運命?なにそれ?と言わんばかりにデレない美しき巫女 作:レオ2
集中できねえ
それが拓斗が今感じていることだった。後ろからチリチリと視線を感じる。誰の視線なのか? それは言うまでもなく先程奇異な場所で出会ってしまったマイクラスメイトだ。
努力で臨むものを手に入れる、それが拓斗がこの1年間で感じた涼花という人間だ。それなのに神頼みするところであるここいる事に多少なりとも驚きを禁じ得ない。
(それに)
拓斗がチラッと背後を見ると涼花は慌てて掃除を再開する。拓斗は立場上何も言えないのを良いことに涼花の姿を瞳に焼き付けた。
(うちの男子共が見たら全員倒れるんじゃないか?)
と涼花の巫女姿を見ながら思った。
元々透き通るような肌に巫女の姿はとてもマッチしているし、唯一神社で働くとしては良いのか? と思うアッシュブロンドの髪も不思議と様になっている。
更に基本的に少し結ぶだけの髪をしっかりと結び普段とは違う髪型なのもグッと来た。間違いなく学校の連中が知ったら参拝客が増えるだろう。
「お兄ちゃん次だよ?」
隣で手を繋いでいる妹の声で前に向きなおした
「ああ、願い事は決まったか?」
「うん! 家族皆元気で過ごせるように、だよ!」
俺の妹が可愛いしいい子過ぎる件について
「そうか……」
そんな事を考えたら目の前の参拝客がお守りなどを買う売り場まで歩いていく。
涼花の事を意識の端に追いやって5円玉2枚取り出し1枚を蒼葉に渡す。2人でお金を投げた後手を合わせそれぞれ祈る
(家族が皆元気で過ごせますように!)
蒼葉がそう祈っている、その隣では拓斗がどこか辛そうな表情で目を閉じていた
(花さんが何事もなく幸せになれますように)
拓斗はここに来るたびに思い出す過去に身をゆだねた
★
好きだ
彼女と奇妙な関係になって3カ月経った時、こんなことを言ってしまった
どうしてそんな事を言ったのか自分でも分からなかった。
ただ、顔が見えないはずなのに不思議と画面越しの人が泣き顔になっていることが簡単に想像できた。
自分でもこんな状況で言うのは卑怯だと思う。積み重ねた信頼を崩したと、この時は思った
私も好き
だからこんな返事が就寝前に帰って来た時は寝られなかった。顔も知らない。どこに住んでいるのかも知らない。本名なのかすら分からない人に恋するなんて本当に馬鹿だと思う。
でも当時は止まれなかった、胸を熱くし気が付いたら指が画面をなぞっていた
その言葉を見るたびに何度消そうか思ったほどだ。
おやすみ
恋愛初心者だった当時の自分は現実を認識出来なくて咄嗟にそう返してしまった。本当なら「どうして?」とか「なんで」とか他に話題があるのにも関わらず就寝宣言をしてしまったのだ。
おやすみなさい
画面の向こう側でクスクスと笑う彼女が見えた気がする。
自分はそれ所ではなかった。
その「好き」という言葉を見るたびに寝返りを打ち体を熱くし結局その日は寝られなかったのを覚えている。ついでにその日の授業に身が入らなかったのも。
その日から拓斗と花さんの更に奇妙な……交際が始まった
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