はぐみ達ソフト部の試合から約1週間たった今日、俺は代理を頼まれてパスパレの事務所に来ていた。
予定よりも少し遅れた為、皆は既に練習スタジオに入っているだろうと思いながら事務所の扉を潜りレッスンスタジオに向かうとちょうど彩が何やら振り付け?と思わしき身振り手振りをしていた。それを見て皆が何やらダメだし?と思われる会話をしているので俺はタイミングを見計らってスタジオの扉を開けて中に入る
「ごめんごめん!遅くなった!」
「あっ!ひ〜くん遅〜い!」
「ごめんって!でもさ、当日にいきなりマネージャーが休むからって代理頼まれてもさ、これでも急いで来たんだよ!」
「確かに、随分急いだみたいね、髪もボサボサでネクタイも曲がってるわよ」
「今、身だしなみ整えるから待ってて」
そう言って俺は身だしなみを整えてから改めて声を掛ける
「えっと、とりあえず現状を教えてくれる?」
俺の問に日菜が答える
「彩ちゃんが新しい挨拶とポーズをしてて、それを皆でなんか変って言ってたとこ!」
「ちょっと日菜ちゃ〜ん」
「でも、日菜ちゃんの言ったこと間違ってないじゃない!」
「千聖ちゃんまで〜」
「まぁ、確かに、斬新と言うか、なんと言うかだったッスけどね〜」
「ハイです!ちょっとヘンテコでした!」
「麻弥ちゃんにイヴちゃんまで〜」
全員からダメだしされて項垂れる彩を見て俺はなんだかなぁと思いながら笑う
「光君まで笑わないでよぉ〜」
「ごめんごめん!皆が言うほど可笑しいポーズと挨拶だったんだなと思ったら笑えてきてさ!」
「皆揃って酷〜い!」
そう言って抗議の視線を皆に送る中でイヴが思い出したように言った
「そういえば、彩さんは皆に夢を与えるアイドルになりたいんですよね?」
「え?あっ!うん!それは今でも、変わってないよ!」
「彩さんがアイドルを目指すきっかけのアイドルさんはどういう人だったんですか?」
「あ〜それ俺も聞いてみたい!彩にとっての原点って言うのかな?人それぞれそういうのある中で彩にとってのきっかけになった人ってどんなだったの?」
「そういえば、今まで皆に話した事って無かったね!
私が憧れてるのは『Marmalade』ってグループのあゆみさんって人なんだ」
「マーガレット?」
「「Marmalade!!」」
彩と千聖の声が重なる
「どこをどう聞き間違えたらMarmaladeがマーガレットにないるのよ!あなた耳は良かったはずじゃない?」
「ちょっと間違っただけなのに酷くない?」
「アハハ、とにかくマーガレットじゃなくてMarmaladeだよ光君!ちなみに光君はグループ名も知らなかったの?」
「ごめん、アイドルは専門外でさ、曲もほとんど知らないね!歌番組とかに出てる時にチラッと聞く程度」
「でも、光、私達だってアイドルよ」
「そうだよひ〜くん!あたし達もアイドルだよ!」
「知ってるよ!でも、パスパレは一応俺の中ではバンドの括りに入るからね!」
俺がそう言うと皆は納得の表情を浮かべていた。
「て言うか、ごめん!話脱線しちゃったね!改めて教えてくれる?彩にとっての目標の人がどんな人なのかさ」
俺がそう言うと彩は頷いて話し出す
「あゆみさんはグループではなんて言うか、お茶の間アイドルみたいなポジションなんだけどね、本人はすっごく真面目で努力家な人なの!インタビューとかでよく『努力すれば夢は叶う』って話してて……私は、その言葉にたくさん勇気をもらったんだ」
「なるほどね〜ずっとその言葉を胸に頑張ってきた訳だ」
「うん!そうなんだよね!だから私も誰かに勇気を与えたいって思ってアイドルを目指したんだ。あゆみさんは私にとって原点みたいな人だよ!」
「へぇ〜なんか良いね!俺には想像も付かなかったし、俺自身はそこまで考えもしなかったからね」
俺がそう言うと日菜から質問が飛んでくる
「じゃあさじゃあさ!ひ〜くんは音楽を始めたきっかけってなんだったの?」
「どうだったかな〜?」
俺は言われて考えてみるが思いつくのは父さんがスタジオミュージシャンをしていて、よく仕事場に連れて行ってもらって興味を持ったという程度だった
「やっぱり、父さんの影響は大きいかな?父さんがよく仕事場に連れってくれたんだよね、それで色んな曲を自分でも演奏して見たいって思ったのがきっかけかな?まぁそこまで大した話じゃないよ、ていうかさ、俺はともかく他の皆はその彩が好きなアイドルの事は知ってるの?」
俺は皆に問いかける
「自分は聞き覚えがある程度ッスね」
