第17話夏休みの課題と天体観測
夏休みが始まって早いものでもう1週間が経過した
俺はバイト先と家、そして普段から買い物に行くショッピングモールの3箇所を行ったり来たりしながら過ごしていた
そして、現在、俺は計画的に進めている夏休みの課題に勤しんでいる
「暑っつい!暑い!暑すぎて灰になるよ!」
1人でブツブツ言いながらも手を動かす
一応窓を開け扇風機はつけているが、クーラーはつけていない、クーラーをつけると家から出るのも億劫になるためだ
「あぁ〜ダメだ!このままじゃ集中できないや!」
俺は着替えを持って部屋を出て風呂場に行きシャワーで汗を流し着替えてから再び課題に集中するが、動いている間はともかくじっとしているとやはり暑い
「仕方ない、図書館行くか」
俺は課題と最低限の貴重品を持ち戸締りをして一応クーラーをつけてから出かける
「家に入った途端外より暑かったら嫌だしね」
そう自分に言い聞かせながら図書館に向かう
家からcircleに向かうのとは反対方向に20分程自転車を走らせると目的地に到着する。俺は自転車を置いてから中に入る
「やっぱり図書館涼しいな〜」
そう言いながら手頃な席につき課題を進めていく。
どのくらい集中していたのか自分でもわからないがペンを置き少し身体を伸ばすと肩や指先がポキポキと鳴る。
課題の進み具合もキリが良かったので気分転換に本でも読もうと席を立った時、俺のスマホが振動し着信を告げる
俺はスマホを取り出し画面を確認するとひまりからだった
「珍しいな、ひまりから電話なんて」
俺はそう呟き電話に出る
「もしもし、ひまり?どうしたの?」
(ふえ〜ん!!光さ〜んお願いします〜助けて下さ〜い!!)
俺はスマホを耳から遠ざけるが耳がキーンとなるのは避けられなかった
「まずは落ち着いて、俺今、図書館だから一度外出るから待ってて」
(はい、わかりました〜)
俺は画面を操作しミュートにすると荷物を持って図書館を出てからミュートを解除しスピーカーにして話し出す
「ひまり?聞こえる?それで、何があったの?」
(聞こえてます、実は夏休み始まって1週間も経つのに課題が
3分の1も終わってなくて、皆と一緒にやってはいるんですけど、自分のだけで精一杯になっちゃってどうしようもなくて
だから光先輩を頼らせてもらおうと思って)
俺は内心そういう事かと思いながら返答する
「ちょっと待って、いくつか確認していい?」
(いいですけど、なんですか?)
「1つ場所はどこ?つぐみの家?」
(はい!羽沢珈琲店にみんないます)
「2つ教えるにしても教科書がないと俺も教えてあげれないけど持ってきてる?」
(一応教科書と、課題とのにらめっこ状態なので大丈夫です)
「最後に、今の進捗状況は全課題を10で例えるならどのくらいなの?」
(えっと、多分2か3程度かと思います)
そりゃ確かに3分の1も終わってないなと思いながら俺はもう1つのスマホで時間を確認する、時間は10時を少し過ぎたくらいだったので俺はひまりに到着予定時間を伝える
「一応、一度家に戻ってからだから、10時30分から40分くらいにそっちに行くよ」
(わかりましたぁ〜)
俺はひまりの返答を聞くとうだる暑さの中再び自転車を飛ばし家に戻ると自分の課題を置いて代わりにノートを数冊バックに入れた後クーラーボックスを用意して2・3日前に作ったケーキを入れて家を出る
そして商店街にある羽沢珈琲店に着いた俺は扉を開けて中に入る
「こんにちは〜光だけど、」
「あっ!光さん、こんにちは、もしかしてひまりちゃんに呼ばれました?」
「まぁね、課題見てほしいって」
「そうなんですか、じゃあ案内します。」
「よろしく」
俺がつぐみに案内されていくと店の奥の方に教科書と課題を広げている4人がいた
「皆、光さん来たよ。」
「おまたせ〜」
俺はヒラヒラと手を振りながらそういうと、俺の姿を見て安心したのかひまりが抱きついてくる
「ふえ〜ん!光さ〜ん」
「はいはい、よく頑張りました」
