友希那の誕生日の少し前の夕方、バイト前に小腹が空いたので俺は山吹ベーカリーに来ていた、店に入り今日は何を食べようか悩んでいると奥から紗綾の弟達の声が聞こえてきた
「兄ちゃん!久しぶり!」
「こんばんはジュン君、元気してた?」
「うん!今日は何買っていくの?」
「まだ悩んでるんだよね、ジュン君は何が好き?」
「俺はね〜このチーズのやつ!」
「確かに美味しそう、じゃあこれにしよっかな」
そうして話していると奥から千紘さんが顔を覗かせた
「あら、いらっしゃい」
「こんばんは、バイト前に何か軽く食べたくて寄らせてもらいました」
「今日は何を買っていくの?」
「このハムチーズのサンドイッチをお願いします!」
「わかったわ、それと、良かったらこれ、使って」
そう言って渡されたのは福引券だった
「1枚で1回引けるから使ってちょうだい」
「良いんですか?これっていくら以上買い物しないとダメなんじゃ」
「いいのよ、いつもジュンやサナに色々くれるんだものそのお返しとでも思って」
「なんか、すいません、代わりにこれ、さっき何気なく回したガチャの景品なんでどうぞ、物々交換という事で」
「じゃあ、ありがたく貰うわね、ジュン、良かったね」
「兄ちゃんいっつもあんがとね!」
「いいよ、別に、じゃあね!また来るよ」
「またいらっしゃい、今度は夕飯でも食べにね」
「そのうち、伺います」
そう言ってその場を後にし俺は福引ができる場所に向かった
そして俺は福引を2回引くとクラシックコンサートのチケットが当たった
「2連続でこれって…まぁ、1人1枚だから、ちょうどいいか」
そう言ってサイフにしまいその場を後にしcircleに向かった
数分後circleに到着した俺はまりなさんに一声かけて着替えてから受付を交代する
「お客さん来ました?」
「午前中はいつもより多かったけど、午後からは大学生の人達が2組来たくらいだよ、Roseliaは今日来るの?」
「来るには来るんですけど、遅くなるそうです。」
「そうなんだ、じゃあ来るまで受付お願いね」
「わかりました。」
そうして俺は受付に座りRoseliaが来るのを待っていると
30分程してRoseliaの皆がやってきた
「いらっしゃい」
「来たわよ、今日も頼むわね」
「OK!じゃあ、先にスタジオ行って待っててよ!1番スタジオを使ってよ」
そう言って鍵を渡した
「わかったわ、行って待っているわ」
俺はまりなさんに声をかけて受付を交代してもらいRoseliaの練習に参加する
そして演奏を聞いていると、友希那の声の伸びがイマイチだと感じ一通りの演奏を聞いてから話し出す
「友希那、いつもより声の伸びが悪いけど、体調が悪い訳じゃないよね?なにかあるの?」
「特ににもないわ」
淡々と言い切る友希那に俺は不信感しか抱けない
「本当にないも無いの?」
「問題ないわ、でも、声の伸びがイマイチだと言うならば精神的なものかもしれないわね」
「それって…」
言いかけて口を紡ぐ、俺はまだあえて踏み込むべきではないと感じているからだ
「一旦休憩にしようか、ここの所練習時間以外もずっと休んでないんじゃない?」
「そうね、30分程休みましょう、ゆっくり休んでその後再開するわ」
友希那の言葉に全員が頷きしばらく休憩に入った俺は外に出て風にあたりながら考える
友希那の声の伸びがイマイチな理由を今思い当たる事から考察するが答えは出ない
「どうしたもんかな〜」
「光!」
名前を呼ばれて振り返るとリサが困ったような悲しそうな表情を浮かべていた
「どうかした?」
「友希那の事なんだけどさ、光はなにか心当たりあるの?」
「さぁ?これといってないけどね」
そう言って肩をすくめる
「嘘だ!光、実は気付いてるんでしょ!友希那の声の伸びがイマイチな理由!」
「俺よりも、リサや他のRoseliaのメンバーの方がわかるんじゃない?」
「わかんないよ!そんなの!友希那はあんまり自分の事話す方じゃないから、尚更わかんないよ!光ならなにか、可能性の話でも憶測っていうか、予想が着いてるんじゃないかと思って!」
正直言えばリサの指摘は正しい、確信がないだけで予想は着いている
「確信が無いことを話したくない、仮にも真実を探ろうとしてるんだもん、確信を持って言えることじゃないなら、話せない」
「光のバカ!」
「は?バカ?俺が?」
「バカだよ!なんでそんなに理屈っぽい事言って煙にまこうとするの?確信があってもなくてもまずは踏み込まないと始まらないじゃん!それを教えてくれたのは他でもない光だよ!」
俺は頭を掻きむしり髪をぐしゃぐしゃにしてその髪をかき上げながら言った
「俺にどうして欲しいの?」
「友希那を連れ出してあげて…友希那は1人で抱え込むタイプだからさ、あたし達じゃ無理でも、光なら友希那の背中を押せるでしょ?」
「わかったよ!正直踏み込むのはとてつもなく怖いけどやるだけやるさ」
「頼んだよ!友希那の誕生日だって近いんだから!」
「わかってる!誕生日当日中に解決してみせるさ」
「信じてるからね!」
「その信頼を裏切らない事を俺の音楽に誓うよ、その代わりひとつ手伝ってくれる?今ここに友希那を連れてきてよ」
「わかった」
リサは店内に戻って行って数分後友希那がやってきた
「話って何かしら?」
「リサとも話してたんだけど、友希那の意見を聞いてみたくてさ」
俺は財布からさっき福引で当てたクラシックコンサートのチケットを取り出し見せる
