運命?なにそれ?と言わんばかりにデレない美しき巫女 作:レオ2
よりにもよって彼に見られた
それが巫女さんとして働らかせてもらっている涼花が拓斗を見て思った感想だ。
だがそれを思った次には冷える気持ちがあった。何故なら拓斗が見知らぬ女の子を連れていたからだ。
涼花は拓斗が去った鳥居を思い出しながら手を心臓に当てた。あの女の子を見た時に心臓がざわついた……なんて事実を無くすように頷く。
(そうよ……あの女の子は氷火君の妹。だから大丈夫)
違う意味で大丈夫じゃないが涼花は取り合えず自分の心を納得させた。
(でも……氷火君に神社にくる習慣があったなんて……)
家の反対を押し切って期間限定とは言え小さな頃から憧れていた巫女になった。小学生の後半から中学の終盤まで病床に伏していた涼花からしたら外で働けるというだけでとても嬉しいのだ。
しかしそれとこれは別だ。拓斗が去った後、先輩が拓斗は1週間に1回は参拝に来るという情報を貰った。そして涼花は家の都合上土日のどちらかで勤務する予定だ。
拓斗と涼花がかち合うリスクが非常に高い。
(氷火君が他の人に言いふらしたら面倒くさい事になる……明日釘を刺さなきゃ)
涼花は学校でそれなりに有名人の自信がある。
自分でも容姿が他の人に比べて優れているのは理解しているしそれを武器にしている面もある。人は中身……そういう人の事も分かるがそれでも第一印象は大事だ。
第一印象で話をしっかり聞くかどうかの判断もされる。
(……そうよ。その点氷火君が可笑しいんだわ!)
何だかとんでもない責任転嫁を始めてしまった。
(私の巫女姿を見て頬の一つも染めないのよ! 絶対におかしいわよ!)
自信過剰である
(まだ妹ちゃんの方が正直よ!)
蒼葉が「綺麗」と言った事をしっかりと聞いていた。現金な人だ。
(……妹……か)
涼花はベッドの上で上体を起こした。その顔は先程まで凄い勢いで責任転嫁していた人物に相応しくないどこか暗い表情だった。
「そう言えば……拓君にも妹がいるって言ってたな」
3年前、自分の中途半端な思いで困らせたであろう想い人を思い浮かべた。
姿も声も知らない。だから自分は人間性で惚れたのかもしれない。というよりもそれしか判断する基準がなかった。
こうして眼を閉じるだけで彼とのやり取りが蘇る。
「……バカみたい。私から振ったのに……こんな事いう資格ないよね」
そう自己険悪に溢れた声を出し再びベッドに倒れる。だが……いつもはやめようと思ったら直ぐに自己険悪を止められるのに今日は止められなかった。
その理由の1人で、想い人と何となく名前と話し方が似ている人物と出来るなら会いたくない場所で会ってしまったからだろうか
(……そんな訳ないか)
当時、誰も来てくれない病室では通知音だけが涼花の楽しみだった。彼だけが自分の話し相手だった。兄は兄で新しく入った学校に慣れるのに時間がかかるだろうし親はもってのほかだ。問題は自分達の継父になった人だ。
どうしてあんな人と母が結婚したのか分からない。
「あれ? また……」
そう瞳に自分の指を添える。そこには綺麗な涙が付いていた。自分のしたことにこの3年間、ずっと自己険悪を感じている。
(ダメなのに……会いたいって思っちゃう。会った事もないのに……全部拓君のせいなんだから)
布団を握りしめる。責任転嫁しているが本人にも分かっている。こうなると分かっていても……あの関係に終止符を打ったのは自分なのだから
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