今回は音葉君にとって大きな変化があるかと思います。
それでは本編どうぞ!
燐子誕生日おめでとう~!
次の日。燐子と一緒に学校に着いたが、異様な雰囲気になっていた。この事に関して風紀委員会の紗夜も頭を抱えていた。
「…おはようございます。紗夜さん」
「おはようございます…氷川さん」
「おはようございます。白金さん、音葉君」
「あの?…どうかしたんですか?」
「ええ、実は学校が急遽改装工事を行うと通達が今朝届いたのですが…少々厄介な事になりましてね」
「厄介なこと…ですか?」
「兎に角学業に支障がない程度だと思いますが…」
紗夜の不安は当たらずも遠からずとなってしまった。それは4時間目が終わり昼休みになった時だった。音葉は特別教室で弁当の準備をしている時だった。突然、校内放送が鳴り始めた。
『ピンポンパンポーン!ハロー!ハロー・ハッピーワールドの弦巻こころよ!今日は皆にお知らせがあるわ!なんと!この花咲川女子学園をバリアフリー化しちゃうわよ~!』
「え?どうして…」
『皆も知っているかもしれないけど、特別教室にはある生徒がいるわ。その子は生まれつき目が不自由なの…だから、そんな子を笑顔にするためにバリアフリー化するわよ!』
「ええええ!」
『勿論皆に迷惑はかけないようにするわよ!夏休み中には終わるかと思うから楽しみ待っていてね~』
そう言って、校内放送は終わった。それと同時に特別教室になだれ込む女子生徒達…それに緊張してしまった。
「ここが特別教室なんだ!あー男の子いた!」
「え?どこどこ?…あ!結構可愛い!」
「私結構タイプかも~!ねぇねぇ名前は?」
「え…あ、あの…あ、ダメだ…」ドサ
「キャーー倒れた!」
音葉は余りの人の多さに緊張してしまって倒れてしまった。その事実を知ったのは、先程の放送を聞いて慌てて駆け付けた咲であった。
放課後。保健室では、音葉が寝ている。結局音葉はこれまでの疲労によりこの時間まで寝ていた。心配になった燐子と付き添いの紗夜は教室から白杖と教科書、鞄を取って来た。
「こんなことになるなんて…」
「音葉…大丈夫でしょうか?」
「多分、先生も疲労で寝ているだけだと言っていたので大丈夫ですよ」
「う、うん…ここは?」
『音葉!(君!)』
「…その声は姉さんと紗夜さん?」
「ええそうですよ」
「ここは?それに今何時ですか?」
「ここは…保健室で…今は…放課後よ」
「…そうだったんです」
「ごめんなさい!」
「姉さん?」
「音葉に相談もせずに…勝手に進めてしまって…」
「…どう意味?」
「ここからは、私が説明しますね。先日、弦巻さんが生徒会に直談判して来たんです。『特別教室にいる男の子を笑顔にしたい』と。話しを聞いた限り音葉君のことだと思ったんです。そしたら、『先ずは校舎をバリアフリー化しないとね!』と言い出してきて、あれよあれよと…」
「…こうなってしまった。と言うことですね」
「はい…申し訳ありませんでした」
「…謝らないでください。大丈夫ですよ」
「しかし…」
「…それに、そろそろ隠すことに限界があると思うので…いい機会だからバラしてもいいと思いますよ」
「そうですか…音葉君が良いのなら大丈夫ですが」
「音葉…大丈夫?」
「…うん。もう逃げないと決めたんだ」
「わかりました。それなら風紀委員会と生徒会が全力でバックアップしますね」
「…ありがとうございます」
そんな事を話していると辺りも暗くなって来たので保健の先生に言って帰ることにした。帰りも両サイドを燐子と紗夜に固められて帰る羽目になっていた。
次の日。燐子と一緒に登校していると、周りからはひそひそ話が聞こえて来る。
「あれが例の男の子?」
「そうだよね。燐子先輩と一緒に登校とか…彼氏とか?」
「そんな感じはしないけどね…」
そんな事を聞いていた燐子は良い気分ではなかった。変な噂が流れないように対策を考えていると、校舎前に着いた。ここで、音葉とお別れになる。
「それじゃあ…また、昼休みに…行くからね」
「…うん。待っているよ」
そう言って、音葉と燐子は別れて担任の咲が来るまで待っているのであった。そこに、香澄達5人組が現れた。
「おはよう音葉くん!」
「…おはようございます。戸山さん」
「おはよう音葉」
「…おはようございます。花園「おたえ」…おたえさん」
「おはよう音葉君」
「…おはようございます牛込さん」
「オッス!音葉」
「…おはようございます市ヶ谷さん」
「おはよう音葉!」
「…おはようございます山吹さん」
この5人といると安心する音葉であった。香澄達は昨日起こった事について心配していた。
「ねぇ音葉くんは大丈夫?」
「…何がですか?」
「昨日弦巻先輩がいった件だよ。大方音葉の事を想っていただけどここまでする事なかったんじゃないか?」
「…確かに何の相談もなしにしたことは頭にきています。けど、僕の為にここまで動いてくれたことには感謝していますよ」
「音葉君…」
「…ですから、僕は大丈夫です。それじゃあ失礼します」
そう言って、白杖を突きながら特別教室へと向かうのであった。そんな中なんとたえが音葉のサポートに向かうのであった。
「手伝うよ音葉」
『え?』
「どこまで行けばいいの?」
「…えっと特別教室までお願いします」
「うん。任せて♪」
そう言って、たえは白杖を持っている右手とは反対側の左手を取って特別教室まで向かうのであった。その行動にメンバーは啞然としていた…