「これは?」
「コンサートのチケット、バンドとかじゃなく、クラシックだけど、良かったら誕生日の日さ、平日だから朝から一緒にってわけいかないし、夕方の部なら学校終わってからでも間に合うでしょ?」
「リサが言っていたのはこういう事だったの?」
「呼んで来てとは言ったけど、リサなんて?」
「光が直接聞きたいことがあるし、誕生日関係の話だからって言っていたわ」
「まぁ、その通りだからいんだけどさ…」
「クラシックの事はわからないけれど、たまにはいいかもしれないわね」
「じゃあ、決まりでいい?」
「ええ、お願いするわ」
「じゃあ、戻ろうか」
「ええ、そろそろ練習再開しないといけないもの」
そうして俺達は戻って練習を再開するも友希那の声の伸びがイマイチなのは変わらなかった
そしてバイト終わり、紗夜と一緒に帰っていると紗夜からもリサと同じ質問をされた
「光君、湊さんの不調の理由、心当たりがあるのでは?」
「あ〜まぁ、推測でしかないけどね、多分目指すフェスの事と、俺に向けてやるLIVEの事でなにか悩んでるんじゃないかなっては考えてるよ」
「どうしてそう思ったのか、聞いてもいいですか?」
「単なる憶測だよ、俺の中で、思い当たる事がそれしか無かったってだけで後は…精神的なものって本人が言ってたし、プレッシャーとかそういうのが本人も意図しないうちに、声に現れてるんじゃないかなって」
「そうですか…光君、湊さんをお願いしますね」
「それは、俺にならなんとかできるってこと?」
「はい、光君があの姿で演奏すれば間違いなく湊さんの背中を押せるはずです」
「やっぱりルミナスじゃないとダメかな〜」
「あの姿になるのは嫌なんですか?」
「嫌じゃないよ!でも、紗夜の時とは状況から何から違うでしょ?それにさ、Roseliaで俺のあの姿を見た事あるのは紗夜だけだし、あの時はお互いに今のままじゃダメだって思ったから俺の曲が届いた訳だしさ」
「多分湊さんはあなたの助けを必要としていますよ、他の誰でもない、貴方だからこそできることがあるはずです。そうでしょ?''ルミナスさん''」
「ここでその名前を出すのは反則じゃないかな?でも、わかったよ!やれる事をやるよ」
「約束してくださいね」
「俺の全力を持って」
そう話していると紗夜の家が見えてきたのでそこで解散となる
「ここまでで大丈夫ですので、送ってくれてありがとうございます」
「うん、じゃあ、またね」
そうして紗夜と別れ来た道をもどり家に帰ると俺は荷物を玄関に置いてそのまま部屋に行きバンドで演奏する楽器を一通り弾いてそれを録音し、ある程度編集してからシャワーを浴びた後就寝した
そして次の日学校で話していても友希那はどこか様子が変だった、その様子に日菜も気付いたらしく俺に話しかけてきた
「ねぇねぇひ〜くん友希那ちゃんどうしたのかな?」
「日菜も気付いてるんだ、様子が変な事」
「うん、変だな〜ってくらいにはわかるかな!ひ〜くんはどうするの?」
「俺なりに1歩踏み込むさ、後先考えても始まらないじゃん!俺に出来る事をやるだけだからさ」
「そっか、じゃあ、あたしからもお願い!あの姿で友希那ちゃんを助けてあげて!」
「わかったよ!俺なりに頑張るよ!」
「約束だよ!ひ〜くん!」
「約束は守るよ!じゃあ、俺、行くね、遊びに行こうって約束全然守れなくてごめんね」
「ううん!あたしもパスパレが忙しいから仕方ないよ!長い休みに予定が合ったらその時遊ぼうね!」
「もちろん!じゃあ、また明日!」
そうして俺はバイトに向かった
Roseliaは今日も練習するようで明日が友希那の誕生日で練習を休みにするため今日も練習するようだ
そして俺もRoseliaの練習に参加しアドバイスをしていくが
友希那の声の伸びがイマイチなのは変わらずだ
そんな中で休憩に入ったRoseliaの元を後にし俺はまた外に出て考えている
踏み込むにしてもタイミングの問題もあるし、今はまだ踏み込むべきじゃないと思うんだよなと考えていると
あこちゃんと燐子が俺の両隣りに並んだ
「どうかした?」
「来た理由わかってますよね光君」
「光兄ぃならあこ達がここに来た理由わかってると思うな」
「わかってても、確認しておきたいんだ」
「湊さんの事です。私達には焦ってるように見えて」
「'今の友希那さん''あの時''みたいで心配なんだ」
「あの時?」
「他言無用でお願いしますね」
そう言って燐子が話してくれた
Roseliaが結成されてすぐに友希那個人にスカウトが来て
友希那1人ならすぐにでもFWFに出られると言われたらしい
友希那は自分1人でも叶えたい夢だったからこそものすごく悩んだらしい、それでも、全員と話をして、皆の意志を確認してRoseliaとしてFWFを目指す事を決めてその話を断ったらしい
それからすぐに俺と出会い今に至るんだと教えてくれた。
「その時の湊さんは多分色んな気持ちというか、感情というかでいっぱいいっぱいだったと思うんです。今の状況が似てる気がして」
「あこ達心配で、でも、今回はあこ達じゃあダメな気がして
だからさ、光兄ぃお願い!友希那さんを助けてあげて!」
「私からも、お願いします!湊さんの背中を押してあげてください」
リサを筆頭にRoseliaのメンバー全員から頼まれたなら嫌とは言えないしもちろん言うつもりもない、俺なりに出来る事を
