運命?なにそれ?と言わんばかりにデレない美しき巫女   作:レオ2

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なんかカードゲームがいっぱい出てきますが物語とはあまり関係ないので気にしなくて大丈夫です


俺が異常でよかったな

 キーンコーンカーンコーン! と今日の授業を終了に導く鐘の音が響く。

 授業が終わればみなそれぞれの予定に向けて動き出す。

 大智は野球部、力也は科学部、他の面々は家に帰る者や部活に行ったりバイトに向かう人もいる。大智と力也は普段拓斗と教室を出るのだが今日ばかりは足早に退散した

 拓斗もバイトがこの後にあるのだが本人は机に突っ伏したままだった。

 拓斗の隣では恐れられている視線をあちこちから向けられながらもその視線を見事にスルーしている涼花が鞄に荷物を入れていた。

 机の中にあった教科書とは違う感覚のものを触り涼花はその拓斗から没収したカードケースを取り出す。そして未だに自分にやられて授業中も半分くらい突っ伏していた拓斗を見る。

 

「およよ……およよ」

 

 なんか呪文のような事を言っているが涼花からしたらはっきり言って気持ち悪いと思う。

 

「はぁ……」

 

 涼花はため息をつきカードケースを拓斗の机に置いた。音で分かったのかばっと顔を上げカードケースを認めた後涼花を見上げる

 涼花は拓斗から眼を逸らし言い訳をするように言った

 

「私も流石に手を出したのは悪かったわ。だからこれでお相子よ」

 

 拓斗の頬には見事な手形が残っている。誰の手形なのかは言うまでもあるまい。拓斗はその言葉を聞いた後若干目に涙を溜めた

 

「ありがてぇ……ありがてぇ!」

 

「やめて、気持ち悪いわ!」

 

「はい、ごめんなさい」

 

 気持ち悪いと言われた瞬間真剣モードになり謝った。

 

(女子高生から言われる『気持ち悪い』程ダメージが半端ないんだよーーっ!)

 

 と内心では言っているが涼花には逆らえなかった。何より校則を破っていたのは事実だしこれで奨学金が切れたらどうしようかと思っていた。

 

「ま、それだけよ。また明日」

 

 涼花の言葉に拓斗は失礼ながら目を見開く。あの涼花から「また明日」という言葉を聞けるとは思わなかったのだ。

 

「待てよ!」

 

 拓斗は一つ物申したい気分になり声を上げた。その音量に涼花はビクッとして拓斗に向く。拓斗はTHE真剣と言った顔で自らを見てきていて涼花はどこか面倒くさそうに……他人事の様に見ていた。

 

「……何よ。まだ何かあるの?」

 

「ああ、ある。大事な事だ」

 

 傍から見ればロマンチックな告白のシーンに見えるのだろう、外野がひそひそと2人の事を話している。そして実際拓斗には大事な話だ。涼花に無駄な時間を過ごさせないという意味で。

 拓斗は少し距離を詰める

 

「三月……」

 

「……う」

 

 その真剣そうな表情で近寄って来る拓斗に他人事な視線を向ける事は出来なかった。徐々に近づいてくる拓斗に思わず一歩下がる。それでも拓斗は近づいてくる。涼花は後退する。

 

「え……ちょ……と」

 

 だがどうせ出る所だったので直ぐに壁際に追い詰められた。

 

「これ以上近づいたらセクハラで訴えるわよ!」

 

 咄嗟にそう言い放ったら効果があったのか拓斗は止まった。その状態のまま拓斗はもったいぶった言葉を解き放った

 

「三月……明日は学校休みだぞ?」

 

「え?」

 

「「へ?」」

 

 前者が涼花の反応、後者が外野の反応

 後者に関しては完全にラブ展開だったのに解き放たれた言葉は明日休みと言う事……期待して損したと言っても過言ではない

 

「……あ、忘れてた」

 

 と涼花は思わず口に出す。明日の土曜日、本来はこの名門校龍神学園高等部には土曜授業が存在する。中学時代に土曜授業が休みになった事は無い。その流れで今週の土曜授業が当たり前のようにあると思っていた。

 しかし現実は逆で明日の授業は休みとなっている。それを忘れたまま学校に来れば涼花は見事に恥を晒す事になっただろう。……兄がいるから結局来なかったと思うが。

 

「……ふっ」

 

 やり遂げたと言わんばかりに拓斗は笑った。それに涼花はムッとする。だがド忘れしていたのも事実なので何も言えなかった。

 だがこの瞬間拓斗が感じていたのは涼花への親近感が少し近づいた気がした事だ。……しかし、違う違和感もあったのもまた事実

 

「三月……何かあったのか?」

 

 外野は既に2人に興味を無くしたのかそれぞれ部活や帰宅、バイトに向かっている。

 涼花がいつもと違うと思ったのはただの勘であるが信憑性はあるとは思っている。

 

 涼花は少し眼を見開き少し眼を閉じ何かを考えた後拓斗を見る

 

「はぁ……仮にあったとしてそれがなに?」

 

「今日のは俺も悪かった。いくら本当に思っていたとはいえ衆人環境の場所で言うのは違った。すまねえ」

 

 いきなり謝罪されても困る。……ついでに言うなら全く謝罪になってない事に気が付いているのだろうか? 天然のバカなのか? 

 顔を上げた拓斗は真剣な表情で涼花を見て続けた

 

「だからお詫びって訳じゃないが俺でよかったら話を聞くぜ?」

 

 1年経ち初めて普通の会話をした気がする、と拓斗は内心思った。確かに1年間は隣同士になっていた事があるが会話は基本的に事務的なもの、あと今日の昼休みのような会話だけだ。

 普通に話したのは初めてな気がする。

 

「貴方にカウンセリングスキルなんてあるとは思えないけど?」

 

(はっきり言うんじゃねーよ! 事実だけど!)

 

 ……そんな自分が過去にそのカウンセリングもどきをしていたのは消したい過去だが。涼花は首を振り拒絶のニュアンスを込めた

 

「別に良いわよ。私の問題だから氷火君が気にかけるものじゃないわ」

 

 そこまで言ってようやく調子が戻ったのか教室のドアをくぐる。だがそこで思い出したように振り返る。綺麗なアッシュブロンドの髪が風になびく。

 その姿はどこか幻想的で3年前なら惚れていたかもしれない

 

「でも、気にかけてくれたのはありがとう。またね」

 

(……ここに野郎どもがいたら全員やられるところだったな。寧ろ何にも感じない俺の方が異常なのだが)

 

 と自分の事なのに他人事の様に感想を告げた。

 涼花はもう何も言う事は無いと背中で語り教室を出ていった。その出ていったドアを見ていた。そして少し過去にふけっていたが

 

「って、こんなことしてる場合じゃねえ。バイト行かなきゃな」

 

 涼花から返してもらったカードケースを鞄に入れ足早に教室を出ていった。

 

 

 

 

 




次回、拓斗のバイトルーティーン

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