エリミネーター   作:たまうさぎ

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FNCもかわいいよね
まあみんなかわいいけど

カエデさんの所属についてはいろんなとこで軍って言ってるのでとりあえず日本軍として進めます


人型と人形

 意識が浮上し、怠惰な瞼の代わりに耳が先に周囲の情報を掴む。しかし聞こえてきたのは、射撃場にいると何時も聞こえる押野町駅に設置された空調機の駆動音ではなく、銃声と爆発音そして少女たちの怒号だった。

 しかし直に区切りがついたらしい。銃声止み、風音がやけに大きく聞こえだしたころ、目を開け改めて自分の状況を整理する。周りに見えるのは落書きだらけの白い壁では無く、隙間から冷い風が遠慮なく吹き込む木で組まれた壁。山小屋だろうか、随分と長い間放置されていたように見える。広さは6畳ほどで窓からは雪と針葉樹しか見えない。

 手元には残弾のほぼない小銃と予備弾倉を失った拳銃、そしてコンバットナイフのみ。

先ほどの遠慮のない戦闘音からして自分がいるのはある程度の規模の戦闘を行っている区域だと推測できるがこんな装備ではひねりつぶされてしまう。

 とにかく情報が無いのでここを拠点としひとまず外へ出て偵察を行うべきだろう。

 今は日が暮れる前には戻ろうと考えつつドアに手を掛けた。

 

「ストップ。銃を置いてゆっくり姿を見せなさい。」

 

 鋭い声がドアの向こうからかけられる。声は一人分しか無かったがそれは二人以上いないという補償にはならない。

 そもそも敵対意思があるかもわからないのでおとなしく武器を置いてホールドアップのままドアを空ける。

 

「あなた......人間、よね?」

 

「生態反応があるんだし人間だと思うけど」

 

 拳銃を持ちとライフル持ち、どうやら彼女らは生体反応をモニタする術を持っていたらしい。クローンは人間と言っていいのかなといった疑問が頭をよぎるが、素性も知らない相手にわざわざ教える必要も無いのでにんげんであると肯定する。

 

「鉄血の支配区域に武装した人間ね、何者か聞いてもいいかしら?」

 

 念のため動く許可を得てから、軍に持たされていたカバーの身分証を渡す。格好に違和感はあるものの統率は取れているので、身元を示せば下手な対応は取らないだろう。そうだといいな。

 

「......FNC、少し見てて」

 

「りょうかーい」

 

 

 

 

 

 5-7は人形と見紛うほど整った人間をFNCに任せ、離れた位置で待機させているFALとFN49に連絡をする。

 

「二人とも聞こえる?」

 

「はい、聞こえてますよ」

 

「聞こえてるわ。それと指揮官に連絡を取ってみたのだけれど、あっちもセーフゾーンに人形や人を送った覚えは無いそうよ」

 

 念の為基地に確認を取っているのでグリフィンの関係者では無ことは分かっている。

 

「セーフハウスにいたのは間違いなく人間、それも軍人見たいよ。名前は鞍月カエデ、本物かは判らないけど身分証ももらったわ」

 

「軍の方がどうしてこんな場所に」

 

「さあ?もっと分からないことにロシア軍じゃなくて日本、それも海軍って書いてある」

 

「流石に出鱈目すぎよ?とりあえず画像データで送ってくれないかしら、基地は私から報告しておくわ」

 

「分かった、何か連絡があったら教えてね」

 

 通信を終了しセーフハウスへ戻るとFNCが少女の垂れた犬耳のように跳ねている髪を弄って遊んでいる。払い除けるような素振りもないが、万が一にも機嫌を損ねられると面倒だと思いやめさせる。

 何事においても情報は重要だ。そして目の前には未知がいる。できる限りの情報を集めるために5-7は質問をはじめた。

 

「それで、どうしてこんな場所に居たのか聞いても?」

 

 少し間置はあったが。任務中に現在位置を見失いさまよってる内にここにたどり着いたとの事。

 ありえない。ここは鉄血の支配区域だ。ある程度戦闘を回避することは出来ても必ずどこかで接敵するはず。周辺を探知しても目の前に一人しかいないし装備も個人で携行できる程度、いやバッグパックもなければ防弾装備も無いので、鉄血の支配地域にいるにしては驚く程の軽装と言えるだろう。

 基地からこの付近で戦闘が観測されたなんて報告を受けた覚えは無いが、見たところ弾薬は相当消費している。

 

 なかなか噛み合わない状況の処理にメモリを大きく割いている5-7の元へ、通信がかかる。

 

「どうしたのFAL?」

 

「私だ5-7。FAL、いろいろあったようだが任務の状況は?」

 

 聞こえて来たのはFALではなく低く落ち着いた女性の声。ハスキーボイスというのだろうか、人によっては威圧的に聞こえるその声だが、5-7達に取っては聞きなれた信頼できる声だ。

 

「順調よ指揮官。ダミーが4体やられたけど情報はちゃんと手に入れているし、念のためダミーも含めて全員にバックアップを持たせているわ。」

 

「そうか、よくやった。今回収班がヘリで向かっている、回収地点の座標を送ろう。悪いがこの情報は気軽にオンラインでやり取りできる物ではない、必ず帰って来てくれ」

 

