TS轟ちゃんと男の娘
始まりは中国。
光輝く胎児が生まれたことをきっかけに、”個性”という存在が世の中に現れ始めた。
夢は現実に、空想はリアルとなる一方で、それらはただの力でしかなかった。
個性を使い悪事を働く
個性の出現が、人間の暮らしに良い影響を与えたのか、それとも悪い影響を与えたのか、それは誰にもわからない。
ただ一つ言えることがあるとするならば、少なくとも僕にとっては、良いものだったらしいということだけである。
「ルナ、起きなって」
来たな。ボクの安眠を妨害する不届きものが。
しかし残念だったな。
今日のボクは一味違うんだ。
「うにゃー、あと五分……」
「学校に遅れるよ」
「じゃあ、あと十分だけー」
「増えてる。だめ」
な、なんだと!?
仕方なく妥協したように見せかけて実はボクしか得してない作戦が通じない!?
「遊んでないで、早く起きて」
「うー……」
何故ばれた?
言われてしまったので仕方なく起きる。
寝ぼけてグワングワンする頭を、眼の前の人物に頭を押さえられる。
「ほら、髪を梳いてあげるから、まずは着替えるよ」
「……はーい」
慣れた手つきで来ていたパジャマが脱がされる。
下着もばっちり見られるけど、互いにそんなの気にする仲ではない。それにボクは何時だってみられても良い下着だから。
「だからここで情動に任せて襲って良いよ」
「……………」
無視された。酷い。
ボクの無言の抗議も無視され、ささっと制服が着せられて、無駄に装飾の着いたドレッサーの前に座る。
ぼさぼさになった髪に、女性らしい細い指がすぅっと通されていく。
髪を整える前にするこの手ぐしが、鏡に見える彼女のルーティーン。
「トーカ、いつもそうやるね」
「まあ、ルナの髪って柔らかくて、サラサラしてて好きだから」
「ウフフ。ボクは綺麗で可愛く美しくが信条だからね。手入れはちゃんとしてるんだよ」
「ルナってずぼらでしょ。なのに、こんなに手入れされてる状態って……女として敗北感があるの」
「ウフフ。トーカは綺麗だよ」
「……ありがと」
髪をツインテールに括って貰った後は適当なパンを食べ、カバンを持って玄関に向かう。
「鞄持った?」
「持ったよ」
「そう。それじゃ、いこ」
「いってきまーす」
いつものようにトーカと手を繋いで、通っている凝山中学校に向かう。
毎度思うけど、変な名前だよね。
その途中でボクたちのスマホから、同時に着信音が鳴った。
「ん、学校の近くでヴィランとヒーローが戦ってるって。ここの近く」
「ふーん」
「興味ない?」
「ウフフ。知ってるくせに聞いてくるのはナンセンスだよ」
周囲にいた人たちもネットニュースで知ったのか、次々と
「ウフフ。見なよトーカ。まるで珍しい動物を見に行くみたいだ」
「……相変わらずだね。そういうの」
「そんなに間違ってることは言ってないと思うんだけどなぁ。近くに居ても人質にされないなんて、テレビの向こう側の世界だけさ」
この世界では、ヒーローと敵の戦いが、まるで大衆劇場のような扱いになってる。
本当に危険な敵なら近づかないんだろうけど、強盗やらチンピラぐらいなら、もれなく一般市民の観客が付いてくる。
自分が人質になったりとか考えないんだろうか。考えないんだろうなぁ。なんたって、ヒーローがいるから。
ヒーローを殺す方法なんて、いくらでもあるのに。
前世の記憶を持つボクからすれば、何とも愚かなんだろうと思っちゃう。
そう、ボクは前世の記憶を持つのさ。
十年位前かなぁ。突然知らない映像が頭が裂かれる様な痛みと共に頭の中を駆け巡って、まるで死んでいくみたいに身体が冷たくなる感覚がボクを襲った。いや、実際死にかけたんだろうね。そして、
そんな泣き叫びそうな痛みの中で、
