運命?なにそれ?と言わんばかりにデレない美しき巫女   作:レオ2

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恥ずかしすぎて消えたい

 1位 氷火 拓斗 499点

 1位 三月 涼花 499点

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 5位 雷同 力也 458点

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 86位 鉄村 大智 358点

 

 ★

 

 月曜日、龍神学園の掲示板前には人だかりが出来ていた。それもその筈で今日はこの前あった中間考査の結果発表、この順位自体はどうせ後から担任からも聞かされることになるが早めに知りたいという人は朝から張り出されるこの掲示で知ることが出来る。

 

 拓斗も涼花も、力也も大智も今日ばかりは早くに来た……のだが上には上がいるもので4人が来た時には人だかりが出来ていた。

 

 それだけならまだ良いのだが4人が来た時、正確には拓斗と涼花が来た時に何故か歓声があげられた。

 理由としては2人のテストの順位だ。

 

 この学校のテストは忖度なしで難しい。それ故にテストの点数が同じになる事は極めて低く、いくら上位が点数が重なりやすいと言ってもやはりそれは全体的に見たらと言う話で実際問題全く同じ点数で同率1位など前代未聞だったのだ。

 

「氷火スゲーな!!」

 

「同率1位とか初めて見たぜ?」

 

「あ~ははは、ありがとう」

 

(なんか殆ど話したこともない奴に凄い話しかけられるんだけど)

 

 拓斗の交友関係は決して広いわけではない。それこそ大智や力也、最近は涼花位だ。しかし身近の人が話題に上れば人はその話題の人と知り合いと言う事にある種の優越感を持つ。

 

 今拓斗に話しかけている人達はその優越感を少しでも満たしたいが為に話しかけるのだ。

 

「でも後一点だけだったのにな」

 

 やっと人の波から抜け出せた拓斗に大智が惜しいなぁと言いたげに顔をゆがめた。拓斗も若干悔しそうに言った

 

「どこで間違えたんだろ?」

 

 まだ答案用紙は帰って来てないし拓斗は拓斗でドタバタがあったので自己採点をしていなかった。

 だからどこで間違たのかは正直分からなかった。

 

 一方涼花は教室に来た時から窓の外を見ていてその感情は読み取れない。というより顔を見せてくれない。

 

(俺何かやったっけ?)

 

 やりまくりである

 

 そこで拓斗は親友達に聞いとかないとダメな事があったのを思い出した

 

「そうだ……お前ら的に勝負はどんな扱いになってるんだ?」

 

 それを聞いた涼花の肩がぴくっとした。

 もし2人の中で勝負が有効なら今回はどういう扱いになるのか分からないが……恐らく客観的に見たら拓斗の勝ちとなる。

 

 理由としては拓斗の勝利条件は1位を取る事、そして大智の成績を上げる事だ。一つ目に関しては同率とは言え達成している。これだけでは引き分けに見えるが大智の順位の伸び幅を考えると拓斗の勝ちだと言えるだろう。

 

 大智の中学時代の順位は下から数えた方が速かったが今回は上から数えた方が速くなったからだ。

 

 拓斗の問を聞いた2人は顔を見合わせた後、力也が首を竦めながら言った

 

「俺達はもういいよ」

 

「というより……もう三月さん俺達に謝ってくれたし」

 

「え!? そうなの?」

 

 そう言って拓斗は涼花の方を見るがまだ窓の外を見て聞こえているはずだが無視を決め込んでいた。

 ただ何も反応が無いわけではなくただでさえ白い肌なので耳が赤くなっているのが分かりやすい。

 

 聞けばテスト最終日のラストテストが終わった後、涼花が引き止めてそのまま頭を下げて謝罪したらしい。

 

『私の価値観を押し付けてごめんなさい』

 

 タイミング的にはテストが自信なかったから今の内に謝ろうという魂胆に見えなくもないが、2人にも涼花の事で心の変化があったのか普通に許した。

 元々トライフォースの在り方を証明する為の勝負なのであってそれが涼花に伝わった以上勝負の意味がないからだ。

 

「言ってなかったけ?」

 

「初耳だ」

 

(と言う事はこの前勝負どうするんだ? って聞いた時のあの微妙に面白そうにしてた顔はそういう事かい)

 

 不敵な笑みで「撤回しても良いわよ?」と言っていたのは半分は遊びだったのだろう。もう既に3人の間で決着はついていてそれを知らなかった拓斗相手に少し遊んだのだ。

 

(なんかそう考えたら少しいたずらしたくなる)

 

 と今日一回も眼を合わせない涼花に思った拓斗なのであった。

 

 

 ★

 

 

 放課後、今日も今日とて涼花は生徒会室へとやって来た。中間考査の間に溜まった業務もあるのでまた忙しくなる。

 学校にもよると思うが龍神学園1年の1学期のメインイベントには林間学校が存在する。だからその資料作りも生徒会でしなければならず1年の涼花には特に任されている部分が多い。

 

 中間考査が無事に終わった今、涼花はその林間学校の資料作りをする為に少し缶詰め状態になるかもしれない。勿論涼花以外の生徒会役員もある程度は手伝ってくれるが自分達の仕事もあるのでそんなに頼る訳にはいかない……と涼花は考えている。

