虚無を歩く者がオラリオに現れたようです   作:リバークラスト

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21:事件の後始末は新たな事件の始まり。

 日中の快晴が嘘のように、怪物祭の夜は雨に見舞われていた。

 

 表で抒情的な雨音が奏でられている中、

「おっまえなぁ、今度という今度はただじゃ済まさんぞっ!」

 女神ロキは糸目を見開き、殺意染みた威圧感を発する。

「他所の子にちょっかい掛けるゆう話は口実で、ほんまはウチを殺す気やったんかっ!? あんなきっしょいバケモンまで用意し腐って……返答次第じゃガチで戦争やぞコラァッ!!」

 

「ちょっと待って。落ち着いて、ロキ。どうしてそんなに怒ってるの?」

 同郷でも指折りの謀神が放つ圧も気に留めず、女神フレイヤは酷く困惑していた。

 

 常に演技がかったほどの優雅さを保つ美神フレイヤが、ただただ目を丸くして戸惑うという珍しい反応に、今度はロキが困惑する。

 

「なんやの、その反応」ロキは怪訝そうに「ひょっとして……アレはお前の仕込みちゃうん?」

 

 フレイヤは戸惑い顔のまま応じる。

「私はあくまでガネーシャが用意したモンスターを放しただけよ。少しばかり予定より数は多かったけれど、ガネーシャの子供達と貴女の剣姫、市井の冒険者で十分対処できる規模だったわ」

 

「対処出来るどころの話やないわ。ウチのレフィーヤは薄っ気味悪い蛇モドキにケガさせられたし、ウチをガチで殺しに来た兎のバケモンは他所の子らを10人近く半殺しにしとったぞ」

 

 ロキの説明を聞き、フレイヤは思わず顔を強張らせた。死者こそ出ていないが、冗談では済まされない事態だった。

 

「どういうことなの?」

「知るかっ!」

 ロキは忌々しげに吐き捨て、

「……ガネーシャが祭りのために、あんな危ないモンスターを用意するとは思えへん。誰かがガネーシャにババ掴ませて、それをフレイヤが掴まされて、最後にウチんとこへ回ってきた。そんなとこか。クソ、あったまくるわぁ……っ!」

 

 眉目を吊り上げて憤慨する。道化の神は自身がおちょくられることを好まない。というか、許さない。

 

 此度の事件に仕込みを入れた奴に対し、ロキは我が子を傷つけられただけでなく、自分にも喧嘩を売ったと受けとめた。別世界線よりも本気でこの件を追求することを決意する。

 なお、拠点に帰還後、事件の詳細を知ったフィンからキツい御説教(『主神の君に何かあったらファミリアが終わるんだぞ! 危ない真似はやめてくれ!』)を受け、事件を起こした奴に一層怒りを募らせた。

 

 

 同じ頃、ギルド本部の最奥では、

「やってくれる」

 老大神ウラノスが瞑目して呟く。その声色には不快感がはっきりと滲んでいた。

「此度の件で街の子らは再確認しただろう。モンスターが如何に恐ろしく、危険な存在か。特に十数人の冒険者を治療院送りにしたモンスターを目にした子らは」

 

「7年前の大抗争を思い返した者も、少なからずいるだろうな……」

 黒づくめの愚者は肉体があった頃のように右手で額を押さえて唸る。

「剣姫やエミール達がいなければ、被害はもっと大きかっただろう。そういう意味では不幸中の幸いだった……」

 

 ウラノスは胸中の感情を処理するようにゆっくりと深呼吸した。

「……お前の進言通り、虚無歩きを“宝玉”の回収へ送り込まず正解だったか」

 

「エミール達に任せた場合、仮にデリラ信奉者達に遭遇したら、我々の依頼よりそちらを優先してしまう」

 フェルズは籠手を装着した腕を組み、どこか慨嘆の響きを込めて言った。

「彼らとは『持ちつ持たれつ』くらいに考えていた方が良いだろう」

 

「確かにな」老大神は渋い顔つきで首肯し「“宝玉”の方は?」

 

「リド達の報告ではガネーシャの子が無事に宝玉を確保したようだ。18階でヘルメスの子に受け渡す手はずになっている。明日明後日には回収できるだろう」

 