その結果、残ったのはボクの知らない記憶だけ。前世の記憶と呼んでいるのは、仮に名称があった方が分かりやすいと思ったから、そう呼んでる。
前世の記憶に、大した収穫はなかった。だけど、特大の収穫はあった。
どうも前世の記憶は、いわゆるオタクの記憶だった。そのオタクが好んでいたジャンルの一つを見て、ボクはビビッと来た。神様なんて信じてないけど、天啓を得た気分だった。
それからというもの、ボクは早速活動を始めた。
服を集め、道具を集め、幼稚園を卒業するまで耐え忍び、同じ幼稚園の人がいない私立の小学校に入学した。
親は子供の趣味に理解のある人だった。前世の記憶のことを伏せて事情を説明したら快く、むしろ積極的に手伝ってくれた。あの情熱はボク以上だったかもしれない。悔しい。
そして、今こうして中学3年生の今、ボクはボクとしてここにいる。
そんなボクは――――
◇◇◇
私の親友、というか好きな人は、ぶっちゃけおかしい。何がって、頭が。
「ヴィラン騒ぎ、どれくらいで収まるかな」
「ヒーローがいるなら、直に収まるさ」
「さっきはあんなこと言ってたのに」
「勘違いしないでほしいな。ボクは別に個性を否定しないさ。ヒーローも否定しない。その代わり、ヴィランも否定しない。誰だって、力があれば振るいたくなるさ。ボクだってそうさ。そしてその衝動は、力が強ければ強いほど膨れ上がる。そういうものだよ。案外」
「……つまり?」
「個性が人間にもたらすのは、良い影響だけじゃないと言うことさ」
否定しないとか言っといて、結局否定っぽいこといってるじゃん。
「ウフフ。否定とは違うよ、トーカ」
ナチュラルに心を読むの止めて。
「ヤダ。個性があるからヴィランが現れる。個性があるからヒーローが現れる。この形は世の常だよ。拳銃なら分かりやすいかな? 拳銃は人を殺せるほどに強い。だから拳銃を使った凶悪事件が起きる。それに対抗するために拳銃を警察が使う。どうだい。似てると思わないかい?」
「聞いてると、スゴイ屁理屈っぽいね」
「世の中そんなものさ」
「……で、結局なにが言いたいの?」
「ヴィランが学校突っ込んで休校にならないかな」
「ならないから」
やっぱり、頭おかしいと思う。
個性の存在が当たり前となり、その強さによっては序列が決まることもあるこの超常社会で、ルナは個性を否定することをあっさりと口にする。端から見れば異常と思われても仕方ない。ヴィラン騒ぎで周囲に人がいなくて良かった。
「ねえ、トーカ」
「何、ルナ」
「トーカは個性をどう思う?」
「なんでもいいよ」
「
ルナのその言葉に、思わず顔の火傷痕に触れる。
忌まわしい記憶の遺産。だけど…………
「それでも、ルナと会えたから。今は、それだけで満足かな」
「ウフフフフフ」
綺麗に整った顔で微笑むルナを見る。
私の知り合い兼友人兼親友兼好きな人兼恋人(予定)兼夫(予定)兼
昔、ルナが言っていた持論。付き合う事と結婚する事と子供を作る事と子育てをする事と余生を一緒に過ごす事は、つまりそういうことだと。
その時は「そんなわけないでしょ」と言ったけど、それがルナの思うことならなってあげたい。
惚れた弱みってやつ。
そんな私は――――
◇◇◇
名前は
性別は男。趣味は自分磨きと女装。好きな言葉は『綺麗で可愛く美しく』。
◇◇◇
名前は
性別は女。趣味は花嫁修業とルナといること。好きな言葉はルナと狂四季冬夏。
◇◇◇
――――――きっと頭のおかしい奴なんだ
(そこまで重くなら)ないです。
オリ主は心も体も男です。その自覚を持ってます。
女装? 趣味だよ!
男の娘だとガールズラブタグ入れなきゃいけないのだろうか?(永遠の謎)
TS轟ちゃんの名前は焦凍のままがいい?
-
冬夏で良い
-
焦凍が良い