俺はそう言いながらひまりの頭を撫でると落ち着いたのか少しだけ力が抜けたようだ
「落ち着いた?」
「はい…」
「じゃあ、離れてくれると嬉しいんだけど…」
「もう少しこのままって…わぁ!」
「いつまで、光さんに引っ付いてんの!光さん困ってるでしょうが!」
「アッハハ、1男子としては悪い気はしないけど、多分汗かいてるし、汗臭かったら嫌だしね」
「すいません、そこまで気がまわならくて」
「ちょっと〜蘭〜!」
ひまりの代わりに蘭から謝罪された
「蘭嫉妬してる〜」
「っ!モ〜カ〜!」
どうやら蘭がお怒りのようだ、物凄く顔を真っ赤にしている
「なぁ、勉強ってか課題やるんだろう?せっかく光さん来てくれたのにこんな事で時間潰していいのかよ?」
巴の言葉で蘭は我にかえる
「申し訳ないっスね光さん」
「別にいいよ、傍から見てる分には仲の良さが伝わってきて微笑ましいし」
俺はそう言って近くから椅子を持ってきて座る
「それで、皆の進捗状況はどんな感じ?」
「えっと先ずはアタシから、アタシは国語以外は全体的に半分行くか行かないかなってくらいは終わってます。文章とか文法とかってアタシ、どうも苦手でまだ計算してた方がマシですね」
巴がそう言うとそれに続いて蘭が話し出す
「私は、全体的で見るとちょうど3分の1くらいで1番進んでないのが英語です、訳とかよくわかんなくて」
俺はとりあえず頷いてモカとひまりを見る
「モカちゃんはね〜蘭より少し進んでるくらいで〜世界史が全然だね〜」
「私はさっきも言ったように3分の1進んだか進んでないかくらいです、数学は比較的得意なので得意教科からやってましたね」
「じゃあ最後につぐみは?」
「私はちょうど半分くらいですかね?科学が残念な事にあんまりです」
「わかった、ごめん、ちょっとだけ考えさせて」
俺はそう言って考える
(全体的には皆、それなりに進んではいるんだよな〜ならこのまま現状維持で進めていくしかないかな?)
俺はそう思い話し出す
「とりあえず、ひまりは引き続き数学で他のメンバーは苦手教科を頑張ろうか!つぐみもね」
「私もですか?」
「家の手伝いも大事だけど、まずは課題、片付けちゃおう」
つぐみは少し考える仕草をした後に頷いて答える
「わかりました、じゃあわたしも課題持ってきますね」
「あっ!そうだ、つぐみお店の冷蔵庫にこれ入れといてくれる?」
そう言って箱を手渡す
「いいですけど、なんですか?これ?」
「まだ内緒、勝手に見たらおしおきで俺からのあーんの刑だから」
「それは集中放火を浴びるので遠慮します」
つぐみはお盆で顔を半分程隠しながらそう言ってパタパタと店の厨房に入っていった
「光さん、あの中身内緒って言ってましたけどヒントくらいくれません?じゃないと課題が手につかないですよ〜」
「アッハハ、仕方ないな〜、じゃあヒントね女の子は皆好きな食べ物だけど、食べすぎたら後が怖いもの」
「甘い物ですね!」
「正解じゃあこの調子で頑張ろうか」
「はい!今日中にせめて半分!頑張るぞ〜エイエイオー!ってなんでノッてくれないの〜!」
「まぁいつも通りに」
「その通り〜」
「アッハハ、まぁとりあえず始めようか」
そうして話しているとつぐみが合流し勉強会が開始された
「光さん、ここってこっちの公式で解けばいいんですか?」
「あぁ、こっちは例題2の公式を使うと途中式が1つ短縮できるからこっちでやってみて」
「わかりました」
「光さんこれってこの訳であってます?」
「これは、なぜそうしたか、なぜそうなったかだから」
「つまり結果でなくて仮定の話だからちょっと違いますね」
「そういう事」
俺は蘭とひまりに並行して教えていくその傍らモカ達のほうも気にかける
「そっちはどう?」
「ひかるん先輩ここってどこ〜?」
「ちょっと見せて、って世界地図書き写しかぁ〜ちょっと待ってて」
俺はそう言って地図帳を出してモカに見せる
「これで大丈夫かな?」
「わかるわかる〜」
