秋祭りが終わり本格的に秋が深まり冬が近付く中で
等の俺はバイトに勤しんでいた。
とは言っても現状お客さんはおらず練習スタジオやフロアそして店の周りの清掃も済ませて現在は楽器のメンテナンス中
まりなさんはスタッフルームで定期LIVEの案内など書類を作成中である。
俺は楽器のメンテナンスが一段落したので何気なく外を見るとこちらに向かって走ってくる花咲川の制服に身を包んだ女子達が目に止まった
「香澄達だな、髪型特徴的だからすぐわかるや」
そう呟いて俺は立ち上がって軽く身体を伸ばして香澄達が来るのを待っていると扉が開き真っ先におたえが入ってきた
「1番!やった!」
「私2番!」
「3番!残念」
「やっと追いついた!」
「いきなり走るなよ!」
香澄達から少し遅れて息を切らしたりみちゃんと有咲が入ってきたので俺は声をかける
「皆、いらっしゃい」
「光先輩!こんにちは!」
「うん、こんにちは、改めていらっしゃい」
そうしてポピパのメンバーと挨拶を交わしてから俺はとりあえず接客モードで改めて話しかける
「今日は練習していくんだよね?時間はどうするの?」
「とりあえずは2時間で!後、練習見てください!」
「了解」
俺は伝票を切るとスタッフルームにいるまりなさんに声をかけて受付をお願いする
「まりなさん、ポピパの皆が来て練習見ることになったので受付お願いします」
「はいはーい!今行くね」
そうして俺はポピパの皆と一緒に練習スタジオに入り
練習を見ていく
ポピパの皆の練習を見る機会はほとんど無いが、こうしてたまに練習を見ていると皆それぞれが上達しているのが伝わって来る
「なかなか良んじゃないかな?目立ったミスもないし、先走りしてる感じもないし」
「本当ですか!やったー!」
「でも、先輩、細かい指摘はあるんじゃないですか?」
「いや、それ上げてたらキリないから大丈夫」
「まぁ、こう言ってんだし、大丈夫じゃね?」
「そうだね、とりあえずは大丈夫なのかも」
そんな感じでそれぞれの感想を言い合ってから再度練習を再開しまた少し経って一旦休憩に入ったので俺は飲み物を買うために自販機に小銭を入れて話し声が聞こえてきた
どうやら香澄達がなにかを話しているみたいだ
あまり聞き耳を立てるのも良くないと思い俺は
そっとその場を後にし自分の楽器とメンテ道具を取りにスタッフルームにいき楽器とメンテ道具を持って改めて香澄達の所に戻り声をかけた
「香澄?どうしたの?なんか悩んでるみたいだけど」
「光先輩...」
俺の名を呼ぶその声はどこか沈んでいる
どうしたものかと横にいるおたえと有咲を見るが2人も同じような表情をしていた
「なんかあったの?」
「私達じゃなくて、りみが...最近元気ないなと思って、でも、聞いても大丈夫なんでもないってはぐらかすんです。そう言われたら、それ以上踏み込めないですし、どうしたらいいかなって」
「そっか、本人がそう言うなら難しいよね」
「光先輩ならどうしますか?こんな時」
「拒絶されても踏み込むね俺なら、そうしないと自分が本気なんだって伝わないだろうから」
俺の返答を聞いて皆が頷き合い言った
「光先輩!お願いがあります!」
「俺に出来ること?」
「りみと話してみてくれませんか?」
「あたし達だからこそ話しづらい事もあると思うんでお願い出来ませんか?」
「わかった、じゃあ、ちょっと話してみるよ、とりあえず戻ろう」
「わかりました。」
そうして俺達は練習スタジオを戻るとりみちゃんや他の皆と話をする為に話題を振る
「練習再開する前にちょうどいいから皆の楽器のメンテナンスしようか?」
「良いんですか?」
「簡単なやつだけね」
「じゃあ、お願いします!」
「じゃあ、香澄のランダムスターからやろうか」
そうして香澄のギターを簡単にメンテナンスしてから香澄に返す
「ちょっと弾いてみても良いですか?」
「どうぞ」
香澄はギターを弾くと音が響き渡る
「音が変わった?」
「弦が張りすぎてたから軽く緩めておいたんだよ、張りすぎても緩すぎても音は変わるからね」
「なるほど・・・」
