アグネスデジタルのトレセン学園入学前の話です。
トレセン学園入学後の彼女と比べて大きく性格や口調が異なっている場合があります
そんな彼女がどのようにして変態と呼ばれるようになったのか
そんな彼女がどのようにして趣味を語り合えるトレーナーと出会ったのかという話です
「いいですよ。けれど私が勝ったらもう二度と関わらないでくださいね」
そう言ってアグネスタキオンからの誘いを受けることにした。
このアグネスタキオンと名乗るウマ娘に負けて実験に付き合うのはめんどくさい。
走りには自信があるのでさっさと終わらしていつもの日常に戻ろう。
いつも通り周りに従い代り映えのない日々に戻ろう。そう思っていた。
私はレースを行う前まで私は油断していた。相手のことを見てすらいなかった。
だからこそレースの中でいやでも目の当たりにしたアグネスタキオンという本物に、自身の中の感情が大きく揺さぶられたのを感じた。
間近で彼女の走りを見て私は悟った。なんて美しく、そして速いんだと。
彼女の走りに魅入られた。
ウマ娘、それは人とは少し異なる神秘的な種族。
もっと見たいと、そう思った。
レースで負けたことは確かにショックだった。
けれどただそれ以上に自分がいままでいかにウマ娘という存在を見てこなかったという事実におどろいた。
レース後にもかかわらず上の空だった私を見てアグネスタキオン、いやタキオンさんは私が悔しくて言葉を失っていると勘違いしたのだろうか。
いや、実際はあなたの走りに感動していただけなんですけど。そうとは知らずタキオンさんは嬉しそうに近づいてきた。
「はっはっは!今回は私の勝ちのようだね。それではデジタル君、約束通り実験を手伝ってもらうよ。なあにただ被験体になってくれるだけでいいから簡単だよ」
「はっ、はい!タキオンさん!行きましょう。」
「あ、ああ。やる気があるのは被験体としては非常に望ましい、、、のだが、てっきりもう少し渋られるものだと思っていた、私としては嬉しい限りだがどういった心境の変化かな」
タキオンさんがそう尋ねてくるが私は食い気味に答えた
「約束ですもんね!タキオンさん。ぜひ私を煮るなり焼くなり好きにしてください」
「そっ、そうか…。そこまでは言っていないのだが。いや、やる気があるのは結構。すぐにラボの方に向かうとしよう」
ラボについてからはタキオンさんの実験に付き合った。
「本当はもっと大掛かりな設備や実験をしたいのだけどね。これ以上はどうしてもお金の方が足りなくてね、だから今後はウマ娘として自分で稼ぐためにトレセン学園への入学を検討しているんだよ」
こんなにも自分のやりたいことをどん欲に行う彼女の姿を見て何もない自分が恥ずかしく思えた。生き生きとしている彼女をみて私もそうありたいと思う。けれどそうすれば…
「そうだな。君も私と一緒にトレセン学園へ入学しないか、デジタル君。」
そう言い放った彼女の目は本気だった。アグネス家は確かにウマ娘の名家であるが、それでもトレセン学園への入学を許された例はほんの一握りである。
「無理ですよ。私なんかじゃ。それに私はタキオンさんのような走りはできない」
「そうかい?先ほどのレースで間近で見たが君の走りは十分私にも匹敵する実力だったと思うが、まあ無理強いはしないよ」
私がタキオンさんと同じ?いやいやいやそんなはずはない。
私程度があの美しい見る者に希望を与えてくれるあの走りと同じはずがない。
ただ、もし私がトレセン学園へ入ることができたらタキオンさんのようなウマ娘がたくさんいるのだろうか。
今まで以上にもっとたくさんのウマ娘がいるのだろうか。いまだに私のやりたいことはわからないけど、今までなかったウマ娘のことをもっと知りたいという思いが自分の中から湧き上がってくるのを感じていた。