とある日私はトレーナーからトレーナー室に呼び出されていた。
頼りないところはあるけど、ずっと私を支えてくれたトレーナー。
不思議とトレーナーの室に向かう私の足取りは軽い。
タイシン(これでしょうもない話だったらぶっ飛ばす…)
そんなことを考え私は部屋に向かうのだった。
タイシン「それで?何?大切な話があるって。早くしてほしいんだけどトレーナー」
タイシン(トレーナーとも長い付き合いだし…もしかして…)ドキドキ
そんなことを期待するなんて馬鹿らしいってことくらい理解している。
けれどそんな存在であるほどトレーナーは私の中で大きな存在だった。
トレーナー「ああ…その話か。実は…」
トレーナー「君の移籍先が決まったんだ」
何を言っているんだ。
寝耳に水とはまさにこのこと。
トレーナーの言っている言葉の意味が分からなかった。
タイシン「は?」
タイシン「…もう一回言ってくれない?トレーナー」
トレーナー「タイシンの新しい移籍先が決まったんだよ」
トレーナー「よかったな!タイシン!
ほらっ、タイシンが前から言ってただろ?」
トレーナー「もっと上を目指したいって!だから前々からあの有名な○○トレーナーのところに打診していたんだよ!
あの人の元だったらもっと上を目指せる」
タイシン「別に…そんなつもりで言ったわけじゃ…」
トレーナー「いや~俺としても実は普段から申し訳なかったんだよな~。
正直自分の腕じゃあタイシンと釣り合ってないと思っていたからさ」
タイシン「…トレーナーのおかげで菊花賞だってとれたじゃん」
トレーナー「菊花賞か!それこそタイシンの実力が他のBMWの二人を超えてただけだよ!
俺のやれたことなんてトレーナーだったら誰にだってできるよ」
タイシン「そんなことは…」
トレーナー「新しいトレーナーは俺と違ってめちゃくりゃ有能な奴だから楽しみにしててくれよ!
それと詳細は後日送っとくね。」
タイシン「聞いてないよ…」
トレーナー「ん?」
タイシン「聞いてないって言ってんの!!」
タイシン「そんな簡単に…私のこと…それに私の気持ちだって…」
トレーナー「心配しないでいいぞ?今までよりもよっぽどいい環境と指導者の下で練習できるだ」
トレーナー「あっ!けど新しいトレーナーにはあんまり素っ気ない態度とってあげるなよ?
素っ気ないタイシンも魅力的だけど、それで新しいトレーナーと仲が悪くなっちゃったらもったいないからさ!」
タイシン(だめだ…おちつけ…おちつけ……私)
タイシン「…トレーナーは忘れちゃったの?私をスカウトしてくれた時言ってくれたよね!?」
タイシン「一生面倒見てくれるって言ってたじゃん…」
タイシン「なのにどうして…」
トレーナー「この移籍は君のためでもあるんだぞ?」
タイシン「私は…トレーナーにとっての私は!!」
Prrrrrrrrrr……
そんな私の言葉を遮るようにトレーナーの電話がトレーナー室に鳴り響いた。
トレーナー「ん?やばい!?これから打ち合わせが入ってるんだった。
またあとでな。悪い…それじゃあ」
タイシン「まっ」
ガチャン
タイシン「…」
タイシン「…っ」
タイシン「なんで…」
タイシン「私は…トレーナーと…」
タイシン「……っ……!」
ナリタタイシンの目から涙がこぼれる。
そこにはGIを勝ち上がるような誰もがうらやむ少女の姿はなかった。
ただ信頼していたトレーナーから別れを告げられた一人の女の子がいるだけだった。
彼女とトレーナーの物語はそこで終わった。
特別移籍ってこんな感じですかね