「先輩!次は私のをお願いします!」
「ちょっと待ってね」
俺はメンテ道具をから必要な道具を取り出しメンテしていき香澄のギターと同じくらいの時間をかけてメンテしてからおたえに楽器を返却する
「終わったよ」
「さっそく私も弾いてみよう!」
そうして香澄と一緒にギターを弾いて盛り上がっている
「光さん何したんですか?」
「別に、おたえのは何も、弦がくたびれてきてたから簡単にサビ落としてクリーナーかけただけ」
「それであそこまで変わるんですか?」
「使い慣れたやつを少しでも長く使うコツみたいなもんだからねこれに関しては」
「そうなんですね、ちなみにドラムとかもメンテとか出来たりしますか?」
「まぁ、出来なくはないけど、ひとつひとつ音を確認しながらだから大変だよ」
「ですよね〜」
「キーボードはどうですか?」
「中の配線弄っていいならいくらでも」
「辞めておきます、先輩のみたく無雑音にされたらたまったもんじゃないですし」
「あれは配線弄らなくても出来るし、慣れてる人か俺みたいなタイプの人じゃなきゃ使わないから安心して」
「まぁ、そういう事なら」
「りみちゃんは?メンテする?そのベース」
「せっかくだからお願いします」
「じゃあ、ちょっと預かるね」
そうして一時的にベースを預かりメンテしていく中で
話題を振る
「りみちゃんはさ、ポピパのメンバーで演奏するのは楽しい?」
「え!?それは、はい、楽しいですけど・・・」
「けど?何?」
「いえ、なんにも・・・」
「言い辛い事?」
「そういう訳じゃない・・・です」
「もしかして、どう伝えたらいいか迷ってたりする?」
俺の言葉に首を縦に振ってから言った
「バンドの事じゃないし、どちらかと言えば身内の問題で
ちょっとまだ私自身もどうしていいかわからなくて」
「親御さんがお姉さんとケンカでもした?」
今度は首を横に振った
「ケンカじゃないです。」
「お姉さんとなんかあった感じかな?」
りみちゃんの目が大きく見開かれる
「どうしてわかったんですか?」
順を追ってひとつひとつ俺は説明する
「まず、俺は最初にりみちゃんになんて質問した?」
「えっと・・・ポピパの皆と演奏するのは楽しいかって聞きました」
「その質問に迷いなく答えられたよね、そして2つ目の質問に対しては違うって答えた」
「はい、言い辛い事ではないです。」
「それで伝え方がわからないのかって聞いた時はうんって答えたよね」
「はい、間違いないです」
「俺は親御さんかお姉さんとケンカでもした?って聞いた時は違うって言ってた、つまりさ、もしケンカならお姉さんよりは親御さんかなって思ったんだよね、でも、違うって事はお姉さんと何かあったって言うのが正解かなって」
「凄いですね…こんなに簡単に私の考えって言うか迷ってる事を知られたのは初めてです。」
「あくまでも推測に推測を重ねた結果だよ」
「それでも凄いですよ」
「そうかな?でも、まぁ、悩んでる事はおおよその推測が出来たかな」
「そこまでわかったんですか?」
「多分だけど、お姉さんの進路の関係じゃないかな?」
りみちゃんの目が再度見開かれる
「当たってます!お姉ちゃんの進路の関係で私自身がどうしたらいいのか分からないことがあってそれで、どうしたらいいかなって」
「なるほどねぇ、まぁとりあえず、メンテは終了!」
話しをしながらも手を動かしていた俺はりみちゃんのベースのメンテを終えたのでベースを返却する。
「ありがとうございます。私も弾いてみたいのでまた練習見てください!」
「わかった、じゃあ、練習再開しようか!」
そうして俺達は時間いっぱいまで練習して解散した。
結局演奏する時間はあえて取らなかったけど、まぁいいだろう
そんな事を思いながら俺はまだバイトがあったので見送りだけして店内に戻りまた貸出用の楽器をメンテしているとスマホが鳴りメッセージを受信する
「誰だろう?基本電話しかならないからなぁ」
そう言って俺はスマホを確認するとりみちゃんからだった
「珍しい事もあるもんだな」