「光さん、この主人公の気持ちになって答えましょうってどうすれば?」
「これは感じたままを書くんだよ、例えばこのページのこのシーンなら皆と一緒で楽しそうとか、そんな簡単で大丈夫だから」
「個人の意見が大事って事なんですね」
「そういう事」
「光さん、実験器具の名称って」
「それはね〜このページに大体乗ってるよ、ないヤツあったら言ってね〜」
「光さん、ここはこれであってますか?」
「どこ?あぁ問7?大丈夫だよ〜って蘭、そのスペル間違ってるって!今蘭がやってるところはWhydone itなぜそうしたかの過程を求められてるからそこはwhodone it誰がそうしたか、誰がやったのかを聞かれてるんだよ」
「なるほど〜って光さん!!」
「何?どうかした?」
蘭が突然怒り出した、俺は意味がわからず困惑する
「さっきから私達全員の課題見てますよね?」
「そうだね、でもそれが何?」
「何じゃないですよ!どうやったら皆が皆、違う課題やってるのに同時進行出来るんですか!」
「あぁ、そういう事、俺、普段から2教科同時に勉強してるから、このくらいなんて事ないよ」
「2教科同時ってそれ頭に入ります?」
「なれれば効率はあがるけどオススメはしないよ、英語と数学の同時進行、地理と世界史の同時進行、科学と国語同時進行って教科分けないと無理だからね」
「いやいや、多分それができるのは光さんだけですからね
多分」
「というかひかるん先輩いくつか質問していい?」
「俺に答えられることならね」
「じゃあ質問〜今回の期末テストの順位は~?」
「ピッタリ真ん中50位だけど?」
「その2〜普段からの勉強時間は〜?」
「テスト前以外は全然しないよ?」
「じゃあ最後〜今回のテストで1番悪かった点数教えて〜」
「英語かな?62点」
「じゃあ逆はどうなんですか?」
「1番良かったのは国語で88点だね〜」
「光さんって何者?完璧超人?」
「違うって!そんな完璧じゃないからね、これでもかなり不器用だし、堪え性ないよ俺」
俺がそう言うと蘭とひまりからジト目を浴びた
「実際見た訳じゃないからイマイチ信用出来ないんですけど…」
「私も蘭に賛成です」
「そう言われてもな〜」
俺は頬を掻きながら答える
「まぁ光さんがこう言ってんだし、とりあえずもう少し頑張ろうぜ2人とも」
「まぁそれはそうだけどさ」
そんなこんなでとりあえず皆が課題を再開する、そして少しの間集中しているとお昼の鐘が鳴った
「もう、こんな時間か、とりあえず一休みしようか」
「ですね、光さん、お昼はご馳走様させて下さい」
「つぐみの手料理?」
「はい、と言ってもお店のメニューからですけど、」
「十分だよ、じゃあナポリタンとオニオンスープを頼むよ」
「わかりました、皆はどうする?」
「モカちゃんはパンがあるのだ〜」
「アタシ等もなんか食べようぜ」
「だね〜お腹すいた〜」
「賛成、とりあえずなんか食べよう」
そう言って全員食べたいものを注文する
つぐみは注文を取り終えると厨房に入って行く
そうして待っていると30分もしないうちに全員分の注文が揃ったので俺達は食べ始める
「うまい!最近食べた麺料理の中で1番かも!」
「光さん大袈裟ですよ!」
「いや、本当に美味しいから」
俺はそう言って笑いかけるとつぐみは嬉しそうに笑っている
その様子を見ていた蘭からなんとも言えない質問が飛んできた
「光さん、もしかしてつぐみの事口説いてます?」
「は?違うけどなんで?」
「いや、傍から見たらそう見えますし」
「残念だけど、そのつもりはないよ、俺が仮にここにいる誰かと恋仲になったとしてそれで今のAfterglowのいつも通りが無くなるなら俺は誰かを選ばないし誰にも俺を選ばせない」
「光さん…」
俺の言葉に全員が黙ってしまう、俺は仕方なく手を叩いて切り替えるよう諭す
「ほらほら、せっかく作ってくれた料理冷めちゃうよ」
「そうですね」
そう言って皆は食事を再開するそして食べ終わると少し休息を挟んで課題を再開しそこから1時間程で全員が1教科の課題を終えた
