僕等が奏でる歌と音   作:凌介

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Roseliaの夏合宿に同行する事になった光の心境は果たして…


第18話夏合宿と浜辺でLIVE

夏休みももうすぐ3分の1が過ぎようとしている中、その日の光は朝から多少慌ただしく動いている、理由は至極簡単だ

友希那とリサの2人とこれから合宿の買い物に行くために光自身も今現在簡単な準備をしている最中である

「えっと、着替え持った洗面道具持った、後は、楽器系?は後で良いや、こんなもんかな?」

光は呟きながら1つ1つ現時点の忘れ物がないかを確認してから時計を確認する

「やっば!もうこんな時間!待ち合わせ10時だから早く着替えて行かないと、リサはともかく友希那辺りにドヤされるかも!」

光はそう言うと着替えて最低限の貴重品を持って家の戸締りをして家を出て自転車を走らせる、待ち合わせ場所までは7、8分

程度で到着するが少しでも早くと思い、光は自転車を飛ばす

そして、自転車を飛ばすこと5分で到着する。俺はすぐに2人を見つけ声をかける

「ごめん、ごめん待たせちゃって」

「いいって、いいって、まだ約束の時間3分前だもん、アタシらもついさっき来たところだしね」

「そうね、とりあえず自転車を置いてきなさいな、話はそこからよ」

「わかった、ちょっと待ってて、すぐに置いてくるよ」

「待ってるね〜」

俺は一言断りを入れて駐輪場に自転車を置きに行き改めて2人に合流する

「おまたせ、行こう!行き先はショッピングモールで良いんだよね?」

「えぇ、あそこならいろいろ揃っているし一度で済むわ」

「だね〜、服に、日用雑貨に、化粧品にと色々揃ってるから

ね」

「まぁ、確かにね、俺も結構利用するし」

「光も結構利用するんだ〜」

「自分の買い物なら一度で済ませてしまいたいしね」

「まぁ一理あるわね」

そうして話しているうちに俺達は目的地に到着する

「まずは何から買うの?」

「アタシは日用品かな、友希那は?」

「リサに合わせるわ」

「俺も特にないし、一応荷物持ちって名目で来てるから特に何も浮かばないから、任せるよ」

「じゃあ、最初は日用品とか必需品買って、その後は、ウィンドショッピングしながら欲しいのがあったら買うってことで良いかな?」

「異論はないわ」

「俺も同意」

「OK、じゃあそうしよう」

そうして俺達は目的の物を揃えるべく行動する。

俺はリサ達の1歩後ろをついて行きながら店を見て回る

そして日用品を揃え終わった2人が袋を持って戻ってくる

「おっ待たせ〜、揃え終わったよ〜」

「リサ、あなた化粧水や美容液買いすぎじゃないかしら?」

「そんな事ないよ〜、日焼けやシミそばかすは乙女の天敵だからね〜」

「私には分からないわ、最低限あれば十分ではないの?」

「乙女に努力は欠かせないよ、友希那〜」

「そんなものかしら?」

「光はどう思う?」

「俺?俺は洗顔した後につける化粧水だけしか使わないから分からないけど、今の時期最低限日焼け止めは必須だろうね」

俺は無難な返答を返す

「ほら、見なさい、光だってその程度なのよ、あなたが過剰過ぎるのではないかしら?」

「そうかな〜?」

「まぁ、そこは人それぞれってことでいんじゃない?」

「まぁ、それもそうね」

「だね!じゃあ洋服見に行こう!」

「その前に少しだけ休憩にしましょう。」

「あぁ、それには俺も賛成、宛もなくぶらぶらするよりはお茶しながら行きたい店や見ておきたいお店をリストアップして回る方が良いかも」

「2人がそう言うならアタシはいいよ〜」

そうして俺達は近くのカフェに入り飲み物を注文し席に着いてからショッピングモールのパンフを広げて行きたい店にチェックを入れる

「アタシ、ここ見たい!女性服専門店」

「私は、アクセサリーショップが気になるわステージ衣装に合いそうな装飾品があれば見ておきたいわね」

「俺、本屋、夏休みの課題の読書感想文と意見文のための参考資料っていうかが欲しいし、後、新刊も気になる」

「そうすると、光が行きたい本屋から先に回って友希那が行きたいアクセサリーショップは最後になるけど大丈夫?」

「見ておきたいだけだから、順番は気にしないわ」

「じゃあ、本屋、女性服専門店、アクセサリーショップの順番で回ろう」

「OK!」

「わかったわ」

そうして俺達はカフェを出て本屋に向かった

「結構な大型書店ね、種類も結構あるようだし」

「光は欲しいもの決まってるの?」

「全然だよ、でも、比較的陳列棚見やすいからすぐ決まるかもね」

そう言いながら見て回り俺達はドラマや映画のノベライズ本が陳列されている棚にたどり着く

「ここならいいのあるかも!」

「最近はどんなのが流行っているのかしら?あまりテレビを見ないから分からないわね」

「アタシも〜、光はどうなの?」

「俺も本当に最近のはあんまり、ちょっと前のやつばっかりだね」

「そうなんだ、ねぇなんかオススメはないの?」

「私も1冊買っておこうかしら?」

「ちなみに、どんなのが希望?」

「アタシはやっぱり恋愛系かな」

「私は獣医の話とかがあるならそれ系がいいわね」

俺は2人の希望に合いそうなノベライズ本を探して渡す

「これはどうかな?」

「どれどれ?えっと【初めて恋をした日に読む話】と

【恋仲】どんな話なの?」

「【初めて恋をした日に読む話】は自分よりも歳上の女性に恋した主人公の話で恋仲は2人の葵が1人の女の子と恋する話だよ」

「面白そうだね!恋仲が気になるけどこっちの初めて恋をした日に読む話も気になるな〜」

「光、こっちはどうなの?」

「【獣医ドリトル】は患畜の病気の治療または飼い主が患畜に病気をもたらした原因を突き止めて場合によっては飼い主の心の治療する話で【僕とシッポと神楽坂】は神楽坂を舞台に沢山の動物やその街に暮らす人達とのふれあいを描いた話だよ」

「なら、【僕とシッポと神楽坂】の方を買うことにするわ」

「アタシはとりあえず恋仲の方にするよ、光は決めたの?」

「うん、俺はこれ、【4分間のマリーゴールド】」

「どんな内容か聞いてもいい?」

「救命士の話なんだけどね、手を合わせた人の死の運命が視えてしまう特殊な力があってね、しかもその運命は必ず現実になるんだよねそれでも助けたいって足掻くんだけど主人公の父さんの再婚で兄弟になった家族のお姉さんを好きになるんだけど、そのお姉さんが1年後に死ぬ運命が視えてる主人公が最愛の姉を助けたいってその運命を変えたいって奮闘する話なんだ」