 フェルズは報告しつつ、

「今回、街に出没した未知のモンスターだが……エミール達へ指名依頼を出して公的に調べさせようと思う」

「ほう?」ウラノスが相槌を打って続きを促す。

「私が思うに、アレは人為的に地下水道へ運び込まれたのではないか。私の想像が当たりなら闇派閥が関与しているだろう。デリラ信奉者達も含まれている可能性が低くないはずだ」

 言った。

「仮に私の想像通りだった場合、エミール達に任せることが一番危険が少なく、確実だ」

 

 ウラノスは少し考え込み、頷いた。

「良いだろう。異邦の猟犬を地下水道へ送り込め」

 

 

 

 

 そして、ダンジョン内某所では。

「――というわけでな、てっきりモンスターに食われちまったと思っていた“種”が、冒険者に回収されちまったみたいだ。いやはや、見込みで判断するもんじゃねェな」

 

 壁に背を預けて立つ全身甲冑男が他人事のように言い放ち、不機嫌面の赤毛美女――レヴィスへ告げた。

「だから、レヴィス。ちっと奪還してきてくれ」

 

「寝言は寝て言え」

 レヴィスは不快感と怒気を隠さない。殺気さえ滲ませている。

「私の忠告を無視したくせに、尻拭いをしろだと? ふざけるな」

 

「お前が適任だからだ。アレの扱いはお前が詳しかろう」

 幾何紋様のような赤黒い仮面を被った女が、レヴィスへ無機質に告げる。

「我らは計画を進めている最中で人手に余裕がない。それに今、闇派閥の残党を人目に触れさせるわけにはいかない。何より」

 

 赤黒仮面女はどこか疎ましげに全身甲冑男を見た。

「……この狂人共に任せるわけにもいくまい」

 

「おいおい。気狂いはお互い様だろうよ」

 全身甲冑男がくつくつと喉を鳴らす。嘲りと蔑みを込めた響きだった。

「いや、オラリオを吹き飛ばそうなんてキチガイ沙汰に挑むお前らの方が、よほどイカレてんじゃねェか?」

 

「……我が主の大願を侮辱するか」

 赤黒仮面女が俄かに殺気立つ。凶悪な威圧感を発するも、

「なに怒ってんだよ。俺ぁ事実を指摘しただけだろ?」

 甲冑男は軽薄な態度を改めない。むしろ嬉々として煽る。

 

「――貴様」赤黒仮面女から本気の殺意が滲み始めた。

「やめろ、鬱陶しい」

 レヴィスは苛立たしげに吐き捨て、

「分かった。“種”を奪還する。ここで貴様らに関わっているよりマシだ」

 うんざりした顔でこの場から去っていく。

 

「一緒に行ってやろうか?」

「ふざけるな、妄信者め。付いてきたら殺すぞ」

 レヴィスは肩越しに甲冑男を睨み、足早に出て行った。

 

「おっかねェなぁ」

 甲冑男が笑っていると、赤黒仮面女が言った。

「ああ言ったが、やはり貴様も奴に付いていけ」

 

「おや、俺らにゃ任せられねェんじゃなかったか?」

 おどける甲冑男に付き合わず、赤黒仮面女は淡々と話を続ける。

「奴が無事にアレを回収できるなら良し。最悪の場合はアレを確実に破壊して奴の脱出を援護しろ。奴にはまだやってもらうことがある」

 

「了解。ただし、虚無歩き(ヴォイド・ウォーカー)と遭遇したらそちらを優先する。“種”やレヴィスがどうなろうとな」

「命令に逆らう気か」

 赤黒仮面女に殺気を向けられても、甲冑男はそよ風を浴びたような態度でせせら笑う。

「勘違いするな、小娘。俺達は互いに利用し合っているだけだ。オメェらに服従してるわけじゃねェ」

 

 忌々しげに舌打ちし、仮面女も消え去った。

 甲冑男は仮面の女が消えた虚空へ酷く冷たい声を発する。

「……精々今のうちに楽しい夢を見るこった。バカ共のやるこたぁどうせ上手くいかねェんだからよ」

 

      ★

 