「終わった〜なんかいつもより集中出来てた気がする」
「間違いないね、だって多少進めてたとはいえ課題終わったんだよ1教科だけだけどさ」
「ホントにね〜」
「光さんのおかげかな?」
「絶対そうだよね」
「俺はちょっとヒントを出したり教科書にそってちょっと手助けしただけで殆ど自分達の力だよ」
「だとしても光さんの力添えなくちゃ終わんなかったですって!あとは皆終わった教科事に写合えば終わりですよ!」
「だね、じゃあ最後のご褒美だね、つぐみ渡してた箱持ってきて」
「はい!じゃあ取ってきますね」
そう言ってつぐみ厨房へ行き箱を持って戻ってきた
「中身は甘い物なんですよね?」
「そうだよ、開けてみて」
つぐみが箱を開ける
「ケーキが入ってるよ!しかも全部違うやつ!」
「これ、どうしたんですか?」
「2、3日前に作ったやつなんだけど、俺1人じゃあ食べきれなくて、おすそ分けって事で食べて」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
そう言ってそれぞれが食べたいものを選んで食べ始める
「なにこれ?めっちゃ美味しい!」
「喜んで貰えて良かったよ」
「光さん非の打ち所無さすぎですよ」
「ふにゃふにゃの笑顔言っても説得力ないよ蘭」
「ひまりだってそうじゃん」
「でも、本当に美味しいですよ」
喜んで貰えて良かったと思いながら俺はふと時計を確認すると
14時を少し回ったところだった
「今日はこの後どうするの?」
「課題が一段落したんで、適当に時間潰しますよ、今日のところはですけど」
「練習はしないの?」
「今日は多分課題で1日終わると思ってましたし、今日だけは辞めときます」
「そっか、じゃあ俺は帰るよ」
「もうですか?」
「ちょっと思い出した事があってそれを、やっておきたくてさ」
「そうですか、じゃあ店の前までですけど、皆で見送りしますね」
「ありがとう、じゃあお願いするね」
そうしてAfterglowの皆に見送られその場を後にした
そして俺は自宅に帰ると簡易ライブセットを広げラジカセを用意して5曲程曲を録音して編集作業に入る。
正直俺はこの時間が嫌いじゃないそう思っている
部屋はクーラーで冷やされていたため外から入ってくるぬるい風すら心地いい
「よし!こんなものかな、今回は余裕があるしね」
そう言って時計を確認すると17時だった
帰ってきたのが15時、曲の録音や楽器の準備などで1時間とまではいかなくても、それに近い時間を要したのは間違いないので実質編集時間は1時間程だ
「今回は余裕があるしまぁこんなもんだよね」
そう言って身体を伸ばしていると俺のスマホが着信を告げる
「誰だろう、こんな中途半端な時間に」
俺は着信の相手を確認すると日菜からだった
「あいつ、今日仕事じゃなかったのかな?」
そう呟き電話に出てスピーカーに切り替える
「もしもし、日菜?どうしたの?こんな時間に」
(あっ!ひ〜くん、あのさ、前から約束してた天体観測だけど、今日じゃだめ~? )
「俺はいいけど、なんで今日?」
(実は、明日から2、3日パスパレのロケでこっちにいなくて、だから戻って来てからよりは今日の方が良いなって)
「そういう事ならいいよ、何時にどこ行けばいい?」
(じゃあ、ひ〜くんがアタシを迎えに来てそのまま学校に行こう!)
「それって家に行けばいいの?」
(うん、よろしくね〜)
「わかったよ、その代わりちゃんと俺が迎えに行くことと部活動で出掛けること紗夜に言っときなよ、俺が後でドヤされたりとかするの勘弁だからね」
(わかった〜じゃあ、アタシの家に19時30分ねアタシの家からでも30分あれば着くでしょ?)
「俺の家からならその半分で済むけどね、まぁいいよとりあえずその時間に行くから」
(うん!後、楽器持ってきてよ!)
「言うと思った、わかった簡易ライブセット持っていくよ」
(やった〜じゃあ楽しみにしてるね!じゃあまた後で!)