そう呟いて内容を確認するとさっきまで話していたお姉さんとの事で相談したい事があるからバイト終わりに時間をとって欲しいとの事だった。
俺はバイト終わりに改めて連絡するからどこで待ち合わせをするのかを教えて欲しいとメッセージを入れるとすぐに返答がきて有咲の家に皆で集まっているから来て欲しいとの事だった。
「本人の許可は得てるんだろうし、いいか」
俺は了解と返信しその後貸出用のギターとベースのメンテを終えると上がりの時間になったのでスタッフルームに行きまりなさんに上がりの時間だと伝えて着替え等帰り支度を整えてから有咲の家に向かって自転車を走らせて10分と少し有咲の家に到着しりみちゃんに連絡し到着した事を伝えると
ポピパのメンバー総出で迎えてくれた
そして香澄達に引っ張られて蔵に案内された
「いつ来ても凄いなここ!機材諸々しかもこれ全部使えるんだよね!」
「いやいや、先輩テンションおかしいですって!」
「あぁ、ごめんごめん!やっぱり秘密基地みたいな感じがしてテンション上がるってこれは」
「まぁ、別にいんですけど、とりあえず、りみが話したい事あるって言ってますし、聞いてあげて下さい」
「そうだったね、ちょっと待って」
俺は近くの椅子に座りそれを確認してりみちゃんが話し出す
「えっと・・・光先輩だけじゃなくて、皆にも聞いてほしんだけど、私、上手く伝えられるかわかんないからずっと悩んでたんだ、でも、皆に聞いて欲しいから、言うね」
そうしてりみちゃんが話してくれた内容はお姉さんがこの前行われた進路相談で海外の大学に行く事を先生や両親に伝えそしてその事を少し後になって知ったらしい、りみちゃんとしてはちゃんと見送ってあげたい気持ちも有りこれからも自分達を見守っていて欲しい気持ちも有って気持ちの整理が付かずに悩んでいると教えてくれた
俺は皆の反応を確認すると皆も複雑な表情を浮かべていた
少なくとも、香澄にとってはりみちゃんのお姉さんのバイトの演奏を見た事で自分も同じ舞台でキラキラドキドキするような演奏をしたいと思ってメンバーを集めたし、有咲も少なからず影響を受ける部分があったからこそ今ここにいる
そしておたえはおたえでスタッフという立場からずっとあの人たちの演奏を見てきたからこそ思う所があるんだろう
沙綾もポピパとしてグリグリと共演しているからこそ皆の気持ちもわかるし自分も皆と同じような気持ちだと、そんな表情を浮かべていた。
「あのさ、俺も、1回か2回あの人たちと共演してるから皆の複雑な気持ちはわかるよ、でもさ、今、必要なのは'どうするか'じゃなくて''どうしたいか''じゃない?」
「どういう事ですか?」
「少なくとも、りみちゃんのお姉さん、ゆりさんにも叶えたい夢があるからこそ決めた進路なんだし、少なからず後輩達に笑って送り出して欲しい気持ちはあるんじゃない?特に同じ学校の後輩でもあり、血の繋がった家族であるりみちゃんには尚更さ」
俺の言葉を聞いてもまだ黙ったままの皆の中でりみちゃんが呟く
「どうするかじゃなくてどうしたいか・・・」
「りみりん?」
「私・・・まだ気持ちの整理は出来てないけど・・・それでも、まずは、お姉ちゃんとちゃんと話しをしてみようと思う!」
「て言っても、どうするの?」
「まずは、我儘でもなんでも、私の考えをお姉ちゃんに聞いてもらってそこからちゃんと色んな話しをして、それでもどうしようもなくなったら!また・・・皆を頼らせて!」
そう言ったりみちゃんの瞳には強い決意が宿っていた
「なら、他の皆に出来ることは、見守る事だよ!」
「そうですよね!りみりんの考えをしっかり尊重してそして、りみりんを支えてあげないといけないよね!」
「そう言う事、まずはしっかり話しをする所からだよ」
「はい!私・・・しっかりと自分の気持ちを伝えた上でお姉ちゃんと色々話してみようと思います!」
そうして自分なりに動き皆にも支えて貰う約束をしてその日は解散した
俺は帰宅してすぐ簡単に夕飯とシャワーを済ませてギターを弾きながもう1人の自分と自問自答する。
(僕の出番はありそう?)
