僕等が奏でる歌と音   作:凌介

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1歩ずつ目標に向かう光がこの先に見るものは


第5話迷子の少女と迷える女優

その日俺は目的もなく街を見て回っていた。

こっちに来て1ヶ月近く経つが未だに把握出来ていない場所が結構あるのだ

俺はスマホのマップ機能を使い気ままにあちこち街を見て回っていた。

「この辺りは前に来たな、この先が住宅街でその先にちょっと大きな公園があるんだよね、そこに行って一休みしようかな、あぁでも、もうすぐお昼かどうしようかな?」

俺が悩んでいると一瞬声が聞こえた気がした

俺は不思議に思いなんとなく声が聞こえた方に自転車を向け動き出す

そして少し自転車を走らせているとまた声が聞こえた今度は気の所為では無く間違いなく聞こえた

「ふぇぇぇ~ここどこ〜?」

「はい?」

俺は一瞬耳を疑ったがとりあえず全力で自転車を走らせていると少し離れた所に水色の髪をサイドテールにした気弱そうな女の子が辺りを見回し狼狽えていた。

俺はこのままでは埒が明かないと思ったので声をかける

「あの!ねぇそこの君!」

「え?あっあの!私ですか?」

「うん!君以外に今この場にいるのは俺だけだよね」

「はっはい、あの、そうですね」

「う~んとさ君何か困ってるんじゃない?俺でよければ力になるよ?」

俺がそう言うとその子は必死な表情で縋るように1歩前進して来た

「はい!あの!実は凄く困ってます友達と会う約束があって駅の方に向かっていたはずなんですけど、いつのまにか迷ってて」

俺はその言葉に驚いた駅は反対方向だからだ

(方向音痴にも程があるだろう)

俺は内心で頭を抱えたとりあえずウダウダしてても仕方ないので目の前の女の子に自己紹介もかねて話しかける

「俺は宮村光(ひかる)って言います音楽が好きですよろしく」

「宮…村君?もしかして羽丘の2年生でものすごくオシャレな人ですか?」

「え?俺の事知ってるの?」

「はい、あの…えっと」

おそらくどう説明したものかと迷っているんだろう

その時その子のスマホが鳴った、俺はどうぞと一声かけてあげる

その子は電話に出る

「もしもし千聖ちゃん?そう、うん、迷っちゃって、でも大丈夫親切な人が案内してくれるって、え?でも、わかったちょっと待ってて」そう言うと俺にスマホを差し出してきた

「千聖ちゃん、電話の相手が代わって欲しいって言ってるんですけど大丈夫ですか?」

「俺は構わないよ」そう言ってスマホを受け取り耳に当てる

「もしもし代わりました宮村といいます」

(突然すみません私は白鷺千聖と言います友人がご迷惑を)

「いやいやそんな事は偶然ですし」

(本当にすいませんそれで私はどうすれば)

「そのまま駅前で待っていて下さい白鷺さんまで居なくなられたら自分は対応しきれないですから」

(わかりましたではよろしくお願いします)

「こっちも了解ですじゃあまた代わりますね」

俺はそう言ってスマホを返すそして少し話した後通話を終え俺に話しかけてきた

「あの、とりあえず千聖ちゃん、さっき電話していた相手が駅前で待っているそうなのでお願いしてもいいですか?」

「もちろんじゃあ後に乗って」

俺は自転車の後を指さし言った

「そういえばまだ名前言ってませんでしたね私は松原花音って言いますよろしくお願いします宮村君」

「うんよろしく下の名前は光って言うんだ光って呼んでくれたら嬉しいな」

「わかりました光君」

松原さんが微笑む

(なんかふわふわしてて可愛いな)

