鬼殺しのかぐや姫(リメイク前)   作:しやぶ

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入隊後。原作前
かぐやvs槇寿朗


 

 ──1年後。

 槇寿朗さんの第二子が誕生したという(ふみ)が届いたので、私は煉獄家を訪れた。

 真っ先に、いつも鍛錬で使っていた庭へ向かうと……やはり炎柱親子が居た。今は素振り中か。

 

「お久しぶりです、杏寿郎」

 

 声をかけると、杏寿郎は素振りを中断し、一瞬でこちらに向かってきた。

 ……炎のエフェクトが、犬耳と尻尾に見えたのは気のせいだろう。

 

「お久しぶりです、かぐや様!」

 

 うむ、声の主張が激しい。これぞ煉獄さんって感じがして嬉しいね。声量は普通よりちょっと大きいくらいなのに、不思議なものだ。

 

「良い踏み込みでした。今も全集中を維持しているようですが、もう常中に至っているのですか?」

「はい! 実は半年ほど前には、既に!」

「何と。教えてくだされば、お祝いの品を用意しましたのに」

 

 煉獄家とは月一(ツキイチ)で手紙のやり取りをしているが、そんなことは一言も書かれていなかった。

 

「すみません! かぐや様の驚いた顔が見たかったもので!」

「……全く、仕方のない弟弟子ですね」

 

「──で、師匠には挨拶もなしか? 姉弟子」

「いいじゃないですか。師匠には『ご無沙汰しております』と言うほど、最後に会ってから日を置いていませんでしたし」

 

 普通だったら『そういう問題ではない』と言われて更に怒られるところだが、口調とは裏腹に、槇寿朗さんは最初から笑っている。つまり、単なる会話の糸口というワケだ。

 

「そうだ、かぐや様! ()()()()()、おめでとうございます!!」

「あぁ、ありがとうございます」

 

 そうそう。そういえば私、柱になったんよ。

 現状『最短かつ最年少で柱になった天才』って騒がれてます。最年少はともかく、最短は無一郎君に抜かれるんだがね。2ヶ月はおかしいよマジで。

 

「7種類の呼吸を瞬時に切り替え戦うことから、呼称は『虹柱』でしたか」

「えぇ」

 

 五大流派の炎・水・雷・風・岩に加えて、花と日で7つだ。

 

「後ほど、手合わせをお願いしても? かぐや様の戦い方を是非見てみたいのです」

「構いませんよ。むしろ、()()()()()()()()()()()()()くらいですし」

「なんと、光栄です!」

 

 正史の杏寿郎は、指南書三冊だけのほぼ独学で柱になって、猗窩座(あかざ)を討伐直前まで追い込んだ天才。ならば『槇寿朗さんから修行を受け続けた場合』の杏寿郎に勝つことができるのなら、少なくとも上弦の参までなら対処可能と考えていいだろう。

 ……まぁ今の時期に勝てるのは当然だから、もっと後の話なのだが。

 

 ──というかこの仮定を実現するためにも、瑠火さんの状態が気になるところ。なので早速、様子を見に行くどー!

 

 

 *

 

 

 ──はい、来ました。

 私は今、赤ちゃんを抱いてます。

 

「あー、うー?」

「……可愛い」

 

 ──可愛い(cv伝説の超野菜人)

 

 なんだ、この愛らしい生物は……!?

 

「瑠火さん、この子の名は……?」

「千寿郎です」

「そうですか、千寿郎くんですか……」

 

 よかった。名前は変わってないみたいだ。

 しかし可愛い。なんだこの子。成長後はきっと、もっと可愛くなるんだろうな……

 

「……時に瑠火さん、妊娠中は抜きとして、私が居ない間もちゃんと運動して、ちゃんと沢山ご飯を食べていましたか?」

 

 こんな可愛い子が、母親の顔も知らずに育つとか許さないですよ? 死んだら殺すっ(錯乱)

 

「えぇ、勿論」

「ならよかったです。これからも、身体を大事にしてくださいね?」

「分かっています。心配性ですね、かぐや様は」

 

 ……瑠火さんは未来のことなんて知らないから、その感想は当たり前なのだけど。肝心なのはここからだ。

 物心がつくのは、大体3歳くらい。千寿郎くんが3歳の誕生日を迎えた時に、瑠火さんが息災であったのなら、その時初めて私は安心できるだろう。

 

「……千寿郎くんをお返ししますね。今から杏寿郎に、稽古をつけてきます」

「よろしくお願いします。ふふ、柱2人に面倒を見てもらえるなんて、あの子は幸せ者ですね」

「……では、張り切って鍛え上げてみせましょう」

 

 ……確かに、剣士としては恵まれているのだろう。

 でもね、瑠火さん──両親が生きて側に居てくれる。そんな日常が、一番の幸せなんですよ?