「凄い面白そう!アタシそういうの結構好きなんだよね!読み終わったらで良いからそれ貸してよ光」

「もちろん!どうせ合宿には持っていくし読み終わったら貸すよ」

「なら、リサが読み終わったら私も読んでみたいわ」

「じゃあ、俺、リサ、友希那の順番だね」

「そうなるわね、楽しみにしているわ」

「もちろんアタシもね!」

「とりあえず、2人ともこれから買うやつを先に読もうよ」

「そうだった!」

「そうね、忘れていたわ」

「アハハ、まぁとりあえず買っちゃおう」

「だね、そうしよう」

「えぇ、そうね」

そう言って俺達は本買ってからリサが行きたいと言っていた

女性服専門店に行く

「女性服専門店だから当たり前なんだけど、俺、場違い過ぎやしない?」

「な〜に言ってんの!多分アタシらのどっちかの彼氏に見られてるはずだから心配しない!ほら、いくよ!」

そう言ってリサは俺を店内に引っ張って行き友希那もそれに続く

「光、こっちとこっちどっちが似合うかな?」

「リサの選ぶ服っていかにもギャルが好きそうな服装だから肩とか臍とか見えるやつばっかなんだもん!俺の反応見て楽しんでない?」

「えぇ〜そんな事ないよ、でも、光はもうちょい大人しめの格好の方が良いの?」

「いや、それは正直なんとも言えないよ、似合っているとは思うけど、はっきり言って目のやり場に困る」

「そうは言うけれど、光、あなた水着はどうなるのよ?」

「ん〜どうだろう?俺も正直わかんないや、だって異性と今みたいに出かけることはあっても、海やプールはなかったし、俺はずっと水泳は選択授業で取ってなかったし」

「じゃあ、泳げなかったりするの?」

「いや、泳げるよ男友達とはプール行ったりはしてたし」

「残念ね、光の弱点見つけられたと思ったのに」

「そうだね〜光って弱点らしい弱点無いもんね〜」

「俺、これでもかなり不器用だし、堪え性ないよ」

「その割になんでも出来るじゃん光はさ〜」

「器用貧乏なのかしら?」

「それはあるかもな〜、昔も今も後悔だらけだし」

「そう、まぁいいわ、その過去についてはいつか聞かせてくれるんでしょ?」

「聞いて面白い話じゃないって!前にも言ったじゃん!別に後悔こそあれど、今を悔いてるわけじゃないし、今の自分もこれはこれで気に入ってるし」

俺はそう言って笑うと2人は肩をすくめて笑い合う

「まぁ、光らしい答えだよね」

「本当に、そうね」

「とりあえず、買うなら買ってきたら?俺待ってるし」

「光は何も買わないの?」

「特別ないからね」

「じゃあ買うもの買ってアクセサリーショップに行こう!そうすれば光が欲しい物あるかもしれないし」

「そうね、賛成よ」

そう言って2人は服を持ってレジに向かった、俺は手持ち無沙汰になったのでイヤホンをして音楽を聴き始める

こういう時に聴くならやっぱりKANA−BOONだ俺はそう思いプレイリストからKANA−BOONを選択して聴き始める

そしてちょうど1曲が終わったタイミングで2人が戻ってくる

「おまたせ〜って音楽聴いてたの?」

「うん、まぁ、手持ち無沙汰だったし」

「何を聴いていたの?」

「KANA−BOONってバンドの曲だよ、それなりに人気でさ」

「そういえば、アタシが借りてるのにも入ってたな〜ってか

ずっと借りててごめん」

「良いよ、普段使わないし」

「私も本借りたままだけれど良いの?」

「全然読んでないし、いんじゃん?」

「なら、もうしばらく借りておくわね、もう一度読み直したいし」

「構わないよ」

そう話しているうちにアクセサリーショップに着いたので各自で見て回る事にした、俺はピアスを見ていると友希那が声をかけて来た

「何かいいものはあったのかしら?」

「そう言う友希那は?」

「収穫ゼロよ、あなたにまた何かしら装飾品を作ってもらう方が良さそうね」

「俺、さすがにイヤリングとかは作れないよ」

「ガラス細工で花びらくらいなら作れるでしょ?」

「まぁね、でもあれかなり集中しないとだから大変なんだよね、要望があれば時間はかかるけど、やるよ」

「まぁ、考えておくわ」

そう言いながら友希那はまた陳列されている商品を眺めていく、そして気になる商品があったようでそれを手にとって見ている

「何か良いのあった?」

「えぇ、これにするわ」

友希那が手に取ったのは三日月の形のピアスだった

「それ、ピアスだよ?」

「あなたにあげるのよ光、合宿に参加してもらう手間賃だとでも思いなさい」

「そう?なら遠慮なく貰うよ!ありがとう」

「えぇ、とりあえずその辺見て待っていてくれるかしら?」

「そうするよ」

俺はそう言ってネックレスやブレスレットが陳列されている場所を見ていると今度はリサから話しかけられた

「光〜、良いのあった?」

「う~ん、正直これと言って無かったけど、友希那がピアス買ってくれるって、合宿参加の手間賃だってさ」

「そうなんだ、あっ!それじゃあ光!アタシと友希那にそれぞれなんか選んでよ!アタシも光に似合うピアス見てくるからさ!」

「OK!俺もさっそく見てみるよ」

俺はそう言うと目星を付けていた商品を手に取って比べてみてこれだと思うものを選んで買っておいた、その後俺達は昼食を済ませた後解散することにした

「明日は早い時間から移動するから2人とも遅れないようにしてもらうわよ」

「大丈夫だって、友希那とアタシの家は隣同士なんだしいざとなったらお互いがお互いを起こしたり出来るでしょ!」

「そうなのだけれど、お互い遅れないのが理想よ」

「わかってるよ〜、光も寝坊しないでね!」

「大丈夫だよ、基本スマホのアラームで起きれてるから」

「まぁ、心配はいらないと思うけど、私からも念は押しておくわ、遅れないようになさい」

「わかった、後、これは俺から2人に」

「さっきのアクセサリーショップで買ったやつだよね?開けても良い?」

「もちろん!どうぞ」

「私のはブローチね」

「アタシのはブレスレット」

「どっちも2人に似合いそうだから、それに2人の星座のマークが入ってるからちょうど良いでしょ」

「確かにね、ありがとう光」

「お礼を言うわ」

「こっちこそ、ピアスありがとう、じゃあまた明日」

「うん!また明日ね〜光〜」

「また明日」

そうして俺達は解散した、俺は自転車をとってきてから家までの道を帰って行く、そして家に着くと俺は上着を脱いでから家の中に入りその足で部屋に向かいパソコンを起動し編集作業を開始する

「余裕があるとはいえなるべく進めないと、同じ曲名で歌詞が違うと少し細かく編集しないとなぁ〜」

そう呟きながら細かく編集していく、それからどのくらい集中していたのか、気付くと外は薄暗くなっていた

「あぁ〜身体バッキバキ」

そう言いながらポキポキと身体を解していき時計を確認すると18時を指していた

「夕飯の買い物に行かないとな〜」

そう思いながら俺は再び上着を羽織り家を出て買い物に向かう、商店街を回って買い物をしていると1枚のポスターが目に入った

「夏祭り?しかも夏休み終わりの1日前で次の日リサの誕生日じゃん!マジか!そういえば忙しくて気にしなかったけど先月は七夕祭りもあったんだよね〜」

俺はそう呟きながら買い物に戻ろうとすると名前を呼ばれた

「光さん!」

声がした方を振り返ると沙綾がいた

「沙綾!久しぶり、SPACEでのLIVE以来?」

「そうなりますね、光さん夏休みに入ってから全然家のパン買いに来てくれないんですもん!」

「アハハ、なんか、ごめんね、午前中は多少家事したり夏休みの課題したりした後は午後からcircleでのバイトでさ、なんならcircle来ればいいのに」

「皆となかなか予定合わなくて、集まるってなるとやっぱり有咲の家の蔵なんですよね。でも、明日から皆と1泊2日で海に行くんです!」

「楽しそうで良いね、俺は明日からRoseliaに付き合って合宿だから」

「そうなんですか?」

「うん、いつもより念入りに練習見てほしいから参加してくれってさ」

「なるほど、そういう事ですか!なら、納得です。」

「こっちも海の近くの別荘らしいし、もしかしたら会えるかもよ?」

「本当ですか!?」

「うん、まぁ保証はできないけどね」

「そうですか…なら光さん!夕飯まだですよね?私の家で一緒に食べませんか?」

「お誘いはありがたいけど、今回は遠慮するよ。いきなり行っても迷惑だろうし、なによりも家族団欒を邪魔したくないしね」

そう言って苦笑する俺に対し沙綾は残念そうな表情をしている

「どうしても、ダメですか?」

沙綾が上目遣いに聞いてくる

「提案自体は魅力的だけど、今回は本当に遠慮するよ、改めて両親とじゅん君達の許可貰えたら改めて誘って」

「…わかりました」

「そう、残念そうな顔しないでよ、代わりに家までは送るからさ」

「わかりました、今回はそれで許してあげます!でも、今度は家で晩御飯食べましょうね」

「わかった、家族の許可が取れたら呼んで」

「はい、じゃあ、家まではちゃんと送って下さいね」

「OK、じゃあ行こう!」

「はい!」

その後俺は沙綾を送って家に帰り手早く夕飯の準備をして夕飯を済ませるとリサが俺にくれたピアスが入った袋を開けて見ると十字架のピアスだった

「三日月に十字架って、俺はどこのエクソシストだよって感じだな〜」

そう思いながらさっそくそのピアスを付ける

左右に首を降る度シャラシャラと耳元でピアスが揺れる

「このピアス付ける時は黒系の服は辞めておこう」

そう呟きながらピアスを外しケースにしまうと

シャワーを浴びるため着替えを取りに部屋に行き着替えを持ってシャワーを浴びに行く、そしてシャワーを浴びて出ると

俺は早速今日買ったばかりの【4分間のマリーゴールド】を

読み始めしばらく集中して読み進め3分の1程読んだところで栞を挟み本を閉じる

「ここまでにしとこう、そろそろ寝ないと、明日起きれなくなりそうだし」

そう言って俺は就寝する

夢を見た…最近思い出す事が増えたせいかもしれない

俺自身がどんなに割り切ったつもりでも、やはりそうも行かないんだろう。

俺は目を覚ますとほぼ同時にアラームがやかましく鳴り響く

アラームを止めると身体を起こし軽く頭を振る

「昔の夢なんて久々に見た…正直割り切ったつもりだったのにな…」

俺はそう呟きながらベットから降りて着替えてからリビングに向かい、そこから台所に行き朝食の準備を始め朝食をとり

その後食器を片付けてから大きめの荷物を持って家を出る今回は自転車に乗り切る量じゃないため待ち合わせ場所の駅まではタクシーを呼び荷物を積んで駅に向かう

駅に着き、精算を済ませ荷物を降ろし終えると、ちょうど

Roseliaのメンバーが揃ったようで俺の所に集まってきた

「おっはよう☆光〜寝坊しなかったみたいだね〜」

「そっちもね、とりあえず、皆おはよう」

「おはようございます。光君、随分大荷物ですね」

「まぁギターとキーボードの他にもメンテの道具とかもあるからね」

「光兄ぃが一日中練習見てくれるんでしょ?」

「そのつもりだよ、まぁ食事の準備もあるからずっとって訳にわ行かないけどね」

「食事は光君が全部準備するんですか?」

「うん、そのつもりだよ、合宿中の3食は俺が担当するよ」

「まぁ光の料理の腕は一度ご相伴に預かったアタシと友希那が保証しますとも!」

「えぇ、そうね、とりあえずそろそろ行きましょう、電車が来るわ」

友希那の言葉に俺達は揃って頷き友希那の後に続いて乗車していく

俺は席に座るとスマホにイヤホンを繋ぎ音ゲーをやり出す、アップデートのおかげで曲種が増えているのでまた、

フルコンボを目指して演奏していく

そしてその様子をあこちゃんと燐子が見ている

(如何せん、視線が気になって集中できない)