精一杯やるしかない、俺は自分の中で行き着く答えは一緒かと内心苦笑しながら2人に返答する
「Roseliaの皆からのお願いなら断る訳には行かないよね!俺なりにできる事をやるよ!」
「お願いしますね光君!」
「任せたよ!光兄ぃ!」
「うん、約束は守るから!」
そうして俺達は練習に戻り俺もギターを弾いて練習に参加する、そうすれば声の伸びがイマイチな理由がなにか掴めるかもと思ったからだ、俺は演奏の中にヒントがないかを探りながら演奏する音の中に深く潜っていく、そうすれば周りと自分の演奏以外は響いてこなくなる。そして今は友希那の歌にのみ全神経を注ぐ中で確かに、焦りや不安などの感情が感じ取れた、そして演奏が終わると全員がその場にへたり込む
「もうダメ!手が痛いし何より動けない!光、今のどのくらい?」
「さぁ?多分6か7くらい?」
「5割ですら着いていくのがやっとなのにハードル上げないでください!」
「ごめんごめん、ちょっと集中してたから自然とね」
「光兄ぃ、また演奏スキル上がってない?」
「私もそう思います。多分6割って言ってましたけど、あれでも5割くらいなんじゃないですか?」
「どうだろ?俺もよくわかんないや」
「光ってそういうとこ適当だよね〜」
「まぁ、おかげでなにか掴めた気がするから、結果オーライ?」
「光、あまり私達を振り回さないで欲しいわね、まだあなたの演奏についていける程私達の技術力は高くないわ」
「皆ならそのうち追いつくんじゃない?」
「まぁ、そのつもりだけれど、まぁ、良いわ、今日はここまでよ、明日は休みにするからゆっくり休むことね」
その言葉に全員が頷きその日は解散となり俺も上がりの時間と重なり帰りは今日も紗夜と一緒だ、そして、今現在絶賛紗夜にお叱りを受けながら歩いている
「聞いていますか?光君!」
「聞いてるよ!悪かったって!」
「あなたの演奏は私達よりも技術から何から上だから出来ることなんですよ!」
「いや、でも、皆の演奏をほとんど毎日のように聞いてるとさ、こう、俺もうかうかしてられないって思わされるしさ」
「私達の誰よりも演奏技術が上なのにまだ満足していない向上心は認めます!けれど、限度というものを弁えてください!」
「Roseliaなら、まして友希那が選んだメンバーなら俺に追いつけるって信じてるからさ少しくらいなら大丈夫だよ!」
「そういう問題ではありません!」
「あのさ、紗夜はどうしてそんなに怒るの?だってさ、普通なら悔しがらない?」
「はァ〜光君、今日の私達の演奏から何を感じましたか?」
「迷い、焦り、不安やプレッシャーとかかな?後は、憤り」
「全てをわかっていてあの演奏をぶつけてきた事に大して私達はそれに答えられません!それが悔しくて…どうしようもなくて…」
声がどんどん沈んでいく紗夜に俺はかける言葉を探しながら声をかける
「俺はさ、Roseliaの音が好きだよ!頂点を、夢を目指してまっすぐ突き進んでいける、ガールズバンドなのにかっこいいとさえ思えるRoseliaの音が好きなんだ!だから、その音を鈍らせるようなことがあるなら、俺がもう一度その音を取り戻させるさ」
「光君にならそれができるんですよね?」
「紗夜と日菜の関係修復のきっかけを作ったのは?
友希那と蘭をお互いを高めあえるライバルと認めさせるきっかけを作ったのは?」
「光君です。やっぱり、光君ならできるんですね!」
「俺だからじゃないよ!俺がやるんだよ!みんなとの約束を守るために!」
「任せますね!光君!いえ、ルミナスさんと呼ぶべきですかね」
「任せてよ!明日中に友希那を前に進ませて見せるから!」
「期待していますよ!」
「友希那と話して必ず友希那がまた1歩踏み出すきっかけを作るよ」
「信じてますからね!」
「うん、俺の音楽に誓って!」
「約束守ってくださいね」
そう言って紗夜は数メートル先の自宅に向かって走っていった
俺はその背中を見送ってから家路につき帰ってすぐに明日友希那に直接届ける曲を演奏した、当日に最高の演奏を届けるために友希那が前に進めるよに、そうして演奏を終えた後にCDに入れた曲を編集していく、自分1人で楽器を演奏するため1つずつ編集して纏めていかないと1つの音として完成しない
俺はそれでも、届けたいと願ってこうするんだと演奏を1つにしていく
そして全てが纏まると俺は編集作業を終えてから遅めの夕飯を済ませてシャワーを浴びてからまた少し演奏してから眠りについた。
次の日俺は眠い目を擦りながら授業を聞いていると先生に当てられたが問題なく回答してからまたボーッとしていると授業が終わり昼休みを向かえる。
「光、お昼は?」
「教室にいるよ!弁当も持ってきたしね」
「じゃあ光の席を中心に輪になれば問題ないね」
そうして俺を中心に集まり昼食をとりながら他愛ない話に花を咲かせていると放課後の事で友希那が俺に話題を振る
「光、放課後は待ち合わせまでは一旦別行動でいいかしら?」
「俺はいいけど、なんか用事?」
「制服のまま出かけるのが嫌なだけよ」
「出先で服くらいなら買ってあげるよ?」
「本人こう言ってるし光にプレゼントしてもらえばいんじゃない?」
「悪い話ではないけれど、着なれた服が1番よ」
「ひ〜くん友希那ちゃんとお出かけ?」
「日菜忘れてない?今日、友希那の誕生日だよ」
「そういえば!友希那ちゃんおめでとう!」
「ええ、どうもありがとう」
