見えない世界で少年は彼女達と出会った…   作:とあるP

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とあるPです。

次回で花咲川女学園編を終わりにしたいと思います。

それでは本編どうぞ!


エピソード005 2人の世界

音葉の前に現れたのは昨日現れた3人とはまた違った声の主だった。

 

「えっと…誰ですか?」

 

「あれ?もしもし私の事知らない?これでも結構売れてきたと、思ったんだけどなぁ…」

 

「違うわよ彩ちゃん。この子は日菜ちゃんが言っていた子じゃない?」

 

「そうですヨ。千聖サン。確か目が見えないんでしたよネ?」

 

「…あ、そうです」

 

困惑しながらも質問に答える音葉。それを知らずに更に女の子達は話し始めていた。

 

「そう言えば、日菜ちゃんが言っていたわね。花咲川女学園に男の子が通っているって…もしかして貴方のことかしら?」

 

「…多分それで合っていると思います」

 

そう言って、音葉は声のする方向を向いた。そして、3人に対して何回目かの自己紹介をするのであった。

 

「…白金 音葉です。姉は生徒会長の燐子です」

 

「それじゃあ、こちらも自己紹介をしないとね。Pastel*Palettesの白鷺 千聖(しらさぎ ちさと)と言います」

 

「ハイ! Pastel*Palettesの若宮 イブ(わかみや いぶ)と言いいマス!ブシドー!」

 

「はい。まんまるお山に彩りを!Pastel*Palettesのリーダー丸山 彩(まるやま あや)です!」

 

決めポーズをしたが、生憎と音葉は見えていない。しかし、それでへこたれないのが丸山彩である。すぐさまに話題を変えた。

 

「それじゃあ、音葉君はどうしてここにいるの?」

 

「…姉さんと一緒にお昼飯を食べようと思っていたけど、生徒会の仕事があるからここで、食べようと思っていまして…」

 

「そうなのね」

 

「なら、私達がここで食べるのはどうかな千聖ちゃん?」

 

「いいですネ!私お弁当取ってきますネ!」

 

そう言って、イブは自分の教室に戻っていくのであった。それを見た千聖と彩も同じように教室に戻ってお弁当を取って来るのであった。

 

そして、3人と一緒に食事をするのであったが、箸を使わずにスプーンを使っていたが、ポロポロとこぼれていく。それを見ていた千聖は音葉からスプーンを奪い取ってしまった。

 

「んしょ…よいっしょ…」

 

「あら、上手く使えてないみたいね」

 

「…すみません」

 

「…もう、仕方ないわね。貸してごらんなさい」

 

「…えっと」

 

「ほら、どれがいいの?」

 

「えっと…じゃあハンバーグを」

 

「へぇ~子供っぽいのが好きなのね」

 

「…すみません」

 

「謝らなくていいのよ。ハンバーグは彩ちゃんも好きだしね」

 

「ち、千聖ちゃん~!」

 

「音葉サンの好きな物はありますカ?」

 

「…僕はコロッケとかかな?あ、刺身はダメなんですよ」

 

「へぇ~以外ね」

 

「…あの触感がダメなので」

 

「わかる~私も苦手なんだよね」

 

そんな話しをしてると、教室に咲がやって来た。どうやら、音葉が1人で寂しい思いをしていないか見に来たようだ。けど、そんな事はなかったようだ。

 

お昼ご飯を食べ終わった音葉は咲からの授業を受けていた。今は国語の授業で「課題作品を読んで作者の気持ちを答えよ」と言う問題だった。

 

課題作品は咲が読み聞かせを行って、それに対して音葉が答えると言うものだった。

 

「~でした。はい、ここまでで分からない所はなかった?」

 

「…大丈夫ですよ」

 

「良かった~私読み聞かせとか初めてだったから、緊張しちゃったよ」

 

「…何だか以外ですね。白瀬先生でも緊張する事があるなんて」

 

「そりゃあ、私は先輩ほど完璧な人間じゃあなかったからね~」

 

「…母さんってそんなに凄かったんですか?」

 

「ええそうよ。1つ教えれば10を理解するくらい頭がキレる人だったわ」

 