 怪物祭の翌日の朝。

 剣姫アイズ・ヴァレンシュタインはゴブニュ・ファミリアから愛剣デスペラートの整備代と貸与剣の弁償費用、合わせて4000万ヴァリスを請求されて頭を抱えていた。

 

 同じ頃、アスラーグとエミールはギルド本部で『指名依頼』を命じられ、渋面を浮かべていた。

 

「地下水道の調査? この大都市の地下を私達二人だけで調べろと? 何年掛かりの仕事になると思ってるのかしら? それとも、これは何かしらの嫌がらせ?」

「ギルドは嫌がらせなどしません」

 2人の担当職員ローリア女史はいつものように事務的な態度で、不満顔のアスラーグをいなしつつ、話を続ける。

「調査は件の未確認モンスターが出没した区画とその周辺区画の地下のみ。また、痕跡等の有無が確認できれば十分とのことです」

 

「そういう調査は都市衛兵を担うガネーシャ・ファミリアの領分では?」

「ガネーシャ・ファミリアは確かに都市衛兵を担っておりますが、行政や司法の執行機関という訳ではありませんので」

 エミールの指摘に対しても、ローリア女史は書類を扱うような態度で応じる。

 

「これはギルド規約に基づく指名依頼です。お二人とも冒険者登録される際、ギルド規約に従う旨の合意書に署名されています。つまり、指名依頼をあくまで拒否される場合、罰則条項が適用されることにも同意しています」

 ローリア女史は極めて淡白に語り、渋面を濃くした諸島帝国人2人へ問う。

「如何されますか?」

 アスラーグとエミールは顔を見合わせ、揃って溜息を吐き、了承の言葉を返した。

 

 ――というのは表向きの話。

 ローリア女史との話し合いが終わり、ギルド本部の外へ向かう道すがら、

『悪くないわね』

 アスラーグは諸島帝国語で呟く。

 傍目には、面倒な指名依頼に不満を覚え、御国言葉でぼやいているようにしか見えない。

『これで大手を振って色々調べられるわ』

 

『ああ。好都合だな』

 エミールも表情を変えずに諸島帝国語で応じる。

『この件を利用してドブネズミ共の情報を集めよう』

 

「あ」

 不意に立ち止まり、アスラーグは難問を前にした学生みたいな顔で呟く。

「下層挑戦の件、どうしよう。リリちゃん、楽しみにしてたのに」

 

「どうしようって……」

 エミールも難問に窮する学生みたいな顔で応じた。

「アーデ嬢に事情を説明して先延ばしにするしかないだろ」

 

 

 というわけで。

 

 

「指名依頼で地下水道の調査、下層挑戦は延期……ですか」

 そう呟くリリルカの面持ちは、楽しみにしていた家族旅行が親の仕事で中止になった子供みたいだった。

 

「ごめんね、リリちゃん」と本心から詫びるアスラーグ。

「すまんな、アーデ嬢」と心苦しそうに謝るエミール。

 

“パパ”と“ママ”の謝罪に対し、

「いえ、ギルドの指名依頼では仕方ありませんから」

 健気に応じるリリルカちゃん。でも、可愛いお顔はとってもしょんぼりしている。

 

 エミールはバツの悪そうに癖の強い栗色の髪を掻きつつ、提案。

「アーデ嬢。提案なんだが、俺達がこの件を片付けている間、クラネル少年とダンジョンへ潜ってみたらどうだ?」

 

「ベル様と?」

「ああ。クラネル少年も最近はソロでの稼ぎに悩んでいるようだし、アーデ嬢もクラネル少年なら安心して組めるだろう?」

 

「それは……」

 リリルカは無邪気な笑顔のベル少年を思い浮かべる。

 

 冒険者業界の闇を知らぬ能天気なまでの明るさはイラッとすることもあるが……その点を加味してもなお、大量のお釣りがくるほどにベル・クラネルの人柄は好ましい。それに、ベルは他の冒険者みたく自分を見下したり虐げたりしないし、稼ぎを誤魔化そうとしない。

 

 アスラーグ達と比べたら、収入は桁で低くなるだろう。

 しかし、それは他の冒険者でも同じことで、となればやはり善良な人と組みたい。ベル・クラネルなら、自分を犬以下のように扱ったりしないだろう。

 