「Marmaladeはアイドルグループの中ではかなり有名よ、きっとテレビにでているのを見た事あったりするんじゃないかしら?」
千聖の話を聞いて俺は自分の記憶にある限りの歌番組を思い出してみるもやはり記憶にない
「俺はやっぱりわかんないな〜、多分覚えてないだけでテレビで見た事あるのかもしれないけど、俺はわかんないや、でも、結構凄いんでしょ?」
「うん!Marmaladeはすっごいグループなんだよ!あゆみさんはずっとずっと私の憧れの人なんだ、いつか私もあゆみさんみたいなアイドルになれたらなぁ」
「彩さんが憧れている人なんです。きっと素敵な人なんでしょうね〜」
「確かにね、誰かが誰かの憧れになれるのってある意味では凄いことだからね」
俺たちがそう話していると日菜が何やらブツブツ言いながら考える仕草を見せている
「Marmalade、マーマレイド……ふ〜む…」
「日菜?何百面相してんの?」
「日菜ちゃんどうかしたの?」
俺達が問いかけるとほぼ同時にまさにピコーンと言う効果音が聞こえてきそうな表情を浮かべて話し出す
「思い出した!Marmaladeってさ日曜の動物番組に出てなかった?」
「うん!出てたかも!たしか、メンバー皆で珍しい動物と触れ合ったりしてたよね。懐かしいな」
「お姉ちゃんがその番組見てた気がして、確かMarmaladeって解散するんじゃなかったっけ?」
「え?」
日菜の言葉に彩が一瞬固まる
「日菜さんそれは本当ですか?」
「本当なの?日菜」
俺達の質問に日菜は頷いてから答える
「うん、今朝ここに来るまでの電車でさ、近くの人が話してたんだよね、どこかで聞いた事ある名前だと思ったら、電車の中でその話を聞いてたからだったんだ」
「あ〜言われてみれば、そのMarmaladeかどうかは知らないけど、アイドルグループが解散するとかなんとかって話は俺も聞いたなそういえば」
「今朝はバタバタしててニュースもチェック出来なかったからそんな事全然知らなかったよ」
落ち込む彩に追い討ちをかけるように麻弥さんが1つのネットニュースを見せる
その記事はMarmaladeの電撃解散を発表する記事だった。
「麻弥さん、ラストライブっていつ?」
「ちょっと待ってください…今週末です!!」
俺は思わず頭を抱えた、正直いくらなんでも早すぎる!
気持ちの整理をつけるにしても、何をするのにも時間が圧倒的に足りない!
「本当に急な話ね」
「いくらなんでも急過ぎるよ!ラストライブの後もおそらくMarmaladeとしての仕事が少しはあるだろうけど、人前に立つ最後の瞬間が今週末って!」
俺達の会話を聞いて輪をかけて落ち込む彩が呟くように言った
「私…このライブが決まった時から楽しみにしてたのに…これが…最後だなんて…」
落ち込む彩を元気付けるように麻弥さんとイヴが声をかけるがやっぱり気分は晴れないようだった
少ししてレッスンの時間になり俺は一度席を外し1人考え事にふける
「知らなかったとはいえ、急な話もいい所だ…俺もバンドの解散は何度か見届けてきたけど、こういうのはなれるものじゃないしなぁ〜」
そう言って少しだらしなく壁にもたれ掛かり、俺にできる事はないかと考えていると彩がスタジオから出てきた
「やっぱり元気なさそうだな…」
そう呟くと俺は立ち上がり近くに行って声をかける
「彩、その…大丈夫?」
「光君…大丈夫…じゃない…かも」
「あぁ〜なんか、ごめんね、こういう時ってなんて声を掛けていいかわかんなくてさ」
俺は髪をぐしゃっとしながら言った
「謝らないでよ!光君が、それに他の皆も心配してくれてるのはわかるからさ」
「うん…そうなんだけどね」
「ごめんね光君、なんか気を使ってもらって、私なら大丈夫だよ」
俺は髪をぐしゃぐしゃと掻きむしってから言った
「泣きそうな笑顔で何言ってんのさ!」
「え!?私…そんな顔してた?」
「さっきから笑ってはいるけど、すっごく泣きそうな笑顔してる」
「わかるの?」
「いや、表情が笑ってないというかなんというか…」
「私はどうしたらいいのかな?」
「悩むだけ悩んだらいいんじゃない?」
「じゃあさ、せめて今だけ、空元気にならないように、私を元気づけて!」
俺は髪を軽くかきあげてから言った
「任せて!じゃあ、ちょっとだけ屋上行こうか!」
「うん!」
俺は彩と2人で屋上に行きベンチに座り俺はケースからアコギを取り出した。
「光君、今日はアコギ?」
「まぁね、たまにはこいつで演奏しないとね、こいつ以外の音源は飛ばさないとだけどね!」
そう言って俺はスマホで音源を再生してからアコギを演奏し歌っていく
