運命?なにそれ?と言わんばかりにデレない美しき巫女   作:レオ2

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ラブコメに恋のライバルってつきものだと思う

 中間考査も終了しそれぞれのテスト結果に一喜一憂する期間も終わった。トライフォースも涼花もそれぞれの日常に戻った。

 ただそれは日常であり日常ではない。何を言っているのだと思うかもしれないが拓斗と涼花にとっては確かに当たり前にあった日常ではなかった。

 

 生徒会準備室

 

 そんな事が書かれているが実体はただの物置部屋、そこでは拓斗と涼花がそれぞれせわしなく動いていた

 

「生徒会っていつも何やってるのか気になってたけど……大変なんだな」

 

 沈黙の時間は拓斗も苦手なので他愛ない話を振る。涼花は昔使っていた資料を束ねながら答えた

 

「教室の整理は珍しい方よ。私今回が初めてだもの」

 

「その割にはテキパキしてないか?」

 

 段ボール箱を持ち上げながら資料を分けている涼花に言った。それを気にしたそぶりもなく返した

 

「会長からは私の一存で分けて良いって言われたし確認しても古かったりで役に立たないのが多いもの」

 

 そう言いながら一通り段ボール箱に突っ込んだ後、訝し気な表情で拓斗に向いた

 

「それより……何で貴方が生徒会に入ったのよ」

 

 ──本当は嬉しいけど……けど! 

 

 顔には全く出さないが涼花は拓斗が生徒会に入っているのが分からなかった……期待している理由はあるがそれを期待しまくっていたら自意識過剰女みたいで……

 

「何でって……涼花と一緒にいたいから」

 

「~~~ッ!?」

 

 拓斗の一言に動きが止まり掌が熱くなる。赤くなっていると自覚出来る顔を拓斗から逸らして弱々しく反撃した

 

「何でそんな事恥ずかしがらずに言えるのよ」

 

「今2人だからな」

 

(2……人)

 

 それに気が付きがばっと拓斗の方を向くと拓斗は棚の整理をしていて涼花の方を見ていなかった。それで正気に戻った涼花は

 

 ──って私何に反応したの! 

 

 教室、2人きりでこの教室は学校の端っこなので誰かが来ることはない。その状況で何が起きえるのかを自分で想像してしまった。

 

 カアアと顔が熱くなり掌を握りしめた

 

(私なんて破廉恥な事を……)

 

 涼花が自分の思考回路と戦っている間に拓斗は何故か出て来た人生ゲームやボードゲームを見て「何であるんだ?」などと一人で考えていた……が結局分からないので涼花の方を向いた

 

「涼花、何でこんなのあるんだ?」

 

「……」

 

 声をかけても涼花は何故か顔を紅くしたままフリーズしていた。それに拓斗は首を傾けた後、熱でも出たのかと思い人生ゲームを置いて涼花の目の前にまで来たが涼花は全く反応しない。

 

「涼花、大丈夫か? おーい」

 

(私と拓君が……2人きりの教室で……)

 

「おーい涼花!」

 

「はっ!」

 

 そこで涼花の意識が戻り火照った顔はそのままに目の前を見て更に顔を紅く染める事になった。

 

「たたたたた拓君!?」

 

「お、おう。体調悪いなら休むか?」

 

「だだだ大丈夫だよ!」

 

 しかしどう見ても様子が可笑しいので勢いよく肩を掴んだ

 

「いやでも凄い赤いぞ」

 

「ひゃあう!」

 

 涼花のライフゲージがどんどん削れていく。既にイエローゾーンに突入、いや直ぐにでもレッドゾーンに入る。

 だが拓斗選手、全く手を緩めようとしません! 

 

「何かあったのか!?」

 

「あ……あう」

 

「やっぱりそうなんだな、何があったんだ?」

 

「も……」

 

「も?」

 

「もう止めてッ!!」

 

「ぐほぉ!!」

 

 そう咄嗟に叫び拓斗の胸元を近くの机に馬鹿力で叩きつけた。どこかの世界から「YOU WIN!」と聞こえたのは気のせいだ

 息を整えた後、顔を真っ赤にしながら叫んだ

 

「はぁ……はぁ……何でそんなことできるのよ! 恥ずかしいの! どうしようもなく恥ずかしいの! ほんとに……もう拓君なんて知らない!!」

 

 そう叫んだあと、涼花は自分が拓斗を使ってぶちまけた資料などには目もくれず教室から出て走り去ってしまった

 

「いたぁ……なんちゅー馬鹿力だよ」

 

 思いっきりぶつけられた額を抑えながら涼花が走り去った方向を見ていた……が直ぐにその顔を笑みに染めて呟いた

 

「でも……ちゃんと呼んでくれたから満足」

 

 拓斗は涼花が走り去る前に自分の事を拓と呼んでくれたのが嬉しかった。

 ダメージから立ち直りまた少し散らかった惨状を見て苦笑いした。

 

「でも……どこかに行くは後にしてほしかったなぁ」

 

 そう言って再び散らかった教室を見て動き始めた

 

 

 ★

 

 

 一方、準備室から走り去った涼花は恥ずかしさによって頭が可笑しくなりそうで無我夢中で走っていた。そうする事でしか胸の中の熱さを逃がす事が気なかったからだ。

 

(拓君のバカバカバカ! 私がどれだけ我慢してるのも知らないで!)