「…そうだったんですね」

 

「知らないの?」

 

「…母さんはあんまり多くを語りたがらない人だったので、そんな話しは無かったですね」

 

「そうだったのね…いい機会だし、今度先輩と一度話してみたら?」

 

「…ええ、そうします」

 

そう言って、授業が再開された。いい機会だし、今度雫が帰って来たら聞いてみようと思う音葉であった。

 

 

 

 

放課後になり、今日も今日とて音楽室に足を運んだ音葉は、慣れない手つきで音楽室のドアを開けた。そして、ピアノの傍まで進むとフタを開け指を走らせた。

 

 

「…相変わらずいい音だ」

 

そして、頭の中に浮かんだある曲を弾いてみることにした。それはかつて雫の十八番(オハコ)の…

 

♪~

 

『子犬のワルツ』

[「小犬のワルツ」のタイトルで知られるワルツ第6番 変ニ長調 作品64-1はポーランドの作曲家、フレデリック・ショパンが作曲したピアノのための作品だ。曲は小犬が駆け回る姿が目に浮かぶかのようなピアノの軽やかなメロディと中間部で現れる可憐で甘いメロディが印象的なワルツとなっている]

 

この曲も母さんが週末によく弾いてくれていた曲だ。今は忙しくなってしまったので弾いてくれていない。

 

そんな事を考えているうちにラストのパートまで来た。そして、フィニッシュと同時に拍手が聞こえてきた。

 

パチパチパチパチパチパチ

 

「…ふぅ~…うん?誰ですか?」

 

「素晴らしい演奏だったわね。ねぇ2人もそう思うでしょ」

 

「ハイ!とても素晴らしいデス!アヤさんもそう思いますよね!」

 

「うん。私、感動して泣きそうになったよ…」

 

そこに居たのは、昼間に居た3人であった。聞くとドアが開いていたので勝手に入ってきたとのことだった。

 

「…それなら仕方ないですね」

 

「白金君ってピアノ上手なんだね」

 

「あれ、彩ちゃん知らなかったの?彼、3年前のピアノの発表会で優勝した経験があるのよ」

 

「…よくご存じですね。白鷺さん」

 

「芸能界に居れば嫌なくらい情報が入って来るのよ。特に『盲目のピアニスト 白金 音葉』とでも言えばわかりますかね?」

 

「……」

 

「失礼。不機嫌になったのなら謝ります」

 

「…いぇ、久しぶりにその名前で呼ばれたのでちょっと驚いただけですから」

 

「凄い物知りですね!チサトさん!」

 

「流石千聖ちゃんだね!」

 

そんな事をしている内に放課後を知らせるチャイム音がなり始めた。音葉は帰る準備をして校門前へと向かった。そこまで3人に支えられながら行くと燐子と紗夜が待っていた。

 

「白鷺さん?…どうして…音葉と一緒なんですか?」

 

「音楽室で音葉君(・・・)が演奏していたので、それを聴いていたのですよ」

 

「それじゃあ、あの演奏は音葉くんだったですね」

 

「…ええ、まぁ。それよりも白鷺さん「千聖」え?」

 

「私の事は千聖と呼びなさい音葉君」

 

「…いやそれ「い・い・こ・と…」はい…」

 

見えない圧に屈した音葉はうなづくしかなかった。そして、校門で別れた音葉はいつも通り紗夜と燐子に挟まれながら、歩いて帰るのであった。

 

「そう言えば…音葉。今日は…何を…弾いていたの?」

 

「…今日は『子犬のワルツ』を弾いていたんだ。ちょうど弾きたかったからね」

 

「!…そうだったのね。…羨ましい

 

「…姉さん?」

 

「なんでもないよ…」

 

「そんなに重要なのですか?子犬のワルツが?」

 

「『子犬のワルツ』は…お母さんが…得意な…曲なんです」

 

「なるほど…思い出の曲ってことですね。いつか私も音葉くんの『子犬のワルツ』を聴いてみたいですね」

 

「…そのうちですね」

 

「はい。楽しみ待っていますね///」

 

そう答える紗夜の顔は若干照れていた。その照れは、夕陽によるものなのかそれとも…

 

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