『涙を流した君にしか浮かべられない笑顔がある
そのままの君で大丈夫こぼれおちた分だけ強くなる』
俺は彩を元気づける為だけに演奏していく!今の俺に出来るのはやっぱり演奏する事だけだから
『変わりたいのに変われない日々本当の気持ちから毎日少しずつ逃げた
見えないフリや聞こえないフリで綺麗事ならべても
自分は騙しきれなくて
負けそうな心抱えても僕らは笑う無理して笑うけど
きっと
涙を流した君にしか浮かべられない笑顔がある
たまには泣いても大丈夫素直になっても大丈夫
生きていくだけで人は皆数えきれぬほど乗り越える
強がらなくても大丈夫こぼれ落ちた分だけ
強くなる強くなる強くなれる大丈夫
誰かの理想になろうとしすぎて
越えられないボーダーライン気がつけば引いてしまってる
自分で選んだ道なんだからって誰にも頼れずに1人ぼっちで
戦ってる
プライドや夢を守るため僕らは笑う無理して笑うけど
でもね
涙を流した君にしか迎えられない明日がある
見守ってるから大丈夫焦らなくたって大丈夫
生きていく中で人は皆幾千もの自分に出会う
そうして大人になっていく見つけられた分だけ強くなる
世界は涙じゃ変わらないでも君は変わってゆけるさ
そう僕もちっぽけでも踏み出していくよ
胸を張って君だけじゃない僕ら一人じゃない
そうさ
涙を流した君にしか浮かべられない笑顔がある
転んで泣いても大丈夫素直になっても大丈夫
生きていくだけで人は皆数えきれないほど乗り越える
だから大丈夫こぼれおちた分だけ強くなる強くなる
強くなれる大丈夫』
「なんか、晴れやかな気分だよ!まだ、どうしたらいいかわからないけど、私なりに頑張って色々考えてみるよ!」
「そっか、頑張ってね!ちゃんとした答えが見つかるように応援してるから」
「うん!ありがとう!光君がいてくれて良かった!」
そう言って彩は戻って行った
それから少しして俺も戻ると彩の顔は晴れやかだった
ちゃんと切り替えは出来ているなと思いひとまず安心と言ったところかなと思っていると千聖が話しかけてきた
「光、何をしたの?彩ちゃん、まだ迷いは晴れてはいないようだけど、ちゃんと今は切り替えは出来ているみたいだもの、貴方が何かしたんでしょ?」
「別に、ちょっと演奏しただけ」
「屋上から微かに演奏の音が聞こえていたのは貴方だったのね」
「まぁね」
「でも、気を抜くとやっぱり表情が沈んでいるわ、どうしたものかしらね?」
「皆で元気づけてあげたら?」
「それしかないわよね」
そうしてレッスンの終わりに皆でお茶をして帰ると話が決まったらしい
俺個人は今日の仕事はあくまで付き添いなのでここからは
プライベートなので俺の方は帰ることにし皆に声をかける
「じゃあ、今日はこれで!」
そう言って帰ろうとすると千聖と日菜に両方の肩を掴まれて呼び止められる
「「待って光!(ひ〜くん)」」
「えっとまだなんかあるの?」
「貴方も行くのよ!」
「そうだよ!一緒に行こうひ〜くん」
「俺も行くの?別に皆だけでいんじゃないの?」
「そんな事言わずに少し付き合いなさいな」
「ねぇ〜良いでしょひ〜くん!一緒に行こう!」
俺はため息混じりに頷いて言った
「わかったよ!俺も行くよ」
「決まりね!じゃあ行きましょう!」
そうして俺達は喫茶店に行きそれぞれ頼んだものをシェアしながら楽しそうにしている中で日菜がポツリと呟くように言った
「人を励ますって難しいんだね…」
「どういう事?」
「彩ちゃんにまたいつもみたいに元気になって欲しいなって思ってたんだけど…なんか上手くいかなくてさ、
ねぇ、ひ〜くん、ひ〜くんはなんでこう、パってそれが出来ちゃうの?」
「俺?別にそんなにパってできる訳じゃないけど、大丈夫だよとか頑張れとか、そういう言葉をあえて他人から言われた方がいい時もあるでしょ!」
「なんか、わかるかも!」
「えぇ、そうね、確かにそういう場合もあるわね」
「だから俺はそういう時に誰かに向けて演奏するんだ、そうすればなんかのきっかけくらいにはなるでしょ」
「なるほど、確かに、今までもそうでしたもんね!」
「ハイです!確かにいつもそうでしたね」
「まぁ、それが俺だからね」
そんな話をしながら俺達はティータイムを楽しんでしばらくしてる帰路に着いた
帰り道、日菜と一緒に帰っていると日菜が話しかけてきた
「ひ〜くんはもしも、自分の憧れの人とか、身近な人が音楽を辞めたらどうするの?」
「俺はそれで音楽を辞めたりはしないかな、少なくとも、その人が最後に見た景色を自分でも見て自分の目に焼き付けて、その後は自分なりの道を探していくと思うよ」
