②は合宿3日目の前に挿みます。
※オリジン回を少し修正しました。【転生】直後に稀代の盗人〝
大筋の変更はありません。
〝
現代になってからそう呼称されるようになったその時代は、控えめに表現したとしても〝混沌〟であった。
突如として現れた〝異能〟は、時を経るに従って数を増やしていった。〝発光する赤児〟が確認されて以降、新たに産まれた赤児の半数以上が何らかの〝異能〟を宿していたからだ。
何の前兆もなく世界の枠組みに組み込まれた〝異能〟。人々の受け取り方は多種多様であった。社会の混乱を予測した官僚は頭を抱えた。既存の物理法則を無視する力に研究者は歓喜した。金の匂いを嗅ぎ取った権力者は欲望を膨らませた。フィクションを愛する人々は羨望した。そして、変化を拒む大多数は嫌悪した。
個人では持ち得ない〝武力〟を持った新人類とて、当時はただの赤児。悪意を持つ大人たちに抗う術は持ち合わせておらず、ただただ搾取された。
もちろん、彼らを擁護・支援する団体も現れた。その団体を支持する声も多かった。だが、人間口ではどうとでも言える。善人を装い愛護心を持つように見せかけて、本音の部分では〝異能〟を蔑み、排斥する人が殆どであった。
混乱を極めた時代であったが、それはまだ序章に過ぎなかった。事態が加速したのは、〝異能〟を宿した赤児が成長し、成熟した大人になった頃だ。
彼らは反旗を翻した。利用され搾取されてきた〝異能持ち〟たちは、自分たちの為に声を上げたのだ。
数では劣る〝異能持ち〟だが、彼らには圧倒的な〝武力〟があった。刃物を通さない身体。遠くを見通す瞳。建物より大きくなれる肥大化する肉体に、人の動きを封じる術。
街に溶け込み身一つで戦える彼ら〝異能持ち〟の前に、数的有利は意味を持ち得なかった。
混乱が混乱を呼ぶ時代。それまであった平和が崩れ去り、人間が己の欲望に従って生きる世紀末。
前田
▽ ▽ ▽
世助は孤児だった。父親は彼が産まれる前に蒸発し、母親は出産時に脳出血が原因で死亡した。母親自身が天涯孤独であったため世助を引き取る親戚はなく、彼は新生児の内から施設が預かることに決まった。
寄る辺のない彼であったが、引取り先はすぐに見つかった。それは彼が産まれた病院、〝前田総合病院〟の当時の院長だ。院長の前田 俊助とその妻の間には長いこと子宝に恵まれなかった。年齢的にも妊娠を諦める他なかった前田夫妻は、世助を我が子として迎えることに決めた。
世助は2人から大きな愛を受けて育てられた。
『小さなことでも良い。世の人の助けとなれる人間になりなさい』
幼い頃から世助が養父、俊助より繰り返し言われた言葉だ。その教えに従い育まれ、やがて青年となった世助は、父と同じく医者となる。多くの命を懸命に救い、名前に込められた両親からの願いは、いつしか世助自身の信念となっていた。
人々を助けること。それは彼の生きる意味であり、使命だった。
身を粉にして患者を救命する彼の姿は多くの人々の尊敬を寄せ、慕われた。それでも彼は増長することなく、初心を貫いていた。
『混乱する情勢であるからこそ、目の前の命に真摯に向き合い、一人でも多くの人を助け出そう。それが自分を引き取り育ててくれた両親への恩返しであり、僕という人間の存在理由だ』
月日が経ち院長から理事長となった父親の下、〝前田総合病院〟にて後期研修に励む世助。学生時代からの恋人と婚約関係となり、その婚約者が懐妊した知らせを受け幸福絶頂の日々。
──魔王の手が差し向けられたのは、そんな時であった。
前田 世助は孤児であり、医師であり、そして彼には妊娠中の婚約者がいました。
次回から林間合宿2日目です。明日にでも更新します。
※この下、コミック最新巻までの微ネタバレあり、注意。
因みに僕は超常黎明期を130〜120年前に始まり、70年前に終わったと考察しています。
理由は、①超常黎明期の後期に活躍していたと思われる張間歐児、その玄孫であるMr.コンプレスが現在32歳であること。
②殻木が70年前に発表した〝超常特異点〟。その時期のことを殻木は〝荒みきった世を平和に戻さんと足掻く時代〟と言っており、これが超常黎明期末期と予測される。
③〝個性〟のある殻木が120歳を超えていることから、120年前には既に〝異能(個性)持ち〟の赤児が産まれていた。
④現在42歳の〝緑谷引子〟が〝第四世代〟と呼ばれていること。
この4点から予測しました。恐らくガバガバ理論です。
※超常特異点を発表後の殻木から〝個性〟【摂生】(人の2倍の生命力。老化を止めるわけではない)を貰い受けた筈のオルフォさんの外見が、〇〇くんの10年前の回想で50歳代くらいである矛盾点には目を瞑ってください。きっと他の〝個性〟で若々しいのです。そういうことにしないと、100年くらい前に死んだ世助とオルフォが出会えない計算になるので…。