日本ダービー後の学園トレーナー室にて
トレーナー「さて…キング、今後の練習の話をしようか」
キング「ええ…そうねトレーナー。もちろんこのキングに相応しいメニューなんでしょうね?」
トレーナー「そうだな…。今回は夏合宿がある。練習でもそうだが今回は菊花賞に向けて体力を重点的に増やしていきたいと考えている。」
キング「そこに関しては異論はないわ。菊花賞こそはもう負けられないものね」
トレーナー「キングも知っていると思うけど菊花賞はスピードとスタミナの両方が要求されるレースだ。」
キング「そうね…」
トレーナー「スピードについては今の段階でも戦えるだけの足はキングにはあると思う。だがそのスピードでも皐月賞では届かなかった。」
キング「そうね…その通りだわ」
トレーナー「続けるぞ…。今度の菊花賞ではそのスピード以外にもスタミナまでも兼ね備えないと話にならない。二度の坂越えと3000メートルを走るだけの体力+最後の末脚の余力を残して走る必要がある」
キング「それで体力を増やすってわけね…」
トレーナー「ああ…ただそれだけではなくてスピードやパワーも鍛えなくてはいけないから相当大変な練習メニューになる予定だけど大丈夫か?」
キング「それ聞く必要ある?やれるかじゃなくてやるのよ!
それが私の目指す一流ですもの。」
「それに…もう私には後がないもの…」
周りに聞こえるか聞こえないかのギリギリの大きさでキングがボソッと呟いた。
キングの口からそのような言葉が出たのは今回が初めてだった。
トレーナーである自分の目の前でこのようなことは初めてだった。
自分はそれだけ彼女から頼られる存在になっているということだろうか
自分にすら弱音を漏らしてしまうほどキングの心は追い詰められているのか
それをキングに聞く勇気も資格も今の自分にはなかった。
目の前の女の子の勝ちたいという願い一つかなえてやれない自分が情けなかった。
トレーナー「まずは夏合宿に向けて万全の状態に整えるよ。それにたまには息抜きでもしないとね」
キング「トレーナー。そんな息抜きなんてものにかまけている暇があったら練習しなくていいの?」
トレーナー「キング…」
キング「勝つためには勝てていない私は今まで以上に努力しないと…」
キング「菊花賞は今まで以上に難しいレースなのでしょう?それじゃあ今まで以上に頑張らないと…あの娘たちに勝てない…今まで以上に…頑張らないと…」
これは…よくない。
トレーナー「キング!!」
ビクッ
キング「な…何よ?!」
ここで伝えよう。
トレーナーとして
彼女の担当としてありのままの気持ちを
「キングの菊花賞が菊花賞を何が何でも勝ちたいっていうのはわかってる。
けど…その思いを君の担当トレーナーである俺にも一緒に背負わせてほしい。
一人で抱え込まないでほしい。
俺は君のために人生だってかける覚悟だ!!
だから…俺も君と一緒に戦わせてほしい」
君の隣に立たせてほしい。
相棒でいさせてほしい。
キング「っ!…そうね。けどあなたもおバカな人ね。私みたいなウマ娘にここまで惚れ込むなんて」
キング「それに今の内容だけ聞いたらプロポーズみたいに聞こえるから気を付けた方がいいわよ?」
トレーナー「うぐっ…そういわれると耳が痛い」
キング「けど…」
トレーナー「けど…?」
キング「いいえ…何でもないわ」
トレーナー「え~気になるな。教えてよキング。
俺だってだいぶ恥ずかしいこと言っちゃったんだから」
キング「もう!おバカ!言わせないでよ恥ずかしい」
トレーナー「え?いや…つまりどういうこと?」
キング「っっっ///このへっぽこ!!おバカ!!」
トレーナー「え~急に罵倒された…」
キング「///それで?夏合宿のプランは決まってるの?」
トレーナー「ん?ああ。せっかく海があるからね。砂浜や海を使ったトレーニングを考えているよ」
キング「それって…もしかして水着とか…着るのよね?」
トレーナー「そうだな?それがどうかしたのか。プールでのトレーニングとか今までやってきただろう?」
キング「そうなんだけど…まあ…いいわ」
トレーナー「よし!とりあえずレースってこともあるし今日は軽めに調節するか」
キング「わかったわ。先にグラウンドで待ってるわよ?」
そう言ってトレーナー室から出ていったキングを見送り自分も準備を始めた。
「俺も頑張らないとな…」
キングとそのトレーナーがGIを制す日はまだ来ない。
キングとトレーナの話~夏合宿に続きます。