「まだわからないけど多分あると思う」
(今回はどんな曲を演奏したらいい?)
「見送る気持ちと見送られる側の気持ちが両方わかるといいな」
(曲は決めておいてね、僕がそれを最高の演奏として奏でるから)
「わかってる、任せてよ、俺は曲を選ぶ」
(そして僕が歌う)
「それが(僕)俺達だ」
俺はもう1人の俺として、また1人の演奏家として今回も必要なら手を貸す事を決めてその日は就寝した。
次の日俺は学校でイツメンにあれこれと質問し意見を聞いていた
「3人ともさ、もしも、知り合いの誰かが旅立ち、つまり、引越しだったり、就職や進学とかで海外に行く事になったとしてさ、皆ならどう見送る?」
3人は顔を見合わせて難しい表情をする
「どうって言われても・・・」
「直接会って再会を約束するとか?」
「手紙書いて電話するとか?」
「光ならどうするの?」
「まぁ、やっぱり演奏かな?」
「またなにか考え事?」
「まぁね、俺個人が動くかどうかはまだ分からないけどね」
「今度はどこの女の子を誑かす気かしら?」
「いやいやいや、言い方!」
「光は目を離すとすぐ女の子口説くからね〜」
「口説いてないし!」
「でも、ひ〜くんはいっつもお姉ちゃんだったり他のバンドの子達だっだり隣にいる女の子違うからね〜」
「目の前にこんなに美少女がいるのにね〜」
「自分で言う?普通、確かにリサと友希那は美人だし、日菜は可愛いけどさ」
「そう言う事軽く言っちゃうんだもんね〜光は」
「そうね、褒められてる気がしないわ」
「あたしは嬉しいけどなぁ〜」
「と言うか話題逸れてるから!もう1回聞くけど、皆ならどうするの?」
結局3人の意見はさっきと変わらなかった。
「気持ちの問題かな〜」
なんて呟いたと同時にチャイムが鳴り俺達はそれぞれの席に戻って授業を受け、そして放課後を迎える
「光、今日もバイト?」
「うん、今週は連勤なんだよね、ほら、月一のLIVEも近いし、機材の調整とか色々ね」
「なるほどね〜そりゃ大変だ」
「Roseliaは?今日来るの?」
「今日も個人練習なんだよね、アタシも昨日今日とバイトなんだよね!と言うか光〜そのうちアタシのバイト手伝ってくんない?」
「え?なんで俺?」
「いや〜最近バイトの子が1人辞めちゃってね、今、モカとアタシだけなんだよね、たまにで良いからさ、お願い!」
「そう言われてもな〜、まぁ、本当にたまにでいいなら」
「よろしくね!なんかあったらお願いするからさ」
「お願いだから俺のバイトがない日にしてね」
「ちゃんと確認するって!まぁいいや!またね!」
そうしてリサはそそくさと帰って行った
「言いたい事だけ言って帰っちゃうんだもんな〜まぁいいか、俺もバイト行こ」
そうして俺も学校を後にしバイトに向かった
そしてcircleで絶賛受付カウンターに座り外を眺めていると
昨日と同様に香澄がこちらに走ってきた
「香澄だ、よく走るなー」
そんな事を呟きながら香澄達を待っていると1番乗りはおたえだった
「今日も1番!」
「今日は2番だ!」
「残念、私は3位だ」
「いらっしゃい」
3人とは対象的にりみちゃんと有咲は息を切らしている
「circle近付いた途端走るの辞めろよな!」
「私も走るの苦手だから、いきなり走られると私もちょっとキツいかな」
「確かにね、俺は走るのは嫌いじゃないから良いけど、いきなりだと辛いよね」
「つか、来た目的忘れてないか?」
「そうだった!りみりん!話したい事あるんだよね!」
「うん・・・でも・・・」
「どうかした?」
「実は・・・昨日の事で報告があって・・・」