内心そう思い一度曲をストップさせてイヤホンを取り2人に話しかける

「2人とも、どうしたの?なんか気になる?」

「光兄の指が物凄い勢いでスマホの画面を行ったり来たりしてるからにしてるのかなってさ」

「音ゲーだよ!画面に表示されているマークを的確な場所でタッチして演奏していくの」

「難しいんですか?」

「ん〜難易度は変えられるしEASYモードからEXTRAまであるからNormalかHARDなら2人も出来るんじゃない?やってみたい?」

「うん!やらせて!やらせて!」

「良いよ、イヤホンは外さないでやってね」

「わかった!」

「私もお借りしても良いですか?」

「あこちゃんと交代でやりなよ、飽きたら返してくれたらいいし」

「じゃあ、そうしますね」

俺は2人にスマホを貸出、席を移動し音楽聴き始めると今度はリサが話しかけてきた

「光〜ガム食べる?」

「何味?」

「ソーダ味だよ」

「じゃあ貰う」

「ゲームしてたんじゃなかったの?」

「あこちゃんと燐子がやりたそうにしてたから貸したよ

リサは?友希那と紗夜と話してたんじゃないの?」

「いやぁ~実は暇って言うか、手持ち無沙汰だったんだよね〜2人ともなんか今からもう集中してるっぽくて」

「そうなの?じゃあトランプでもする?3回か5回勝負して、負けたら目的地に着いた時ジュース奢り」

「OK!じゃあ無難にババ抜きで良い?」

「良いよ、じゃあ軽くシャッフルして勝負開始ね」

そうして俺達はトランプであこちゃん達は俺のスマホに入れている音ゲーで遊んでいると、あっという間に目的地に着いた

勝負結果は俺の勝ちだった

「最後の最後で負けるなんて」

「リサ、ポーカーフェイスとか苦手でしょ?笑顔で誤魔化そうとしているのがバレバレ」

「光はどうなの?」

「俺はポーカーフェイスじゃなくて駆け引きだよ、多分友希那は鉄仮面だから表情読むの難しいかもね」

「誰が鉄仮面よ」

「うわ!っていきなり後ろに立たないでよ!」

「あなたとリサが表情がどうのと話していたのが聞こえて声をかけようと思ったのだけれど、あなたが私の事を鉄仮面と言っていたのが聞こえたから声をかけたまでよ」

「アハハ、なんかごめん」

「まぁ、良いわ目的地の別荘はすぐそこよ、行きましょう」

別荘に着くと俺達は荷物を置いて各自の部屋で休憩する

「さてと、早いけど昼食の買い物に行かないとな」

そう呟くと財布を持って部屋を出て断りを入れる為、友希那の部屋に行き扉をノックする

「友希那、ちょっといい?早いけど買い物に行ってこようと思うんだ」

そう言って少し待っていると扉が開き友希那が顔を見せる

「別荘内の冷蔵庫は確認したの?」

「まだだよ、友希那に断りを入れてから別荘内の食料を確認して出かけるつもりだったから」

「そうなの、わかったわ、ちょっと待っていなさい」

そう言って扉を閉めると、5分立たない間に友希那が部屋から出てきて封筒を手渡される

「合宿費用の食費よ、あなたが管理なさい」

「良いの?必要な分だけ渡してくれれば俺は大丈夫だよ?」

「全員の承諾は得ているから冷蔵庫を確認してから行ってきなさい」

「了解、じゃあ、預からせてもらうね」

俺は封筒を受け取り友希那の部屋を後にし、冷蔵庫を確認すると最低限こそあれど料理は難しいと言わざるを得ない

「やっぱり買い物に行かないとダメそう」

そう言って俺は買い物に向かうスマホで地図を確認しながら海辺の商店街を目指して進んでいく

「ここか、じゃあ今日の分の買い物は済ませちゃおう」

そう言って商店街にあるスーパーで買い物を済ませて俺は元来た道を帰って行く、そして別荘に着くと皆が待っていた

「お帰り〜光〜お昼何?」

「そうめんかな、普通のつゆの他に2種類用意すれば飽きることなく食べれるでしょ?」

「ちなみにどんな味を用意するんですか?」

「ピリ辛のとネギや大根おろしをたっぷり入れたサッパリ系のと普通のめんつゆの3種類だね、準備するから待ってて」

そうして20分程度で全ての準備を整えて皆の元へ運ぶ

「出来たよ〜食べて食べて」

「じゃあ遠慮なく、いっただきま~す!」

リサに続き皆それそれが「いただきます」と言うと

つけ汁を手に取ってそうめんを頬張る

「このピリ辛のつけ汁いいね!辛過ぎないからいい感じに食が進むよ!」

「あっさり系のつけ汁も悪くないわね、食べやすいわ」

「始めはシンプルのと思い口にしてみましたが、普段から食べるのとは全然違いますね、なんというか、かなり風味が強いです」

「どれも美味しいよ!」

「本当に美味しいです、ここまで美味しく食べられたの初めてかもです」

「喜んでもらえて良かったよ、夕飯は俺特製のカレーを用意するから楽しみにしててね」

「絶対美味しいじゃん!」

「俄然、食事が楽しみになってきましたね」

「えぇ、練習を頑張りましょう」

「あこもやる気が湧いてきた!」

「私も、楽しみです」

そう言いながらも皆は手を止めずに食べ続けてあっという間になくなった

「あ~お腹いっぱいだよ〜」

「ここまで美味しくて満足感があったのは始めてね」

「私もです」

「ちょっと食べ過ぎだかも〜」

「確かに、ちょっと食べ過ぎだかも」

「とりあえず、落ち着くまで休んでから練習しなよ、俺は食器類片付けちゃうから」

「そうされてもらうわ、皆、30分もすれば落ち着くだろうし、30分後の13時から15時まで練習、間に10分程休憩を入れてみっちりやるわよ」

皆が頷きそれぞれ休憩を取る

「光、あなたも練習に参加してもらうわよ」

「片付け終わってからね、後、夕飯の準備もあるし15時以降は何時までやるかわかんないけど、今日に限ってはあんまり見てやれないかもよ?」

「わかっているわ、今日の練習予定時間は18時までだから16時までは平気よね?」

「今日だけはcircleで練習見る時と変わらないね」

「仕方ないわよ、頼んだのはこちらなのだし、夜には1曲演奏してもらうわよ」

「食事の後でね、よし!片付け終了!」

話ながらも手を動かしていた俺は片付けを終えて椅子に座り

音楽を聴き始める【SUMMER NUDE13】を再生し聴いているとリサが片方のイヤホンを俺の耳から外し隣に座って聴き始める

「自分ので聴きなよ!俺貸したのあるよね?」

「あるけどさ光が普段使ってるこっちの方が曲入ってるんだもん!そんな事より光!アタシ、あれ聴きたい!」

「どれ?イノハリ?マッシュ?クリプレ?」

「光がSPACEのラストライブで歌った曲!」

「あぁ、オワリはじまり?」

「そう!それ!後、アンコールの時のやつも」

「じゃあ、オワリはじまりからでいい?」

「お願い!」

俺は仕方なくオワリはじまりを再生する一日の終わり聴く曲ならピッタリだし落ち着きたい時も良いのかもしれないと思いがら聴いていると俺の左隣に紗夜が座り袖を軽く引っ張った

「どうしたの?」

「光君、あの、最近光君が毎日聞いている曲はあったりしますか?」

「最近だと、だから僕は音楽を辞めたって曲かな?音楽を辞めて自分に残った人間性とか周りとの関係とかを歌った曲でね歌詞が凄く共感出来るんだ」

「良かったら聴かせてもらえませんか?」

俺は首にかけていたヘッドホンを外し紗夜に渡す

「これをつければいいんですか?」

「うん、音楽プレイヤーとして使ってるスマホに繋がってるからすぐに再生できるからね」

「わかりました」

紗夜がヘッドホンをつけたのを確認すると曲を再生する

俺は耳に付けていたイヤホンを外すと立ち上がる

「光、どこ行くの?」

「部屋にあるスマホで別な曲聴くよ」

「えぇ〜一緒に聴こうよ!」

「俺、今別に聴きたい曲があるしさ、それに、ゆっくり静かに聴きたいんだ」

「そんなこと言わないでさ〜お願い!一緒に聴こうよ!光と一緒に聴きたいからさ〜お願い!」

俺は軽くため息をつきながら元の位置に座る

「プレイリストの夏の曲開いて、適当に再生して」

「OK!」

そうして俺達は少しの間一緒に音楽を聴いていると練習が始まると号令が掛かり俺達は練習ルームに移動する

その途中紗夜に呼び止められる

「あの、光君」

「どうしたの?」

「これ、お返しします」

そう言ってヘッドホンともう1つのスマホを差し出してきた

「もういいの?別にまだ持っててもらっても良いよ?」

「ですが!、あんまり光君の物を借りる訳には…」

「別に気にしないでよ、リサなんか俺のウォークマン借りっぱなしだからね」

「そうは言いますが…」

「じゃあさ、こうしよう!合宿の間は貸しておくよ、最終日に返してくれればそれで良いし」

「わかりました、それでは、合宿の間は借りておきますね」

そう言って微笑む紗夜に思わず見とれてしまう

「どうしたんですか?」

「あぁごめん、ちょっと紗夜が俺のパーカー返しに来てくれた時の事思い出してた」

「あの時の事ですか?光君が思い出して楽しいような事ありましたか?」

「いや、まだあの頃桜咲いてたでしょ、風に吹かれて舞い散る桜の中に立っていた紗夜が凄く綺麗だったなって」

俺がそう言うと紗夜は頬を赤くして反論する

「そっそんな綺麗だなんて!私個人は見るに耐えうる顔はしていません!それこそ日菜の方がよろしいのでは?」

「確かに日菜は可愛いかもしれないけどさ、でも、紗夜だって美人でしょ?見るに耐えうるって言うけど、俺は少なくとも紗夜は美人で綺麗だと思うよ」

俺がそう伝えると紗夜は耳まで真っ赤になって俯いてしまった、俺は正直どうしたもんかと思いながら人差し指で頬を掻く

「とりあえず…行こっか」

「そう…ですね」

そうして練習ルームに行くと、会話が丸聞こえだっようでリサと友希那に突き刺さるような視線を向けられたが特に何かを言われることなく練習が始まり俺は演奏を聴いて気になる点があれば指摘していき、休憩時間に入る

「光って本当に細かい所まで音聴いてるよね、アタシ等が気付きもしないミスまで的確に指摘するんだもん、言われて意識して直せるから何とかなるけどね」

「そうね、声の感じから色々見えているようだし」

「まぁ、Roseliaの目標を聞いている以上半端なアドバイスはできないしね、それに、そんな事したら皆怒るでしょ?俺だって半端な気持ちでやってないって事はわかってもらわないとね」