内心そう思いながら自転車を走らせていく、俺は気になった事を聞いてみる

「そういえばなんで俺の事知ってたの?」

「私、バンドやっててそのメンバーの1人が羽丘生なんです」

「そうなんだ、俺の知ってる人?」

「多分名前くらいは瀬田薫さんって言うんです」

俺はその名前を言われた時なんとも言えない表情になった

顔と名前は知っているが話した記憶がないからだ

「俺、あの人と話したことあったかな?」

記憶を探ってみるが街で声をかけられたこともなければ

学校で話した記憶もない俺は他の接点があったか考えるが浮かばない、黙ってしまった俺を見兼ねて松原さんが話しかけてきた

「話したことは無いと思いますよ。ただ違うクラスに転校生が来て凄くオシャレでいつも屋上で歌ってて人気があるって教えてくれたんです」

「あ〜なるほどそういう事なら納得だよ」

俺は疑問が解消されて晴れやかだ、ついでにもう1つ質問してみる事にした

「そういえばバンドって言ってたけど松原さんのバンドはどんな感じなの?アイドルバンドとか?」

「ふぇぇぇ!?私がアイドルとか無いですよ~

でも、これから会う子はアイドル件女優さんですよ」

「白鷺千聖さんだっけ?テレビとかにも出てるし俺も顔と名前はさすがに知ってるよ、でも俺はあの人からは何か迷いを感じられるなぁ」

「そういうのって直接会ってなくても分かるんですか?」

「あぁうん、なんとなくだけどね、俺の祖父が昔演技やダンスとかを教える先生だったんだよ詳しくは教えてくれなかったけどでも、人を見る目は祖父が教えてくれたと思っている」

「そうなんですね。あの!こんなこと聞くのも失礼だとは思うんですけど聞いても良いですか?」

「良いけど?」

「私からは迷いとかを感じられますか?」

俺は彼女はどうなんだろうと考える。少し話しただけでは俺個人なんとも言えないと言うのが本当の所だ

あの人白鷺千聖さんは演技してる姿をテレビなどで見ているからなんとなくだがこうじゃないかと憶測が経つが松原さんとは出会って数分言葉を交わした数は100にも満たない。悩んだ結果ありのままを伝える事にした

「正直よく分からないってのが本音かなでも、性格的なものなのかもしれないけど自分に自信が無かったりしないかな?なんとなくだけど1歩引いた感じがあったように思うよ」

「わかるんですか?」

「さっきも行ったけどなんとなくだよ」

そんな話をしいると目的地に着いた、すると1人の女の子が駆け寄ってきた

「花音!良かった無事に送って貰えたのね」

「千聖ちゃん!ごめんね私また迷っちゃって」

「良いのよあなたが無事ならそれで」

再会を喜び上がっているところ申し訳ないが俺は声をかける事にした

「あの!もう大丈夫そうなので俺はこれで失礼しますね」

そう言って帰ろうとすると松原さんが俺の服の袖を掴んできたので振り返る

「どうかした?」

「あの!何かお礼をさせてください」

「う~んそんな事を言われてもな」

俺が考えていると白鷺さんが話しかけてきた

「あの!なんでもいいんで、彼女が満足するようなお礼って何かないかしら?」

「なら、今度俺の路上ライブに来てよ、たまにこの辺でやってるからさ」

「でも、それだけで良いんですか?」

「そうは言っても、他に何も思いつかないしな~」

「なら、私達とお茶しませんか?」

「俺は構わないけど、白鷺さんは良いの?」

「私も構わないわ、それに千聖で良いわ名字のさん付けは呼びにくいでしょ」

「私も名前で呼んでください名字で呼ばれるのは落ち着かないので」

2人がそういうので俺は了承する

「わかったじゃあお言葉に甘えてお供させてもらうね千聖、花音、改めてよろしく」

「「(うん!)(ええ)よろしくね」」

「じゃあ自転車を駐輪場に止めてくるからちょっと待ってて」

俺はそう言って自転車を置きに行く自転車を止めると少し早足で2人の所へ向かう

「おまたせ、行こうか」

「その前に、あなた行く場所知らないでしょ!」

「そういえば知ってるの?」

「ここから5分くらいの星の宴って喫茶店でしょ?」

俺の言葉に2人が驚くまぁ当然だろう

「どうして行先を知っているの?」

「簡単な推測、まぁ歩きながら話そう」

「そうだね私も賛成」

そう言って目的地に向かって歩き出す

「話の続き聞かせて貰える?」

「そういえばそうだね、まず千聖意識しないようにしてたけど、時間を気にしてたよね、時間を気にしてて待ち合わせが駅前で時間を気にするってことはお昼頃には混み出す場所って言ったら喫茶店かなって思ったんだ」