その日の昼休み。いつも通りの
「音葉…来たよ」
「こんにちは音葉君」
「いえーい!音葉元気にしている?」
「…姉さん、紗夜さん、弦巻先輩?どうしてここに?」
「あのね、音葉に謝っておきたい事があってね…」
「…昨日件ですか?」
「そうなの…ごめんなさい!!音葉に何も言わないで勝手に喋っちゃって…」
声色から酷く落ち込んでいる風に見えた。音葉としてはもうバレてしまったから別にいいのだがそれじゃあ済まさないのが燐子と紗夜だった。だから妥協案を出すのであった。
「…分かりました。それじゃあ妥協案としてバリアフリー化は早めに進めてください。お願いします」
「音葉…それでいいの?」
「…うん。そうすれば1人で音楽室に行くのも楽になるしね。これ以上紗夜さんの負担を増やしたくないからさぁ」
「そんな!私はそんなこと負担になっていると思いません!」
「…ありがとうございます。けど、こればかりは僕が自立しないといけないと思ったので」
「そうですか…残念です」
「…というわけで弦巻先輩よろしくお願いします」
「わかったわ!早速取り掛かるわね!」
そう言って、こころはダッシュで特別教室を出で行くのであった。これでいいかもしれない。そう思った時に音葉の腹の虫が鳴りだした。
クゥ~
「あ!///」
「フフフ、それじゃあ冷めない内に食べましょうか」
そう言って、食べ始めるのであった。終始燐子と紗夜にあーんされる音葉。傍から見たら付き合っている様な感じだが未だ付き合っていない…
3人でお昼ご飯を食べ終わって団欒していると、燐子と紗夜からこんな提案があった。
「そう言えば、もう少しで定期演奏会の季節ですね」
「そうですね…今年はどうなるのかしら…」
「…定期演奏会って何ですか?」
「花咲川女学園の伝統的な行事なんですよ。各クラスから1名~2名で楽器を持ち寄って演奏会をするんです。去年は戸山さん達が演奏しましたね」
「戸山さんの…キラキラ星…とっても可愛いかったですね」
「…あの、その定期演奏会に僕も参加することって出来ますか?」
『音葉(音葉君)が?』
「…今回の騒動で僕の存在がバレてしまったので今更隠す必要なんてありませんからね」
「けど…開催されるのは、来週末だよ」
「…今まで弾いてきた曲があれば大丈夫だよ。だから出てみたいんだ」
「わかりました…」
「白金さん、いいんですか?」
「ええ…音葉が…出てみたいと言ったんだもの…邪魔立てすることはできません…からね」
「はぁ~分かりました。それなら、生徒会で時間を作りますか」
「…ありがとうございます紗夜さん」
「!///」
その気持ちに紗夜は照れるしかなかった。そして、音葉は今日の放課後から練習をして行くのであった。
「…とりあえず、今まで演奏して来たやつに新曲を1曲だけ加えるか」
そう言って、選んだのはこの3曲
“くるみ割り人形~花のワルツ”
“ボギー大佐”
“悲愴”
特に悲愴はここで初めて弾いた曲だ。早速練習を開始するのであった。その時間は下校時間ギリギリまでかかったとか…
定期演奏会当日。体育館には多くの生徒が集まっていた。それに、来賓席には外部の生徒達も集まって来た。羽丘女子学園、月ノ森女子学園、白雪学園、加茂川中央中学、都立芸術学院高校、セロシアインターナショナルスクールと目白押しだった。
中でも羽丘女子学園以外は学園の理事長が赴くと言う異例の事態であった。そんな中でも日菜はマイペースを貫いていた。
「あ!お姉ちゃんだ~!」
「日菜…余り騒がないでちょうだい」
「えへへごめんね。ところで音葉クンいる?話したんでけど」
「音葉君なら後ろで準備をしているわよ」
「準備?なんの?」
「今回の定期演奏会に参加するためよ」
「ええええ!」
そんな事があったが舞台裏の音葉は知る由もなかった。とにかく落ち着いて、今まで以上の実力を発揮する必要がある。
そして、音葉の番号が呼ばれた。傍には補助役として燐子がいた。そして、ステージ端から出ると拍手ではなくどよめきが起きた。
花咲川女学園の生徒達はそれほどではないが外部から来た人達は驚きを隠せなかった。何しろ女子校に男の子が通っているのだから。
そんなことを知らず音葉は椅子に座った。そして、ピアノの音源を確認すると弾き始めるのであった。
♪~
~くるみ割り人形~花のワルツ~
[チャイコフスキーが書いた最後のバレエ音楽『くるみ割り人形』は、クリスマスの夜の物語。主人公の少女クララがもらったくるみ割り人形は、実は魔法にかけられた王子様で、二人は一緒に、ネズミの王様と戦ったり、おとぎの国を訪ねたりといった冒険をします。おとぎの国では、世界中のさまざまな踊りを見て楽しい思いにひたったクララ。目覚めるとそれは夢で、しかし幸せな気持ちはいつまでも残りました。「花のワルツ」は、おとぎの国を訪れた二人を歓迎して住人たちが踊る群舞。バレエを離れ、単独のオーケストラ曲としても絶大な人気を得るようになりました]
一心不乱に弾き続ける音葉を尻目に会場内は音葉の音に虜となっていた。あれだけ騒いでいた外部の人達も静かに聞いていた。
そして、音葉は…
(ここまでとは…無理をし過ぎたな…)
この演奏会を行う為三日三晩と同じくらい弾き続けた。その為腕がそろそろ限界を迎えていた。
そして、魂の籠った一曲を終えると拍手が沸き起こった。
パチパチパチパチ!