「光兄ぃが本気なのは伝わってるよ!アドバイス正確だもん!それに必要ならお手本だって見せてくれるし」

「そうだね、演奏も的確だし、本気じゃないって事はないと思うな」

「それだけ私達はあなたを信頼しているという事ですよ

光君、間違いようのない事実なので覚えておいてくださいね」

「わかってるよ、そこまで疑ってないから大丈夫」

「なら、良いわとりあえず、練習を再会するわよ」

友希那がそう言うと皆は準備を整えて練習に没頭する

俺はさっきと同様に演奏を聴いて気になる事があればアドバイスしていき俺は予定通りに夕飯の準備を始める

そしてカレーが出来るのとほぼ同時に皆が練習を終えて戻ってきた

「お疲れ様、カレー出来てるよ」

「本当!?じゃあさっそく夕飯だね〜」

「そうね」

「はい」

「賛成」

「私もです」

「今持っていくよ」

俺は全員分のカレーをよそうとみんなの所に運ぶ

「じゃあ、さっそく、いっただっきまーす」

「いただくわ」

「いただきます」

「いただきま~す」

「いただきます」

皆がいただきますと呟きカレーを食べ始める

「あっ!辛ーい!でも、美味しい!」

「後味がマイルドね」

「この辛さで後に残らないのは何故なんでしょうね、それに今の時期ありがたいです。食欲は落ち気味ですからね」

「辛うま〜」

「本当に美味しいです」

「喜んで貰えて何より、明日の昼と夜はカレー尽くしかな?お昼はカレーパンにでもして、夕飯はコロッケかな」

「良いね〜辛さこのままでパンになるならいい感じに美味しいよね!」

「楽しみね」

「そうですね。」

「光兄ぃって本当になんでもできるんだね〜」

「そつがないですよね」

「大袈裟だよ、料理は昔からやってたからできるだけだしね、それに音楽とかだってそうだよ、積み重ねって言うのかな?」

「光君のは積み重ねと言うより積み上げると言うべきなのでは?」

「なら、それをぶっ壊さないとね!」

「光〜それ、歌の歌詞でしょ?聞いたことないけど」

「なら、それにする?今日の演奏」

「どんな曲なの?」

「昔を懐かしみながらも現実と向き合う曲だよ」

「あこは聴きたいな〜!」

「私は昼間聴かせてくれたあの曲が良いですね、だから僕は音楽を辞めたが良いですね」

「紗夜に1票よそれが気になるわね」

「私も音楽を辞めたに1票ですね」

結局3対2で曲はだから僕は音楽を辞めたに決まった

そして皆が食事を終えて皆は入浴タイム俺は片付け中だ

 

Roselia視点

「あぁ〜極楽だねぇ〜」

「そうね」

「同意です」

「疲れがとれるね〜」

「うん」

皆が湯船に浸かりながら呟きそしてリサが徐ろに口を開く

「そういえばさ〜アタシや友希那はともかくあこも含めた3人は光の印象っていうかはどんなの?」

「光兄ぃの印象?」

「そう、例えば楽しい人とか、そういうの」

「ん〜あこから見た光兄ぃは優しくてオシャレでカッコよくて、あと、演奏が凄い人!」

「ちょっと抽象的過ぎませんか?」

「そう言う紗夜はどうなの?」

「私ですか?私は、どこまでも、ひたむきで、それでいて不器用な方ですかね」

「不器用?光が?」

「えぇ、伝えたい事があってもうまく伝えられずに歌で伝えている、実際その瞬間を2度ほど目にしました」

「そうなんだね〜じゃあ燐子は?」

「とても優しくて面倒見が良くて誠実な人だと思います」

「面倒見がいいってのは、当たってるかな?あこも含めて他の後輩達からも慕われてるしね」

「でも、年下の子に甘すぎませんか?光君」

「それはあるかもね〜クラスでも日菜にだけな〜んか甘いしね、友希那もそう思うでしょ?」

「確かにそうね、ブーブー言いながらもされるがままね」

「少しだけ日菜に甘すぎませんか?光君はあんまり甘やかしてもいい事なんてないと思うのですけど」

「でも、甘やかすなって方が無理じゃないかな?光ってなんだかんだで日菜事気に入ってるし、人の目をまっすぐ見て話せる奴だって」

そんな話をしながら私達は光君の話で盛り上がった

 

光視点

俺は食器の片付けを終えてキーボードを設置し演奏の準備を始め音を出し感触を確かめる

「ちょっと弾いてみるか」

そう言って俺はキーボードで軽く演奏する

「大丈夫そう、あとは待つだけかな?」

そう呟き待っていると皆が入浴を済ませ戻ってきた

「おまたせ〜」

「準備出来てるよ」

「光、演奏する曲名なんだっけ?」

「だから僕は音楽を辞めたって曲だよ、っていうかリサだよね?」

「そうだけど…?」

「いっつもナチュラルにメイクしてるからさ」

「あぁ、そういう事!確かにすっぴんだし、髪もおろしてるからね、なかなか新鮮でしょ?」

「そうだね、本当に新鮮だよ」

「そう、素直に言われると何となくからかいずらいな〜

まぁ、いいや!とりあえず演奏聞かせて〜」

「了解、じゃあ始めるね」

俺はそう言って演奏を始め歌い出す

『考えたってわからないし 青空の下、君を待った

風が吹いた正午、昼下がりを抜け出す想像

ねぇ、これからどうなるんどろうね

進め方教わらないんだよ

君の目を見た何も言えず僕は歩いた』

 

俺はキーボードを弾きながら歌っていく、聞いてくれている

Roseliaの皆に向けて

 

『考えたってわからないし 青春なんてつまらないし

辞めた筈のピアノ、机を弾く癖が抜けない

ねぇ、将来何してるだろうね 音楽はしてないといいね

困らないでよ 心の中に一つ線を引いても

どうしても消えなかった 今更なんだから

なぁ、もう思い出すな

間違ってるんだよわかってないよあんたら人間も

本当も愛も世界も苦しさも人生もどうでもいいよ

正しいかどうか知りたいのだって防衛本能だ

考えたんだあんたのせいだ』

 

Roselia視点

「ピアノを辞めてなお机を弾く癖が抜けないのに将来音楽はやってないといいねって、そうやって一線を引いてもまだ消えないってなんか悲しいね」

「そうですね、私はキーボードもピアノも弾くので何となく共感してしまいますね」

「あこは、最後の考えたんだあんたのせいだって部分がねなんか気になるって言うか、上手く言えないけど、考えても考えてもこれしか答えが出なくて結局誰かのせいにしてるように聞こえるな〜」

「結局自分の答えを疑いたくないと言っているように聞こえますね」

「同意見よ紗夜、私も同じよ、自分の葛藤や迷いが見えるわね。」

人が違えば意見も違うと言うけれど、私達もそれぞれの考えを持っている中でおそらく皆、自分から音楽がなくなったらどうなるんだろうと考えさせられる

 

『考えたってわからないが 本当に年老いたくはないんだ

いつか死んだらって思うだけで胸が空っぽになるんだ

将来何してるだろうって大人になったらわかったよ

何もしてないさ 幸せな顔をした人が憎いのは

どう割り切ったらいいんだ 満たされない頭の奥の

化け物みたいな劣等感

間違ってないよ

なぁ、なんだかんだあんたら人間だ

愛も救いも優しさも根拠がないなんて気味が悪いよ

ラブソングなんかが痛いのだって防衛本能だ

どうでもいいか、あんたのせいだ』

 

Roselia視点

「なんか、色々考えさせられるねこの曲」

「そうね、死を思って胸が空っぽになって将来何もしていないのが大人になってわかってなんて虚しいわね」

「劣等感の中で生きてきた中で生まれた曲なんでしょうね」

「あこもそう思うな〜どうしても考えちゃうもん劣等感とか

そういうの」

「全てに根拠を求めて防衛本能で生きているそんな時ですかね」

この曲は音楽を辞めた人の人生を歌い嘆いた曲なのだろうか?全てに根拠を求めてあんたのせいだと嘆いているようなそんな曲なのかもしれない

 

『考えたってわからないし 生きてるだけでも苦しいし

音楽とか儲からないし 歌詞とか適当でもいいよ

どうでもいいんだ

間違ってないだろ

間違ってないよな

間違ってないよな』

 

Roselia視点

おそらく皆口には出さないが歌詞のこの部分は光の事だと誰もが感じた、さすがに儲かるとかは考えていないだろうけど

光は多分自分自身が書いた歌詞をどうでもいいと適当でもいいんだと思っている。そしてそれを間違ってないだろ間違ってないよなと自問自答している姿が浮かんだ

 

『間違ってるんだよ わかってるんだ あんたら人間も

本当も愛も優しさも人生もどうでもいいんだ

正しい答えが言えないのだって防衛本能だ

どうでもいいやあんたのせいだ』

 

俺は俺の世界を表現する、音楽を辞めたことを間違っていないよなと自分を肯定しながらもすべてをあんたのせいだと言って、全てを捨てたこの歌の主人公とその隣にいる君という存在

を表現していく

 

『僕だって信念があった 今じゃ塵みたいな思いだ

何度でも君を書いた売れることこそがどうでもよかったんだ 本当だ 本当なんだ昔からそうだった

だから僕は だから僕は音楽を辞めた』

 

演奏を終えて俺はキーボードから手を離すとRoseliaのメンバーから拍手が送られた

「な〜んか色々考えさせられたよ」

「そうね、でも、悪くなかったわ」

「この曲を光君が歌うとまた違った感性があって私も色々考えさせられました」

「音楽を辞めることの辛さとかが感じられた曲だったよ」

「キーボードを弾く身だからこそわかるなって思う部分もありました」

皆がそれぞれ感想を述べる、俺はそれに対し返答する

「確かにね、この曲は音楽とどう向き合うかとかが問われる曲だと思うし、それに価値観とか変わると思う」

「確かにそうね、なんだか色々考えたい気分だわ今日はここまでにしましょう」

「OK!じゃあ部屋に戻るよ」

「私もそうします」

「あこ達も行こう、りんりん」

「そうだね、じゃあ皆さんおやすみなさい」

「えぇ、おやすみなさい」

「皆、おやすみ〜」

「おやすみなさい」

「また明日 」

「うん!また明日」

そうして俺達は各自の部屋に戻って行った

俺は部屋に戻り読みかけの小説を読み進めていると、扉がノックされた

「こんな時間に誰だろう?」

俺は扉を開けると部屋の前にいたのはあこちゃんと燐子の2人だった

「2人ともどうしたの?眠れない?」

「うん、なんか目が冴えちゃって」

「もし、迷惑でなければ少しお話しませんか?」

「良いよ、入って」

そう言って俺は2人を招き入れる

「光兄ぃはなにしてたの?」

「ちょっと読書」

「友希那さん達と買い物に行った時買ったやつですか?」

「そうそう、4分間のマリーゴールドってタイトルのノベライズ本」

「そうなんですか…」

そう言うと燐子は黙ってしまった

「眠れないってだけじゃなさそうだね」

俺がそう言うと2人は顔をあげる

「わかるの?」

「わかるよ、さっきの曲からまたなんか思う所があってとか、そんな感じでしょ?」

「実はそうなんです、光君は音楽を辞めたいと思った事があるんですか?」

「そりゃね、それなりに長い事やってるから、そう思うこともあるよ、でも、今はそうでもない、逆に弾くことが、演奏する事が楽しいんだ、Roseliaだけじゃない他のガールズバンドの音を聞いてるとね、俺の音ももっと高いクオリティを出せるんじゃないかって思えるんだ、だから今の俺にそのつもりはないよ」

