鬼殺しのかぐや姫(リメイク前)   作:しやぶ

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 ──クリスマスの特別編投稿はないのか……だと?
 黙れ。何故日本人の誕生日すら祝う文化が根付いておらぬこの時代に、外国(とつくに)の聖人生誕を祝わねばならぬ。そんなものは敬虔(けいけん)切支丹(キリシタン)が祝っておれば良い。

 ──何? ならば正月は期待していいんだな……だと?

 ごめんなさいナマ言いました。あまり期待しないでください(震え声)

 ……という茶番はここまでにして。本編をどうぞ! 獪岳&天元回です。


月夜の柱稽古編
落雷の音は派手派手に


 

 ──柱稽古。

 

 今現在、鬼殺隊の隊員数は過去最大に膨らんでいる。それ自体は喜ばしいことだが、残念ながら利点ばかりというワケでもない。

 ……端的に言って、今の隊士は練度の低い者が多いのだ。今まではそれでも何とかなったが、『次』はそうもいかない。

 鬼舞辻が『戦力を集中させる』という、これまでにない行動を見せている今──単純に考えて、想定されるのは『総力戦』。耀哉の勘では、隊士全員を()()()()()()()()()()()()()()()()()()に押し上げる必要がある。

 

 しかし幸い、彼らの頂点に立つ柱は、全員が誇張抜きで『百年に一度の天才』だ。

 これより行われるのは、彼ら彼女らによる地獄の(しご)き。7人の柱が、それぞれの課題を用意して隊士達を待っている。当然その中には、回復した虹柱もいる。

 

(そうだ、虹柱から教えを受けられる……!)

 

 だが、稽古の担当となる柱は順番が決まっている。虹柱は7番目──つまり最後だ。彼女の教えを受けたければ、他6人の課題を完璧にこなさねばならない。

 

(だから──)

 

「こんなとこで、立ち止まれねぇんだよ……!」

「おぉ、何だよ根性ある奴いるじゃねぇか! よし、全員追加であと10本!」

 

『チッ……!』

 

 ここは音柱による『第一の試練』 基礎体力向上訓練場──ただし訓練場とは言うが、山だ。しかも()()()()()()()()()()()()。普通にクマが出る。ハチも出る。

 そんな劣悪な環境で、延々と山を登り降りさせられるのだ。いくら身体能力に優れた呼吸剣士と言えど、往復回数が増えたら舌打ちもしたくなる。

 

「塵共が! 更に追加で10本だ!!」

 

 まぁ、耳の良い天元がそれを聞き逃す訳もなく。隊士達は更に地獄を見るハメになったのだが。

 

 ──そして、休憩時間。

 

「クソ……何なんだよ、あの()()とかいう奴。走り込みの量増やしやがって」

「あぁ、アイツか……本当にムカつくよな。(きのと)だからって偉そうによぉ……」

「だけどさ、聞いたか? アイツ雷の剣士なんだけど、()()()()()使()()()()んだってよ!」

「はぁ? なんだよそれ! 雷って、()()()()()()()だろ!? それが使えないって、案外大したことないんだな!」

「違いねぇ!」

「全くだな!」

 

「へぇ? 面白い話してるじゃねぇの」

 

「──おっ、音柱様!? いつからそこに!?」

「さて、いつからだろうなぁ? 派手に当ててみろよ。そうすりゃ死ぬほど地味なテメェらも、ちったぁマシになんだろ」

 

 宇髄天元は、()()()()()()である。舌打ちをした根性無しの声紋は、キッチリ記憶済みだ。そして大抵、類は友を呼ぶ。案の定、やる気のない奴はやる気のない奴と組んで固まっていた。

 

「もしや、最初から……?」

「予想通りの地味な回答だなオイ。()()()だ。

 正解は()()()()()。俺の耳なら、態々(ゴミ)の臭いがする距離まで近付かなくても聞こえてんだよ。ここまで来たのは、地味なテメェらの耳に合わせてだな──最後通告をしに来た」

『んなっ……!?』

 

 最後通告。つまりクビ。除隊だ。

 

「いくら柱だからって、そんな横暴が通るワケ──」

「通るんだなぁコレが。何せ柱稽古の目的は、テメェらみたいな実力も根性も無い足手纏いを、事前に振り落とすことも含まれてるんだからなぁ。お前ら3人は見込み無し。今すぐ刀置いて隊服脱げや」

「──ふっ、ふざけんな! ここを追い出されたら、俺達はこの後どうやって生活すればいいんだよ!?」

「ならラストチャンス──最後に一回だけ、試練をやろう。お前らの誰かが達成できたら、鬼殺隊に残ることを許してやる」

「……なんですか、その試練は」

 

「俺は元々、除隊まではする気がなかった。だがお前らの会話に、聞き捨てならねぇ内容があった。それを当ててみろ」

 

「……雷の壱ノ型だけ使えないことを、バカにしたからですか?」

「そうだ。じゃあなんで、それで見切りを付けられたと思う?」

 

 その質問には、誰も答えられなかった。

 

「時間切れだ。いいか──雷の型は、壱ノ型が使えねぇのに他が全部使えるなんざ、()()()()()()()()んだよ」

「はぁ!? でも実際──」

 

「本当にそんなことが起こっているなら、それは()()()だ」

 

『──っ!?』

 

 心因性。心の傷が原因で、起こる症状。鬼殺隊では、珍しいことではない。

 

「テメェら、今までロクに努力したことねぇだろ。だからアイツが、どんだけ鍛えてるか分かんねぇの。他人の心の傷を知らない内に(えぐ)ってんの。本気で邪魔にしかならねぇから──今度こそ、今すぐ、鬼殺隊を辞めろ」

「「「…………」」」

 

 3人は、苦い顔をして唇を噛み──日輪刀を置いて下山した。

 その様子を見届けた天元は、わざとらしく独り言を言った。

 

「……さぁて。さっき本数増やしたし、今回は休憩時間を少し長く取ろうかねぇ!」

 

「……っ、……ッ!」

 

 近くの木陰で、啜り泣くような音がしていたが──それはきっと、気のせいで。彼が休憩時間を長くしたこととは、何の関係もないだろう。

 

 

 

 *

 

 

 

 明治コソコソ噂話

 

 

耀哉 「かぐやは柱稽古における最終試練を頼むよ。行冥の試練を達成する子が来るまでは、皆が長らく望んでくれた、私の専属護衛として産屋敷邸に居て欲しい」

かぐや「承知」

 

 〜別日〜

 

耀哉 「行冥、分かっていると思うけど……」

行冥 「承知しております……かぐや様が敵の『目』に入った時が、戦いの始まり……彼女に会わせる人間は、厳選に厳選を重ねます……しかし杏寿郎ですら捕捉された以上……隊士達には申し訳ないが、私が合格を出すことは早々ないかと……」

 

二人 (まぁ、平常時でも煉獄家の訓練は『()()()()()()()()()』ことで有名……そもそもそこを抜けられるかが、な……)

 

 

 ……頑張れ獪岳! 逃げるな獪岳!! そもそも寺の件で悲鳴嶼に合わせる顔がなくても!!!(バタフライエフェクトで悲鳴嶼に恨まれてはいないが、獪岳はそれを知らない)

 彼の受難は続く。

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