「ドライだな〜友希那は」
「普通よ!」
「俺も自分の誕生日に関しては多分友希那と同じ反応すると思うけどね」
「ほらみなさい」
「まぁ、人それぞれって事でいんじゃない?」
「かもね」
そう言って笑い合いながら昼休みを過ごして眠気と格闘しながら午後の授業を乗り切り先に学校を出て駅前に向かい駅のトイレを利用し着替えてコインロッカーに制服を預けて友希那を待っていると少しして友希那がやってきた
「待たせたわね」
「別に待ってないから気にしないで」
「そう?ならいいけれど、行きましょう」
「そうだね、行こうか!はい、切符とチケット」
「用意してくれてたのね、ありがとう光」
「時間あったから、行こう」
「えぇ、そうね、行きましょうか」
そうして電車に揺られて一駅だけ移動しそこから徒歩で数分かけて音楽ホールまで移動した
「光、公演は何時からかしら?」
「18時から1時間半だね、まだ時間はあるよ」
「なら、軽くなにか食べましょ、公演が終わったら改めて夕飯にしたいわ」
「賛成、売店あるみたいだし、そこでなにか買って食べようか!もちろんご馳走するし」
「ならお言葉に甘えさせてもらうわね」
「もちろん!」
そうして俺達は売店で買い物をして軽食を済ませたあと追加の飲み物を買って席に座り公演開始まで待つことにする
席に座り始まるのを待っていると友希那が呟くように言った
「光、何も…聞かないの?」
「なにか聞いて欲しいことあるの?愚痴?」
「そうやって何も知らない振りしてはぐらかすのね」
「別にはぐらかしてるつもりは無いよ!だって、友希那が何について聞かないのって言ったのか分からないから」
「あなたはいつもそうよね、気付いてるのに気付かないふりして、必要以上に踏み込んで来ない、光、あなたのそういうところ、嫌いよ」
「知ってるよ。俺はさ、どこまで相手に踏み込んでいいかわからないから、だから、必要以上は踏み込まないよ!もしも、友希那が話したいって思うなら話してくれたら良いよ。」
「話したくないって言ったら聞かないの?あなたは」
「聞かないよ!それは、本当に話したくない事なら余計にね」
「やっぱりあなたのそういうところは嫌いよ…」
「それでもいいよ!」
そう言ってずっと固く握りしめたままの友希那の手に触れる
「それでもいい、でもさ、今、友希那は心から笑えてる?
心から涙したり、怒ったりさ、感情をしっかり表に出せてる?俺が、友希那に聞かないといけないのは多分それだよ!」
「わからないわよ…そんなの…」
「じゃあ、今の時間、ゆっくり考えてみてクラシックは音を聞いてるだけで落ち着くはずだから、演奏に耳を傾けながらゆっくり考えてみて」
「わかったわ」
友希那がそう言って静かに頷くのと同時に開演のブザーが鳴りクラシックコンサートが始まった
俺は目を閉じて音だけを聞いていく、静かだけど、時に荒々しいとさえ表現できる音の中に俺は浸っている
友希那はどうだろと思い隣りを見ると友希那も目を閉じていた、演奏を聞いているのか、それともただひたすらに自分の中で自問自答しているのかはわからない、それでも、俺は友希那の固く握りしめたままの拳から少しずつ力が抜けていくのを重ねたままの手から感じられた。
それからしばらくしてコンサートが終わると俺は何も言わずに友希那の手を引いてその場を後にして駅に向かった
そして駅に着いてから友希那の方に向き直り話しかける
「帰ろっか」
「そうね…」
「友希那、向こうに着いたらさ家来ない?夕飯ご馳走するよ」
「お邪魔するわ、聞いて欲しいこともあるから」
「じゃあそうしようか!」
「えぇ、お願いするわ」
そうして俺達は改札を抜けて電車を待って自分達の街に戻ってきた
「ちょっと待ってて、自転車取ってくるよ」
「待っているわ」
俺は駐輪場から自転車をとってコインロッカーに預けていた荷物を回収してから友希那が待っている場所に向かった
「おまたせ、後ろ乗る?」
「今日は乗せてもらおうかしら」
「じゃあ、ちょっと待って」
そう言って俺は自転車のカゴに入れていた袋を友希那に渡す
「これは何?」
「誕生日プレゼント」
「開けても良いかしら?」
「どうぞ」
俺がそういうと友希那は袋を開けて中身を取り出した
「コートね」
「そう、友希那に似合いそうだなって選んだんだよね」
「何故この色なの?」
「友希那の髪の色から想像したらこれかなって、綺麗な銀色の髪と同じ様な色合いのにしたんだよね」
「そう、さっそく着てみるわ」
友希那はそう言ってコートに袖を通して前のボタンをとめて
最後に髪をバサりと広げるようになびかせるその姿に思わず見とれてしまう。
「どうかしら?」
「とっても似合うし、凄く綺麗だよ!」
「ありがとうと言っておくわ」
「まぁ、どうしたしまして?」
「どうして疑問形なのかしらね」
そう言ってクスリと笑う友希那につられて俺も笑う
「さぁ、今度こそ行こう!後ろ乗って!」
「えぇ、行きましょう!」
そうして俺の家を目指して自転車を走らせて行き自宅に到着し駐輪場に自転車を置いて階段を登った先のエレベーターで俺の部屋がある階に向かい自宅に到着する
「ちょっと待ってて、今、鍵開けるよ」
俺はそう言って鍵を開けて友希那を招き入れる
「どうぞ」
「お邪魔するわね」
「すぐに夕飯の準備するけどリクエストはある?」
「なら、オムライスをお願いするわ、リサが絶賛していたのよ」