「そっかァ〜よかったね、りんりん」

「うん!」

「それが気になってたの?」

「実はそうなんだ、りんりんがなんか凄く心配してて」

「そうなの?」

「はい、光君の好きな曲ってどうにも不安になりがちな曲と言うかそういうのばっかりで」

「アハハなんかごめんね、でも、別にそういう曲ばっかりでもないんだけどさ、2人とも眠くなったら俺のベット使ってもらって構わないから少しの間俺に付き合ってくれる?」

「演奏するの?」

「そうだよ」

「ギターですか?それともキーボード?」

「どっちもハズレ正解はこれ」

そう言って俺はバイオリンを見せる

「バイオリン?光兄ぃ弾けるけど、持ってないって言ってなかったっけ?」

「誕生日に両親が送ってくれたんだ弾けるなら持っておけって手紙付きでさ」

「そうなんですか」

「まだ他の皆には内緒ねバイオリンでも弾きながら歌えるようになりたいから、まだそれ出来ないからとりあえず演奏だけね」

「そういう事なら、わかりました」

「あこも黙ってるね」

「じゃあ演奏するね、曲名は

UmareruNegai~生まれる願い~」

俺はバイオリンを弾いていくこの曲を選んだのはこれなら問題なく弾けると思ったからだ、そして思った通り問題なく弾けている、そして曲が2番にはいる頃には2人は安らかな寝息をたたていた、俺は曲を最後まで演奏し終えるとバイオリンをしまい、部屋を出てリビングのソファに横になり眠りについた

 

