急いで書いたので、後々修正するかも。
感想欄の返信で結構ストーリーの補足しているので、是非そちらもご覧ください。
そして、どしどしTSとヒロアカの愛を語ってください。ぼくの養分となります。
オールマイトがUSJに到着する数分前。
雄英の校舎の仮眠室にて、とある2人がお茶を飲みながら会話に花を咲かせていた。
いや、会話と呼ぶには片方だけが喋りっぱなしで、正確には説教されていると言うべきだろう。
一方的に自論を展開して喋り続けているのは、ネズミなのか犬なのか熊なのか判断の付かない、不思議な外見をした生物だ。異形型にしても人間離れしたその人物の正体は、『〝個性〟を持った動物』であり、更に言うとこの高校の校長だった。名前は〝根津〟と言う。
根津は目の前にいる新米教師に『ヒーローと教師という関係の脆弱性と負担』について、長々と語っているところであった。
(ま、まだ続くのだろうか…)
一方、根津の教師論語りという拷問の被害者になっているこの新米教師。金髪に黄色いスーツを着た長身の男。そんな目立った特徴を持つにも関わらず、彼を見た者がまず抱く印象は『ガイコツのような顔と痩せ細った体』だろう。一目で不健康だと分かる彼は、延々と続く根津の話に申し訳なくも思うが嫌気が差していた。
(相澤くんたちから折り返しの連絡もないし…授業の行方が気になるんだけどなぁ)
実はこの男、本来なら相澤や13号と一緒にレスキュー訓練の講師を務める筈だった。しかし、出勤前に無理をしたせいで体に負担がかかり、その結果授業に10分程度しか参加できなくなってしまったのだ。
その出勤前の無理というのも彼が自主的に取った行動のせいであるため、今こうして根津に教師論を語られているのも自業自得と言えるだろうが。
「うーん、八木くん。キミあまり真剣に聴いていないね?」
授業のことを思うあまり上の空になったいた男──〝八木 俊典〟は、その胸中を根津に言い当てられてしまった。
「ハッ! い、いえ! 決してそんなことは…っ!」
(まずい…! これでは更にこのご高説が長引いてしまう!!)
あたふたと慌てる八木を見て、ふーっと溜め息をついて根津は持っていたお茶をズズズっと飲み干した。
「まったく、キミはヒーロー活動以外はてんでダメだね。いくら新米教師と言ってもね、──日本のNo.1ヒーローがそんな調子でどうするんだい?」
『No.1ヒーロー』…この国でその代名詞が付く人物は1人しかいない。このガイコツのような痩せっぽっちの男とは似ても似つかないが、根津は何も間違ったことを言っていなかった。
即ち、この八木という男こそ日本が誇る最強のヒーロー、オールマイトの本来の姿なのだ。
八木は、根津の言葉に面目なさそうにして縮こまった。
その情けない姿は、普段の威風堂々としたオールマイトからは想像もできない。
一般人やほとんどのヒーローが知らされていないことだが、実はオールマイトは6年前にとある
それでも彼はヒーロー活動を継続するために、1日に3時間、気合いだけでもとの筋骨隆々の姿を維持することに成功している。
彼が未だにヒーロー活動を続けられているのは、その揺るぎない精神力の賜物なのだが…根津が指摘したように教師としてはポンコツなのであった。
「いいかい、もう一度言うけどね、教師としてこの雄英に就任した以上、それ相応の──」
ああ、話が振り出しに戻ってしまった。
そろそろ根津の話を振り切ってでも相澤たちの下へ向かおうかと八木が考え始めた瞬間──。
ドンッ。
2人のいる仮眠室に突然乱入者が現れた。
リラックスしきっていた八木と根津だが、そこはプロのヒーロー。瞬きをせぬ間に臨戦態勢へと移行するが、乱入者の姿を視認して呆気に取られた。
何せ、八木が向かおうとしていたUSJにてレスキュー訓練を受けている筈の、一年A組空戸 移がたたらを踏んで俯いていたのだから驚かずにはいられない。
「く、空戸少女…? いったいどうし──」
「根津校長! 報告です!! USJに──
▽ ▽ ▽
USJから【
あの霧の男は『オールマイトに息絶えていただきたく』と言っていた。どういう算段でオールマイトを倒そうとしているのかはわからないため、彼を連れて行くのは連中の狙い通りの展開になるのかもしれないが、私はまず頼るのは彼が一番だと判断した。
オールマイトに最初に伝えておけば、私が他の教師に助けを求める僅かな間に、1人でUSJへと辿り着くと思ったからだ。
増援は早ければ早い方が良い。オールマイトに時間を稼いでもらっている隙に教師陣に準備してもらい、総勢で奴らを叩く。
最悪の想定として、USJ以外にも
しかし──。
(校舎内にオールマイトがいないッ!?)