 

「お疲れ様です」

 

 涼花はいつもの様に一礼しながら入る。そうすれば兄を含めた他の人からも挨拶が返される。涼花が自分の席に着いた時にこの前拓斗のテスト監督を引き受けてくれた副会長……成美朝香(なるみあさか)が興奮を隠せない様子で聞いてきた

 

「涼花ちゃん聞いたよ、あの……氷火君と同率1位だったんでしょ?」

 

「は、はい。私もびっくりしました」

 

 そう朝自分と拓斗の名前が並んでいるのを思い出しながら答えた。

 あの時は本当に驚いた。1点差でもなんでもなく同じ点数だったのだ。何時も結果を見るのはそれなりに緊張するものだが今回の緊張はそれ以上だった。

 

 それは拓斗と再び交わした約束があったからだ。

 

 ──私が勝ったら荷物持ちでショッピングね

 

 涼花から言った遠回しのデートの約束。

 

(私……本当にあんな約束したんだ……)

 

 普段の自分なら絶対にしない約束をしてしまった事に胸の鼓動が速くなる。今回、個人的勝負は引き分けかもしれないが大智の成績の幅を考えたら正直負けだと涼花自身も思っている。

 

 少しだけボーっとしていたら朝香が少しだけ顔を涼花の下から覗きどこか嬉しそうな顔で楽しそうに言った

 

「涼花ちゃんもそんな顔するんだね」

 

「え……?」

 

「なんか恋する乙女って感じだよ」

 

「は……あう……そ、んな訳」

 

「うんうん。可愛いねその反応」

 

 いたずらが成功したと言いたげな顔で頷いた。何故なら、涼花の見える肌の色がどんどん赤くなっていたからだ

 

「ち、違います! そんなんじゃないでしゅッ!?」

 

 噛んだ

 

 それが涼花が動揺していることを何よりも表していて、涼花は顔から火を噴くほどに熱くなりこのまま放っておいたらこの綺麗な銀色よりのアッシュブロンドの髪まで赤くなるのではないかと思う程だ。

 

 ──消えたい……

 

 ただそれだけを思って顔を下げてしまった。それが普段いじる事が出来ない涼花をいじれるチャンスだと思った朝香がグイグイと迫る

 

「相手は氷火君かな? そうでしょ絶対!」

 

 朝香はちゃっかりあのテスト監督の時に涼花がチラチラと拓斗の事を見ていたのに気が付いていた。

 涼花は顔から湯気が出そうなほど羞恥が限界突破している

 

「も……もうやめてくださぁい……」

 

 他人から拓斗の事が好きなんだと言われるのがこんなに恥ずかしいものだと涼花は知らなかった。

 既に言葉は弱々しく説得力のかけらもなかった。そんな珍しい涼花を更にいじろうと詰め寄る

 

「ねえねえ、どんな感じで好きになったの?」

 

「あ……あう、ああう」

 

 身がすくむような恥ずかしさが涼花を支配する。そんないつもと違う涼花をずっと見ていたい気持ちもあったが流石にそろそろ可哀そうになって来たので助け舟を出した

 

「成美、それくらいにしてやれ。涼花が溶けそうだ」

 

「会長的にはどうなの? ねえねえ!!」

 

 朝香のターゲットが優輝に移り涼花は解放された……けども涼花は拓斗の事が頭の中でリフレインしてその場で突っ立ていた。

 

 優輝は朝香をいなしながら涼花の様子を見ていた。やはり前のような棘は一度倒れた後からなりひそめている。

 それが良い変化なのは一目瞭然だった。

 

 ──さて、涼花はこれからどれだけ乱れるかな? 

 

 いたずら小僧のように思考した時、自分のアップルウォッチが振動しチラリと見ると生徒会のスペシャルゲストがもう来るという連絡を受けた。

 

「成美、話は後でいいか?」

 

「え~もっと聞きたいのに~!」

 

「そんな事より……今日からこの生徒会に新メンバーが入る」

 

「え、誰なの?」

 

 涼花も兄の言葉でようやく意識を現世に戻した。

 

「もう来たみたいだからな。直接見てもらおう、入れ」

 

 涼花もそれを聞いて背後を向いた。生徒会に入った時期の違いもあるだるろうが一応初めての後輩となる。

 ……と言っても一年の自分が先輩だというだけで学年は上の可能性がありそうだ。

 

(せめて私目当ての人じゃないと良いけど)

 

 勝負のそもそもの原因を思い出しながら扉を見て……彼の姿が見えた瞬間に先程ようやく落ち着きつつあった心臓がドクンっと再び動き出した

 

「な……んで」

 

 思わず呟いた涼花の頭の中は真っ白になっていた。さっきまで思考していた人物が目の前に現れたらこうもなってしまう。

 その人は涼花を見ていたずら成功と言った顔をした後、優輝と朝香に言った

 

「生徒会庶務として生徒会の末席に加えられる……氷火拓斗です。よろしくお願いします!」

 

 元気よく入って来たのは拓斗だった。その清々しい程に狙ったと言いたげな拓斗に涼花は

 

 ──どれだけ私を可笑しくしたら気が済むの!? 

 

 ニューフェイスに思ったのはそんな想いだった

 

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