次の日皆で朝食をとっていると友希那から昨日の夜の事を話題にされた

「光、昨日の夜解散した後しばらくしてからあなたの部屋からバイオリンの音が聞こえたのだけれど、あなたが弾いていたの?」

「いや、スマホで聴いてたんだよ!睡眠用って言うのかな?そんな感じ」

「本当かしら?あなたはバイオリンも弾けるのでしょう?」

「弾けるけど、バイオリン手元にないしね」

俺はそう言って誤魔化す

「まぁ、良いわこの後のことだけれど、新曲作成の為に私は練習には参加しないから任せるわよ、光」

「そういう事なら、了解」

「頼むね〜光〜多少厳しくても大丈夫だから、じゃんじゃんやって」

「そういう事言うと、本当にクオリティ上げるよ?具体的には俺の演奏を10としてRoseliaが現時点で3だとして5まで一気に引き上げるよ?」

「それは、ちょっと困りますね、いきなりクオリティを上げられても着いていけませんし」

「あこも、いきなり段階上げられても無理だよ光兄ぃ」

「私も、正直遠慮させていただきます」

「だってさ、3対1だねリサ」

「あちゃーダメか!なら、とりあえず目標を5に設定するって事ならどう?」

「まぁそれなら」

「あこも、それなら頑張る」

「私もそれで良いです」

「じゃあ決まりって事で」

「頼んだわ」

友希那はそう言ってヘッドホンを付けて作曲を開始する

「じゃあ俺達は練習しよっか」

「そうだね、じゃあお願いね」

「OK!」

俺達はそう言って練習を開始する、俺はあえて練習のアドバイスを必要最低限にし技術向上に必要なアドバイスだけをしていく

「そこはもう少し、テンポ早く出来る?具体的にはこのくらいなんだけど、そうすれば次のコードがその分早くなるし演奏そのものも走りすぎないからイケるんじゃない?」

「なるほどね〜テンポとリズムが早めの曲ならこの方が良いわけか!」

「そういう事」

「紗夜はちゃんと周りに合わせられるんだからあえてリードするのも手だよ」

「では、そこを意識してみます」

「あこちゃんと燐子は現状維持で今は大丈夫、必要ならその都度アドバイスするよ」

「わかった〜」

「私も了解です」

そうして練習を続けつつ友希那を気にかけるがまだ難航中のようだった、俺はとりあえず休憩を取るように支持してから友希那に声をかける

「友希那、大丈夫?」

「えぇ、でも難航しているわ」

「手付かず?」

「残念な事にね」

「良かったら曲聞かせてくれる?」

「良いわ、聞いてみてどう感じたか教えてくれるかしら?」

「了解、借りるね」

俺は友希那からヘッドホンを受け取ると耳にして聴いてみる

Roseliaの音にしては熱を帯びているよに感じるどこか情熱的というべきか、まるで咲き誇る大輪の花のようだと感じた

俺はヘッドホンを外すと感想を口にする

「花が咲き誇るようなそれでいて空に語りかけるように静かで情熱的だった」

「さすがね、確かな感性よ、でも、これにピッタリな歌詞が浮かばなくてね、困っているのよ」

「なら、ちょっと息抜きしない?」

後ろから声が聞こえ振り返るとリサが満面の笑みで立っていた

「別に息抜きするほど疲れてないわよ」

「でもさ、友希那、このままだと衣装のサイズ合わなくなるんじゃない?ほら!ぷにぷに〜」

「ちょっと!リサ!やめなさい!」

俺は軽く頭を押さえながら目の前でじゃれている2人に話しかける

「あのさ、じゃれるのは結構なんだけど、男子の目がある事を気にしようよ2人とも!」

「光君の言う通り周りの目を気にして下さいお二人共!」

「ほらほら、天下の風紀委員長様がお怒りだよ」

そう言うと紗夜は俺の頬をつねる

「痛い!痛い!紗夜?何?」

「だ・れ・が!天下の風紀委員長様ですか!風紀委員である事は事実ですが、そんな女王様のような呼び名は好きじゃありません!」

「そう、怒んないでよ、美人が台無しだよ!」

「また、そんな事ばかり!」

そう言ってまた俺の頬をつねる

「だから痛いって!」

「耳を引っ張られるよりマシでしょう!」

「耳引っ張ったらピアスの穴のとこから裂けるって!怖いこと言わないでよ!」

そうしていると今度は後ろから両肩を掴まれる

「光〜息抜きがてらに遊びに行くんでしょ?」

「紗夜と夫婦喧嘩している場合?」

2人は俺の両肩にギリギリと力を込めつつ目が笑ってない笑顔でそう言ってきた

「痛い!痛い!俺さっきからこんなのばっか!」

「自業自得です!」

「とにかく、息抜きに海でぱぁっと遊ぼ!そうすれば友希那もなんか良い詞が浮かぶかもよ?」

俺がそう言うと2人は俺の肩から手を離してお互いに顔を見合わせた

「リサも同意見かしら?」

「そうだね、息抜きは大事だよ!」

「ハァ、わかったわ!全員水着を持って5分後に玄関に集合よ!光はギターも持ってきなさい」

「キーボードじゃダメ?」

「なら、両方持ってきなさいな必要なら私達が交代で持ってあげるわよ」

「わかった、そうするね」

俺は部屋に戻りウエットスーツが入ったバッグとギターとキーボードを持って部屋を出て玄関に向かうと皆は既に集合していた

「あなたで最後よ光」

「俺は荷物多いんだし仕方なく無い?」

「だよね〜光、キーボード持ってあげるよ」

「良いの?お願いするよ?」

「良いよ〜どうせすぐそこの海まででしょ?」

「じゃあ、お願い」

「はいは~い」

俺はリサにキーボードを預けて皆と一緒に海に向かった

海に着くとさっそく着替えに更衣室に入り俺は着替えてギターを持って更衣室を出る

そしてパラソルとレジャーシートをレンタルし適当な場所に立てると着替えを終えた皆がやってきた

「待たせたわね」

「おまたせ〜光〜」

「お待たせしました」

「光兄ぃ待った?」

「待たせてしまいましたか?」

俺は首を横に振り答える

「パラソルとかレンタルして来て設置したりしてたから、そんなに待った感じはしなかったし気にしなくていいよ」

「とりあえず、お昼にしない?アタシと紗夜でなんか買ってくるよ!光達は荷物の番しててよ」

「ほとんど俺の荷物だしね、当然かな?リサ、じゃあラムネ奢ってよ!初日の勝負忘れたとは言わせないよ!」

「あぁ!そういえばアレまだだっけ?わかった、ラムネで良いんだよね?」

「うん!お願い」

「OK!じゃあ他にも色々見繕って来るよ 、行こう紗夜」

「えぇ、では行ってきますね 」

そう言って2人は海の家に買い出しに行った、俺はすかさずギターを取り出しチューニングしていく

「あなた、海まで来て結局ギター弾くのね」

「持って来いって言ったのは友希那だよね?」

「私は後でそこの浜辺のステージで演奏してもらおうと思っていただけよ」

そう言って海の家に隣接するステージを指さした

「あそこって使っていいの?」

「調べたけれど、あそこは海開きと閉鎖の時くらいしか使わないそうよだから、あの海の家のオーナーさんに許可を取れば機材は貸して貰えるそうよ」

「そうなんだ、じゃあ帰る前に演奏しようか?」

「是非ともそうしてちょうだい」

「了解、じゃあ帰る前にね」

そう言って俺はまたギターを弾き始める

「ところでさっきから何かしらの曲を演奏しているのかしら?そうは聞こえないのだけれど」

「今はちょっと念入りにチューニングしてるだけだからね、リクエストがあれば受け付けるけど?」

「今はいいわ」

「そう?なら、適当に弾いてるよ?」

「好きにすればいいじゃない」

友希那がそういうので俺は適当に弾いてると友希那がいるのとは反対の方から名前を呼ばれた

「光先輩?」

呼ばれて振り向くと香澄達Poppin’Partyの3人がいた

「やっぱり光先輩だぁ〜!ほら、やっぱりそうだったじゃん有咲」

「人違いだったらまずいだろって言っただけだろうが!それ以上の事は言ってねー」

「落ち着いて有咲ちゃん」

「3人とも久しぶり、相変わらず仲良しだね、ところでおたえと沙綾はどうしたの?」

「お昼を買いに行ってます!」

「と言うことは、リサ達とも会ってるはずね」

「だよね、同じこと考えてた」

「そういえば、他のRoseliaの皆はどうしたんですか?」

「あこと燐子は砂の城を作っているわよ、リサ達は買い出しよ」

「じゃあ、お店で会ってるかもですね」

「そうね」

そう話しているとリサ達が戻ってきた

「お待たせ~ってやっぱり他のポピパの子達と一緒だったんだね」

「うん、ちょっと話してた」

「そっかそっか、とりあえず、はい、ラムネ」

「ありがとう」

俺はラムネを受け取りさっそく開けて飲んでいると大きめのカップが手渡された

「光の分はラーメンね」

「ありがとう、いくらだった?」

「このくらい、良いって良いって」

「とりあえず、早く食べないと伸びちゃうよ」

「だね、じゃあいただきます」

俺が食べ始めると何故か視線が集中した

「食べづらいんだけど…何?」

「いや、なんて言うか、光先輩ってリサ先輩と仲良いんですね」

「まぁクラスも学年も一緒だし、学校じゃあ毎日一緒だし仲良くもなるよ」

「だよね〜学校だけじゃなくてcircleとかでもしょっちゅう

練習見てもらってるし、今回も一緒に合宿来てるし、これで仲悪いほうがおかいってねぇ、光」

「確かにね」

そう言って苦笑する

「そういえば、光さん達も合宿先この辺なんですね、もしかしたら会えるかもって言ってたんですけど、本当に会えたのはちょっと驚きです」

「確かにね、もしかしたらとは言ったけど、偶然って重なるものだね」

「本当ですよね、そうだ!よかったらこの後皆で遊びませんか?」

沙綾がそう提案する

「俺は良いけど、皆は?」

「アタシも良いよ」

「私も異論はないですね」

「構わないわ」

「あこも良いよ」

「私もです」

皆からOKが出たので俺は沙綾に向き直り話しかける

「皆OKだってさ、何するか決めてるの?」

「皆でビーチバレーやろって話してたんです、なので

ポピパvsRoseliaでどうですか?」

「良いね!じゃあ勝った方が光に1曲リクエストする権利をゲットって事でどう?」

「良いですね!」

「俺の意思は?」

「ダメだった?」

「良いけど、一応俺に確認取ろうよ!」

「ごめん、ごめん次からそうするよ」

そうして昼食をとり終えた俺達はビーチバレーをするため

コートに移動する

「光はどっちのチームに入るの?」

「俺はパス球技は得意じゃないんだ」

「でも、それなりには出来るんですよね?」

「まぁね、でもやっぱり得意とは言えないかな、それにこの後演奏する予定だし、あんまり疲れたくないかな」

「まぁ光君がこう言ってますし、一応彼は景品のような立場なのでどちらかに加担するのは良くないのでは?」

「それもそうね、じゃあ、他のメンバーと一緒に審判でもしてもらいましょう」

「了解、じゃあそうするね」

そう言って俺は審判に着いたがあこちゃんが必殺技を出そうとして失敗した辺りから試合が硬直し始め途中までカウントしていた点数も忘れてしまった

「結局勝負は引き分けかぁ〜」

「とりあえずお互いに1曲ずつリクエスト聞くしそれで良くない?」

「まぁ光が良いならね」

「私達も演奏しますし、光さんも演奏すれば盛り上がりますよ絶対」

「そうだと良いけどね」

そう言いながら浜辺のステージに移動してポピパの皆が演奏の準備をしているどうやら今回は沙綾も歌うらしい

「準備OK!それじゃあ聞いて下さい8月のif」

演奏が始まる俺は耳を澄まし曲を聞く夏の始まりそして終わりを感じさせるいい曲だ、俺も負けていられない、最高の音を奏でなければいけないな。そう思いながら聞いているとあっという間に曲が終わる。少し名残惜し気もするが、俺の番だ、最高の音を届ける

「光先輩!先輩の番です!最高にキラキラドキドキする曲をお願いしますね」

「任せて、俺の演奏、楽しみにしてて」

「はい!」

香澄達はステージから降りて観客にまわった

俺は深呼吸してからマイクに声を通す

「始めまして、光っていいます。俺はカバーアーティストなんでオリジナルの曲は無いですけど、最高の音を届けるので聞いて下さい何曲か演奏します。まずはSUMMER NUDE13」

俺はギターを弾きながら少しの前奏の後に歌い出す

『何か企んでる顔最後の花火が消えた瞬間

浜には二人だけだからって波打ち際に走る

Tシャツのままで泳ぎ出す5秒に一度だけ照らす灯台の

ピンスポットライト 小さな肩 神様にもバレないよ地球裏側で

僕ら今はしゃぎすぎてる夏の子供さ胸と胸絡まる指

ウソだろ誰か思い出すなんてさ』

 

Roselia視点

「大人の恋愛って感じだね、ひと夏の淡い恋愛」

「そうね、そう感じるけれど、まだ分からないわよ」

「でも、あながち間違いでは無いかもしれません」

「あこも、イメージとしては大人の恋愛って感じするよ」

「私もですひと夏の淡い恋愛儚くて素敵です」

光がなぜこの曲を選んだのかはわからないけれど、ひと夏の経験が人を大人にするという事を伝えたかったのかもしれないわね

 

『響くサラウンドの波時が溶けていく真夏の夜

夜風は冬からの贈り物止まらない冗談を諭すように

着いてくるお月様走る車の窓に広げはためくTシャツよ

誇らしげ神様さえ油断する宇宙の入口で目を伏せて

その髪の毛でその唇でいつかの誰かの感触を

君は思い出してる僕はただ君と二人で通り過ぎる

その全てを見届けようこの目のフィルムに焼こう』

 

ポピパ視点

「光さんに見えてる世界ってどんなのだろう?」

「多分今は、海辺を走る車から見えてる景色を大切な人と見てる様な大人の恋愛をイメージしてんだろうよ」

「なんか優しいっていうかカッコイイよね曲」

「そうだね、それにとっても綺麗な歌詞」

「なんか、光先輩がこの曲を選んだのって今この瞬間を大事に楽しんでって言ってるみたい」

いつだって光さんは誰かのため皆のためだきっとこの曲も誰かのためなんだろうな

 

『そうさ僕ら今はしゃぎすぎてる夏の子供さ

胸と胸絡まる指ごらんよこの白い朝

今はただ僕ら二人で通りすぎるその全てを見届けよう

心のすれ違う時でさえも包むように』

俺は最後まで演奏し終えると話し出す

「1曲目はSUMMER NUDE13ひと夏の恋愛を歌った曲です

ひと夏の恋愛を楽しむもよし思い出作りにするもよしそう思いながら演奏させてもらいました。なんだかな~って思う人もいると思いますけど、人それぞれ楽しみ方や価値観があるので、あえてこういう言い方をさせてもらいました。じゃあ、次の曲に行きます!Summer rain」

俺は2曲目を演奏し始め30秒程度の前奏の後に歌い出す

『夜空を揺さぶる夏の稲光怯える君を青く照らす

Summer rain 無意味な傘に隠れ立ちすくむ二人

ごった返す人ごみ掻き分け走り出す

プラスチックの取っ手にぎゅっと手と手を重ねてた

雲が轟く度にこわばる指

今君と雨に打たれあの夏を洗い流す僕の中積もる砂のような想い出 今君は雨に打たれ誰の事思い出しているの?

2人の傘に流れるsummer rain』

 

ポピパ視点

「この曲はどんな感じかな?相合傘する2人?なんか違うような気がするな」

「あながち間違ってはねんじゃね?」

「多分、付き合ったばかりの恋人同士の曲だよきっと!」

「じゃあ、デート中に雨が降ってきて雷もなって相合傘する2人かな?」

「多分それだけじゃないよ、サビの部分は多分元恋人との想い出を雨と一緒に流しちゃおうって気持ちを歌ってるんだよ」

それぞれの感想を胸に私達は光先輩が歌うこの曲のイメージを膨らませる

 

『恋をする度に全てを脱ぎさり

新しい自分に着替えてたつもりそんな器用なもんじゃない

心 気まぐれ たった3秒前も怪しげな言葉で君を怒らせては

慰めてた「違うよ…!」って掻き回す

コーヒーカップに 体 吸い込まれそう

七色の虹が架かったこの街で君と出逢い

幾つの季節に涙染まるのだろう?