 

 元々の体力が多くないので直ぐに息が切れ、気がつけば校門前の芝生まで走って来ていた。近くのベンチでへなへなと座り込んだ

 

「どうしたらいいのよ……」

 

 自分の恋心はとっくに自覚している。それを邪魔するのは過去に拓斗を裏切ったという罪悪感、そんなものはもう捨てた方が楽なのかもしれない。

 

 だけどそうしたらあの時の覚悟が意味の無いものになってしまう。

 自分の気持ちが分からなくなる現象は初めてではない。それこそ拓斗が拓だと知ってからは殆ど毎日だ。

 

 拓斗の事で悶々としていたらいつの間にか目の前に影が出ていたのを見て顔を上げた。

 そこには自分達と同じクラスの女の子が立っていた。

 

 黒髪黒目、艶やかな髪は涼花と同じ位長く肌も健康的なものだった。

 彼女はその長い髪を翻しながら涼花の隣に座った

 

 涼花の頭の中でクラスメイトの辞書を引き出しを開けて該当箇所を発見した

 

「えっと……相本……さん?」

 

 そう言うと相手は心底ホットしたと言った感じで息を吐いた

 

「良かったぁ、ちゃんと覚えてくれてた」

 

 可愛らしい声だな、と涼花は思った。自分の声はディフォルトで棘がある感じなのに対して彼女の声はどこか相手の心を包み込むような……柔らかい声だった。

 

 ──私とは正反対

 

 まだ話した訳でもないが雰囲気だけならそう思った。……というよりも

 

「あの……何か用?」

 

 何故か自分の隣でニコニコとしている彼女に問いかけた。彼女は涼花の言葉を聞き不思議そうな顔をした後「あ」と言ったふうに口を開いた、のと同時に涼花も彼女について一つ思い出した

 

(そう言えば……彼女偶に学校に来てない時あるわね)

 

「その……涼花ちゃんで良い?」

 

「ええ、良いわよ」

 

 どうせその内話さなくなるだろうと高をくくっていたのもある。

 

「そっか。あ、私の事は愛音(あいね)でいいよ」

 

 そう言って少し止まり……意を決したように彼女はさらっと爆弾を投げた

 

 

「涼花ちゃんは……拓斗君の事好き?」

 

 

 何の脈絡もなく今涼花が悩んでいることを聞いてきた。その言葉を聞いた涼花は一瞬で心臓が跳ね上がりビクンと震えた。

 

「ななな何言ってるの!?」

 

 涼花はまた顔を紅くして慌てだす

 

「好きかどうか聞いてるの!」

 

 しかし愛音も負けじと聞き返す。涼花は思考回路がショートし始めた。タイミングが最早狙ったように見えたのは気のせいなのか。

 

 涼花はショートし始めた頭の中で愛音の観察したら……

 

(な……何で愛音まで赤くなってるのよ!)

 

 どうしてか愛音まで赤くなっているの見て一つだけ可能性が出て来た……余り考えたくない可能性だけども。

 

「えっと……そのぉ」

 

 しかしたった一言「好き」と言えば良いだけなのに口をもごもごと動かす事しか出来ず答えることが出来ない。

 

 そんな中々答えない涼花にしびれを切らしたように愛音は宣言した

 

「私は好きだよ、拓斗君の事」

 

「——ッ!」

 

 ドクン! 

 

 そんな心臓音が涼花にも聞こえた。一気に心拍数が上がり隣の愛音を見る。

 愛音も心臓が脈を打っているのか顔は赤くそれでも涼花の顔をじっと見つめている。

 

 ──ドキドキ

 

 そんな感じの心臓音がまるで内側から裂けるんじゃないかと思う程意識が出来ている。

 

(あれ……? どうして愛音の心臓の音も分かるの?)

 

 涼花は不思議な既視感に見舞われた。愛音と会話をしたのは初めての筈、それなのにどうしてか彼女の……愛音の心臓の音が涼花にも手に取るように分かってしまう。

 

 不意に彼女を見るとにこりと笑っていた。涼花から見ても可愛らしい笑顔だと思う。これが自分と同い年だというのだから環境って大事なんだなと思う。

 

「涼花ちゃんはどうなの? 拓斗君の事好き?」

 

 気が付いたら徐々に彼女が自分に近づいて来ていた。元々隣に座っていたのだから距離はあっと言う間に縮み肩と肩が触れ合う位になっていた。

 そして愛音はそっと涼花の手を包み込みその手を自分の左胸に触らせた。涼花の掌に女性特有の弾力が広がった。

 

「あ……愛音さん?」

 

 どうしてそんなことをするのか分からない涼花は困惑する。しかし困惑するだけでどうしてか拒絶をする気にはなれなかった。

 

(どうして……)

 

 それどころか何故か自分の心臓は待ち望んだように、嬉しそうに鼓動する。

 

「好き?」

 

 嘘をつけない──そう反射的に思った。嘘をついた所であっという間にバレる、そんな気がした。

 鼓動が速くなっていく中で涼花は震える声で言った

 

「好き……だよ」

 

 身が悶えそうになりながらもなんとか口にした。直接口にすればするほど自分の想いを自覚する。

 愛音は涼花の答えを聞きどこか悲しそうな顔をした後、手を離した

 

「……そっか」

 

 少しだけ距離を戻して涼花の言葉を吟味するように頷いた。

 そのまま2人の時間は無言で止まっていた。2人とも自分の行動に頭が追い付かなくて無言になるしかなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

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