運命?なにそれ?と言わんばかりにデレない美しき巫女   作:レオ2

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何で自分はこんなに語彙力ないんだろうな


私とどこかで会った事ありますか?

 何時もと違う金曜日を過ごした拓斗は、カードショップから駅を一駅跨ぎ歩いて3分の場所にある自分達氷火家が住んでいるアパートに帰って来る。

 

「ただいまー」

 

「お帰りなさい拓斗」

 

 と言って拓斗を迎えたのは拓斗によく似た女性だった。

 

「母さんただいま。今日は早かったんだね」

 

 女性の名は氷火百恵(ももえ)、拓斗と拓斗と3歳離れている妹の蒼葉(あおば)の母親である。氷火家はこの三人の3人家族だ。父親は訳あって離婚して今何をしているのかは定かではない。

 拓斗は机の上に置かれている晩御飯を見た後お礼を言いつつ机に座る。

 

「蒼葉は今日大丈夫だった?」

 

 ご飯をもってきつつ百恵は頷く

 

「ええ、今日は安定してたわ」

 

「そうか、良かった」

 

 拓斗の妹、蒼葉は体が先天的に弱く病気がちだ。ここ最近は大きくなるような病はないが過去には何回も病院に入院していた。

 そして氷火家の財政事情も同じく緊迫していた。氷火が特待生という出来るだけお金がかからない地位を手に入れたのにも関わらずタッチでバイトしているのはひとえにこの家系事情があった。

 いつ妹が病気を悪化させても直ぐに治療をする為のお金を稼ぐためだ。

 

「ごめんね、拓斗」

 

「……なにいきなり謝ってるんだよ母さん」

 

 おかずを口に頬張りながらいきなり謝罪を繰り出した母親を所謂ジト目でみる

 

「私が不甲斐ないばかりに」

 

「またその話か。俺が好きでバイトをしているんだ。母さんが気にする事じゃない」

 

 百恵は拓斗がバイトするのには反対だった。自分が蒼葉の分まで稼ぐから拓斗には高校生活を楽しんでほしかったのだ。だが拓斗は高校に入るのと同時にタッチの面接を受け……もう殆ど内定していたもんだが……受かった後にバイトする事を百恵に話したから真っ向から反対されるようなことは無かった。

 

「それにもしもの時は母さんが蒼葉についててくれよ」

 

「そんなもしもは来ない方が良いけどな」と心で付け加える。

 

「それに俺は本当に好きでやってんだ。あの場所は俺の大好きな場所だからな」

 

 拓斗は小学生時代ははっきり言って結構陰キャな部分があった。

 しかしタッチに行き始めてからは拓斗の性格はとても明るくなった。拓斗がした唯一我儘で今も昔もはまっているカードゲーム、そしてそれをするための環境であるタッチが拓斗を形成する場になったのは事実だ。

 

(だから……俺はあの時調子に乗ったんだろうな)

 

 一瞬、過去に思いを馳せかけたがまだ目の前にご飯があるのを見て勢いよく頬張った

 

 

 ★

 

 

 拓斗と久しぶりにまともに話したと思った涼花は兄と共に生徒会の職務を終わらせて校門を出ると黒いベンツが迎えに来ていた

 

「余りこういうもので帰りたくないんだがな」

 

 兄が言うのを心の中で素直に頷いた。周りでは部活帰りの生徒たちがコソコソと話している。

 涼花がお嬢様と呼ばれる理由、それは涼花が本当にお嬢様と呼ばれる人種でもあったからだ。

 

 ベンツに2人して乗る。運転席にいたのは母の秘書である遠山(とおやま)という女性だった。

 

「優輝様、涼花様、本日もお疲れ様でした」

 

 車を出しながらそう言ったが優輝は苦笑いで答えた

 

「その呼び方はやめてもらえますか、遠山さん」

 

 それに笑いながら遠山は前から眼を逸らさずに答えた

 

「そうですね、悪ふざけが過ぎました」

 

 遠山は30代半ばの女性で涼花が小さい頃から2人とは面識があるだけではなく、母親が不在の際はよく遠山が2人の相手をしていたのもあり2人にとっては姉のような存在だ。

 だから様付けはやめてほしいのが2人の本心だった

 だけれども今涼花は違う事を考えていた

 

(何でだろう……なんであの人と話すたびにあの事を思い出すんだろう)

 

 優輝と遠山が話しているのを半分ほどスルーし涼花の頭の中では今日の拓斗との話を思い出していた。氷火とまともに話したのは今日が久しぶりだが前々から思っていた事がある。

 

(私……ここに転入する前から氷火君とどこかで会った事あるかもしれない)

 

 そう思ったら……少し心臓がざわついた

 




次回から物語が軽く動き出す

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