夕暮れの髪ほどく慣れた仕草また君に惹かれてるサダメ』

 

Roselia視点

「アタシ、結構この曲好きかも!雨と一緒に昔の事を忘れて今一緒にいる恋人を大事にしたいって曲だもん!超アタシ好みの曲」

「確かにそうかもしれないわね、光が何を思ってこの曲を選んだのかはわからないけれど、私もこの曲は素敵だと思うわ」

「光君自身にもこの曲のような想い出があったりするのでしょうか?だとしたら私はちょっと複雑ですね」

「あこはリサ姉に賛成かな、これからを大切にしたいって伝わってくるもん」

「私は紗夜さんに賛成しますね、特別な感情が光君にもあったかと思うと複雑です」

それぞれの思いを胸に抱きステージ上の光を見上げている

 

『満月さえ 沈みそうな水平線

灯りのない夜を探しカーブ抜けたなら

今一人裸になって過ぎた夏海に流す

まだ君は服着たままで星拾う浜辺のフェアリー

今君と雨に打たれあの夏を洗い流す

僕の中消えた砂のような想い出

8月の雨に打たれ踊る傘も放り投げて

濡れた体寄せてせ中にキスをした夏の夢

柔らかなsummer rain覚めない夏の夢』

俺はラストまで歌い終えると軽く深呼吸してから話し出す

「2曲目はsummer rain 今現在付き合っている彼女を心から大事にしていこうと言う曲です。それと同時に前の恋人の事も雨と一緒に流してしまおうと決意する曲でもあります。観客の皆さんにも同じような気持ちがあると思いますがちゃんと向き合って雨に流したり、過去の物と割り切るなり自分自身がこうでいい、こうでありたいと言える物を持って貰えたらいいなと思います。じゃあ、最後の曲に行きますキーボードを使って演奏します。花火」

俺はキーボード弾いて歌っていく

『パッと咲いてシュンと散って夜に打ち上げられた恋花火

二人照らしながら広がる零れる火の粉は

せつなさへと変わって私の胸熱く染めました』

 

曲演奏するラストの曲を歌っていくひと夏の恋を歌った

ラブバラードを

 

『誰が悪いわけじゃなくてそれは夏のせいで

あなたを想う気持ち 熱を出しました

一瞬(ひととき)も離れてはいられないほど

会いたい ただひたすら会いたい

初めて繋いだ手のひらに込み上げた愛しさが

逃げてしまわないように

どちらからともなくギュッと手を握ったまんまで

花火見上げてるんです

パッと咲いて空に咲いて

夜を飾る火花は夏花火それとも恋の炎でしょうか?

あなたの心が見てる夜空には

今私が綺麗に咲いてますか?』

 

Roselia視点

「ヤバい、泣きそうなんだけど」

「落ち着く曲ではあるけれどそこまで?」

「いえ、とても素敵な曲です。思わず“そうだね”と言ってしまいそうなくらい心に染み入ってきます」

「あこもなんか凄くジーンてする」

「私もです、とても素敵だと思います」

光が選ぶ曲は何かしら意味があるこの曲も何かを伝えたいと思っての事だろう

 

『どんな幸せなときも少し悲しいのは

私があなた 好きになりすぎたせいです

この夏がこの恋が消えてしまいそう

会いたい ただいつでも会いたい

少しだけ涼しい夜風が 海岸を吹き抜けて

あなた 髪が揺れてます その横顔に映っている

赤・青・黄色の花火 消えずに燃えていて

パッと咲いてシュンと散って夜に打ち上げられた

恋花火二人照らしながら広がる

零れる火の粉はせつなさへと変わって

私の胸熱く染めました』

 

ポピパ視点

「なんていえばいいのかな?ドキドキするって言うのとも違う気がする」

「なんだよ、煮えきらねーな」

「言葉にならないよこんなの、切なすぎるもん」

「だよね、めっちゃいい曲」

「あたし、正直ちょっと泣きそう」

切ない気持ちでいっぱいになりながら光先輩の声に耳を澄ましていく

 

『あなたに会うたびわがままになります

このままずっとこのままで

言葉なんて要らない見つめてください

こんなに溢れてるあなた…好きです…

 

パッと咲いて空に咲いて夜を飾る火花は夏花火

それとも恋の炎でしょうか?

あなたの心が見ている夜空には

今私が綺麗に咲いてますか?

 

パッと咲いてシュンと散って夜に打ち上げられた恋花火

二人照らしながら広がる零れる火の粉はせつなさへと変わって私の胸熱く染めました』

俺は演奏を終えると立ち上がって頭を下げてから言った

「聞いてくれてありがとうございました」

その言葉とほぼ同時に拍手が巻き起こる。そして何人かは泣いていた、おそらく共感出来る部分があったんだろう

俺はステージを降りるとRoseliaとポピパのメンバーが駆け寄って来た

「光、その…最後の曲良かったよ」

「リサ、泣いてるの?」

「仕方ないじゃん!なんか聞いてたら凄く泣けてきてさ…

本当…光、ずるい!」

「そんな事言われてもなぁ」

「いい曲だったわ、おかげで良い詞が浮かびそうよ」

「本当に?単純に楽しんで貰えたらと思ったけど、なんか

結果オーライ?」

「そうね」

「とても素敵だと思いましたキーボードであそこまでピアノに近い音が出せるなんてさすがです音も曲も綺麗でした」

「面と向かって褒められると、ちょっと照れ臭いな、でも、ありがとう」

「えぇ、こちらこそ素敵な演奏をありがとうございます」

「あこも凄く感動したよ!」

「ありがとうね」

「凄く惹き込まれました、私もキーボードを弾くのであそこまでの演奏が出来るのは凄いと思います」

「俺はあくまでもソロだから、技術は上げておいて損は無いからね」

「それでもですよ」

「まぁありがとうね」

「光先輩!凄く良かったですよ!カッコよかったです!」

「まぁ、あの…演奏凄かったです」

「カッコよかったです」

「最高に痺れる演奏でした!」

「本当にカッコよかったですよ光さん」

「皆、ありがとう本当はもっと演奏したい所だけどポピパはもう変えるんだよね?」

「残念ですけど、そうなんです。また演奏聞かせてくれますか?」

「もちろん、タイミングが合えばいつでも大丈夫だよ」

「じゃあ光さん!夏祭りで演奏してくれたりしませんか?」

「考えておくよ詳しい事は俺達が合宿から帰ってきたら説明してくれる?」

「わかりました」

「じゃあ、帰ろう!」

「おぉ!」

最後までポピパらしいと思いながらポピパの皆を見送った

そしてその夜、前の日と同様読書をしていると扉がノックされた

「開いてるよ」

「失礼するわ」

てっきりあこちゃん達かと思っていたら友希那だった

「どうしたの?こんな時間に」

「曲が出来たのよ!聞いてもらえるかしら?」

「え?俺が?」

「この部屋に他に誰がいるの?」

「そうじゃなくて!ほかのメンバーに聞かせないのかって話だよ!」

「この曲はポピパの子達とあなたの曲がヒントになったのよ、だからこそあなたが1番最初に聞く権利があるわ」

「本当に良いの?」

「えぇ、あなたにまず聞いて欲しいのよ」

「わかった」

俺はヘッドホンを受け取り詞が載った曲を聞く

「聞く前に1つ聞いていい?タイトルは何?」

「熱色スターマインよあなたの耳にどう聞こえるのか教えてちょうだい」

「わかったよ」

俺はヘッドホンをして曲を再生する

瞬間に聞こえるのは昼間も聞いたメロディだそして友希那声と他のメンバーの声そして伝わってくるのは熱Roseliaのそして何より友希那が込めた熱量だ

「Roseliaらしい曲だと思う、詞に込めた熱量が伝わってくるよ、最高の曲だよ」

「良かったわ、あなたが気に入ってくれて」

そう言って微笑む友希那に言葉も出ない程に見惚れてしまう

「普段からそうして笑ってればいいのに」

「え?」

友希那がマヌケな声を出す

「いや、だからさ普段から笑ってれば友希那はいつも以上に美人だと思うよ」

「そんな事ないわよ、それに、上手く笑える自身がないわ」

「そっか、まぁでもさ、いつか友希那が心から笑える日が来ると良いね!多分それは夢が叶った瞬間かもしれないしその先にある未来かもしれないけどさそうなれたら良いと思わない?」

「そうね、いつかそんな日が来ると良いわね」

「うん、いつか自然な笑顔が当たり前になるといいな」

俺はそう言いながらバイオリンのケースに手を伸ばす

「それは何?」

「バイオリンだよ、両親が誕生日にくれたんだ、まだまだ感覚取り戻してる最中だからさ他の誰にも言わないでね」

「だから、今朝は誤魔化したのね」

「ごめんね、本当にまだまだ感覚取り戻してる最中だからさ、それでもいいなら聞いてくれる?」

「えぇ、聞かせてちょうだい」

「じゃあ演奏するね、曲名は

UmareruNegai~生まれる願い~まだこの曲しかちゃんとは弾けないから」

そう言って俺は演奏する友希那は黙って聞いている

曲そのものはそんなに長くないせいぜい4分程度の曲だ

俺達の間にはバイオリンの音しかないが、余計な音はいらないだろう、バイオリンの音色が部屋全体を満たしていく頃

演奏が終わる

「とてもいい演奏だったわ、とても心が安らぐような気持ちになる、そんな演奏だったわよ」

「ありがとう、もっと上手くなったらまた聞いてくれる?」

「もちろんよ、それじゃあ部屋に戻るわね」

「うん、また明日」

「えぇ、また明日」

そう言って友希那は部屋に戻って行った、俺は寝る前に

もう一曲だけバイオリンを演奏してから就寝した。

次の日、朝食後から午前中いっぱい休憩を入れながら練習した後昼食をとり午後からは各自の部屋の掃除をしてその後

自由時間となった、俺はヘッドホンをして音楽を聴きながら

ランダムに再生される曲を鼻歌混じりにギターで弾いていた

1時間くらいそうしていると部屋の扉をノックする音が聞こえたので俺はヘッドホンを外し曲を止めて立ち上がり扉を開けるとリサと紗夜の2人が立っていた

「2人でどうしたの?」

「光、そろそろ夕飯の買い物に行かない?」

俺は腕時計で時間を確認すると確かにいい時間だった

「確かにそろそろ行かないとな」

「光君の部屋からずっとギターの音が聞こえていたのでおそらく忘れているのではと思い声をかけました」

「確かに、2人が来なかったら忘れててまだギター弾いてたかもしれないな」

「光は一度集中すると周りが見えなくなるからな~とりあえず、買い物に行くんでしょ?アタシ等も一緒に言っていい?」

「良いけど…なんで?」

「合宿最終日ですし、花火でもしましょうと言う話になりまして、光君に頼んでも良かったのですが、自分達で何種類か選びたいなと」

「なるほどね、良いよ!行こう」

そう言って俺達3人は買い物に向かった

「光、晩御飯は何?」

「生姜焼きにしようと思ってる」

「良いですね、時期もピッタリですしきっと美味しいと思います」

話しながら合宿所近くの商店街で買い物を済ませて行き最後に花火を買って帰り、俺は2人に手伝って貰いながら夕飯の支度を整え皆を呼んで少し早いが夕飯を食べた後、片付けを済ませ俺達は外に出て花火を始めた