「OK!じゃあすぐ準備するよ、音楽でも聞いて待ってて」
「そうするわ」
そうして俺はリクエストのオムライスを作っていき一緒に作っていたデミグラスソースをオムライスにかけて完成したものを運んで行き声をかける
「出来たよ!」
「手が込んでるわね、リサの時はもっとシンプルだったのではない?」
「まぁ、材料の関係でね、とりあえず冷めないうちにどうぞ」
「いただくわ」
そう言って食べ始める
「美味しいわよ、手が込んでるって感じがするわ」
「喜んでもらえて何よりかな」
そうして2人共食事を済ませて友希那にカフェオレを出して俺はブラックコーヒーを飲みながらゆっくりしていると友希那が話し出す
「私達…いえ、あえて私個人と言うべきね、私個人にとって音楽は復讐なのよ」
「音楽が?復讐?」
「えぇ、光、あなたになら話してもいいと思ったから話すわ!聞いてくれるかしら?」
「もちろん!友希那が俺にも知っておいて欲しいって思ってくれるなら俺は聞くよ」
「じゃあ、聞いてちょうだい」
そう言って友希那は話し出す。
友希那がまだ幼い頃、親父さんのやっていたバンドがFWFを目前に解散した事、そして、曲についても事務所の意向を汲んで売れ筋を狙って作った曲はファンから批判が殺到しそれでも、事務所の意向に従って曲を作っていったものの、結局鳴かず飛ばずでFWF出場を目前に解散してそれからは音楽に殆ど関わりを持たなくなったことを
「だから、果たせなかった夢を私が代わりに果たすことが復讐なのよ」
「そっか、そういう意味での復讐なんだね、もしも、復讐が危ない意味なら止めるつもりだった、音楽を復讐の道具にしちゃいけないって」
「そう言うと思っていたわよ」
「でもさ、今はどうなの?」
「どういう事かしら?」
「もしも、復讐って意味が叶えられなかった夢を受け継ぐって意味なら良いけど、今は友希那達皆の1つの夢なんじゃないのかな?」
「当然でしょ!1人じゃ何事にも限度があるのよ!それにRoseliaとして舞台にたってこそだわ」
「じゃあ、俺に出来るのは今のままでいいのかって迷ってる友希那の背中を押す事かな?」
「あなたが私を支えてくれるの?」
「ちょっと違うよ!後ろから背中を押すんだよ、ちょっと待ってて」
俺は部屋からギターとキーボード、それとアンプを持ち出して設置し服もルミナスの時の衣装を身にまとい友希那の前に立った
「光…なのよね?」
「皆、同じ反応するんだよね、僕のこの姿を見るとさ」
「僕?あなた一人称は俺じゃなかったかしら?」
「今の僕は光であって光じゃないもう1人の光なんだ」
友希那は困惑した表情をしていたが少しして納得の表情を浮かべ話し出す。
「もしかして、紗夜はその姿を知っているの?本気の演奏をするための姿ということなのよね?」
「その通り!この姿の時はルミナスって言うんだ、今回は今の友希那が助けを必要としてると思ったからこの姿になったんだ。」
友希那は俯きながら言った
「光、私はどうしたらいいのかしら?」
「その答えを見つけるのは友希那だよ!俺は自分の中で納得がいく答えを見つけられるようにきっかけを作るよ」
「なら、聞かせてちょうだい、あなたの本気の演奏を」
「もちろん!友希那の背中を押して答えを見つけられるきっかけになれたらと思って歌うよ!1曲目明日へ」
俺はキーボードで演奏して歌っていく
『遥か遠くあてなき道を心に響く声を信じて』
歌い出してすぐに歌詞までの間が空くその間に俺は演奏の中で表現力の翼を広げていく
『あの頃の僕はただ臆病すぎて
自分以外誰もがまぶしすぎて
がんばりたいけどだけど何を頑張ればいいのか
わからないまぼんやりと空を見上げてた
このままじゃいけないって事は僕にだって気付いていたんだ
誰かのせいにして目をそらしても
何も変わらない事分かってた
遠く遠くあてなき道を歩んだ日々よ振り返ると涙するのはなぜ?きっと僕らは始まったばかり輝けるその時を信じて
歩いてゆこう』
友希那視点
光の演奏は何度も聞いてきたけれど、本気の演奏はここまで凄いの!?曲が始まった瞬間に引き込まれて、光の世界に魅せられる。何を臆病になっているのかと、輝けるその時を信じて前に進めと背中を押されるようなその歌詞に、歌詞を紡ぐ声に魅せられる
『勇気を出して君にだけ打ち明けた夢を笑わずに最後まで
聞いてくれた
忘れはしない初めてあの日僕の心に小さいけれど
確かな光がそう、生まれたんだ
「ありがとう」って言った君の笑顔が僕の背中いつまでも支えてくれる
「大丈夫だよ」って聞こえる
遠く遠く歩んだ日々よ振り返ると涙するのはなぜ?
きっと僕らは間違ってなんかない輝けるその時を信じて』
友希那視点
2番の歌詞が思い出せるのはRoseliaを結成してまもなくの事だ
私の夢を打ち明けてそのために集めたこのメンバーじゃなきゃと言えるメンバーと歩んできた日々
「あの時を思い出して前を向けという事ね光」
呟きは届かないけれど、光が確かに背中を押してくれていると感じられた
『遠回りしてくじけそうになって
それでもここまで来たんだよ
悔し涙を希望に変えてそっと見えてきた明日へ』
曲がラストに差し掛かる中で更に表現力の翼を広げていく
友希那が今まで歩んできた道を後悔した事もあったかもしれないけれど、それでも、ここまで来たんだからと
『遥か遠くあてなき道を心に響く声を信じて
遠く遠く歩んだ日々よ振り返ると涙するのはなぜ?