「昨日の事?あれからなんかあった?」
「お姉ちゃんと話しました…」
「どうだった?」
「上手く伝わったかはわからないですけど・・・お姉ちゃんと話す事が出来ました。」
「良かった、ちゃんと話す事は出来たんだね」
「はい・・・でも、お姉ちゃんを逆に困らせちゃったんじゃないかって不安で、それでまた、先輩に話しを聞いてもらってそこからまた自分なりに動けたらって」
「そっか、聞き返すようで悪いけど、ちゃんと話はできたんだよね?」
りみちゃんが小さく頷く
「お姉さんはなんて」
「応援して欲しいって!私は私で夢を見つけて欲しいって」
「そっか、なら、ちゃんとお姉さんを見送ってあげないといけないね」
「ですよね、ちゃんとお姉ちゃんを見送るしかないですよね・・・」
「りみちゃんはどうしたい?」
「もちろん、ちゃんとお姉ちゃんを見送ってあげたいです。
でも、やっぱり自分の中では近くで見守っていて欲しいなって言う気持ちもあって・・・それはちゃんと伝えたんですけど」
正直な事を言えば、俺から今以上の言葉をかけるのは難しい
今の時代スマホがあれば連絡を取るのはカンタンだが海外に行くとなれば時差の問題等もあり中々難しいだろう、それでも、お姉さんの夢を応援してあげたい気持ちがあるのならもう一度伝えてちゃんと答えを見つけるしかないのかもしれない
「難しいよね、人の気持ちって言葉ひとつで簡単に揺らぐし
言葉って伝え方によってはやっぱり相手を傷付けたりもするしさ、言葉を探すってよく聞くけど、あれって俺にとってはある意味凄い言葉だなって」
「どうしてですか?」
「結局自分の言葉で伝えるために自分の言葉を自分の中からこれだって思うものを見つけないといけないでしょ!」
「確かに、そうですね、一理あると思います。アタシだってコイツらだからこのくらい言ってもっていう部分はやっぱりありますからね」
「私も、有咲達だから多少の無理も言えるって部分はあるよ」
「うん、それはあるかな、私も香澄たちとだからこそ出来る演奏があると思うし!」
「そうだね、考え方が違っても、前を向く気持ちは同じだよね!」
「皆・・・ありがとう!私・・・ちゃんとお姉ちゃんを笑顔で見送れるように何回でもちゃんと決心ができるまで話し合ってみるね!」
「じゃあ、そんなりみちゃんの背中を押してあげようかな!」
「もしかして演奏するんですか?」
「そのつもり、まりなさん!この場でやっちゃって良いですか?」
「良いよ〜お客さんも居ないし好きにして大丈夫」
「じゃあさっそく」
俺は手元に置いていたケースからアコギを取り出しスマホからギター以外の音を飛ばし歌っていく
『君の中に絡みつくのは何 劣等感?
それとも不調わな日々に芽生えた違和感?
空虚な空 気が付けばほらうつむいて
一人ぼっちになっていたいつかの帰り道
特別なことでは無いさそれぞれ悲しみを抱えてんだよ
自分次第で日々を塗り替えていける
誰の心の中にも弱虫は存在していて
そいつとどう向き合うかにいつもかかってんだ
そうやって痛みや優しさを知っていくんだよ
間違いなんてさきっと何一つ無いんだよ
誰のせいでもないさ人は皆鏡だから
勇気を出して虹を描こう
越えて越えて越えて流した涙はいつしか
一筋の光に変わる』
ポピパ視点
「誰の中にも弱虫は存在していてか」
「特別な事なんて無くてそれぞれ悲しみを抱えてんだよなんて思いもしないよな」
「ひとつひとつの歌詞が印象的だね」
「りみ、どう感じる?」
「人は皆鏡だからって歌詞がね心に刺さるって言うのかな?