「そっか、それがひ〜くんの答えなんだ…」
「まぁ、あくまでも1個人の考えだから、参考になったかはわからないけどね」
「そんな事ないよ!教えてくれてありがとうひ〜くん」
「別に良いよこのくらいなんでもないし」
そんな話をしながら歩いていると日菜の家に到着する
「じゃあ、またね!ひ〜くん」
「うん、また明日」
そうして俺は日菜を送った後家に帰りシャワーと夕飯を済ませてベッドに寝そべりもう1人の自分ことルミナスと自問自答していた。
(今回僕の出番はありそう?)
「まだわからない、でもきっと必要になる、その時は頼むなルミナス」
(任せてよ!君が僕で僕は君なんだからさ君と僕の演奏は絶対に届く、いや、届かせるよ!)
「あぁ!やってやろうぜ!」
そうして自問自答しているとスマホが着信を告げる
俺は画面を見るのも億劫になりながら電話に出る
「もしもし、どうかした?」
(こんばんは、光、遅くに悪いわね)
「ウトウトしてただけだから気にしないでいいよ」
(そう?実は相談があるのだけどいいかしら?)
「内容によるよ」
(彩ちゃんの事よ)
「彩の?」
(実はね、ライブの後、彩ちゃんを元気づけて欲しいのよ!)
「ライブのあとならMarmaladeのあゆみさんに頼む方がいんじゃない?」
(もちろんあゆみさんにもお願いはするわよ、その時、彩ちゃんとあゆみさん2人に向けて歌って欲しいのよ)
「わかったよ、俺に出来る最大限で演奏するよ」
(とりあえずは当日もマネージャーとして同行してもらう形になるだろうからそのつもりでいて)
「了解、じゃあ当日はよろしくね」
(えぇ、こちらこそよろしくね)
「うん、じゃあまた」
(えぇ、また近いうちに)
そうして電話を切ると俺は再びルミナスとしての自分と向き合い自問自答する
(どうやら出番は早そうだね)
「あぁ、最高の演奏をよろしく頼むぜもう1人の俺」
(任されたよ!僕)
そうしてその日は眠りについた
次の日
午前の授業を終えてイツメンでの昼食中友希那が唐突に話題を振ってきた
「光、ココ最近はハロハピやパスパレにご執心なようじゃない!」
「そんな事ないと思うけど?でもなんで?」
「なんでもなにも、最近は休みの度に私たちのバンド以外のメンバーと一緒にいるじゃない」
「まぁ、そうなんだけど、言い方!ご執心って!」
「ともかく、近いうちに私達の為の時間はとって貰うわよ」
「いいけど具体的には?」
「まだ近いうちにってしか言えないんだ、具体的なこと分かったら必ず言うからさ、光に向けて演奏する前にあたし達Roseliaとしてやらないといけない事があるんだ」
「それで、俺はその手伝いをしたらいいの?」
「そうなるわね」
「ひ〜くん友希那ちゃんなんの話?」
「近々光の手を借りるって話しよ」
「それならひ〜くんに演奏してもらうかもなんだ〜」
「そうね、そうなるかもしれないわ」
「ひ〜くんって友希那ちゃん達にどんな曲歌ってるの?」
「どんなって言われてもなぁ〜友希那、リサ、覚えてたりする?」
「光が送ってくれたCDの曲なら」
「同じくね」
俺は2人がそう言うので記憶を辿りながら考える
「青空のナミダにVSライブで以心伝心とカサブタでしょ、それから〜」
「だから僕は音楽を辞めたに、SummerRain、Summernude13、花火、打上花火、後は〜」
「後は、多分私、燐子、友希那に送った曲がそれぞれかな?」
俺の言葉を遮ってリサが補足する
「間違いないわね、そのくらいよ」
「だってさ」
「パスパレはどうなの?」
「えっと〜、結晶星、栄光の架橋、BESTfriend、現実という名の怪物と戦う者たちと時の歌でしょ、後は最近聞いたのはRINGだったかな?ひ〜くんあってる?」
「あってるよ!」
「パスパレには何を思って演奏したの?」
「仲間の大切さと1人1人の繋がりの大切さ」
俺は迷わず答えると日菜も含め3人が頷いていた
「なるほどねぇ〜光なりにしっかり考えてるんだねまぁ、そうでなきゃ私達に届く訳がないか!」
「そうね、なんにしろいつも言っているけれど、一度関わったなら最後までやり遂げなさいよ」
「わかってるよ!関わったからにはやり遂げるさ」
言葉にすると自分の中でも改めて決意が固まると改めて思った。
それから数日後の今日、Marmaladeのライブは夕方からなのでまだ早いが彩を除いたパスパレのメンバーと合流する事にし、日菜に連絡するとすぐに繋がった
(もしもし、ひ〜くん?)