きっと僕らは間違ってなんかない輝けるその時を信じて
そして今僕らは歩いてる輝けるその時を信じて』
明日への演奏を終えて俺はギターを手に取り友希那に声をかける
「友希那!僕が目の前で演奏する曲は今日はこれでラスト!今日最後の曲!聞いてください!水平線」
俺はギターを弾いて歌っていく
『出来るだけ嘘はないようにどんな時も優しくあれるように人が痛みを感じた時には自分の事のように思えるように
正しさを別の正しさで無くす悲しみにも出会うけれど
水平線が光る朝にあなたの希望が崩れ落ちて
風に飛ばされる欠片に誰かが綺麗と呟いてる
悲しい声で歌いながらいつしか海に流れ着いて光って
あなたはそれを見るでしょう』
友希那視点
歌詞が心に刺さる感覚とでも言うのか、そんな感覚が私を支配する悲しい声で歌うのは私なのだろう
私の中の希望が崩れ落ちてそれが海に流れる瞬間を私が見ているのだろう、そんな感覚が私を支配する
『自分の背中は見えないのだから
恥ずかしがらずに人に尋ねるといい
心は誰にも見えないのだから
見えるものよりも大事にするといい
毎日が重なる事で会えなくなる人も出来るけれど
透き通るほど淡い夜にあなたの夢がひとつ叶って
歓声と拍手の中に誰かの悲鳴が隠れている
耐える理由を探しながらいくつも答えを抱えながら悩んで
あなたは自分を知るでしょう』
友希那視点
私の夢が叶ってそれを喜ぶ歓声と拍手の中に誰かの悲鳴が隠れている、その悲鳴はRoseliaのみんなかもしれない、私自身かも知れないそう考えると、どうしても、歌詞が私の事を歌っているのかもしれないとさえ思えてしまう。
いくつも答えを抱えながら悩んで私を知ることができるのだろうか?私は曲を聞きながら自問自答する
『誰の心に残る事も目に焼き付くことの無い今日も
雑音と足音の奥で私はここだと叫んでいる
水平線が光る朝にあなたの希望が崩れ落ちて
風に飛ばされる欠片に誰かが綺麗と呟いてる
悲しい声で歌いながらいつしか海に流れ着いて光って
あなたそれを見るでしょう
あなたはそれを見るでしょう』
演奏を終えると俺は友希那に話しかける
「俺の伝えたい事は、伝わった?」
「えぇ、とても、光、1つお願いを聞いてくれるかしら?」
「俺に聞けることなら」
「なら…その...非常に恥ずかしいのだけれど、私を...抱きしめてくれるかしら?」
「いいよ」
そう言って友希那を抱きしめる顔が見えないように、そして見ないように優しく抱きしめると友希那の肩が震えだしおれのTシャツの肩口が涙に濡れる。そんな中、涙声で友希那が話し出す
「不安…だったのよ...今のままでいいのかって、FWFに、夢の舞台に立てるのかって、そんな不安を誰かにぶつけていいのかって…不安で不安で...どうしようもなかったのよ!」
「そっか、友希那は感情を押し殺すタイプだからね抱え込むのもわかるよ。でも、そんな時こそさ…皆を頼りなよ!無理なら、俺だけでもいいんだからさ」
俺は友希那が落ち着くまで声をかけ続ける、不安やプレッシャーを抱え込みすぎて立ち止まってしまう友希那に寄り添うように
しばらく経って落ち着いたのか友希那が俺から離れて言った
「あなたに涙を見せるのはこれが最初で最後よ光!もう二度とあなたの前で泣くことはしないわ!」
「どうかな?友希那に限った話じゃなくてさ、少なくとも俺は、色んな人の涙を見る事になると思う」
「あなたが泣かせるのかしら?」
「いやいや、さすがにそれは無いと思いたいね」
「あなたは意外と女泣かせだもの」
「歌に感動して欲しいけどね」
そう言ってお互いに笑い合う、友希那が自分らしさを取り戻せたなら良かったと思う、俺自身も身近な人が元気になるならそれだけで良いと思える瞬間でもあった
俺は立ち上がり手を差し出し友希那に言った
「そろそろ、帰ろうか!家まで送るよ!」
「お願いするわね」
そうして俺は友希那を送る為に身支度を整えて友希那と一緒に家を出て歩きながら友希那の家を目指しながら話している
「光、今日はありがとう。とても楽しかったわ」
「クラシックコンサート見に行って、家で夕飯食べて演奏しただけじゃん!」
「あなたの演奏を独占出来たもの、それに本気の演奏が聞けたものそれだけで満足よ」
「そう?ならいんだけどさ」
「また聞かせてちょうだい」
「あの姿の演奏はあんまり人に見せるものじゃないんだけどね、普段の演奏でいいならいつでもいいよ」
「そう、まぁ、何かあれば頼むことにするわ」
「俺で力になれるなら」
そう話していると友希那の家が見えてきた
「すぐそこよ私の家」
「みたいだね、玄関前まで送るよ」
「わかったわ」
そうして友希那の家の前まで到着する
「今日はありがとう。誕生日のいい思い出ができたわ」
「喜んでもらえて何よりかな、最後にこれ、ケーキとCD」
「何から何までありがとう、礼を尽くしても足りないわね」
「別に気にしないで、じゃあまたね」
そうして俺は自転車に跨り帰路に着いた
友希那視点
光の後ろ姿が見えなくなるまで見送ってから家に入ろうとしたタイミングで隣の家からリサが出てきた
「いたのねリサ」
「そりゃいるよ!バイト終わって少し前に帰宅したとこだよ!て言うか光は?」
「ついさっき帰ったわよ、1歩遅かったわね」
「そっか、残念!ところでそれってケーキとCDでしょ!食べながら聞こうよ!せっかくだし」
「まずはケーキからよ!」
「それもそっか」
私はリサを自宅に招き入れ部屋に向かった
「そういえば友希那のお父さんは?」
「もう寝てるのではない?分からないわ」
「声掛けなくていいの?」
「いいわよ別に」
そう言って階段を上がり部屋に入りテーブルの上にケーキを置いて中身を取り出すとシンプルな白いクリームでコーティングされ青薔薇が描かれていた