「うん、また後で」
そう言って電話を切ると俺は1時間程仮眠をとることにした
そして1時間後、俺はアラームの音で目覚め身体を起こす
夢を見ていた気がするが、思い出せない
とりあえず俺は着替えを持ってシャワーを浴びに行き
シャワーを浴びて着替えてから軽く髪を整えてから制服を羽織りギターとキーボードを含めた簡易ライブセットを持って家を出て日菜の家に向かう、以外と俺の家から近いため15分
から20分程度で日菜の家には着くので俺は少しゆっくり自転車を走らせながら日菜の家に向かっている、そして日菜の家が見えてくると家の前では氷川姉妹が待っているのが俺からも確認できた、俺は少し速度を上げて2人の元に行き声をかける
「こんばんは2人とも」
「うん!こんばんはひ〜くん」
「こんばんは光君、今回は日菜の我儘を聞いもらってありがとうございます」
「星を見るのは嫌いじゃないし、このくらいなら全然平気だから気にしないで」
「光君がそう言うなら良いんですが、たまには断っていただいて構わないのですよ?」
「う~ん、まぁ残念な事に断るほどの予定もないし、こんな事で日菜が喜ぶなら俺は多少の我儘くらい聞くよ」
「そうは言いますが、少し日菜に甘すぎませんか?」
「お姉ちゃん、心配し過ぎだよ〜ひ〜くんが大丈夫って言ってるんだしさ」
「まぁとりあえず俺は大丈夫だからさあんまり気にしないでよ、気の回しすぎで倒れられでもしたらそれこそ目も当てられないよ」
「まぁ、光君がそこまで言うなら気にしませんけど、なにかあれば言ってくださいね」
「わかった、その時は遠慮なく頼らせてもらうね」
「はい、そうしてください」
「じゃあ、そろそろ行こう!」
「じゃあ、悪いけど俺のキーボード背負って後ろ乗ってくれる?」
「いいよ〜」
そう言って日菜は俺のキーボードを入れたケースを背負って俺の自転車の後ろに乗った
「じゃあ、行ってくるね、お姉ちゃん!」
「えぇ、いってらっしゃい」
「じゃあ、出発!」
「OK、行くよ!」
俺はそう言って自転車を走らせ学校に向かう
「ひ〜くん、今日は何を聞かせてくれるの?」
「ん〜まぁとりあえず2.3曲用意してるから楽しみにしてて」
「じゃあ、楽しみにしておくね〜」
「そうしてて、じゃあ少し飛ばすよ?」
「OK!レッツゴー!」
日菜からゴーサインが出たので俺は自転車の速度を上げていき予定時間より少し早めに到着する
「自転車置いてくるからさ昇降口で待っててくれる?」
「OK!じゃあ先に昇降口で待ってるね〜」
そう言って日菜はスタスタと昇降口に向かう
俺は自転車置き場に向かいバックとギターを持って昇降口に向かう
「おまたせ、行こう、案内お願いするね」
「任せて〜こっちだよ〜」
そう言って日菜は俺の前を歩いて行く
「ここだよ〜」
そう言って立ち止まった場所には天文部と書かれたプレートがあった
「こんな場所あったんだな」
「まぁ確かにここじゃあ、わかりにくいよね、とりあえず天体望遠鏡運ばないとね〜」
「屋上に持っていくの?」
「そうだよ〜まぁ小さいから1人でも大丈夫だよ〜」
「そっちの大きいのなら月のクレーターまで見えるんじゃない?」
「じゃあ、ひ〜くん運んでくれる?」
「いいけど、日菜調整とかできる?」
「ん〜あんまり、ひ〜くんは?」
「まぁこれなら何とかなるかな?やってみないと、わからないけどさ」
「じゃあ、ひ〜くんその大っきいの持ってきて〜ひ〜くんのキーボードはアタシが持ってるし大丈夫でしょ?」
「わかった、じゃあ持って屋上行こう」
「うん!」
そうして俺達は天体望遠鏡を持って屋上に上がっていく、そして屋上に続く扉を開けるとまさに星が振るようだと思える程の満点の星空が広がっている
「結構綺麗に見えるもんなんだな〜」
「でしょ〜、アタシのお気に入りなんだ〜でも、部員ってアタシ1人だからさ、たまに花咲川のこころちゃんと一緒に合同でやったりもするんだよね」
「こころも天文部なんだ、初めて知ったよ」
「ひ〜くんこころちゃんの部活は知らなかったんだ」
「まぁ、バンドやってて超が着くほどのお嬢様ってくらいしか知らないし、後、やたらと笑顔全開ってくらいかな」
「そっかァ~じゃあ今度はこころちゃんも誘って3人で見ようよ!」
「日菜が良いならね、とりあえず、まずは望遠鏡、設置しちゃおう」
「うん!」
