「さて…トレーナーさん」
「あなたには今二つ選択肢があります」
「聞かせてくれ」
「一つは借金の方にマグロ漁船に乗せられるって選択肢です♪
しかし、これは私としても望ましくありません…」
「それでは…二つ目の方を聞かせてもらっても?」
「はい!トレーナーさん、
二つ目はこの婚約届にサインをすることです♡」
「なに?婚約届?!」
「トレーナーさんにとっても悪い話ではないはずですよ~
今まで通りの生活も送ることができますし、何より今後はサトノ家の婿として一生お金に困る生活はさせませんよ?」
「…少し考えさせてくれ」
「むう~トレーナーさんったら焦らしますね。
分かりました。明日また答えを聞きますね」
――――――――――――――――――――――――――
はじめはほんの些細な気持ちからだった。
「今月は金欠だな~」
トレーナー室でふとそんなことを漏らしてしまった。
それが失敗だった。
「金欠なんですか?トレーナーさん?
「ん?あ~…変なこと言ってごめんなダイヤちゃん。
忘れてくれ」
「お貸ししましょうか?トレーナーさんにだったらいくらでも」
「いやいやいや、流石にまずいでしょ」
「遠慮しないでくださいトレーナーさん、
それにトレーナーさんだって返してくれるつもりならいいじゃないですか」
「まあ…そうだけど…」
「それだったらいいじゃないですか!
けど…そうですね…
少しお手数をおかけしてしまうのですが、この契約書にサインしてくれるだけでいくらでもお貸ししますよ♪」
「…来月には必ず返すから」
「はーい、じゃあサインの方お願いしますね?」
サイン完了
「はい!確認しました。
はい。どうぞトレーナーさん」
「っおいおい、随分と多いな。こんなに要らないぞ?」
「必要な分だけで使ってくださればいいですよ~」
「分かった。助かる。
来月には必ず返すから」
その月はダイヤちゃんが貸してくれたお金のおかげで何とかしのぐことができた。
次の月にしっかり借りたお金も返していつも通りの生活に戻るはずだった。
しかし人間慣れとは怖いもので、再び金欠に陥ると何度も自分の担当ウマ娘に頼ってしまった。
次第に借りる金額も増えついに返済の期間を延長してもらえるようにお願いせざる負えない状況にまで陥ってしまった。
「いいですよ。いつでもいいですからねトレーナーさん」
「ありがとう…すまない」
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「…今月ももう少しだけ待ってもらってもいいか?」
「はい!大丈夫ですよ」
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「今月借りた分、もう少しだけ待ってもらえると…」
「もちろんかまいませんよ」
――――――――――――――――――
次第に借りる金額が増えていくことは少し怖かった。
借りた分を返すためにまた借りる。
その繰り返しで気がつけば相当な金額になっていた。
にもかかわらずダイヤちゃんはいつも優しく当たり前のように貸してくれる。
そのことに罪悪感を感じつつも、ついつい彼女の優しさに甘えてしまう。
―――――――――――――――――
「今回もいいか?」
「だめです」
「え?」
「もういいかなって、トレーナーさん。
貸してたお金はもう待ってあげません」
「すまない…ダイヤちゃん。
もう少しだけ待って欲しい。」
「だめです~」
「けれど」
「何でしょうか」
「あなたには今二つ選択肢があります」
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ダイヤちゃんから二つの選択肢を提示された。
「婚姻届か…」
婚約者にでもなってくれということだろうか。
いったいどうすれば…
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「それでは返答をお聞きしましょうか。トレーナーさん」
「一つ聞かせてほしい」
「なんですか?」
「なんで俺なんだ」
「といいますと?」
「原因は俺の借金だ。
それを取り立てるというのも理解できる。
けど、その…婚姻届っていうのは…」
「婚姻届っていうのは?」
「やっぱりその…将来を誓い合った二人が出すものだろ?
となると…やっぱり君は俺のことを」
「はい!大好きですよ。愛しています」
「っ!だったらなんでこんな方法」
「だからですよ?あなたが欲しい
そのための手段の一つを使おうとしているだけです」
「もし…仮定の話だが、
マグロ漁船の方を選んだらどうする?」
「どうもしませんよ。
私も一緒にその船に乗るだけです」
「へ?」
「だって離れ離れは嫌ですもん」
「分かった。ありがとう
応えるよ君の気持ちに」
「書くよ、その婚姻届。」
「やった!
けど、賢明な判断ですよトレーナーさん」
「けど!一つ勘違いしないで欲しいことがある。」
「何でしょうか」
「これは借金のせいで書くんじゃないってことだけは言っておく」
「それは…えっと?えっ!?」
「ここまで君から言わせてしまったんだ。
この婚姻届にすら言い訳はしたくない」
「もっと直接言ってもらえませんか//」
「それは…」
「マグロ漁船そんなに乗りたいんでか~?」
「うぐっそれは卑怯でしょうダイヤちゃん
借金はどうにかするよ…」
「借金なんてどうでもいいんで早くいってください」
「どうでもいいなんてことは…
まあ…その、俺も君のことが好きだよ。なんて」
「わたしもです」
「「照れますねこれは」」
「「ハハハハハ」」
「それはそうと早くサインしてください。」
「あっはい」
デジタル「愛が重くても正直に思いを伝えてくれるっていうのはいいですよね」
トレーナー「分かる」