 

「……そろそろ、『彼女』を探し始めますか」

 

 絶対に、絶対にもう死なせない。耀哉も、瑠火さんも、杏寿郎も、私の大切な人は、誰一人として死なせない──!

 

 

 

 *

 

 

 

 俺──煉獄杏寿郎の家族は、尊敬できる人ばかりだ。

 

『杏寿郎、よく見ておけ!』

 

 父は誰よりも強く、熱心に俺を指導してくれる。

 

『杏寿郎、なぜ自分が人より強く生まれたのか、分かりますか?』

 

 母は、ただ無為に力を付けていく俺に、『強者』としての責務を教えてくれた。とても気高い人だ。

 

 そして俺には、血の繋がらない姉がいる。

 

『昔のように、『ねーね』と呼んではくれないのですか?』

 

 ……実際に姉扱いをすると面倒なことになるから、絶対に『姉』とは言わないが。まぁ、それはともかく。彼女も尊敬できる人物であることに変わりはない。

 かぐや様は空前絶後と言うべき呼吸術の才を持ちながら、それを鼻にかけず鍛錬に励む、謙虚さと勤勉さを兼ね備えている。俺も『天才』と言われる側ではあるが、彼女を見ていると、とても傲る気にはなれない。

 

 ──そして今、俺が知る中で最強の2人が対峙している。

 

「……あの、なんで槇寿朗さんが構えているんですか? 私、杏寿郎に稽古をつける約束をしていたのですが」

「俺が頼みました! 父が相手であれば、かぐや様の本気が見れるかと思い至りまして!」

「……まぁ、杏寿郎がそれでいいと言うなら」

 

 そう言って、かぐや様も構えた。

 父は炎の呼吸らしい、攻撃的な八相の構え。かぐや様は基本的な中段に構えている。

 

「隊士になってからは、自己流が多分に含まれるようになってしまいましたが……怒らないでくださいね?」

「構わん! 己の適性に合わせ、呼吸や型を派生させることは珍しくもない!」

「ならよかったです。

 杏寿郎、合図をお願いします」

 

「はい! では──始め!!」

 

 ゴヲヲヲヲヲヲヲヲ──

 シィィィィィィィィ──

 

(八相の構え……あからさまに不知火を使う気ですね)

(雷の呼吸か、素早い踏み込みが来る!)

 

 炎の呼吸 壱ノ型 不知火

 雷の呼吸 ()() 風の呼吸捌ノ型 初烈(しょれつ)風斬(かざき)

 

「むっ!?」

「せいっ」

 

 父上の袈裟斬りは空振り、かぐや様はその後、すれ違い様に胴体へ一撃を入れた。

 

「そ、そこまでです!」

 

 ……驚いた。まさか父上が、初手で負けてしまうなんて。

 

「なるほど、これが噂の『変転』か! 相手にすると、思った以上にやりにくいな!」

「槇寿朗さんが素直過ぎるんです。鬼との戦いは短期決戦が基本ですから、槇寿朗さんの戦い方は合理的なんですけど……」

「対人戦では、手の読みやすさが仇となるか!」

「……人同士の戦いなんて、想定したくはないんですがね」

「上弦との戦いを想定していると考えれば、問題あるまい。奴らは長く生き、多くの柱を葬っている。故に、各呼吸の特徴を理解されてしまっているだろうからな」

 

「──つまりかぐや様の戦法は、上弦にも通用するということですか!?」

 

 だとしたら、これ以上に喜ばしいことはない。

 

「それはどうでしょう」

「分からんぞ!」

 

「えぇ……?」

 

 かぐや様が否定するのはまだしも、何故言い出しっぺの父上まで否定しているのか……

 

「上弦は、いくら警戒しても足りないですから」

「それにだ、さっきかぐや様にも言った通り、己の適性に合わせて独自の戦法を作る者は少なくない。初見殺しが通用するとは限らんのだ」

「なるほど……」

 

 流石に、100年の壁は薄くないということか。

 

「──さて、気を取り直してもう一本だ!」

「えぇ、よろしくお願いします」

 

 ──こうして、2人の打ち合いは日が沈むまで続いたのだった。

 

 

 

 *

 

 

 

 明治コソコソ噂話

 

 7つも呼吸法を使い分けて、器用貧乏にならないのか……ですか?

 そうですねぇ……炎は槇寿朗さんのおかげで(きのえ)(柱を除く最高階級)の方と比べても見劣りしないくらいに使えるんですが……他の流派に関しては、

 

 日:比較対象が少なすぎてなんとも言えないが、型は12個全部使えるし、体感的には(きのと)(甲の1つ下)くらいには扱える。

 水:(ひのえ)(乙の1つ下)くらい。鱗滝一門の遺品を届けに狭霧山へ行って、その時習った。

 他は団子。全部(かじ)った程度なので(つちのえ)(丙の2つ下)くらい。

 

 ……と言った感じですかね。

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