2人はお互いに顔を見合わせて驚いている

「そんな事までわかるものなの?」

「さっきも言ったけどなんとなくだよ」

「普通はわかんないよ光君が凄いんだよ」

「似たような事つい最近言われたばっかりだからちょっと複雑だな」

「それだけあなたが他の人より優れているという事よ」

「それ褒めてる?」

「そんな気がしない?」

「正直ね」

そうしているうちに目的地に着いた俺たちは店に入り店員さんに案内してもらい席に着く

「そういえば2人ともバンドやってるんでしょ?」

「ええそうよPastel*Paletteってアイドルバンドよ」

「って事は日菜と同じバンド?」

「日菜ちゃんを知ってるって事はあなたが羽丘の転校生?オシャレで凄く演奏が上手くてその上歌も上手なひー君?」

「アハハ、その呼び方は辞めて、日菜にも言ってるんだけど聞いてくれなくて」

俺は苦笑しながら答える

「それにオシャレって言われてもな~普段着ならともかく制服だよ?歌や演奏は自信があるけどそれでも俺だって自分だけの音を探してる最中だよ」

「それで路上ライブ?」

「ちょっと違うかなあれは度胸試しみたいなもんだから」

「ど言うこと?」

その質問に俺は少し考えてから返答する

「俺はさ誰かの音じゃなくて自分の音が表現する世界で誰かのための音を奏でたい、だから俺は路上ライブで聞いてくれる人のために歌うんだ」

俺がそう言うと2人は笑っていたその表情はどこか嬉しそうだった、俺は1度話を切り上げメニューを見る

「そういえばまだ注文してなかったね、俺は飲み物はブラックコーヒーで良いかな2人はどうするの?」

「私はミルクティーかしらね」

「私はカフェラテ」

「食べ物はこのカップケーキ6種を3人で2個ずつ分けない?」

「いいかもしれないわね」

「私もいいよ」

「なら決まり」

そう言って俺は店員さんを呼び注文すると店員さんは注文を繰り返し俺が以上ですと伝えると店の奥に戻っていった

俺は改めて花音に花音自身がやっているバンドについて聞いてみる

「そういえば花音のバンドって?」

「まだ話してなかったねハローハッピーワールドって言うんだ、こころちゃんって1つ年下の子がね世界を笑顔にしたいって私を筆頭にメンバーを集めたんだ」

「それでメンバーに瀬田薫がいると」

「うん、今度機会があったらほかのメンバーも紹介するよ」

「楽しみにしてるよ瀬田薫とだけは話が合いそうに無いけどね個人的に」

俺がそう言うと花音は苦笑していた

「私も機会があれば彩ちゃんとイヴちゃんを紹介するわ」

「ん〜でも日菜の奴が引っ張って来そうな気がするのは俺だけかな?」

「ごめんなさい、正直言っていて私もそう思ったわ、でも私達5人のうち日菜ちゃんともう1人が羽丘生だからその子が先に日菜ちゃんに引っ張られて来ると思うわ大和麻弥ちゃんって言うドラムの子よ」

「そう言われても俺、知らないしな~普段から日菜に引っ張り回されるか、友希那とリサに捕まるかのどっちかだしな〜」

「友希那さんとリサさんってもしかしてRoseliaの?」

「あぁうん知ってる?」

「知ってるも何もRoseliaと言えば高い技術の本格派バンドって有名なんだよ!光君知らないの?」

正直な事を言えば知らなかった訳じゃないでも機会が無いので直接ライブを見た事が無いのだ、俺はどう返答したもんかと悩むがこれといって思いつかないので誤魔化す感じに返答する

「技術力高さは知ってるよcircleってライブハウスで俺バイトしてるからねだけど、練習風景しか見た事なくて詳細までは全然知らないんだ」

そんな事を話していると飲み物と一緒にカップケーキが運ばれてきた俺達は飲み物はもちろんカップケーキにも舌鼓をうち満足してカフェを出る

「結局ご馳走様になっちゃってごめんね2人とも」

「そう思うならもう1件付き合いなさい、そこであなたの歌と演奏を聞かせてちょうだい」

「構わないけど、俺の楽器取ってきたらダメ?」

「その場にある楽器で最高の演奏をしてこそ一流のアーティストではなくて?」

俺はその言葉にヤレヤレといった表情で頷き答える

「わかったよ、やるよ使ったあと元に戻せば良いだけだしな」

「じゃあ行こっか」

花音がそういうので俺達はそれに続く電車で1駅そこから15分程歩くと目的地のミュージックカフェSingasonguと書かれた看板があったちなみに迷わず来れた、千聖は店の扉を開け中にいるおそらく店長と思しき自分に声をかける

「すいません、3人なんですけど入れますか?」

「ちょうど4人席が空いてるよ」

そう言われたので俺達はカフェに入り席に座る俺は店内を軽く見渡した後店長に声をかける

「あの、楽器使わせてもらっても良いですか?」

「良いよ好きに使いな」

「ありがとうございます、2人ともリクエストは?」

「今の時間にピッタリな落ち着いた感じの曲かしらね」

「私も落ち着いた曲がいいな」

俺は考えた結果ギターを手に取りチューニングしていくそしてチューニングを済ませると2度3度音を鳴らす

「よし!」俺はそう言って立ち上がりマイクのスイッチを入れると話し出す

「こんにちは光です1曲歌わせて貰いますこの歌を通して何かを感じて貰えたら嬉しいです。じゃあ聞いて下さいフレイム」

 