俺達は望遠鏡を設置し始め5分程度で設置を完了させる
「よし!こんなもんかな?」
「じゃあ、ひ〜くんあたしは早速、月がみたいな〜」
「OK、調整するから待ってて」
そう言って俺は望遠鏡を覗きながら月にピントを合わせて調整していく
「あっ!これ結構難しい、俺使った事あるやつより細かい」
「出来そう?」
「大丈夫だよ、ちょっと細かいだけだから、ほらできた」
俺は調整を終えて日菜に覗いて見るように言う
「ほら覗いてごらん」
「うん!」
日菜は頷いて望遠鏡を覗く
「わぁ!凄い!本当に月が綺麗に見える!」
俺は日菜が望遠鏡を覗いている間に持参したアコギを調整していく、それに気付いた日菜が寄ってくる
「ひ〜くん、演奏してくれるの?」
「うん、そのつもり」
「隣で聞いていい?」
「俺達しかいないし、良いよ」
「じゃあ、そうするね〜」
そう言って日菜は俺の隣に座る
「ちょっと近くない?」
「そう?でも、この方がひ〜くんの声近くに聞こえてるんってするかな〜って」
「ちょっとだけで良いから離れてくれる?ギター弾きづらいからさ」
俺がそう言うと日菜は1歩分の距離を開ける
「これでい~い?」
「うん、いいよじゃあ歌っていくねまずはミカヅキ」
『今宵も頭上では綺麗な満月がキラキラ
幸せそうに世界を照らしている
当の私は出来損ないでどうしようも無くて
夜明け夢見ては地べた這いずり回ってる
それでも誰かに見つけて欲しくて夜空見上げて叫んでいる
逃げ出したいなぁ逃げ出せない明るい未来は見えない ねぇ
それでもあなたに見つけて欲しくて
蝶のように舞い上がるの欠けた翼で飛んだ
醜い星の子ミカヅキ』
日菜が望遠鏡越しに月を眺めていたので俺はこの曲を選曲し歌っていく、月が空に上る理由を探すように
『今宵も頭上では綺麗な満月がゆらゆら
誰かの腕に抱かれて眠っている
当の私はひとりの夜に押し潰されては誰にも見えない
夜闇這いずり回ってる
それでも誰にも負けたくなくて宇宙の隅で藻掻いている
追いつきたいや、追い越したい あぁ夢に見たような世界
ねぇそれでも誰かと比べてばっか
周りを見ては立ち止まって欠けたものを探した
そんな自分を変えたい 』
日菜視点
考えた事もなかった当たり前を歌にしたような、そんな曲
月はなぜ輝くのか、もし月にも心があるなら欠けて満ちるように足りないものを探して自分を作っていくそうな風に言っているような曲なのかな〜
「すっごく、るん!ってする曲だな〜」
そんな事を呟きながらひ〜くんの歌声に耳を澄ます
『それでもあなたとおんなじ景色がまた見たいから
泣き出したくても投げ出したくても諦めたりはできない
それでもあなたに見つかるように
サナギは強く手を伸ばすの欠けたものを抱きしめ
願いを放つよミカヅキ
それでも誰かに見つけて欲しくて夜空見上げて叫んでいる
泣き出したいけど泣き出さないもう後戻りなどできない
ねぇそれでもあなたに見つけて欲しくて
蝶のように舞い上がるの欠けた翼で飛ぶよ
醜い星の子ミカヅキ光を放ったミカヅキ』
月が上る理由を考えた事があっただろうか?月はなぜ上るのかなぜ輝くのかを考えた事があっただろうか?そんな事を考えながら最後のフレーズを弾いて歌っていく
『今宵も頭上では綺麗な満月がキラキラ
次は君の番だと笑っている』
俺は演奏を終えるとギターをケースにしまう
「もう終わり?」
「一旦休憩、もう少し天体観測続けよう」
「うん、あぁ〜でも、どうしよう?」
「どうかしたの?」
「あのね、活動報告を書かなきゃいけないんだけど、いつも簡単に書きすぎだって言われててさ」
俺は少し考えて提案を口にする
「じゃあ星座とかの豆知識とかを入れてみたら?」
「どういう事?」
「例えば、夏の大三角を観測するよね、それはこと座のベガ、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブを結んで出来るよね、そして、有名なのは、はくちょう座のくちばしのところに輝く二重星のアルビオンって星で肉眼では見えないんだけど、望遠鏡使うとオレンジと青の2つの星に見えるんだ
宮沢賢治はトパーズとサファイアみたいだって宝石に例えたのも有名だね」
「ひ〜くん詳しいんだね、なんでそこまで知ってるの?」
「星座一つ一つの物語って言うか、語られてる神話が好きでよく調べるんだ今のも調べたからたまたま知ってただけだけどね」