「ベル様に雇われることは構いません。ただ、ベル様にも都合があることですので、仮に断られたら、エミール様達と一緒に地下水道に行きます」

 リリルカはエミール達へ冗談を言うように、ニヤリ。

「私は御二人からの御厚遇に慣れてしまいました。今更、他の冒険者様に低賃金で雇われて、犬以下の扱いを受けることを我慢できません」

 

 

 そんなわけで。

 

 

 三人が巨塔バベル前の広場でダンジョンへ向かうベル少年を捕まえ、事情を説明しつつ話を持ち掛けると、

「リリを雇うんですか? 構いませんよ。むしろ有難いくらいです」

 ベル少年は即座に快諾した。

 

 というのも……

「僕のバックパックは小さいんで、あまり稼げないんです」

 ベル・クラネルは短剣と体術を主とする軽戦士スタイル。あまり大荷物を抱えては全力を発揮できない。それに、ベルはまだ14歳で体も大きくない。身長が180に届くエミールはもちろん、ブーツのヒール高込みで170を超すアスラーグより小柄だ。

 

「リリが居てくれたら、もっと稼げますし、それに心強いですからっ!」

 満開の向日葵みたいな笑顔のベル少年。笑顔を向けられたリリルカは心なしか頬に朱を差していた。

 

 そんな少年少女の様子を前に、アスラーグはニヨニヨと微笑む。ここに至り、エミールもようやく気付く。

 これは……いや、うん。まあ、これも経験か。クラネル少年にとっても、アーデ嬢にとっても。

 

 エミールは気を取り直し、

「快く引き受けてくれて感謝する。アーデ嬢もこれで構わないか?」

 ベルへ礼を言いつつ、リリルカへ問う。

 

「はい。御二人の地下水道調査が終わるまでベル様と共にダンジョンへ潜ります」

 リリルカはこくりと頷き、ベルへペコリを頭を下げた。

「それでは、ベル様。よろしくお願いします」

 

「こちらこそっ! 頑張ろうね、リリっ!」

 ベルは嬉しそうに破顔し、手を伸ばしてリリルカと握手。

 

 契約成立。

 

 こうしてダンジョンへ向かう歳若い少年少女を見送り、エミールはアスラーグへ顔を向けて、

「なんとなくだが」

 冷ややかに告げる。

「地下水道のどこかで黒づくめと会いそうな気がする」

 

「奇遇ね、エミール。私もそんな気がしてるわ」

 アスラーグも冷淡な面持ちで頷いた。

 

        ★

 

 迷宮都市オラリオはろくな行政機関の存在しない都市なのに、不可解なほど近代的に水道が整備され、きっちりと維持されている。

 

 都市の地下に敷かれた水路は天井と幅が広く、煉瓦と混凝土で堅牢に築かれていた。しかも降雨などによる増水に備え、地下貯水区画もきちんと整えてある。加えて、御丁寧にダンジョン産の発光水晶を等間隔で設置してあった。

 

「都市運営は未開の蛮地みたいな有様なのに、インフラは先進都市ね」

「行政機関が存在しないのにどうやって維持してるのやら」

 アスラーグとエミールがくるぶし辺りまで水に浸かりながら地下水路を進んでいく。

 

 と、

「来たか」

 仄暗い水路の交差路で、黒づくめの愚者が突如として現れた。透明化の装備を用いて潜んでいたらしい。

 

 フェルズは内心で『今日もこの2人はいろいろキツいことを言うんだろうな』とぼやく。

 エミールもアスラーグも非常に手厳しい意見を容赦なく言ってくる。しかも、道理無き誹謗中傷ではないので反論し難い。

 胃袋を失くして800年経つが、フェルズは既に胃が痛くなる錯覚を抱いていた。

 

 しかし――

「この調べものにはどこまで情報を貰えるのかしら?」

「今回の調査に関して色々擦り合わせをしたい。時間はあるか?」

 2人から意外と食いつきが良い言葉が出た。少なくとも、この調査に関する文句やその他を聞かされそうな雰囲気はない。

 

「何かしら文句を言われると覚悟していたのだが」

 フェルズが遠慮がちに指摘すると、

 

