運命?なにそれ?と言わんばかりにデレない美しき巫女   作:レオ2

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わ〜偶然ってあるんだ〜

 日曜日、学生にとっては遊び倒せる日、ある者は部活に打ち込める日、ある者はバイトの日、そしてある者は勉学に打ち込める日。

 拓斗はバイトが休みなのを良いことに今朝から勉学に励んでいた。

 普段の拓斗のふざけっぽい態度を見ているクラスメイトからしたら実に意外な光景だが拓斗は真面目の部類には入る。

 偶に疲れた時は授業を適度にサボっているがそれは自分のやる気を出させるための戦略的サボりだ(戦略的って何だって感じだが)。

 

「あ、お兄ちゃんおはよう~」

 

 と隣の布団から妹の蒼葉が眠そうな眼を擦りながら体を起こした。

 

「ああ、おはよう蒼葉」

 

 拓斗は勉強を中断し蒼葉の額に手をあて簡易的に熱を測る。

 百恵は既に仕事に出ていった。

 

「今日は大丈夫そうだな」

 

「うん! えへへ」

 

 今年で中学1年生になるというのに蒼葉はどこか子供っぽい。

 それは病気がちゆえに学校で同年代の子と触れ合うと言う事が少ないからに他ならなかった。

 

「お兄ちゃん今日も行くの?」

 

「……そうだな。良い天気だし」

 

「じゃあ蒼葉も行く!」

 

 それを聞き拓斗は一瞬考えたが蒼葉にも気分転換は必要だろうと思い頷いた

 

「分かったよ、一緒に行こう」

 

 それに嬉しそうに首を縦に振った蒼葉なのであった。

 

 

 ★

 

 

 拓斗には3年前から行っている日課がある。いや、週一だから厳密には日課ではないがそれでもやっていることがある。

 何時もは歩きで30分ほどかけていくが今回は蒼葉も一緒なので電車に乗り2駅超えて降りる。駅から降りたら少し神秘的な山が聳え立つ。二人の目的地は山の山頂……ではなく麓の住宅街から少し離れる場所にある。

 

 蒼葉と手を繋ぎ、歩きながら3年前の事を思い出していた。

 

 

 ★

 

 

 3年前・4月の中旬

 

 拓斗は龍神学園の入学祝で初めてスマートフォンを手に入れた。頭の中にはきちんと特待生を維持することがあったので普通の同級生たちと違って勉学を疎かにすることはしなかったが。

 

 中学からの帰りの電車、拓斗は勉強アプリを開いて英単語を勉強していた。妹が生まれ2年が経った時に自分達の父親は母を捨ててどこかに行った。

 それからだ、拓斗がどこか早く大人になろうとしたのは。スマフォを手に入れした事は友達との連絡交換も勿論したがやはり勉学に利用する事が大半だ。

 

 ピロン! と拓斗のスマフォに通知が入る。その通知を見て拓斗は直ぐにアプリを開く。少しドキドキしながら「スタディメモリー」というアプリを開く。

 このアプリを勉学の時間を記録する事が出来るアプリで勉強した時間が気になる拓斗にはピッタリなアプリだった。

 これは一種のSNSのアプリでもあり他の人と交流する事が出来る。ダイレクトメッセージのページまで開き目当ての人物とのダイレクトメッセージを開く

 

『良いですよ、連絡先交換しましょう』

 

 その返事と共に可愛い顔文字が添えられる。拓斗は電車の中なので心の中でガッツポーズをしてどうやって連絡先を交換するか考える。

 このアプリはあくまでも勉学の為のアプリでありそんな出会い系アプリのような事は運営に対処される。お互い、アカウントが消滅するのは望むところじゃない。

 

「よし、暗号でやるか」

 

 そう言って軽く頭を捻り連絡先を交換するための暗号を送る。最初はヒントをあげようかなと思ったが

 

『暗号ゲームですか?』

 

 そう画面の向こう側の本人がクスクスと笑った声が聞こえた気がする。

 

『ヒントはいらないですよ』

 

 ヒントを打つために画面に手を滑らせようとしていた拓斗はそれを見て止まった。

「分かった」と送りこんな会話は自分らしくないと思う。

 このメッセージの相手……アカウント名「花」さんと話すようになったのは偶々だ。

 起立性調節障害……それが花さんが自己申告だが患っている病気だった。自律神経系の異常によって様々な症状が現れる病気。見た目は変わらないので理解されないことが多い。

 