職員室、教室、会議室、保健室、男子トイレ…。頭に多大な負担をかけながら校舎全体を同時に【
完全に想定外…。雄英の敷地は広大だ。校舎にいないのなら、次はどこを探す? グラウンドか? 他の訓練施設か? あるいは、敷地外も…。
(…いやアホですか!! オールマイトがいないなら、他の教師を頼るまででしょー!?)
【
時間を無駄にするな。1秒2秒の遅れが、相澤先生や13号、クラスメイトたちの死に繋がるかもしれないのだ。
(とにかく次善の策を──根津校長の下へ向かいましょー!!)
校長ならば、他の教師への連携もスムーズに取ってくれる筈だ。それに、校長の姿は『合格案内のホログラム』で何度も見ているし、特徴的で探し易い。
【
ドンッ。
精度が乱れていたため、激しく音を立てて着地した。平衡感覚がおかしくなっているのか、たたらを踏んでしまう。気持ちが悪い…。
(…だからッ! 時間を! 無駄にするな!!)
自分に苛立ち心の中で叱責する。
痩せ細った見知らぬ男性がこちらに声をかけてくるが、彼の言葉を遮って校長に報告する。
「根津校長! 報告です!! USJに──
校長の表情が変わる。私が現れて唖然としていた顔から強い意志を感じる、ヒーローの顔へと。
「
「──分かった。八木くん、先に向かってくれるね?」
「もちろんです!! 後は頼みます!!」
校長は事態を正確に把握してくれたようだ。校長に指示された八木と呼ばれたガイコツのように羸痩状態の男性が部屋から駆け出す。同時に、校長はピョンっと座っていたソファから飛び降りて、懐から通信機器を取り出した。
「ありがとう空戸くん。後は私たちに任せてくれたまえ」
ポチッとな、と擬音が聞こえそうな調子で校長が機器を操作すると、昨日の昼に鳴ったものと同様のアラームが響き渡った。
(良かった…これでプロヒーローたちが駆けつけ……、はっ??)
【
私の〝個性〟がいかれてしまったのか? だって、いま。
(八木が……オールマイトになった……??)
アラームが鳴り響く中、校長についてくるように促されるまで私の思考は停止していた。
▽ ▽ ▽
無理を通した反動を堪えながら教師たちの移動に全面協力した私は、校長やプレゼントマイクを含めた十数名の教師たちと共にUSJへと戻ってきた。
やりきった安心感からか、意識が朦朧としてきた。
(今まで自宅の狭い範囲でしか訓練できなかったから…こんな広範囲の展開はキッツイですねー…)
ベタリとその場に座り込む。もう【
プレゼントマイクの放つ轟音の衝撃波が残った
遠く離れた位置にいる
そして、正面の広場にいるオールマイト。彼は霧の男と全身に手を貼り付けた気味の悪い男と対峙していた。
(オールマイト…服装がさっきの八木とかいう男性と同じ、ですね)
緊張感が抜け落ちてしまったのか、そんな益体のないことを考えてしまう。
オールマイトの正体が、あの痩せ細った男なのか? 彼の本名やヒーロー以前の経歴、〝個性〟の詳細は謎に包まれている。今まで考えたこともなかったが、オールマイトは〝個性〟を利用してあのガイコツの姿から筋骨隆々な巨体へと変身しているとでもいうのか。
私がそんなことを考えながらぼーっと眺めている内に、
しかし、霧の男と全身手男は【ワープ】で逃げおおせたようだ。
(ああ…もう、無理そう…)
本当はみんなの安否を確認したり、オールマイトや校長にさっきのことを問い詰めたいのだけど。
限界を迎えた私の体は、めまいにより誘発された嘔気に逆らえず、その場に食物残渣をぶち撒けたのだった。
「気持ちわる…」