「じゃあ、ひ~くんが言ったことをちょっとだけ使って〜夏の大三角を観測して、その中でもひ〜くんが言ってた、はくちょう座の話を書いておけば大丈夫だね!」
「いいんじゃない?俺、そういうのよく分からないけどさ」
「ねぇねぇ、ひ〜くんもっと教えて星座の話」
「良いよ、じゃあ順番にはくちょう座の神話の話から教えるよ、俺が知ってる事だけだけどね」
そうして俺ははくちょう座について教えていく
ギリシャ神話では大神ゼウスが変身した姿だと言われている事、その姿でスパルタの王妃レダに会いに行っていたこと
そしてその王妃との間に生まれたのが双子座の兄弟だという話を伝える俺が話す内容に日菜は目を輝かせて聞き入っている。俺としてもそういう反応は嬉しいし、なにより興味を持ってもらえる事が嬉しいと感じる
「日菜、俺のキーボード取ってくれる?演奏する」
「うん!ちょっと待ってて〜」
そう言って日菜は自分横に置いていた俺のキーボードケースからわざわざキーボードを出して手渡してくる
「はい!ひ〜くんのキーボード」
「ケース事渡してくれても良かったのに、まぁいいや
じゃあ、演奏するね君の知らない物語」
俺はキーボードを弾きながら歌っていく
『いつもどおりのある日の事 君は突然立ち上がり言った
「今夜星を見に行こう」』
俺は日菜と話すうちに浮かんだのがこの曲だった、今のこの状況をそのまま歌にしたら多分こんなだろうと思いながら歌っていく
『「たまには良いこと言うんだね」
なんてみんなして言って笑った明かりもない道を
バカみたいにはしゃいで歩いた抱え込んだ孤独や不安に
押しつぶされないように真っ暗な世界から見上げた
夜空は星が降るようでいつからだろ
君の事を追いかける私がいたどうかお願い
驚かないで聞いてよ私のこの想いを
「あれがデネブ、アルタイル、ベガ」
君は指さす夏の大三角 覚えて空を見る
やっと見つけた織姫様だけどどこだろう彦星様
これじゃひとりぼっち 楽しげなひとつ隣の君
私は何も言えなくて本当はずっと君の事を
どこかでわかっていた見つかったて届きはしない
だめだよ泣かないでそう言い聞かせた
強がる私は臆病で興味が無いような振りをしてた だけど
胸を刺す痛みは増してくあぁそうか好きになるって
こういう事なんだね』
日菜視点
なんでかわかんないけど、さっまでの光景がものすごく鮮明に簡単に思い出される、胸がドキドキする、歌のせいか、さっまでの事のせいか答えなんてわからないけど、るん!って
する事に違いはないし、今日を選んで良かった
『どうしたの?言ってごらん心の声がする君の隣がいい
真実は残酷だ言わなかった言えなかった二度と戻れない
あの夏の日きらめく星今でも思い出せるよ
笑った顔も怒った顔も大好きでしたおかしいよね
わかってたのに君の知らない私だけの秘密
夜を越えて遠い思い出の君が指を指す無邪気な声で』
俺が歌い終えると同時に日菜が立ち上がり俺の背中に自分の背中を預けてきた
「どうしたの?」
「なんでもないよ、ただひ〜くんを近くに感じたくて」
「そうなの?俺、べつにどこにも行かないよ、ここにいる」
「うん、でも、これが今のアタシの精一杯だから」
「なんて?」
「なんでもないよ〜」
そう言って背中越しに聞こえてくる声はどこか寂しそうだ
俺は再びギターを手に取り演奏し始める
今日という日を忘れられない夜にするために
『君の描いた未来の中に僕はいないその時代もない
まだ少しだけ傷を抱えたふたりは夢の続き探していた
思うままに色付いてくと思ってた
答えなんか見つけられずにそれでもこの世界廻り続けて
君がくれた夏その奇跡僕は忘れないoh溢れそうな想い
あの夕日に隠してsowhy…気づいていたtrueLovetrueLove』
日菜視点
優しい音色が耳に心地いい夢の続きを探して思うままに色付いてくそんな未来があったらいいなと思うけど、多分歌詞にもあるように答えなんか見つからないだろうな、なんて思いながら歌を聞いていく
『時の隙間に流れ込む風教室のその片隅で揺れる前髪
ただ見とれていた僕は君に恋をしたんだよ
まるで空を歩いてるみたいな日々
当たり前にそばにいたこと
未来なんていつもそう疑いもせず
君がいた夏にこの気持ちうまく言えなくて
Ohふたつの心は何故に離れていくの?