「もしもし、日菜、まだ早いけど、良かったら合流しない?」
(あたしはいいよ〜その代わり迎えに来てね)
「了解、日菜の家に行けばいんだよね?」
(うん!皆にも声掛けておくから、一旦事務所前に集まろう!)
「OK!そうしよう!じゃあ、とりあえず向かうね」
(待ってるね!)
そうして電話を切り俺は準備を整えて日菜を迎えに行き
日菜と一緒に事務所に向かう
「ひ〜くん今回はどんな曲を演奏するのか聞いていい?」
「そうだな〜まぁ1人じゃないよって言う感じの曲かな?
たった1つの場所に必ず立ってるよって言うようなそんな曲」
「早く聞きたいな〜」
「まだダメだよ、彩も含めた皆に向けて演奏しないとね!」
「だよね!でも、あたし達ひ〜くんに頼ってばっかだね」
「いんじゃない?頼るだけならね、依存しすぎたらダメだけど、俺が誰かの助けになれるなら、俺は迷わず手を差し伸べるよ」
「それでこそひ〜くんだよね!」
「どうかな?」
そう言って返答を濁して笑うと日菜もつられるように笑った
それから数分後俺達は事務所前に集まって話していた
「ちょっとというか結構かな?早めに集まったけど、ぶっちゃけどうしよう?」
「とりあえず、もう会場に向かいましょう、LIVE前に挨拶って事で行けば大丈夫よ」
「でも、彩は最後だよね?」
「そうッスね、私達から彩さんにささやかながらの応援ッスね!」
「ハイです!彩さんが元気ないのは寂しいです!」
「そうだね、彩ちゃんには元気になって欲しいしね!」
「了解、じゃあ、行こうか!」
そうして俺達は会場に向けて移動する
数分後俺達は会場に到着し控え室に向かい扉をノックすると
どうぞと返答が返ってきたので俺達は扉を開けて中に入りそれぞれ挨拶をした後千聖が話し出す
「Marmaladeの皆さんこんばんは、Pastel*Paletteの白鷺千聖です。今回は挨拶と1つのお願いしたいことがあり伺いました。あゆみさんに私達のメンバーの1人ボーカルの彩ちゃんを元気づけてあげて欲しいんです。」
千聖の言葉にあゆみさんが頷いてから答える
「彩ちゃんはあのピンクの子よね!とりあえず、千聖ちゃん以外の皆も自己紹介してくれる?もちろん後ろに控えてる君もね!」
「俺もですか?」
「当然ね、一応マネージャーでしょ」
「君はマネージャーなのね」
「はい、一応サブマネージャーです」
「そう、じゃあ改めて順番に自己紹介お願い出来る?」
あゆみさんの言葉に頷き1人1人自己紹介をしていき自分の番となり俺は改めて自己紹介する
「改めまして、Pastel*Paletteのサブマネージャーの宮村光です。今回はライブ前の挨拶という事で同行させてもらいました」
「そう、よろしくね光君」
あゆみさんがそう言って握手を求めてきたので俺はそれに応じた、そしてどことなく彩と似た雰囲気を持った人だと感じた
「君、本当にただのマネージャー?」
「どういう事ですか?」
「あなたの手、演奏家の人達と同じだったから」
俺は驚いた、これに気づいた、いや、俺が演奏家である事に気づかれたのは初めてだったからだ
「初めてです。俺が演奏家だと気付かれたのは」
「少なくとも、私は私で沢山の人と関わって来てるもの、アイドルとして、また私事あゆみ個人としてね」
ある意味では経験の差とも言えるだろうそう思った。
その後俺達は詳しく内容を説明してからその場を後にし、他のファンの人達から少し離れた位置でそのLIVEを見ていた
ファンの人達に混じって彩もMarmaladeのそしてアイドルとしてのあゆみさんの最後を見届けていた。
そしてLIVEが終わると俺達はその場を離れ彩の所へ行った「光、彩ちゃんに声をかけてあげて」
「俺が?」
「貴方が適任よ」
「わかったよ!行ってくる」
そうして俺は彩の所へ行き名前を呼ぶ
「彩!」
「光君!それに皆も!来てたんだね」
「まぁ、ちょっとね、あゆみさんの最後のLIVEどうだった?」
「これで終わりかって思うとちょっと寂しいけど、でも、最後の瞬間をこの目で見れて良かったとも思ってるんだ」