 拓斗は何となく妹と重ね、花と話してみたくなりダイレクトメッセージを送ったのが2人の画面越しの付き合いが始まったきっかけだった。

 

「って早!」

 

 と拓斗が自分のスマフォの通知を見て思わず呟いた。それは花がメッセージアプリで拓斗のアカウントを友達登録したことを知らせる通知だった。

 即興で考えた暗号とは言え簡単に解かれたことに少しプライドが傷つく。

 

 拓斗はそんな事を一瞬考えたが直ぐに思い直し自分も友達登録をして相互登録したことによりメッセージを送りあえるようになった

 

『こんにちは。出来てますか?』

 

 画面の向こうにいる人の性別は分からないのにどうしても女性だと思ってしまうのはしょうがないと拓斗は思った。

 いや、今までの会話では女性らしさしか感じなかったからもう女性としか思えなかった。

 

(……それがどうしたって感じだけどな)

 

 まさか画面越しの人に恋する訳ないだろ、と思いながら拓斗は返事を返しながら自称「花」さんの本名ないかなと見てみるがどうやらメッセージアプリに登録している名前も「花」のようだ。

 

(……と言う事はこれが本名なのかな?)

 

 いや何もおかしい事は無い。自分だって拓斗なのにアカウント名は「拓」にしているのだから。恐らく向こうも拓という名前が本名だと思っているだろう。

 

 拓斗が花を気にかける理由、それは花の投稿に胸がざわつくことが多かったからだ。その一部を紹介すると一番最初に拓斗が見た投稿は「死にたい」だった。

 

 拓斗はそんなストレートに言う人を見たことが無かった。自分はまだ恵まれている。大好きな家族がいて、タッチで会った友達がいる。だから幸せだと思う。死にたい……そう口に出す人は自分の妹くらいしかいなかった。

 ネットだから出来るのだろうとは思った。それでも不特定多数の人が見る場でそんな事を言う人に病弱の妹の事を重ね殆ど意識せずに話を聞いていた

 

 ★

 

 蒼葉と共に歩いていたら目的地が見えて来た。ここら辺では一番の大きさでテレビでも何度か取り上げられている場所。

 数多の有名人もここに来るともっぱらの噂だ。ただし拓斗は会った事が無い。そもそもテレビがないから知らない。

 

 来るものを迎える巨大な鳥居、その先は長い道がある。ここ、龍神学園の名前の元とも言われている神社、「龍神神社」は地元では特に有名だ。

 蒼葉と共に一礼しながら鳥居をくぐり長い道を歩く。道中には龍を模した石像などが置かれている。

 そこでふと涼花の事を思い出した。偶に机を見たら涼花はよく勉強している。そんな涼花でも神頼みとかするのだろうか? 

 

(こんなTHE神様が集うって感じの場所、あいつが来るわけないか)

 

 そう自分の思考を嘲笑い蒼葉と共に境内まで歩く。

 来るたびに思うが長い。だが蒼葉は久しぶりに来る光景にちょろちょろと周りを見渡している。拓斗は週一で来るからそんなに感じないがやはり龍の石像や旗とかは目新しいのだろう。

 

(この神社作ったのは誰なんだろうな)

 

 とここの石像やらを見て思った。その思考が境内が見えて2秒後に吹き飛んだが

 

「……え?」

 

 境内が見え蒼葉にもうちょっとだなと言おうとしたところ境内の前を掃除していた巫女さんが呟いたのが聞こえた。

 

「……ふぁ?!」

 

 拓斗も変な声を出す。理由は至極簡単。

 巫女さんがクラスメイトだったからだ。それだけならいい。だがこれは

 

(まさか俺の思考を読まれたか!)

 

「そんな訳あるかい!」と頭の中の自分が言ったが一瞬動揺したのは確かだ。

 そのクラスメイトはアッシュブロンドの髪を綺麗に結び持ち前の白い肌が袴にとてもマッチしている。そして最後に青色の瞳が拓斗を捉えていたからだ

 

「わぁ……綺麗……」

 

 マイシスター、それには同意だが俺の心中はそれ所ではない

 

「氷火君……」

 

 件の人物が思わずという感じで呟いた

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