▽ ▽ ▽
隠れた名店、知る人ぞ知る隠れ家。小さいながら小洒落た雰囲気の無人のバーに突如、黒い霧が発生する。
ドシャっと物音がしたかと思うと、誰もいなかった店内の床に血だらけの男が横たわっていた。
「いってぇ…、両腕両足撃たれた…」
男は奇妙な格好をしていた。体の至る所に人間の手を取りつけており、ファッションと言い張るには些か尖りすぎている。ましてや、身につけている手は防腐加工された本物の人間の手であるため、どう言い繕っても不審者としか言いようがない。
「完敗だ…脳無もやられた…手下どもは瞬殺だ。子どもも強かった。ああっ! ──平和の象徴は健在だった」
ボソボソと怒りをぶつけるように、子どもの癇癪のように。不機嫌を隠すことなく気持ちを吐露する。
「話が違うぞ、先生!」
男──〝死柄木 弔〟は倒れた姿勢のまま、赤い瞳をギョロリと上に向ける。
視線の先には誰もいない。ただ、『サウンドオンリー』と表示されたモニターがあるだけだ。
『違わないよ』
そのモニターから声がする。穏やかな声だ。しかし、何故だか身の毛がよだつ、悍ましさも孕んでいる。
〝先生〟と呼ばれた人物は続ける。優しく、子どもに言い聞かせるように丁寧に。
『ただ、見通しが甘かったね』
『うむ、舐めすぎたな。
別人の声もした。そちらはしゃがれた老人の声だった。
『ところで、わしと先生の共作、脳無は?』
『回収してないのかい?』
脳無…移は見ていないが、彼女がUSJに戻ってくるまでの間に相澤をボロボロにし、あのオールマイトに苦戦を強いた
〝先生〟の質問にいつの間にか店内いた黒霧が答える。
「吹き飛ばされました」
『何!?』
老人が不満を露わにした。黒霧は、飛んでいった座標がわからない上に回収する時間もなかったと、端的に当時の状況を説明した。
『せっかくオールマイト並みのパワーにしたのに』
『まっ、仕方ないか。残念』
言葉のわりに大して残念に思っていない声色で〝先生〟が言う。まるで、自動販売機の下に十円玉を落として取れなくなったような、そんな気軽さを感じ取れた。
そこで死柄木は思い出す。そう言えば、オールマイト並みのパワーを持った子どもが居たと。あの子どもの邪魔がなければもう少し上手くいったと言うのに。
それと…。
「黒霧と同じ【ワープ】の〝個性〟持ちのガキもいた…。そいつがいなけりゃ、ヒーローたちが集まってくることもなかった…!」
何故そんなチートキャラがガキの中にいるんだと、死柄木はゲームに例えて憎々しげに吐き出した。
出し抜かれた黒霧も移のことを思い出しながらポツリともらす。
「空戸と呼ばれていた少女ですね…【ワープ】の他に探知能力も備えてましたね」
死柄木と黒霧の報告を聞いた〝先生〟は、先ほどまでと打って変わって、心底愉快そうに一言『へぇ…』と呟く。
それは、ここまでで一番狂気が込められた声だった。
はい。
移ちゃんは戦闘してないけど、ゲロインとなりました。
昔から自宅で〝個性伸ばし〟をしてきた彼女ですが、今までと違う広範囲の連続使用をして〝個性〟のデメリットが出たよ、という話でした。
短距離走の選手がぶっつけ本番でフルマラソンの大会に出場したら、そらしんどいよねって感じです。
Q.移がいることで原作より増援が早くなり、オールマイトと脳無の戦闘時間が減った筈なのに原作と同じ展開なの?
A.弔くんたちもRTAしたということで許してくださいお願いします…。
追記:日間ランキング28位…初めての二次創作でこんなことになるなんて…やっぱりTSは世界を救うんですね…!!