鬼殺しのかぐや姫(リメイク前)   作:しやぶ

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 読者の皆様、明けましておめでとうございます。ついに週一投稿すら危うくなってきている作者のクズですが、今年もどうぞよろしくお願い致します。

 序盤はお正月編SS(ショートストーリー)。後半は獪岳君メインな柱稽古編の続きです。


試練は続くよどこまでも+お正月番外編

 1907年1月7日。松の内最終日。正月飾りを片付ける日だ。

 神職と縁深い産屋敷家では、正月飾りの一つ──御神酒(おみき)に関しては当然、格式を重んじている。白黒醴清(しろくろれいせい)の4種を供え、下げる時には巫女たるあまねが注いで飲む。飲む者も礼手(らいしゅ)を忘れず、盃の持ち方や飲み方、片付け方を守って頂くのだ。

 御神酒には神様の加護が宿り、それを飲み込むことでご利益があると言われているが……意外なことに、かぐやは一度も御神酒を飲んだことがない。

 

「かぐや様は、今年もよろしいのですか?」

「ええ。お酒は成人してからと決めていますので」

 

 未成年の飲酒を禁止する法律ができたのは1922年。未だ明治の世である今より、15年も後の話だ。

 酒は百薬の長という言葉の通り、適量であればお酒は血流を良くしてくれるので、心筋梗塞(しんきんこうそく)などの病を予防する薬として効果がある。故に病弱な耀哉も、少量の御神酒を飲んでいる。

 

「来年、一緒に飲める時が待ち遠しい!」

「そうですね。楽しみです」

 

 杏寿郎の言葉に、かぐやは素直に頷いた。

 4種のお酒*1は耀哉一人で飲むのには多いので、例年煉獄家も呼ばれているのだ。ちなみに槇寿郎は『なぜだか解らないが、俺は酒を飲んではいけない気がする……』と言うので、こういった機会でもないと飲酒を控えている。

 

「来年は絶対、一緒にお酒を飲みましょうね」

「はい!」

 

 

 ──8ヶ月後に上弦が現れ、更に3ヶ月後、約束の時を目の前にして、史上初の『全面対決』が勃発することを……彼らはまだ知らない。

 

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 

 柱稽古、第二の試練。

 水柱による個別指導。弱点補完訓練。

 力の弱い女性と侮るなかれ。彼女は柱にふさわしい対応力で容赦なく弱点を突き、隊士達に無力さを痛感させてくる。

 

「うん、獪岳君の弱点は攻撃力不足だね。私と同じ」

「決定打に欠けることは自覚していましたが……水柱様はどのように補っているのですか?」

「『はやさ』だよ。相手より早く(先に)速く(高速で)、斬りつけるの。それで倒せなくても、ある程度相手の行動を阻害できれば後は有利に戦える」

「なるほど……」

「私と君は戦い方が似てるから、とにかく私と打ち合い続けて、動きを盗んでくれたらいいかな」

「はい!」

 

 獪岳が使うのは雷の呼吸。一般的に雷の呼吸に近いのは炎の呼吸とされているが、実のところ()()()()()()()()()()()()()()()

 と言うのも、炎は力と速度の二点を重視するため、『追撃』を度外視している。型が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。対し雷の型は、6ある内の3つ──半分が連撃である。また、急発進急停止を繰り返しての方向転換や曲線的な軌道も多く見られるため、意外に緩急を意識する。

 特に壱ノ型を使えない獪岳にとっては、手数と緩急は生命線。模範的な水の剣士である真菰の戦法は、大いに参考となるだろう。

 

 

 第三の試練。

 花柱による柔軟訓練。

 柔らかい筋肉はバネのように衝撃を吸収し、怪我の重症化を防いでくれる。また、可動域が増えることにより、攻防の選択肢が増える。

 

「獪岳君、合格よ~」

「ありがとうございました!!」

 

 ……精神的にも肉体的にも、全訓練中最も優しい内容となっている。獪岳もすぐに突破した。

 問題は……第四の試練。風柱による無限打ち込み訓練。

 

「ぐッ、ォェェ……!」

「どうしたァ獪岳! 今までの試練3つ越えてんなら、この程度で音ェ上げんなァ!!」

「まだ、まだぁ……!」

 

 内容としては第一と第二の複合──ただし動きはより実戦的に。弱点の再認識に加えて得意分野の引き伸ばしも狙っている。できなければ血を吐いて気絶するしかない。

 

「ったく……『まだまだ』じゃあないっての。止めな止めな。アンタは休むんだよ」

「あァ? 柱の稽古にケチ付けようってのか──葦実サンよォ。()()()()()()()()だからって、訓練内容に口出しする権利はねェ筈だァ」

「──ッッ!?」

 

 予想外の名前が出たことで、獪岳は人知れず身を硬くした。

 

「訓練内容に口出しする気はないさ。ただ、これ以上はアンタの──いや、()()()()()()()だろ? 真菰から話は聞いてる」

「……!」

 

 図星だ。柱稽古の隠された目的──それは『痣』の発現。絶え間ない打ち込みは、実弥自身が心拍数と体温を高水準に保ちたいがための訓練でもある。

 

「だからせめて、事情を知ってるアタシが付き合ってやんよ……!」

「……言ったな? 早々に潰れんじゃねェぞ!」

 

 葦実は階級こそ甲だが、実力で言えば歴代の水柱と比べてもそう見劣りしない。手鬼に遭遇せず、同じ時代に真菰と義勇という天才がいなければ、水柱になっていてもおかしくなかった実力者だ。彼女が実弥を抑えたことで、彼の元に到達していた数名の隊士達は息をつく余裕ができた。

 ──だが、

 

「『事情』なんざ、知らねぇけどよ……! 俺はこんなとこで! 止まれねぇんだよ!!」

「アンタ……!」

 

 獪岳はそれでも自主的に、絶え間ない稽古を望んだ。葦実は息を呑み、休んでいた隊士の一人も感化されたのか立ち上がった。

 

「……俺にも止まれない理由があってな。力を貸そう」

「んだよテメェ、フラフラしてんじゃねぇか! 足手纏いだカスがッ、下がってろ!!」

「オイ、誰がカスだって? 相手の実力も測れないのかクズめ。元々そういう歩法だ……!」

「あぁそうかよ悪かったなカスが! 精々邪魔すんなよ!?」

「こちらの台詞だ……!」

「ハハッ、イイ根性してるじゃねェかテメエらァ! まとめて来いやァ!!」

 

 十数分後。獪岳、気絶。

 覚醒後に食事と入浴。後日二本目は数刻後に気絶。技量と体力の向上が確認されたため、覚醒後に第四の試練合格が言い渡される。

 

 ──彼は、第五の試練における最初の挑戦者となった。

 

 

 

 *

 

 

 

 明治コソコソ噂話

 

かぐや「最後に出てきたのは原作キャラらしいですよ。誰でしょうね?」

杏寿郎「煉獄家に縁のある人物らしいが! マッタクワカラナイナ!!」

かぐや「いや杏寿郎、嘘が下手すぎるでしょう……炭治郎くんでももうちょっとマシな…………いや、アレよりはマシですね。詳しくは遊郭編をご覧下さい」

 

杏寿郎「次回は、『雷雨の後には虹がかかる』」

かぐや「もしくは『閑話:猗窩座と童磨』をお送りします。お楽しみに!」

*1
醴酒に関しては(甘酒と同じもの(?)なので)ノンアルコール

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