「そっか、でもまだ終わりじゃないよ」
「彩ちゃん、今度は私達に着いてきてくれる?」
「え?う…うん」
「じゃあ行きますか!」
「だね!」
「ハイ!」
そうして俺達は彩と一緒にMarmaladeの控え室に向かった
「ここって…控え室...たよね?」
「そう、じゃあ、入るよ!」
そうして扉をノックし中に入るとあゆみさんが出迎えてくれた
「初めまして」
「えっ……えぇぇぇっっっっっ!?あ、あ……あゆみ、さん...」
「うん、Marmaladeのセンター、柑橘系な桃こと、あゆみです♪」
「あ、あう……な、なんで?」
「千聖がねスタッフさんに頼んであゆみさんに合わせてもらって直接お願いしたんだよ、彩を元気づけてあげてって」
「ち、千聖ちゃん…ううっ、ありがとう…ぇ、えっとあの…ど、どうしよう……」
「とりあえず握手してみたら?」
「そうだよ!せっかく憧れの人が目の前にいるんだしさ」
「えぇっ、あ、そ、そっか!あの、握手してもらえますか……?」
「あはは、もちろん♪彩ちゃん、今日は来てくれてありがとう」
そう言って握手を交わす中名前を呼ばれて彩は驚いていた
「え!?今、私の名前……」
「うん、知ってるよ。Pastel*Palette、ふわふわピンク担当の彩ちゃん♪」
「あの……私、あゆみさんの言葉に勇気をもらってアイドルを目指したんです!あゆみさんがよく言っていた……」
「どんな人でも、努力すれば夢は叶う。だから『自分なんか』って思わないで夢を見てほしい」……ってやつか
「私もこの言葉を信じてここまで頑張ってこれたの私の言葉、届いてる人がいてうれしいな」
「彩以外にもきっと貴方の言葉に救われた人は沢山いると思います。言葉にするからこそ伝わるものってあると思うんです。きっと彩以外にも貴方の言葉を信じて頑張ってる人もいると思います。」
「そっか。それでかな。……彩ちゃんが私に似てる気がしたのは」
「えっ……!!」
「最初はお披露目ライブのことをニュースで見て知ったの。その中で彩ちゃんの姿を見ているうちに、自分に似てる気がしていて」
「雰囲気とか、どことなく似てるんじゃないですかね」
「そうね、決して完璧なタイプではないけれど、それでも笑顔で一生懸命なところとか、……すぐ泣いちゃうところとか、他人の気がしなくて」
話しを聞いていて確かにと思う所は俺も含め皆も感じているだろうなと思った。
「あゆみさん…私!!」
「……彩ちゃん。Marmaladeや、Marmaladeのあゆみはずっとずっと彩ちゃんの中に生き続けていく」
「でも、Marmaladeは今日で終わってしまう。これからもアイドルを続けていく彩ちゃんには私を超えて行って欲しいの」
「あゆみさんを超える……」
「大丈夫。彩ちゃんならきっと、私を超えるアイドルになれるって信じてるよ。だって…彩ちゃんは何があっても絶対にめげない、諦めない」
「どんな時だっていつも笑顔っ!」
「私、あゆみさんを超えるそんなアイドルになってみせますっ!!」
「まぁ、憧れの人にここまで言って貰えたんだし答えなきゃ嘘だよね!」
「光…君」
「憧れを超えるそんな彩に向けて演奏するよ!あゆみさんも良かったら聞いてください、2人に聞いて欲しいです。」
「じゃあ、さっきまで私達が使ってたステージ使って演奏してくれる?」
「それを望むなら」
そうして俺達はもう一度ステージまで移動し俺は楽器の準備をしてルミナスの姿になり観客席に回ってもらった皆に声をかける
「Pastel*Paletteの皆さん、そして、Marmaladeのあゆみさん今日は俺の歌を聞きに来てくれてありがとうございます。ルミナスです。さっそくいきます!カルマ!」
俺はギターを弾いて歌っていく
『ガラス玉ひとつ落とされた
追いかけてもうひとつ落っこちた
ひとつ分の陽だまりにひとつだけ残ってる
心臓が始まった時嫌でも人は場所を取る
奪われない様に守り続けてる