必ずひとつ共通点が誰にでもあるよって言われてるみたいでなんかいいなって」
抱えている不安が自分だけじゃない、一人一人がそうなんだと私達に教えてくれるような、そんな曲だと思った
『曲がりくねった道の途中で
いくつもの分岐点に僕らは出会うだろう
だけどもう振り返らなくていいんだよ
君だけの道その足で歩いていくんだよ
遠回りしたっていいさ時にはつまづく事もあるさ
でも答えはいつも君だけの物だから・・・
届け届け届け暗闇の中で泣いてたんだね
希望を乗せ空に響け』
ポピパ視点
「そっか、そう言う事か」
「なんだよ香澄」
「何かあった?」
「あのね、りみりんだけじゃなくて私達全員に向けられてるよ!いくつもの分岐点に出会って決めた道を振り返らないでって答えはいつも自分だけのものだからって」
「そうだね、遠回りしてつまづいてそれでも、それが私達の出した答えだからって」
「希望を空に乗せ響けって歌詞が好きかな、遠く離れても届くと信じて歌ってる感じがする」
沈んでいた気持ちが晴れるように自然と下を向いていた顔を上げて前を向けていた
『乾いた大地踏みしめるホコリまみれのBoots
与えられたきた使命(いのち)取り戻すのさRoots
吹き抜ける風の中を光と影を受け止めたなら行こう君と
越えて越えて越えて 越えて越えて越えて
流した涙はいつしか一筋の光に変わる
虹色の明日へ続く・・・
雨上がりの空にそっと架かる虹の橋
雨上がりの空にそっと架かる虹の橋』
演奏を終えると俺は皆に向けて話し出す
「りみちゃんだけじゃなくて、みんなに向けて演奏したつもりだけど、伝わったかな?」
「十分ですよ!」
「十分過ぎるくらいです。」
「アタシも同意です」
「下向いてたら見えるものも見えなくなるよって言われてるみたいでした。」
「私も・・・迷っても良いんだって言われてるみたいでした。
迷って悩んで決めた道なら振り返らないで進めって言われてるみたいで、沈んでた気分が晴れやかな気分になりました。」
「なら、後は自分次第だよ!」
「はい!私、やっぱりお姉ちゃんともう一度話してみようと思います!ちゃんと決心が着くように」
「とりあえずは一段落かな?練習してく?せっかくだから付き合うよ」
「お願いします!」
「皆もそれでいい?」
俺は皆に問うと返答は頷きだった。
俺はしばらく練習に付き合いその後ポピパのメンバーを見送りバイトに戻った
それからしばらくして俺も上がりの時間になったので家路を辿る
そして、自宅に到着してすぐに俺のスマホが着信を報せる
「誰だろう?この時間に連絡なんて」
確認するとりみちゃんからだった
「ルミナスの出番だな」
そう言って電話に出る
「もしもし、りみちゃん?どうしたの?」
(こんばんは、光君、私よ…わかるかしら?)
「はい、お久しぶりですゆりさん」
(久しぶりね、いきなりごめんなさい。話がしたいの、香澄ちゃん達と話した公園に来てくれるかしら?)
「わかりました。今から向かいますね」
(待ってるわ、それじゃあまた後で)
「はい、また会いましょう」
そして俺はすぐにルミナスの衣装に着替え荷物を持って家を出る
そして目的地に向かって自転車を走らせること10分と少しして目的地の公園に到着する
そしてそこにはりみちゃんとゆりさんが待っていた
「待たせてすいません。」
「別に良いわ、呼び出したのはこっちだし」
「それでもですよ、とにかくまずは、座って話しましょう」
「そうね、そうしましょうか」
2人はなぜかベンチではなくブランコに座った
俺は対面の柵に座り話を切り出す
「それで、俺に話ってなんですか?」
「まずは、もう一度お礼と謝罪をさせてちょうだい、わざわざ来てくれてありがとう、遅い時間に呼び出してごめんなさい」
「別に良いですよ、遅いって言っても個人的にはまだ平気ですし、気にしないで下さい」
「そう?なら気にしない事にするわ、それでね、ここからが本題なのだけど、りみが私に本音をぶつけて来たのよ、それで、普段なら言わない様なホントの気持ちというのかしら?そういうのも聞けたのよ、初めてだったわ、りみが心の底から私に本音をぶつけて来たのは」
「言いたくても言えない事ってありますからね」
「えぇ、それでりみに何かきっかけをあげた人がいたんじゃないかって聞いたら、貴方が演奏でりみの背中を押してあげたって聞いたのよ」
「そうだったんですか、俺は演奏から何かを感じてくれたら良いなと思いはしましたけど、特に何かした訳じゃないんですけどね」
「先輩は話しを聞いてくれてアドバイスをくれました!
