運命?なにそれ?と言わんばかりにデレない美しき巫女 作:レオ2
すいません。その分楽しめて貰えるように頑張ります!
最終的に全部丸投げされた備品整理を終わらせ、拓斗は生徒会室に戻ってきた。生徒会室に入ると生徒会長と副会長、そして……見知らぬ女性が迎えてくれた。
入って来た拓斗を優輝が労った
「おう、お疲れ。すまないな拓斗。雑用をしてもらって」
さらりと涼花が封印している名前呼びをしているがこの生徒会で唯一の男仲間なので気楽になれているのだろう。
それはさておき拓斗は生徒会を見渡す
「いえ……涼花はどこに?」
辺りを見渡しても涼花の姿が見えなかった。それで涼花の居場所を聞いたのだが優輝は虚をつかれた顔をした
「何だ、一緒じゃないのか?」
生徒会準備室の片づけをしに行く2人を見送ったのは他でもない優輝なのだ。それなのにどうしてか戻って来たのは拓斗のみ。
真面目な涼花がサボったとは考えにくいが拓斗しか来ていないのも事実なので疑問符を浮かべた
そうすると拓斗は何だか微妙な顔になった
「ええ、その……色々ありまして」
──少なくとも俺は変なことしていないけど
などと思っているが実体はしまくりである。涼花の心にクリティカルトリガーを引きまくり大ダメージを与え続けた結果暴走させた。
そんな自分にとって事実無根の事を思い出していたら目の前に初めて見る女性が立っていた。
ショートの黒髪、ただ髪は所謂ゆるふわだ。
どこか人懐っこい感覚を感じた。ただ拓斗は
──どこかで会ったか?
彼女の面影が誰かに似ていたので反射的にそう思った。一人首を傾げていたら彼女が意気揚々と挨拶してきた
「初めまして、生徒会書記の
──思ったが何でここの生徒会って美人しかいないんだ
と思った。
美人な人が多いロシア、そしてその血を少なからず受け継いでいる涼花は学年の中でも有名人だし一部からは神格化されている
副会長の朝香も顔は整って顔も可愛らしく何より眼鏡がとても似合っている。
目の前の美紅も拓斗基準では普通に美人だ
これどこかのテレビにこの事送ったら取材来るんじゃないかなとか思った。
……なんて思っていたら美紅が少し拓斗の事をまじまじと見つめる。
「えっと……何ですか先輩?」
「あ、ごめんごめん。弟が氷火君の事よく話してくれるからまじまじと見ちゃったよ」
「弟……?」
そこで拓斗は再び美紅を見てみるとやはり既視感が拓斗を襲う。そこで拓斗の脳裏にスパークが走った
「もしかして
輝虎というのはタッチによく遊びに来る小学4年生の男児だ。美紅を男にしてそのまま背を縮ませた感じの男の子。
よく拓斗に懐いていてタッチでは勉強も教えている。
美紅は微笑んで頷いた
「正解、よく輝虎から聞いてるわよ? 私が勉強教えるよりも嬉しそうに話してくるから少し妬けちゃうな~」
「ハハハ……なんかごめんなさい」
「良いわよ別に。それに……」
優し気な笑みがとても似合う女性だなと思った。
「あの子、氷火君が勉強を教えてくれるようになってから楽しそうに勉強するようになった。お母さんも言ってたけど……ありがとね」
「あ……その……どういたしまして」
こう自分がやって来たことにお礼を言われるのが慣れていなくて少し語尾が小さくなる。それが恥ずかしくて所在無さげに周りを見る。
それを見ていた優輝が声をかける
「拓斗、もうやる事はないから帰ってもいいぞ」
まだ拓斗は生徒会に来て日が浅い。今日は肉体労働が多めだったのでそれを労う意味もあった。
拓斗は生徒会長がそう言うのならそうなんだろうと思い素直に頷いた
「じゃあ今日はお疲れさまでした」
「おう。涼花を見かけたら早く戻って来いって伝えといてくれ」
それに会釈しながら拓斗は荷物を纏めて生徒会室を出た。しかしその足は学校から出るのでもなくあてもなく歩いていた。
言うまでもなく涼花を探しに行くのだ。拓斗の数々の恥ずかしい問で涼花はどこかに走り去ってしまったのは覚えている。
生徒会室に荷物は置いたまま、まだ学校の中にいると思った。
自分達の教室や涼花が行きそうなところを探すが見つからない。
(すれ違いで生徒会室に行ったのか?)