Sowhy届かなくて 愛情の罠だって気づいた時は遅すぎて
捻れた感情は光求め彷徨う
叶わない願い置き去りのままで君がくれた夏
その奇跡僕は忘れない
Oh溢れそうな想いあの夕日に隠してsowhy…
気づいていたtrueLovetrueLove』
俺が演奏を終えると日菜が後ろから抱きついてきた
「どうかした?」
「別に〜なんでもないよ〜」
そう言った日菜の声はどこか寂しそうだ
「本当に?なんだか声が寂しそうだよ?大丈夫?」
日菜が俺の首元に回している腕に力を込める
背中越しに日菜の心臓の音が伝わって来る時計の秒針のようだと俺は少しだけ思った
「日菜?」
呼びかけるが反応はない
「日菜、さっきも言ったけど、俺はどこにもいかないよ、少なくとも高校を卒業するまでは例えクラスが違ったとしても、近くにいるそれだけは約束する」
俺の言葉を聞いて少しだけ日菜の腕の力が緩む
「ひ〜くん、約束だよ?」
「うん、約束するよ」
そう言って俺は日菜の頭を撫でる
「ひ〜くん、ありがとう」
「こちらこそ、今日は誘ってくれてありがとう」
「ひ〜くん、最後の曲はなんて言うの?」
「君がくれた夏って言うんだ、今日という日は日菜がくれたものだから、そう思ってこの曲にしたんだ」
「そうなんだね〜」
それから少しの間俺達はそのままの体制でいたが、俺は何気なく日菜の髪に触れる
「どうしたの?ひ〜くん」
「日菜の髪って綺麗だよね、紗夜と同じスカイグリーンの少し癖のある髪」
「うん!お姉ちゃんと一緒でアタシの自慢の1つなんだ」
「今のままも十分素敵だと思うけど、俺は紗夜くらいに伸ばした長い髪の日菜も見てみたいな」
「そう?なら少し伸ばしてみようかな?」
「見れる日を楽しみにしてる。さぁ、そろそろ帰ろう、家まで送るよ」
「うん!じゃあ帰ろ〜う」
そう言って俺達は望遠鏡を持って屋上を後にし俺は日菜を家まで送り届ける
「送ってくれてありがとうひ〜くん」
「良いよ、帰り道だしね」
「ねぇ、ひ〜くん何か私に貸してもいいような物ってない?」
「ん〜なんかあったかな?でもなんで?」
「明日からパスパレの仕事でこっちにいないから、なにかひ〜くんが身近に感じられるものがあったら借りたいなって思って」
俺はポケットを探るが特に何もないので、首にしている
ネックレスを渡す
「これ、あげるよ」
「羽の首飾り?」
「うん、日菜が自分の歩むべき道を見失わないように御守りとして持ってて欲しい」
「本当に良いの?」
「もちろん、それは日菜に持ってて欲しい、さっきも言ったけど、御守りとしてさ」
「わかった、じゃあこれは貰うね」
そう言って日菜はネックレスを首にかける
「ちょっと長いね〜」
「チェーンが長めだからね、よく似合うよ」
「ありがとう、ひ〜くんじゃあ、またね、おやすみ」
「うん、またね、そして、おやすみ」
俺は日菜が家に入るのを見届けてから家路に着く
自転車を走らせながら光はさっきまでの事を思い返す
今までも日菜と触れ合う機会ってたくさんあったけど
日菜の体温と心臓の音、そしてなによりも【またね】って言葉の寂しさを知った、そんな夜だった。
夏休み編開始です、夏休み編は次回がRoseliaのメンバーとの合宿で次が夏祭りの話、ラストにリサのバースデーイベントを予定していますのでお楽しみに
次回「夏合宿と浜辺でLIVE」
シーズン3の内容いくか二学期編挟むか
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二学期編として何話か入れましょう
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シーズン3の内容入って大丈夫です!