「確率論から言っても、あのサイズのモンスターが誰にも気づかれることなく地下水道まで上がってきて、あの日、あの区画に偶然出没した、ということはあり得ない」

 アスラーグは形の好い唇を右手人差し指で撫でながら続けた。

「人為的なものとみて間違いないわ。調べる価値がある」

 

「これは要望だが」エミールは深青色の瞳をフェルズへ向け「叶うならガネーシャ・ファミリアや地下水道に関係する業者などから話を聞く権限をくれ。この件を奇貨にいろいろ探りたい」

 2人とも獲物を追う猟犬みたいな顔つきだった。

 

 これは懸念していた方向とは別方向で厄介なことになりそうだ……

 フェルズは無いはずの胃袋がキリキリする感覚を抱いた。

「分かった。まずこちらが情報を出す。そのうえで、君達の調査計画と提案を確認しよう」

 

       ★

 

 そして、翌日。

 女神ロキは拠点内を一通り見て回った後、廊下で遭遇したエルフ乙女に問う。

「アリシア。なんや幹部の子らが見当たらんけど、皆お出かけしたんか?」

 

「ええ。お昼後に」

“純潔の園”なる二つ名を持つアリシア・フォレストライトが頷いて説明する。

 

 アイズ、ヒリュテ姉妹、リヴェリアとレフィーヤ、フィンの面々はダンジョンへ稼ぎに向かったらしい。

「ガレスさんも実戦訓練に若手を何人か連れてダンジョンに行きました」

 

 ロキは少し思案し、

「そっかー……ベートは居るんやな。ラウルとアキは居るん?」

「ええ。2人は居ますよ」

 再び首肯するアリシアへ言った。

「ほならな、アリシア。ラウルとアキにちょっくら装備を用意させてんか? ああ。アリシアもやで」

 

「え?」主神の言葉に目をぱちくりさせる“純潔の園”。「あの、ロキ? それはどういう――」

「ウチはベート連れてくるけ、頼んだでアリシア。正面玄関で待ち合わせなー」

 戸惑うアリシアを置き去りに、ロキはすたすたと歩み去っていく。

 

「え? え? え?」

 残されたアリシアはまだ目をぱちくりさせていた。

 

 そうして、昼下がりのオラリオをロキと4人の眷属が進んでいく。

 眷属達は全員が戦闘装備を身につけていた。

 

「いったい何だってんだ。アホゾネス共が地下水道を調べた時にゃあ、モンスターはいなかったんだろ?」

 ぶー垂れる”凶狼”ベート・ローガへ、ロキはしれっと応じる。

「ティオネもティオナもガッツリ調べたわけやあらへん。むしろ調べてへん場所の方が多い。ガネーシャんところも事件の後始末が忙しぅて地下水道まで手が回っとらんしな。調べる価値はあるやろ」

 

「レベル5とレベル4を4人も用意した調べものっスか……」

”超凡人”ラウル・ノールドが荒事を予感し、嫌そうに眉をひそめる。

 

「アイズ達が苦戦したっていう新種のモンスターがまだ潜んでると?」

“貴猫”アナキティ・オータムが危険を想像し、顔を強張らせた。

 

「物騒な話に巻き込まれましたね……」

”純潔の園”アリシア・フォレストライトは厄介事を想定し、小さな溜息をこぼす。

 

「まあ、空振りに終わる可能性もあるけどな。どっちに転がっても今日はウチが美味いもん奢ったるけ。ちょっと付き合ってや」

 ロキはからからと笑う。その細い糸目の奥で、瞳が獰猛にぎらついていた。

 ――さて、何が出てくるか。

 

 

 かくして、謀神は凶狼と超凡人と貴猫と純潔の園を引き連れ、地下水道へ入っていった。

 




簡易状況説明。

白兎の物語。
ベルとリリがペアでダンジョン潜り開始。流れ自体は原作と同じ。
ただし、既に仲良し気味。加えて、主人公達との関わりで二人とも原作より強め。

剣姫の物語。
関わり方が半端なため、原作に変化が生じず。
リヴィラ殺人事件にもレヴィスとの初戦にも関与しない。
ただし、地下水道捜索後に変化しそう。

レヴィスさん。
原作より苦労人。
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