そう思ったその時、ふと窓から外を見ると探し人がベンチに座って誰かと向き合っていた。
拓斗はその足をそちらの方に向けながら
(見つけやすいな)
とアッシュブロンドの髪を思い浮かべながら歩き始めた。そして拓斗が2人に近づくとどういう訳か2人の頬は赤くもじもじしているように見えた。
それが何故なのかは全く分からないが、拓斗は涼花の隣にいる女子が知り合いだったのもあり遠慮なく声をかけた
「涼花に愛音、何か珍しい組み合わせだな」
拓斗のいきなりの出現に2人はビクッとして見上げた。そしたら愛音がパーッと顔を輝かせて立ち上がった
「拓斗君、久しぶり!」
「ああ、久しぶりだな愛音」
それを聞いた涼花の眉毛がピクリと震えた。平然と名前を呼んだ。自分以外の女子に。それが気に食わなくて表情が硬くなる
「拓斗君学校じゃ全然話しかけてくれないもん。私寂しいよ」
「いや、俺がお前に話しかけようものならまた面倒くさい事になる」
「ムーッ! せっかく今年は同じクラスになれたのに!」
「話しかける理由がないんだけど……」
「そんなの私と話したいからとかでいいじゃん!」
「結局めんどい事にしかならねえ」
「2人とも知り合いなの?」
腹の底から凍える声を出した涼花に愛音はどこか胸を張り、拓斗は背筋を凍らせた……が愛音に説明を求めたらややこしくなる気しかなかったので先に答えた
「まあ……知り合いっちゃ知り合いだな」
「どういう知り合い?」
拓斗は浮気した旦那の気分になってしまったが拓斗は浮気をしている訳では無い。ただ愛音と仲良く話していただけ……の筈。
「愛音は3年前のヴァンガード全国大会でイメージアイドルしててな。その関係で知り合いなだけだ」
「アイ……ドル?」
そう言われて再び愛音を見る。確かに可愛いし華やかさもあるが普段はクラスでは大人しい愛音がアイドル?
「あ、今見えないって思ったでしょ?」
分かってるんだぞと言いたげな顔になった
「今は出世して割とバラエティに出ているらしいけど……まあ俺は見たことないから分からん」
「え~! 見てよ~!」
「俺の家にテレビなんて贅沢なものはねえよ」
「なんか……氷火家の経済事情の一端を垣間見た気がするよ」
そこで愛音は「うーん」と某探偵の様に顎に手を当てて考えていた。そこで名案が浮かんだと言った顔をして
「じゃあ私の家に来て一緒に見よ!」
「なっ!?」
涼花はそれを聞き思わず立ち上がった。しかし愛音には既に涼花は見えていないのか拓斗にアピールしていた。
「何でそうなった」
「だって拓斗君に私の事もっと知ってほしいもの!」
「いや現役アイドルが男を家に連れ込むのは不味いだろ。実家なら兎も角お前一人暮らしなんだから」
「え、拓斗君私の家に来たら襲うつもりだったの? ま……まあ拓斗君が襲いたいなら……良いよ?」
「その上目遣い止めろ。何か俺が悪くなる気がするから。あと、襲わねえ」
「むー!」
2人のやり取りを見ている涼花の眉毛がぴくぴくとしていた。それを見た拓斗が愛音をのらりくらりと躱しながら涼花にも声をかけた
「涼花も愛音と知り合いだったんだな」
学校で拓斗以外に話している所を見たことないので意外だと思った。しかし涼花は先程の愛音と自分の拓斗への告白合戦を話すわけにはいかないので
「その……さっき初めて話して」
「拓斗君がs……んっ!?」
好きかどうかの話をしていたの! と言おうとした愛音の口を涼花が高速で塞いだ。
「んぅ~!!」
「りょ……涼花?」
「何でもないよ」
「いやでも何か俺の名前が出て」
「な・ん・で・も・な・い!」
そんな事をしていたら愛音の胸ポケットに入っていたスマフォが振動を始めて愛音は取った。それを見た涼花も塞ぐのを止めた。
愛音は自分のスマフォを見ると仕事の時間が来ていた
「あ、私行かなきゃ」
「そうか、頑張れよ」
「うん! ……そうだ、拓斗君」
「何だ?」
「今年のU20チャンピョンシップは出るの?」
「あ~、まあ大智次第かな」
夏休み期間にU20はあるが大智は野球部との兼ね合いもあるのでまだ分からない。それを聞いた愛音は少し悲し気な笑みを浮かべた
「そっか……私、拓斗君のファイト好きだからまた見たいな」
「タッチに来たらいつでも見れるさ」
「うん……またタッチに遊びに行くね」
拓斗は手を上げて愛音を送り出した。
「涼花ちゃんもまたね!」
「え……ええ」
愛音は自分の鞄を持って……そして伊達眼鏡をかけて駆け出した。それを見た涼花は余り愛音が記憶にならないのかが分かった。
普段は地味なのだ。まるで陰に溶け込むようにクラスにいるから余り印象に残らないのだと。
……それよりも
「
先程までの怒りを解放するように拓斗を睨らんだ。拓斗は冷や汗を流しながら弁解した
「いやいや、昔愛音を励ましたくらいでそれ以外何もないぞ!?」
「どうかしら。私に散々たらしのセリフを言ってるから当てにならないわ」
「涼花にしか言わないんだけど……」
「ふん!」
先程の愛音とのやり取りを見て涼花の中で嫉妬の炎が燃え上がり制御不能となった。涼花はその長い髪を翻した
「ちょ涼花!?」
「何よ。鞄持ってるって事は帰るんでしょ。さっさと帰ったらどうなの?」
「涼花と帰りたい……んだけど」
「今日は迎えの車が来るから結構よ」
「あの怒ってる?」
「別に? どっかの誰かが好きって言っている女の前で他の女と話していたからってちっとも怒ってないわよ?」
(絶対怒ってるうううう!!)
何とか機嫌を直そうとするが涼花は足を止めず普通に校舎に入っていってしまった。残されたのは項垂れている拓斗だけだった
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