運命?なにそれ?と言わんばかりにデレない美しき巫女   作:レオ2

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どうしたらいいのよ

 ドタバタと家の中に入って涼花は広い家の中を駆けた。今はこの胸の中にある熱を逃がしたくなかった。

 少ない体力をフルで使って涼花は自室のドアをぶち破り鞄を机の下に放り投げてベッドにダイブした

 

 そしてほぼ防音なのを良いことに

 

「あ──ーっ!!!」

 

 枕に自分の顔を埋めて無我夢中で叫んだ。足もベッドに打ち付けるように何度もパタパタとして恥ずかしさを解放した。

 

「何なの!? 何なのもうっ!!」

 

 思い出すのは耳元で囁かれたあの甘い言葉

 

『涼花にしか言わないよ』

 

 思い出したら再び恥ずかしさでゆで卵のように顔を耳まで赤くする

 

「ほんとに……ほんとにも──ッ!!」

 

 やり場のない羞恥が彼女の心を可笑しくする。それでもそんな心の状態が心地いい事にも気が付いた。

 

 枕を抱きしめ震える声で呟いた

 

「分かってる……分かってるわよ……」

 

 涼花は拓斗と出会った時からとっくに彼に好意を持っている事に気が付いた。自分では拓斗の事を拓としての彼の事を思って恋愛対象だとは思っていなかった、いや思わないようにしていた。

 だけども拓斗が本人だと知ってから……

 

 

 

 ──私がどうしようもなく拓君の事が好きだなんてことは

 

 

 

 罪悪感……あるが最近はそんな感覚すらも薄れていく。自分に下した罰なのに自分を止められない

 

「……私はどうすればいいんだろう?」

 

 それだけが涼花の心中を支配した

 

 

 

 ★

 

 

 翌日、この日も涼花は拓斗の事を考えて思い悩んでいたが原因である拓斗は病院に行っていた。と言ってもまだ蒼葉には直接会えない。

 麻疹は感染力が強く拓斗や百恵がかからなかったのは幸運だった。

 

 今日はただ蒼葉のお気に入りの本を何冊か図書館から借りて来たのでそれを渡してもらおうと思ったのだ。

 

「蒼葉はどうですか?」

 

 本を渡しながら看護師さんに聞いた

 

「まだ熱があるわ。もう少し入院しないと」

 

「そうですか……あ、あとこれもお願いします」

 

 そう言って録音テープを渡した。まだ面会が出来ないのでせめて声だけでも伝えようと思い昨日録音したものだ。

 

 看護師さんと少し話した後、拓斗はそのまま病院を出て龍神神社まで向かった。

 祈る相手である涼花が目の前にいる以上、もういらないかもしれない。それでも習慣と言うのは恐ろしいもので気が付いたら足が向いていたのだ。

 

 

 相変わらずでかい鳥居を見上げた後、一礼して足を踏み入れた。長い坂道を上り辺りを見渡すと巫女さん姿の涼花と眼があった。

 

 涼花は直ぐに眼を逸らして掃除を再開した。拓斗も仕事の邪魔をするつもりは無くそのまま境内の方まで歩いていく。

 いつもの様にお賽銭を入れて手を合わせた。何時もならここで涼花の事を祈っていたが今日は違う。

 

(妹の蒼葉の病気がよくなりますように)

 

 今はそれを祈りたかった。涼花の事も大切だが妹の事も大切だ。それに涼花はネット上の人だと思っていた頃のあの時とは違い今は学校で会え……もう離したくもなかった。

 

 

「よし、行くか」

 

 

 長居するつもりは無かったのか拓斗はどこか清々しい顔で踵を返した。戻る途中で涼花とすれ違った時に一言を残した

 

「また学校で」

 

「ええ」

 

 ただそう言って2人はすれ違った。また明日から新しい月曜日が始まる。恐らく今までと何かが違う月曜日が始まるのだ

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