汚さずに保ってきた手でも汚れて見えた
記憶を疑う前に記憶に疑われてる
必ず僕らは出会うだろう同じ鼓動の音を目印にして
ここに居るよいつだって呼んでるから
くたびれた理由が重なってる揺れる時
生まれた意味を知る
存在が続く限り仕方ないから場所を取る
ひとつ分の陽だまりにふたつはちょっと入れない
ガラス玉ひとつ落とされた落ちた時何か弾き出した
奪い取った場所で光を浴びた
数えた足跡など気付けば数字でしか無い
知らなきゃいけない事はどうやら1と0の間
初めて僕らは出会うだろ同じ悲鳴の音を目印にして
忘れないでいつだって呼んでるから
重ねた理由を二人で埋める時約束が交わされる
鏡なんだ僕ら互いにそれぞれのカルマを映す為の
汚れた手と手で触り合って形が解る
ここに居るよ確かに触れるよ
一人分の陽だまりに僕らは居る
忘れないでいつだって呼んでるから
同じガラス玉の内側の方から
そうさ必ず僕らは出会うだろ
沈めた理由十字架を建てる時約束は果たされる
僕らはひとつになる』
ラストまで一気に歌い上げてから深く息を吐き出し話出す。
「1曲目のカルマは罪や業と言った解釈が出来る曲です。
俺がこの曲に込めたのは自分の嫌な部分も受け入れて前に進んでいくきっかけになればと思ってこの曲を選びました。」
「そうなんだ…確かに、アイドルもそうだけど、結局この世界の醜い部分って言うか私達の醜い部分が見える、それがアイドルや芸能の世界だからねぇ〜そういう意味では今の私達にピッタリね」
「でも、これで…終わりじゃ…ないんだよね?」
「もちろん!もう1曲聞いてくださいStaywithme」
俺は再びギターを弾きながら歌っていく
『会いたい気持ち溢れたらこの想いが上手く届くのかな?
小さな窓に現れたあなたを見るだけで嬉しくなる
あの日にそっと置いて行った涙の粒抱えたら
ねぇ、夢を奏でた
Staywithmeあなたは私だけの大きな光
Staywithme貴方とずっとずっと手を繋いでいたい
そして明日へつづくこの道を歩いてゆこう』
どんな人でも会いたい人や憧れの人はいるだろうそんな人に
この人達だと胸を張れる仲間と夢を奏でていく、そしてその人が待つ明日へと歩んでいくそんな未来を想像しながら演奏していく
『時間の箱に閉じ込めたつばさをあなたが風に乗せたの
ふと舞い降りた夜の街もらった勇気で歌い出せたんだ
頑張ってるあなたに負けないようなスピードで
ねぇ輝けココロ
Staywithme私に聞かせて欲しい悲しみ訳
Staywithmeあなたとずっとずっと眺めていたいな
月と太陽とそして2人に出来る事を』
パスパレ&あゆみ視点
「彼の演奏はどこか心に響くと言うより刺さるという方が正しいような感じがするわね」
「いつもそうなんです。私達がすれ違ってしまったりしても彼が私達の心をつねに1つにしてくれるんです。」
「そうだね〜光君の演奏がいつも私達を支えてくれた」
「常に皆を支える存在なのね彼は」
「そうだね〜ひ〜くんは仲間が傷付いたり涙をしたりするのが一番嫌なんだって、だからいつもいつも誰かのため皆の為って演奏してる」
「そんな彼に何度も助けられましたからね」
「ハイです!今回もあゆみさんとは別な意味で彩さんを元気づけてあげました」
「そうだったね」
そんな話をしながら曲のラストに耳を澄ます
『Staywithmeあなたはきっときっともう一人の私
Staywithmeあなたとずっとずっと手を繋いでいたい
そして明日へ続くこの道を歩いてゆこう』
演奏が終わり俺は再び話出す。
「彩、それに、あゆみさん、2人に向けて演奏させてもらいました。彩にとってずっと憧れでいてあげてください、いつの日か彩があなたを超えるアイドルになるまで!そして憧れのあなたに並び立てるまで!」
「約束するよ!私はMarmaladeのあゆみはいつまでも彩ちゃんの憧れの存在で居るよ!」