'どうするか'じゃなくて''どうしたいか''だって、その言葉があったから私はお姉ちゃんと本気の本音で話す事が出来ました。そして、演奏を聞いて、今のままじゃダメだって思えたんです。」
「りみからそれを聞かされたからこそ、あなたにお願いしたいのよ、私とりみ、2人に向けて演奏を聞かせてちょうだい
私にはまっすぐ前を向いて行けるように、りみにはちゃんと私を見送ってあげたいと思えるように」
「わかりました。任せてください!俺が、いえ、僕が最高の演奏で2人に届けます!」
俺はルミナスの姿になり演奏の舞台を整えて2人の前に立ち話し出す。
「こんばんは、この姿の時はルミナスって名乗ってます!
まずは1曲聞いて下さい歩いていこう」
『歩いていこう歩いていこう僕は「今」を生きていくよ
君がくれた言葉はここにあるよそうだよ歩いていこう』
俺は演奏を始めてすぐに表現力の翼を広げていく
ゆりさんが前を向いて行けるように、りみちゃんがちゃんとゆりさんに行ってらっしゃいと言えるように
自分を信じて歌っていく
『歩道橋の向こうに冬の都会(まち)が見えたよ
ひとかけらの孤独を手に僕は明日をつないでる
「こころで笑えるかな」いつかの声が聴こえた
白い息が空に消える寂しくはない駅へ急ぐよ
「帰らないと決めたんだ」はじまりを告げるように
雪が降り始めた
歩いていこう歩いていこう僕は「今」を生きていくよ
傷ついても何度も信じたいよこの手をこの日々を
君と泣いて君と笑って僕は強くなれたんだろう
君がくれた言葉はここにあるよそうだよ歩いていこう
たぐり寄せた希望が温もりを抱いている
愛を許せる強さは君が僕に伝えたこと
「会えなくてもわかってるよ」
今の僕はあの日の君に胸を張れるのかな
うれしいこと悲しいことそのすべてを忘れないよ
ひとつひとつ心を照らしている
そうだよ''ひとり''じゃない』
ゆり&りみ視点
「SPACEで聞いた時より格段に演奏が上ね、隠していたのかしら?」
「あの時は光先輩個人としての最高の演奏をしたんだと思うよ!でも、今は、私達だけに向けて歌ってくれてるから大勢に聞かせる時とはまた違うんだと思う、それに、お姉ちゃんにも見えてるかな?私が涙を堪えながらも笑顔を浮かべてお姉ちゃんに手を振ってるのが」
「えぇ、りみが行ってらっしゃいって涙を堪えながら笑って手を振ってる瞬間が見えたわ」
引き込まれる演奏ってこういう演奏なんだと改めて感じた瞬間だった
『さよならさえ ありがとうさえ
もう君には言えないけど
''季節''はいまたしかに変わっていく
そうだよ はじめるよ
歩いていく歩いていく僕の「今」を生きていこう
君がくれた言葉はここにあるよそうだよ歩いていこう』
演奏を終えて俺は話し出す。
「俺が用意してきた曲は次が最後です。キーボードをメインに演奏します。聞いて下さい、YELL」
僕はキーボード弾きながら歌っていく
『「''わたし''は今どこに在るの」と踏みしめた足跡を
何度も見つめ返す
枯葉を抱き秋めく窓辺にかじかんだ指先で夢を描いた
翼はあるのに飛べずにいるんだ
ひとりになるのが恐くてつらくて
優しいひだまりに片寄せる日々を越えて
僕ら孤独な夢へと歩く
サヨナラは悲しい言葉じゃない
それぞれの夢へと僕らを繋ぐYELL
ともに過ごした日々を胸に抱いて
飛び立つよ独りで未来(つぎ)の空へ』
ゆり&りみ視点
「お姉ちゃんを見送る私と見送られるお姉ちゃんが見えるよ」
「私は挑戦の意味で独りで旅立つ姿が浮かぶわ」
お互いが見送り見送られる姿が演奏により伝わってくる。
演奏を通して自分達が'どうするか'じゃなくて''どうしたいか''