音葉は一礼すると次の曲に取り掛かった。次の曲は“ボギー大佐”である。
♪~
~ボギー大佐~
[ケネス・ジョゼフ・アルフォードが1914年に作曲した行進曲。アルフォードの代表曲で日本でも学校の運動会の入場行進などで演奏されるため、非常に有名な曲である。発表直後から人気があり、1930年代始めまでに100万部以上の楽譜を売り上げている。また、映画『戦場にかける橋』のテーマ音楽としてマルコム・アーノルドによって編作曲され、『クワイ河マーチ』(歌:ミッチ・ミラーとその合唱団)として世界的に知られるようになった]
パチパチパチパチ!
この曲でも彼女達の心に響いた物があったようで、多くの人から拍手がおこった。
パチパチパチパチ!
だが、音葉の腕は既に限界を超えていた。その証拠に額には大粒の汗が出ていた。それをステージ横で燐子は心配そうに見つめていた。
「音葉…」
そして、最後の曲“悲愴”に取り掛かるのであった。
「ハァハァ…あと一曲…」
♪~
~ベートーヴェン-ピアノソナタ8番『悲愴』第二楽章~
[ベートーヴェンの書いた最も有名な楽章のひとつで、これを聞いたヴィリバルト・ナーゲルはベートーヴェン全作品中でも指折りの音楽と評価しており、マイケル・スタインバーグはこの楽章のために「ハープシコードの所有者は最寄りのピアノ屋に駆け込んだに違いない」と述べた。美しく、物憂い主題が静かに奏で始められる。]
会場からは涙の啜り泣きが響く中、最後の音程を終えると、音葉は大きく息を吐いた。
パチパチパチパチ!
「ふ~終わった」
立ち上がり一礼しても鳴り止まない拍手を受けながら白杖を頼りに音葉はフラフラになりながらステージ横に履けていった。そんな音葉を抱きしめたのは……燐子であった。
「音葉!」ダキ!
「…ハァハァ…姉さん」
「音葉…良かった。良かったよ…」
「…ありがとう。姉さんに喜んでもらって嬉しいよ」
「うん、うん…」
燐子は泣きながら音葉の頬を撫でるのであった。それを遠い目で見ていた紗夜は複雑な気持ちで見ていた。
定期演奏会が終わって家への帰り道。いつも通りなら紗夜と燐子が手をつないで帰るのであったが、今日は違っていた。燐子から連絡を受けた雫が車を出してきた。
珍しく燐子は1人で帰ると言い出し音葉と別れた。そして、その帰り道燐子は紗夜にある質問をぶつけるのであった。
「今日はお疲れ様でした。白金さん」
「ええ、お疲れ様でした…氷川さん」
「一時はどうなる事かと思いましたが音葉君大丈夫でしょうか…」
「多分…今までの疲れが…出たんだと…思いますよ」
「そうでしたか…」
「…氷川さん…一ついいですか?」
「いいですよ」
「…最近音葉の子を…気にしていましたが…もしかして…氷川さんって」
「音葉の事…好きなんですか?」
その質問に対して紗夜は……
「…確かに音葉君に対して好意を持っています。それが男女の関係になるのか、家族の様に弟として見ているのかが分からないんですよ」
「……」
「けど、もし彼も私を意識しているのであれば嬉しいですけどね///」
「ムムム……」
紗夜の意外な答えに燐子は少しだけむくれてしまった。果たして紗夜は音葉の事が好きなのか…
そして、ここは羽丘学園学園長室。そこに居た日菜は学園長に対してあるお願いをしていた…
「ねぇねぇ!花咲川女学園の音葉クン欲しい!」