尋ね人はとりあえずアグネスデジタルに聞いとけ
トレセン学園にはそんな逸話がある。
我々はその真偽を確かめるべくトレセン学園へと向かった。
「ウマ娘いるところにデジタルあり」
そんな言葉がトレセン学園ではまことしやかに噂されている
曰く、
トレセン学園で友達と写真を撮るとそのどこかに必ず彼女が映りこんでいる
曰く、
恋バナあるところには必ずどこかに彼女あり
曰く、
レース後のウイニングライブではいつ見ても最前列にその姿がある
などなど、トレセン学園ではそんな彼女に関する様々なうわさが後を絶たない。
この「ウマ娘いるところにデジタルあり」といった噂も、もしかしたらそうした噂のどれかがいつの間にか飛躍して大げさになったものなのかもしれない。
我々は今回そんな噂の彼女、アグネスデジタルの一日に密着してみることにした。
彼女の朝は早い。
「朝練のウマ娘さんたちの姿を見過ごすわけにはいきませんから」
一人一人丁寧に朝練を普段行っているウマ娘たちのリストを作成していく。
Q.自身の練習もあるのに他の方の練習まで見るのは大変なのではないか?
そんな我々の疑問に彼女は今回答えてくれた。
「確かに自分の普段の練習と並行して他のウマ娘さんたちの練習を追うのは時間がかかる
ことです。
けどね、好きで始めたこの追っかけも今ではすっかり日課となってしまいましてね
作業量は確かに増えますが、そこは長年培った経験でカバーしています」
そう語る彼女の目からは、ウマ娘たちのことについては常に全力であるという意志を強く感じた。
彼女の日課に付き合ううちに時刻はもうすぐホームルームの開始時間に差し掛かろうとしていた。
Q.このままだとホームルームに遅刻してしまうのでは。
そんな我々の疑問に彼女は答えてくれた。
「そうですね…。自分でも時間の方はだいぶギリギリを攻めていると思います。
けどね、この時間だからこそ見ることのできるウマ娘さんたちの焦った表情もございま
して…
それを見るためだったら遅刻のリスクの一つや二つ余裕ですよ」
「とはいえ…そろそろデジタルもいかないとやばそうです。
遅刻のせいでウマ娘さんたちとの時間が減るのはNGなので、お先に失礼しますね」
そう我々に言い残し、彼女は昇降口へと走り去っていった。
結局我々が後から教室にたどり着いたころには彼女は何喰わね顔で自身の席に着席していた。
あそこからホームルームに間に合わせるのは流石GIウマ娘といったところだろう。
彼女のレース以外でウマ娘としての能力を活用しているのは見ていて爽快である。
授業中の彼女はとても幸せそうだった。
我々取材班は当初その理由が分からなかったが、ついに一つの仮説を見出した。
もしかするとアグネスデジタルというウマ娘にとってはウマ娘の方々と同じ空間にいるというだけで満たされているのだと。
幸せそうな彼女の様子はそのまま放課後にまで続いたのだった。
放課後我々と行動を共にしてくれた彼女の目は絶えず何かを追っていた。
「ぐふふふふ、たまりません」
Q 何をみているのですか?
「そりゃあ勿論、ウマ娘ちゃんたちに決まってるでしょう!
ほらっ、あそこにも!
ああ…やっぱりここは楽園ですよ~」
今日はいつも以上にウマ娘の姿が見ることができて我々は幸運であると彼女は語る。
放課後の彼女の予定はこうしてトレセン学園中を練り歩くことが日課とのこと。
話を聞くともはやどの時間にどこでどのウマ娘がいるのかまで大まかに把握しているらしい。
これがあの「尋ね人はとりあえずアグネスデジタルに聞いとけ」といわれる噂の所以だろうか?
試しに彼女と同室であるというアグネスタキオンの放課後の居場所を聞いることにした。
我々の予想としてはトレーナー室か彼女の実験室のどちらかである
そのことを彼女に伝えると少し考えるそぶりを見せたが、
その答えは我々の予想とは異なったものだった。
「ん~そうですね。いつもだったら確かにトレーナー室か実験室のどちらかだと思いま
す。
けど今日に限ってはもしかすると生徒会室かもしれないです。」
Q. それはなぜ?
「少し前なんですけど、エアグルーヴさんが鬼の形相で誰かを探しているのを見たんです
けど、
基本的に普段からエアグルーヴさんを怒らせる人ってタキオンさんかゴールドシップさ
んのことが多いので今回もそんな感じかなと思ったりしています」
その言葉通りアグネスタキオンは生徒会室に呼び出されていた。彼女のトレーナーと一緒に呼ばれたようだった。
詳しい内容まではわからなかったが、そんなイレギュラーな状況までも当てきるアグネスデジタルの考察力には驚かされた。
Q. もしかしてたまたま呼び出されているところを見ていたのか?
「まさか、四六時中ウマ娘ちゃんたちのこと考えて毎日トレセン学園で彼女たちを見守っ
てるだけです。
あたったのはまぐれですよ~」
彼女はそう謙遜していたが彼女の推理力は本物だった。
毎日朝からウマ娘のことを考え続けている彼女だからできる芸当だろう。
今回は我々からの頼みで彼女のトレーニングに同行させていただくことになった。
Q. その手に持っている巨大なおにぎりはトレーニングか何かに使われるのですか?
「おにぎりをトレーニングに?まさか
ウマ娘ちゃんたちのトレーニングをおかずに食べているだけですよ」
我々がおかしいのだろうか
そう思い、途中から合流した彼女のトレーナーに助け舟を求めてみることにした。
「ああ…デジタルの白米ですか…
不思議なことにね、白米を食べてからだとめちゃくちゃ調子がいいんですよ
訳が分からないでしょう?
僕ですか?さすがにあの量は食べれませんよ。
おかずにするといっても普通のおにぎりサイズが限界です笑」
そういう彼も双眼鏡を片手におにぎりを頬張っていた。
アグネスデジタルもそのトレーナーも同類のようだ。