だと言っていた理由をしれた気がした
『僕らはなぜ答えを焦って宛の無い暗がりに
自己(じぶん)を探すのだろう
誰かをただ想う涙も真っ直ぐな笑顔もここに在るのに
''ほんとうの自分''を誰かの台詞(ことば)で
繕うことに逃れて迷ってありのままの弱さと向き合う強さを
つかみ僕ら初めて明日へと駆ける
サヨナラを誰かに告げるたびに
僕らはまた変われる強くなれるかな
たとえ違う空へ飛び立とうとも
途絶えはしない想いよ今も胸に』
ゆり&りみ視点
歌詞が自分達の迷いを歌っているようでお互いに感じ方は違えど、自分達なりに迷ってありのままの弱さと向き合う強さを
つかんで明日へと向かうことの大切さを知れたと感じていた
「先輩の演奏の中に私達がいるね!お姉ちゃんと一緒に演奏した日とか過ごしてきた日々が思い出されるよ」
「同感ね、りみだけじゃない、グリグリの皆とも少した日々すら思い出されるわよ」
お互いの中の大切な思い出とこれから過ごす明日を私達なりに考えながら演奏を聞いていく
『永遠など無いと気づいた時から
笑い合ったあの日も歌いあったあの日も
強く深く胸に刻まれていく
だからこそあなたはだからこそ僕らは
他の誰でもない誰にも負けない
声を挙げて''わたし''を生きていくよと約束したんだ
ひとりひとつ道を選んだ
サヨナラは悲しい言葉じゃない
それぞれの夢へと僕らを繋ぐYELL
いつかまためぐり逢うその時まで
忘れはしない誇りよ友よ空へ
僕らが分かち合う言葉がある
こころからこころへ言葉を繋ぐYELL
ともに過ごした日々を胸に抱いて
飛び立つよ独り未来(つぎ)の空へ』
演奏を終えて俺は2人に向けて再び話し出す。
「僕の演奏を通して見送る側の気持ちと見送られる側の気持ちを知って貰えたら嬉しいです。どんな風にとかこんな感じなんだとか色々思うところはあると思いますけど、僕の出番はここまでです。後は2人で決める事ですから」
そう言って髪を解きピアスを付け替えてルミナスから光へと戻る俺にりみちゃんが話しかけてきた
「先輩・・・ありがとうございます。おかげでお姉ちゃんの旅立ちを笑って見送ることが出来そうです!」
「良かった、これで正真正銘一件落着かな?」
「まだね、残念な事に」
俺の言葉を半ば遮るように言ったのはゆりさんだった
「まだ何かあるんですか?」
「えぇ、本当の終わりは私が旅立つその日だもの」
そういう事かと俺は納得する確かにその通りだと思う
旅立つその日が終わりであり始まりだと俺自身も感じた
「ねぇ、光君、もう1つお願いを聞いてくれる?」
「俺に聞けることなら」
「見送り、あなたも来てちょうだい!」
「俺もですか?」
「えぇ、貴方の演奏で私を見送ってちょうだい」
「わかりました。それまでに最高の曲と演奏を準備しておきます。」
「楽しみにしているわ」
「先輩!本当にありがとうございました」
「まだ先だけどしっかりとお姉さんを見送ってあげようね」
「はい!」
そうして2人は帰っていき俺も家路に着いた
また1つ新たな約束が交わされて・・・
今回もラストに迷いましたね起承転結の結が決まらない感じで書いていくうちにこうかな?といった感じですね
次回はまたハロハピの話を書いていこうと思いますのでお楽しみに
次回「涙と理想の笑顔」
もう1つこのあとがきでお知らせしておきます。
カバーLIVE編が終わり次第
空に憧れた少年とバンド少女達か歌姫と僕とのどちらかを投稿します。気長に待っていてください
シーズン3の内容いくか二学期編挟むか
-
二学期編として何話か入れましょう
-
シーズン3の内容入って大丈夫です!