「あゆみさん…私はいつか必ずあなたを超えるアイドルになって貴方に胸を張れるアイドルになります!光君!最後に1曲リクエストしてもいいかな?あの時私を元気づけてくれた曲をもう一度聞かせて!」
「OK!」
俺はアコギに持ち替えてから曲名を告げ演奏する
「じゃあ、今日、最後の曲聞いてください!」
『涙を流した君にしか浮かべられない笑顔がある
そのままの君で大丈夫こぼれおちた分だけ強くなる』
彩、あゆみ視点
「彩ちゃんの事を元気づけてくれたのはこの曲なのね!」
「聞いた後、すっごく晴れやかな気分になりました。」
「じゃあ、きっと忘れられないような曲なんでしょうね」
そう話しながら曲を聞いていく
『変わりたいのに変われない日々本当の気持ちから毎日少しずつ逃げた
見えないフリや聞こえないフリで綺麗事ならべても
自分は騙しきれなくて
負けそうな心抱えても僕らは笑う無理して笑うけど
きっと
涙を流した君にしか浮かべられない笑顔がある
たまには泣いても大丈夫素直になっても大丈夫
生きていくだけで人は皆数えきれぬほど乗り越える
強がらなくても大丈夫こぼれ落ちた分だけ
強くなる強くなる強くなれる大丈夫
誰かの理想になろうとしすぎて
越えられないボーダーライン気がつけば引いてしまってる
自分で選んだ道なんだからって誰にも頼れずに1人ぼっちで
戦ってる
プライドや夢を守るため僕らは笑う無理して笑うけど
でもね
涙を流した君にしか迎えられない明日がある
見守ってるから大丈夫焦らなくたって大丈夫
生きていく中で人は皆幾千もの自分に出会う
そうして大人になっていく見つけられた分だけ強くなる
世界は涙じゃ変わらないでも君は変わってゆけるさ
そう僕もちっぽけでも踏み出していくよ
胸を張って君だけじゃない僕ら一人じゃない
そうさ
涙を流した君にしか浮かべられない笑顔がある
転んで泣いても大丈夫素直になっても大丈夫
生きていくだけで人は皆数えきれないほど乗り越える
だから大丈夫こぼれおちた分だけ強くなる強くなる
強くなれる大丈夫』
「彩ちゃんが言った通りね、とても、晴れやかな気分だわ」
「ですよね!私、あゆみさんの言葉と一緒にこの曲を支えに頑張りたいなって思えます」
「頑張ってね!応援してるよ!」
その後2人は少しの間に打ち解けてあゆみさん直伝のポーズなんかを教えて貰っていた、正直微妙たなぁと思った必ずあえて言わないでおこうと思った。
そして帰り道、皆で帰っている中で彩は憑き物が落ちたような笑顔を浮かべていた。
「なんにしろ、いつもの彩に戻ったみたいで良かったよ」
「何を言っているのよ!立役者の1人なくせに」
「俺は演奏以外の事は何もしてないよ!」
「いっつもそうなのね!あなたは」
「いや、実際演奏以外の事はしてないからね」
「光君はそう言うけど、私は凄く元気貰ったよ!」
「ひ〜くんの演奏は誰かの助けになってるよ!」
「だといんだけどね!」
「まぁ、なんにしても良かったじゃないすか!彩ちゃんが元気になって!」
「ハイです!」
「そうだね、まぁ、結果オーライかな?」
「光君とあゆみさんのおかげだよ!ありがとう」
「まぁ、どういたしまして」
そうして彩は新たな目標に1歩踏み出した
それを皆と一緒に喜べるこの時間を大事にしていこうと思う俺だった。
俺にとっての憧れとは全く違うものだったけれど、憧れの人や尊敬できる人がいる事がやっぱり良いなと俺自身も思った今日この日だった。
パスパレ編2話目になります。ストーリー展開は少しキャラクターストーリーから引用させてもらいました。少しずつ中身変えてますので楽しんで貰えたら幸いです。
次回はAfterglowとのイベントです。
次回「Afterglowと秋祭り」
シーズン3の内容いくか二学期編挟むか
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二学期編として何話か入れましょう
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シーズン3の内容入って大丈夫です!