「凝ってるなぁ〜崩すのもったいないね」
「そうね」
「ロウソクは?」
「これね17の形になっているわ」
「抜かりないね!」
「本当よそれに見てメッセージカードよ」
「なんて書いてあるの?」
「今日という日がそして、17歳として過ごす1年が特別でありますようにだそうよ」
「光らしいね!とりあえず、ケーキ食べない?」
「そうしましょう」
私達はケーキを切り分け食べ始める
「シンプルなのかと思ったらスポンジケーキがチョコレートなのね」
「クリームの甘さが控えめでスポンジケーキの味が引き立ってるね」
そうして半分程ケーキを食べてからリサと2人で光がくれた
CDを聞き始める。再生すると光の声が聞こえてくる
「Happybirthday!誕生日おめでとう友希那、これから演奏する曲は友希那が夢に向かって真っ直ぐ進めるようにと思って選んだ曲だから、1曲ずつ聞いてくださいじゃあ演奏していきます!1曲目は一斉の声」
この曲は自分の心を隠さずに皆で感情のままに笑って泣いて怒って泣いて喜怒哀楽を表せるようにと言う曲だ
1曲目が終わり2曲目の演奏が始まった2曲目が千の翼
理想だけじゃなくて自分だけの夢に向かって羽ばたけと言われているようなそんな曲だ
そして3曲目は青い春歌詞が印象的で羽ばたくためのステージで這いつくばっていても踊らされてるのも随分前からわかっていてそれでもそれでもまた踊りながら必死で生きていくんだ理想の未来なんてどこにもなくてでもその中で願ってるって歌詞が私達の事を歌っているようだと感じた。
「ここまでは友希那だけじゃなくて皆に歌ってる感じがするよね」
「そうね、でも、光がそれだけ私達の夢を応援してくれてるって事じゃない」
「だね、それには同感」
なんて話しながら次の曲を聞いていく
4曲目がPIECES OF A DREAM
これもまた私達には歌詞が印象的だった
ハンパな夢のヒトカケラが不意に誰かを傷付けるなんて誰も考えはしない、でも、その可能性だってあるのだと、それを忘れないで欲しいと言われているようなそんな曲で、それでいて
立ち止まらずに前を向いて歩いてと言われているような感じがした。
そして4曲目まで歌い終えた光がまた話し出す
「えっと...改めて言葉にするのは凄く恥ずかしいんだけど…
俺はさ、いつでもRoseliaの皆の、そして友希那の力になるからさ何かあったら頼ってね!そんな思いをこの曲で伝えます!聞いてください!僕にできること」
そう言って光がまた演奏を始めた
『答えのない日々に溜息漏らす度
本当の僕はもう見えなくなっちゃった
耳を澄ましても聞こえない君の声
追いかけて今日も歩き続ける
伝えられずにいた想いは時を経て蛹になって
羽広げやがて飛び立つ
忘れない大切なひとつひとつ届くかなこの想いどうかいつか
ちっぽけなこの僕にできること
少しずつでも伝えてみたいんだ』
友希那・リサ視点
「どちらかといえば私達が追いかける側なのにね」
「でも、光らしくない?サビの部分とかさ!なによりちっぽけなこの僕にできること少しずつでも伝えてみたいんだなんてさ光以外誰も言わないし!」
「そうね、光らしいと言えるわね」
2人でそんな事を言いながら光の歌声に耳を澄ます
『歩き疲れて立ち止まった十字路
懐かしい匂いのする花が咲いていた
いくつかの苦い想いこぼれてしまわぬように
ポケットに詰め込んで旅は続く
回り道寄り道何度もしちゃったけどもうすぐ辿り着く
未来と過去が出会う場所へ
探してたなくしてたひとつふたつ
すれ違う名前なきひとりふたり
きっとまだ気づかないことばかり
答えを照らす光はどこにある?』
友希那・リサ視点
「光がこの曲に皆の力になりたいって思いを込めたって言っていた理由がわかったわよ」
「そうだね、皆がまだ夢に向かう旅の途中で、答えを探して見失ってなくしてさ、そんな中で正解の答えを照らす光はどこにあるのかなんてわかんないけど、進んでいくしかないねって感じかな?」
「光には適う気が全くしないわよ」
「同感だな〜」
そんな感想を2人で言いながらラストサビを聞いていく
『忘れない大切なひとつ届くかなこの想いどうかいつか
ちっぽけなこの僕にできること少しずつでも伝えたい
かなわない願いなどないさきっと
届いたよその想い強く深く
たった今この僕にできること
あともう少し続けてみたいんだ』
曲が終わったと同時に私は本人がいるわけでもないのに何故か拍手していた、そしてCDを取り出そうとした時
まだプレイヤーに表示された時間が動いていた事に気が付いた
「まだ動いているわ、まだ何かあるのかしら?」
「とりあえずもう少し待ってみたら?」
「そうね、そうするわ」
そうして少し待っているとまた光の声が聞こえてきた
「えっと...正直この曲を贈ろうかもの凄く悩んだんだけど
友希那にもこの曲を贈ろうと思います。
キミ記念日〜生まれてきてくれてアリガトウ〜」
そうして演奏が始まり光が歌い出す
『Happybirthday! ずっとずっと一緒に祝ってゆこうこの
キミ記念日1/365主役は大好きな君
生まれて来てくれてアリガトウ!』
友希那・リサ視点
「この曲!光が知ってる数少ないバースデーソングで歌詞がめっちゃ印象的なの!」
「そう、まだ曲は始まったばかりだけれど素敵な曲だと言うことだけはわかるわ」
最後まで聞くのが楽しみだと思えるくらいに素敵な曲だと言うことがリサの声や表情から伝わってくる。私自身もかなり期待せずにはいられない
『宝くじを買って一等が当たるより奇跡的な確率の中
2人は出会えたんだそれなのに
「生まれてこなきゃ良かった。」なんて泣いてたコトも…。
今日は忘れよう何より大切な日
「君が居れば他になにもいらない!」と本気で思ってんだ
って君に伝えようか でも笑うだろう?