俺は演奏を始め歌い出す

『舞い上がる花アスファルト叩く

向かい風吹く坂道上ってく敗れた靴を気にしないように

新しい景色だけを見据えてる走った分だけ磨いた分だけ

すべて報われるわけじゃないそれでも時々見える希望(ひかり)に心奪われてまた立ちあがって歩き出す

指で創ったフレイムを覗きこめば

遠くで手を振る真っ白な僕がいるこんな風に生きてんだってたったひとつ光る瞳でYesと答えたい

自分で良かったと思える瞬間を追いかけて歩く生きてゆくよ

 

背中を押され聴こえるは愚痴で

通り雨を恨むようなしかめ面で

安物のシャツ破れば古着に見えるとつぶやく背中泣いている

誰もが何かを決める時によぎる

苦い思い出はこれから出会う宝の価値を測るためにある

掴み取るものの愛しさを今がすべてで現在(いま)すべてじゃないと逃げたり慰めたりしながら進んで花びらが舞う風の中

僕はひとつひとつと足跡を残してゆくせつなさや虚しさの瓦礫の中もがきながら希望(ひかり)探している』

 

 

自分だけの何かを見つけるために自分が自分で良かったと思える様にと思いを込めて歌っていく

 

『孤独な旅路は坂を登る途中…それこそ夢

指で創ったフレイムを覗きこめば

遠くで手を振る真っ白な僕がいる

くたびれたリュックは空っぽのまま

それでも微笑(わら)ってYesと答えたい

自分で良かったと思える瞬間

この世に出会えて良かったという瞬間

自分で良かったと叫びたい瞬間を追いかけて歩く

生きてゆくよ』

 

俺は演奏を終えるとギターを置き店長にお礼を言って席に戻ると2人から話しかけられた

「光君あなた凄いのね」

「うん私なんか思わず本当に指でフレイム創ってみたりしたよ!写ったのは光君だったけどね」

「アハハ、あの曲は自分を自分で肯定する歌なんだ、自信の無い自分に未来に思いを馳せていつか自分が自分という存在でよかったって肯定出来るようにってメッセージだと俺は思ってるだから、そういう意味も込めて歌ったよ」

俺がそう言うと2人はお互いに顔を見合わせて微笑んでいた

俺、何か変な事言ったかな?そんな事を思いながらコーヒーを飲みその後も音楽の話で盛り上がった、俺はふと時間を確認すると夕方の4時を回っていた

「もうこんな時間か時が経つのは早いんだな」

俺の言葉につられて千聖も時計を確認する

「あらほんとね、もうこんな時間なのね、今日のところは帰りましょうか」

「そうだね、明日からまた学校だしね」

俺達はお会計を済ませ店を出て駅から電車に乗る1駅だけの短い時間だが俺は電車揺られながら外を見る電車を降り駅を出るといつもの駅前広場が見えた

「なんか1駅だけなのに戻ってきたって感じがするよ」

「ふふふっそうかもしれないわね」

「そうだねたったの一駅なのにね」

「そういえば光君もし良ければ私達と連絡先交換しない?」

「俺は良いけど千聖は大丈夫なの?一応アイドルで女優さんなんだよね?」

「そこまでプライベートに踏み込んでこないわよ、良いから早く」

千聖がそういうので俺達は連絡先を交換した

「花音もいいかな?」

「もちろんだよ」

花音からOKが出たので花音とも連絡先を交換する

「じゃあまた今度路上ライブする時は連絡するから都合が良ければ見に来てね」

「もちろんそうさせてもらうわ」

「私もバンドメンバーとかに声をかけて見に来るよ」

「見に来てくれるのを楽しみにしてるよじゃあまたね」

そう言って俺達はそれぞれ家路につくちなみに花音の事は千聖が送ってくれるそうだなので俺は1人家路につきながら考え事をしてした千聖の事だ彼女からは間違いなく迷いが感じられたからだその迷いを振り払ってやれたらと思う反面知り合って間もない俺がそこまで踏み込んでいいものかと俺自身も迷っている、俺は答えが見つからずにただただ元来た道を振り返る事しか出来なかった…

 

 

 

 

 




ご愛読ありがとうございます
今回は他のメンバーとの出会いを書かせてもらいました次回は光が自身や、知り合ったメンバーの迷いを払拭して前を向けるような話を書いていくつもりなのでお楽しみに
次回「悩み相談と自分たちの道」

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