を話した覚えはない。

 今回ので一発アウトかそれとも期末でチャンスがあるのか、それによって今後が変わってくるのは目に見えていた。

 

「帰ろうか……」

 

 そう力なく言って踵を返した時、ポケットから振動を感じた。病院でマナーモードにしていたスマフォが着信したのだろう。

 なんだと拓斗は思いスマフォの電源を付けて通知欄を見ると……

 

「——!」

 

 そこには「涼花からメッセージが来ています」と表示されていた。

 それを見て拓斗は思わず周りを見渡す。普通に考えたらテスト後の学校にわざわざ残る理由はない。

 だから普通に考えたら涼花はいないはずだ。

 

 ──いないよな……ちょっと後で見よう

 

 涼花からLINEが来たのは別に可笑しくはない。向こうでブロックしていた拓斗のアカウントを解除しただけだろう。

 削除しなかったのは彼女自身が拒んだからかもしれない。名前は単純に変えただけだろう。

 

 そう思考した後、拓斗は再び校門に向けて歩き始めた。正直涼花からのメッセージは気になったが今はそんな気分ではなかった。

 これから高校はどうなるのだろうと言う思考に脳の大半が埋まっていたからだ。

 

「……なさい!」

 

 頭が冴えないまま拓斗は帰路につこうとしていた拓斗の背中に誰かが声をかけたが拓斗は気が付かず歩き続ける。

 だが次の瞬間には拓斗の腕が誰かに思いっきり掴まれて耳元で

 

 

「待ちなさいって言ってるのよ!!」

 

 

 いきなり掴まれた腕に驚きながらも拓斗が振り返ると顔が赤く息も切れ切れになっている涼花がスマフォ片手にいた。

 

 ただでさえ白い肌が赤く染まっているのはとても分かりやすいなと拓斗はどうでも良いことを思った。

 

「……ってお前なんでこんな時間にいるんだよ」

 

 もう既に時刻は夕方、生徒会に入っているだけで部活も何もしていない涼花がどうしてこの時間にまだここにいるのか分からなかった。

 普通の日なら分かるがテスト最終日の今日はただただ早く学校が終わる日だ。

 

「何でって……貴方を待ってたのよ」

 

 息を整えて……そしてセリフが恥ずかしいものなのが自覚があったのか頬を染めた。

 

 ──破壊力半端なねえええ! 

 

 などと普通に思ってしまう位には。

 

 

(え、なにこの可愛い人。やべえよ!)

 

 

 この前まではこんな涼花でも拓斗の心を動かす事なんかできなかったが涼花が花だと判明した日からあの日の思いが再加速したのか拓斗の中で胸の高鳴りが止まる事を知らない。

 

(これが見納めかもしれないと思うと辛いが……)

 

 1年前の彼女からは考えられない変化に口元が緩む。それを見た涼花が眉を顰めた

 

「何笑ってんのよ」

 

「いや……今の涼花も可愛かったなぁって」

 

「~~ッ!!」

 

 可愛いと言われ慣れていない涼花は拓斗が言った事も合わさりあっという間にその肌を更に紅く染めた。

 何かを言おうと口をパクパクするが結局言うしかない言葉は

 

「よ……よくそんな事平気で言えるわね!」

 

 そうやって強がりを言うことくらいだ

 

 ──何でそんな事……そんな事……

 

 だが心の中ではそんな拓斗に恥ずかしさも感じながら嬉しさも確かにあった。それは今まで感じてた罪悪感も薄れてしまうような感覚がする。

 

(そんなの……ダメなのに)

 

 こんな日々が続けば……正直涼花も自分が抑えられなくなってしまうかもしれない。その位本当は拓斗と再会が嬉しくて……止まった時間が動き出した。

 

 だがその時間が動き始めたと認識すればするほど罪悪感もまた酷くなる。

 

 幸せか、罪か、涼花にはその選択肢しかない。そして涼花は拓斗と会う前は罪を選ぶ。そう決めていたのにそれを揺るがしているのはやはり拓斗だった。

 

「……早く行くわよ」

 

 これ以上拓斗と向き合っていたら可笑しくなってしまいそうで当初の目的の為に拓斗の腕を掴んだまま踵を返した。

 

 拓斗はそれに引っ張られる形で涼花について行った。

 

 引っ張られながらズカズカと誰もいない学校の中を2人は歩いていく。自分を引っ張ってくれる涼花の背中を見ながら思った

 

(やっぱり……俺はお前のことがどうしようもなく好きみたいだな)

 

 こうして対面して触れ合って……ただそれだけなのにあの日の様に……いや直接の分前よりも彼女の事を想う事が増えた。

 

 あの花としての涼花にフラれた後に彼女への想いを募らせていた分、そして彼氏が本当はいなかったと聞いたのもあり最近の拓斗の涼花への愛情は天元突破している。

 

 今の涼花はどうしてか前の様には話してくれないが……きっと時間をかけたら前の様に戻れる……と信じていた。

 まだこれからの事は分からないが取り合えず

 

「な、なぁ。どこに行くんだ?」

 

「黙ってついてきて」

 

「はい」

 

 声は冷たいがあの日から拓斗のタガは外れたので思う事は

 

(こういう花も良いな……)

 

 最早拓斗は涼花にぞっこんである。動き出した時間はだれにも止める事は出来ない。

 

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