Happybirthday!ずっとずっと一緒に祝ってゆこうこのキミ記念日1/365主役は大好きな君
だから何度だってhappybirthday!ずっとずっと
「おめでとう」を贈るよもっと幸せの涙君に訪れるように
生まれて来てくれてアリガトウ』
とても素敵な曲だとは思っていたけれど想像以上だった
歌詞にもあるように何度だってhappybirthday!ずっとずっと
「おめでとう」を贈るよもっと幸せの涙君に訪れるように
生まれて来てくれてアリガトウなんて誰にも言われたことはないしそんな事を面と向かって言う人はいないだろうとは思うものの言われたら嬉しいと思うのは間違いないのだから
『You&I 逢えない時もあるけれど
いつも君の変化には気付いてるよ
いっぱいいっぱいのクセに「平気だって」の一点張り
大丈夫だよ帰る場所はここにあるよ
君が生きていてくれるだけで
変わらないでそこにいるだけで
泣けるくらいに愛しいってことを忘れないでいてよね
Happybirthday!ずっとずっと一緒に祝ってゆこう
このキミ記念日1/365主役は大好きな君
だから何度だってHappybirthday!!!ずっとずっと
「おめでとう」を贈るよもっと幸せの涙君に訪れるように
生まれて来てくれてアリガトウ!
生んでくれたパパママに感謝今日くらいは素直になろうよ
出会えた大好きな人達に乾杯!
辛い時は朝までとなりで分かち合って来たよね
午前0時1番に笑顔を君に… キャンドルの光消しても
想いは絶対消さない
Happybirthday!ずっとずっと一緒に祝ってゆこう
このキミ記念日1/365主役は大好きな君
だから何度だってHappybirthday!ずっとずっと
「おめでとう」贈るよもっと幸せの涙君に訪れるように
生まれて来てくれてアリガトウ!』
「Happybirthday!今日という日が君にとって特別でありますように」
演奏の終わりと同時に光がそう言うとCDに記録されていた時間が止まった
「これで本当に終わったのね…」
私はCDを取り出しそう言うと横でリサが笑いながら言った
「そうだね、終わりだね!友希那が光を1人の友人として接してきた時間もさ!」
「何を言っているの?」
「顔見ればわかるよ!今までで1番幸せそうな顔してるもん!友希那」
「自分じゃ分からないわ」
「今日の事振り返ってみてまだ、そんな事が言える?」
言われて光と過ごした放課後を思い返す。
今回彼はただ隣にいるだけだったけど、彼がいると思うと心にどこか余裕が持てて自然と体から無駄な力が抜けていくのを感じた、そして何より初めて彼の本気の演奏を聞けた。
色々思い出してみて、彼が隣にいることを私自身が心から望んでいると自覚した。
「確かに、私にとっても彼は特別なようね」
「だよね!そうだと思った!アタシの言った通りでしょ!
友希那は間違いなく光を好きになるって!」
「光とは別の意味であなたにも適う気がしないわね」
そう言う私をいつもと変わらない笑顔で見ているリサを一瞥してから光がくれたCDを、そして羽の首飾りに触れながら
私はこれからの事に思いを馳せる中でリサに告げる
「リサ、光をRoseliaの6人目のメンバーとして迎え入れても良いかしら?」
「どういう事?」
「私なりに考えてみたのよ、光はバンドはやらないとは言っていたけれど、光をRoseliaの6人目のメンバーという扱いをしてもいいのではないかと思ってね」
「いいんじゃない?友希那がそうしたいならアタシは問題ないし、多分皆も反対しないんじゃないかな?」
「なら、光をRoseliaの6人目のメンバーとするわ!私なりに光に歩み寄るこれが最初の1歩よ!絶対に光に向けて最高の演奏を届けるわ!」
「絶対に成功させようね!」
そうして決意を新たにし光を6人目のメンバーとして迎え入れる事を決めたのだった。
誕生日イベントがやっと終わりました!一応各バンド事に2話くらいを予定していましたが話の時系列的に言うと12月におたえの誕生日が入るんですよね!なので各バンド事に3話くらいを改めて書いていこうと思いますのでお楽しみに。
次回 「応援とあとひとつの涙」
シーズン3の内容いくか二学期編挟むか
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二学期編として何話か入れましょう
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シーズン3の内容入って大丈夫です!