「最初は手持ち花火だよ!今の時間が1番綺麗だからね」

そう言ってリサが手持ち花火を広げていき皆はそれぞれ手持ち花火を持って火をつけて花火を楽しんでいき、手持ち花火が全部無くなる頃には空は暗くなっていた

「じゃあ打ち上げ花火しよう」

「待ってました~」

「楽しみね」

「えぇ、とても」

「はい、私も楽しみです」

「じゃあ、行っくよ~」

そう言ってリサが打ち上げ花火に火をつけていき戻ってくると花火が上がる

「綺麗だよね」

「えぇ、本当に」

「ですね」

「本当!本当!」

「綺麗ですよね」

「花火がこんなに綺麗な事なんて久しく忘れてたなせっかくだから1曲演奏しようかな」

俺は予め設置しておいたキーボードを弾きながら歌っていく

 

『あの日見渡した渚を今も思い出すんだ

砂の上に刻んだ言葉君の後ろ姿

寄り返す波が足元をよぎり何かを攫う

夕凪の中日暮れだけが通り過ぎて行く

パッと光って咲いた花火を見ていた

きっとまだ終わらない夏が曖昧な心を溶かして繋いだ

この夜が続いて欲しかった』

 

Roselia視点

「何となく夏の終わりを実感するね」

「そうね、相変わらず曲選びのセンスは一流ね」

「彼らしいです」

「光兄ぃってやっぱり凄い」

「そうだね、光君だからこそなのかもね」

花火から連想された曲なのに切なくて儚い夏の終わりを感じさせる曲に花火を背に耳を澄ます

 

『「あと何度君と同じ花火を見られるかな」って笑う顔に

何が出来るだろうか傷つくこと喜ぶこと繰り返す波と情動

焦燥 最終列車の音 何度でも言葉にして君を呼ぶよ

波間を選びもう一度 もう二度と悲しまずに済むように』

 

俺は演奏に集中しているが頭の芯はどこまでも冴えている

あぁ久しく忘れていた花火の綺麗さを思い出したせいかな

今なら今まで以上に最高の演奏が出来そうな気がする

 

『はっと息を飲めば消えちゃいそうな光が

きっとまだ胸に住んでいた

手を伸ばせば触れたあったかい未来は

密かに二人を見ていた

パッと花火が(パッと花火が)夜に咲いた(夜に咲いた)

夜に咲いて(夜に咲いて)静かに消えた(静かに消えた)

離さないで(離れないで)もう少しだけ(もう少しだけ)

もう少しだけこのままで』

 

Roselia視点

「夏も終わりだね」

「そうね、もう秋が近いわ」

「秋になったら光君はどんな曲を歌うんでしょうね」

「光兄ぃの事だからきっと凄いの用意してるよ」

「楽しみですね」

もうすぐ夏が終わり秋になる季節に向けて思いを馳せる

 

『あの日見渡した渚を今も思い出すんだ

砂の上に刻んだ言葉君の後ろ姿

パッと光って咲いた花火を見ていた

きっとまだ終わらない夏が曖昧な心を溶かして繋いだ

この夜が続いて欲しかった』

演奏を終えると花火は終わっていた

「終わったね」

「そうだね~」

俺は皆と一緒に終わってしまった花火に名残惜しさを感じつつも片付けて行く、そして全てをまとめ終えるとその日は解散となった。

俺は寝付けなかったので外に出て海辺に来て夜の海を眺めている

「夜の海って静かなんだな~凄く落ち着く」

そう呟きながら海を眺めていると俺の両隣に誰かが座った

俺は左右を見るとリサと紗夜だった

「2人とも、こんな時間に何してるの?」

「こっちの台詞だよ光こそ何してるの?」

「俺は夜の海を見てたんだ」

「暗くてほとんど何も見えないですよ?」

「波打ち際は見えるでしょ、波の音を聴きながら寄り返す波を見てた」

「確かに波の音以外何も無くて夜風が気持ちいいですね」

「そうだね~光さ、今回の合宿はどうだった?」

「ん~まぁ充実感はあったかな。それに花火が綺麗な事だって長らく忘れてたし」

「光が花火見たのっていつ以来?」

「多分小学校以来かな、はっきり覚えてるのは屋台のくじ引きでCDを当てた事とその時見た花火がとても大きかった事かな、その後音楽にハマってひたすらに両親や知り合いに楽器を教わってさ、初めて自分だけで1度のミスもなく演奏出来た時は嬉しかったな~」

そう言いながら、薄れかけた記憶を懐かしむ

「いい思い出じゃん、じゃあその頃から光は音楽とずっと

一緒だったんだね」

「まぁね、それでもやっぱり葛藤はあったよ、辞めたいって思った事だって数えきれない」

「でも、今こうして続けてるじゃないですか、それはその葛藤を乗り越えたからなのでしょう?」

「そりゃね、じゃなかったら本当に音楽はやってなかったかもよ」

「でも、夢というか目標を持ったきっかけだってもちろんあったんですよね?」

「あぁ、うん、まぁね」

俺は曖昧な返答を返して紗夜から視線を外し立ち上がってから2人に向け手を差し出し言った

「そろそろ、戻ろう」

「そうだね、そろそろ戻らないと友希那が探しに来るかもだしね」

「ですね、戻りましょうか」

2人は俺の手を掴んで立ち上がると歩き出し俺もそれに続いた

 

リサ、紗夜視点

「光!後ろじゃなくて前歩いてよ!」

「良いけど…なんで?」

「大した意味はありませんが、強いて言うなら光君を見失わないためです」

「俺別にどこにも行かないよ!まぁいんだけたどさ」

光はそう言って私達より1歩先を歩いて行く

「紗夜、光がさっき返答を曖昧にした理由ってなんだと思う?」

「さあ、正直検討もつきませんが、でも何かあるとすれば光君自身割り切っていると言っていた事ではありますが、やはり過去の事でしょうか?」

「多分ね、紗夜は学校違うし光との接点ってcircleかたまに紗夜の家の辺りまで光がぶらぶらしてたりする時だけじゃん?」

「確かに、そうですね、後はたまにですけど、日菜を家まで送っていただいた時くらいですね」

「まぁ、そんなもんだよね、アタシと友希那とそれに日菜もなんだけどさ学校も学年もましてやクラスまで一緒なんだけどさ、光はたまにあぁやって答えを渋る時とか、物凄く哀しそうな笑顔で笑う時があるんだ、今回のもそうだった」

「つまり、触れられたくないことに触れてしまったという事でしょうか?」

「そこまではわからないけれどさ光は割り切ったことだって言ってたけど、光の中で割り切れてない部分なんじゃないかな?」

「いつか、話してくれますよね?少なくとも私は光君に日菜と向き合うきっかけをもらい、湊さんが価値観の違いから対立してしまった時、その他にも小さな事で何度も助けてもらいました、なので私で力になれるならばなりたいです!」

「それは私も同じだよ、アタシだって光には感謝してるんだ、なんだかんだいいながらも結局最後まで色んなことに付き合ってくれるんだもん、こっちだって力になりたいよ」

「2人とも何してんの?おいてくよ!」

そう言って話題の張本人が少し離れた所から私達を呼んでいる

私達はお互いに顔を見合わせ笑い合うと光の所に走っていく

「待ってよ光~!」

「私達をおいて行かないでください!」

そう言って2人で光隣に並ぶ

「ねぇ、光はアタシ達に黙って居なくなったりしないよね?」

「は?いきなりどうしたの?」

「真面目に答えてください」

「まぁ地元に帰る事はあるかもしれないけど、その時だって黙って帰ったりしないよ、それに卒業後はわからないけど、高校卒業までは皆と一緒に音楽の道を歩んでいくよ」

「「約束だよ(ですよ)」」

「もちろん」

そう言いながら俺達は別荘に戻った

「じゃあ2人ともおやすみ」

「おやすみ~」

「おやすみなさい」

俺は部屋に入るとベットに寝そべり天井を見上げる

「どうしても、やっぱり割り切ったつもりでも…割り切れてなかったのかな…」

そう呟き眠りに落ちた

次の日朝食を済ませてから別荘を後にし電車に揺られ見慣れた街に戻ってきた

「すっかり見慣れた景色だな~」

「ちょっと新鮮?」

「まぁね、こっち来てからここまでの遠出って以外にも初めてだったから」

「そうなんだ、光がこっち来てからの遠出が充実してたんなら良かったね」

「あぁ、うん凄く充実した時間だったありがとう皆」

「お礼を言うのはこっちの方よ色々とね、今日はこれで解散よ、次に会うのはcircleかしら?」

「かもね、でも、夏休みの間は午後からだからさ予定が合わなければ次は学校かもよ」

「どっちにしろcircleの時は練習見てもらうわよ」

「もちろん、俺でよければね」

「いやいや、光以外に練習見てもらってもね~」

「そうですよ、光君以外に見てもらっても為になりません!」

「あこも光兄ぃ以外から教わるのヤダー」

「私も光君以外には務まらないと思います」

正直買いかぶられたものだと思いながらも悪い気はしない

「わかってるよ、いつでも練習は見るさ」

「約束よ

「あぁ、わかってる」

「そう、ならいいわ、帰るわよリサ」

「ちょっと待ってよ友希那~」

「私もこれで失礼します」

「あこ達も帰るね、バイバイ光兄ぃ」

「またお会いしましょう」

「またね、皆!近いうちにまた会おう」

そう言って俺達はそれぞれ帰路に着き

俺達の充実した夏合宿は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




投稿遅くなりました。楽しみにしていてくれた人達には申し訳ないですね。何はともあれ何とか今週中に出せて良かったです。次回は夏祭り編になります。お楽しみに

次回「夏祭りと夏の歌」

シーズン3の内容いくか二学期編挟むか

  • 二学期編として何話か入れましょう
  • シーズン3の内容入って大丈夫です!

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