「そんな風に言わなくても、心配だから無事に帰ってきてって言えばいいのに」

 

「余裕はありそうだな5-7、件の軍人は?」

 

「まだよくわかってない、敵対的な感じは無いけど質問には答えてくれるけどしれもどこまで信じていいのか……」

 

「こちらに従ってくれる様であれば君たちと一緒に基地に連れてきてくれ。どう話が転がるか分からないがあの地域は私たちの管轄だ、こちらで身柄は確保しておくべきだろう」

 

「了解。基地で会いましょう」

 

「ああ。また何かあれば連絡する」

 

 

 

 

 

 あたり一面の森、その上空に5人の少女を運ぶヘリが飛んでいた。

 

 よく訓練された動きとは反対に、戦闘をデートか何かと勘違いしているとしか思えない格好をした彼女らは民間の軍事会社だそうだ。このあたりは彼女たちの担当区域らしく基地に付いてきて欲しいと言われ、回収に来たヘリの中で情報交換を行った。といっても私は自分でも状況が分かってないので言えることはあまりなかったが。

 まず彼女らは正確には人では無く人が製造する人形、所謂アンドロイドらしい。その証拠といわんばかりに全く同じ見た目をした人形たちが3、4体づつ姿を表してくれば信じるしかないだろう。……軍の研究がうまく行ってれば私もこんな風になってたのかな?

 そして人形の中でも、銃と特別な最適化がなされた彼女たちは戦術人形と呼ばれ、各々の半身である銃と同じ名前で呼び合うようだ。

 現在は先ほど私の髪を弄り倒していたFNCとFive-sevenのほかに、先ほどは離れて警戒を行っていたFN49と彼女らの隊長であるFALもいる。

 

「見えてきましたね」

 

 眼下に広がる鬱蒼とした針葉樹森が途切れ、見渡しのいい平原とその奥に街が見えて来る。若干の高台にグリフィン&クルーガーの基地であろう要塞化された軍事施設、そこを中心に街が広がっていて、古代ギリシアにおけるポリスや日本の城下町を彷彿とさせる。基地は面積こそ広い物の、飛行場と屋外訓練所がほとんどで建物があまりないように見える。

 大まかな構造を確認していると私たちを乗せたヘリは飛行場へ着陸した。

 

「指揮官が話をしたいそうよ。このまま私たちに付いてきて」

 

 そう言うFAL達に連れられて代り映えのしない建物達の内の一つにあるエレベーターに乗ると巨大な地下空間に出た。中心部が大きな吹き抜けになっていて全体が見渡せるようになっており、上空から見た基地の面積ほぼそのままに5階層分。飛行場関連の物や防衛施設を除いたほとんどの施設が地下にあると思われ、地表から地下1階の間がだけ長かった事からバンカーのような役割を果たしていると思われる。多数の人影も見受けられ、道中聞いてはいたがほとんどが戦術人形のようだ。

 

「指揮官、連れてきたわ」

 

 そのまま最深部の部屋に連れられる。壁にある巨大なスクリーンと中央にあるマップが投影されたSFチックなビリヤード台サイズの設備が目を引くここは、入口にあったプレートによると指令室だそうだ。

 であれば奥にある格式張ったデスクの傍に立ちこちらを見定めるかの様に鋭い目つきを向けている、地のように赤い軍服に身を包んだ女性がここの基地指令、FAL達の言う指揮官で間違いないだろう。

 

「よく来たな。第三小隊、報告は後でいいから客人との話が一段落付くまで休んでいろ。よくやってくれた」

 

 またね、と軽い挨拶とともに彼女たちが出ていった。

 

「さて、話はすでに聞いている。疲れているとは思うが、今後の処遇について早く話を付けた方がそちらも気が休まるだろう。まずは座ってくれ」

 

 そう促され、応接用の低いガラステーブル五指に向かい合う形お互いで腰を下した。

 どこから話そうか、と悩む素振りを見せた後

 

「まずそちらの身分についてだが、現状日本海軍なる組織をこちらでは確認できなかった。」

 

 一体全体眼前の生涯独身確定限界軍事年増婆は何を言っているのだろうか

 

「ほう、その様子だとあの身分証も完全な嘘というわけでも無さそうだな。しかし日本という国家そのものが崩壊液汚染で機能しなくなって久しい、軍なんてもってのほかだ」

 

 ヘリでの情報交換の時からおかしいとは思っていたが、今いるここは自分が知っている世界とは大きな差異があるようだ。ここまでの変化があるほど長期間意識を失っていたか?コールドスリープ?タイムトラベル?そもそも別の世界だったり。そもそもなぜあの山小屋にいた?

 ……なんにせよ軍が無いなら自分で何とかするしか無い。そもそもあの町にいたときから軍自体あてになってない、切れ目のような薄笑いを浮かべる研究員を見なくて良くなった分プラスかもしれない。とりあえず処遇について聞こう。

 

「とは言っても話を聞いて問題なければこのまま解放となる」

 

 不信な表情を浮かべる少女に理由が述べられる。

 

「戦闘区域で武装して我々のセーフゾーンに居たとはいえただのボロい山小屋だ。武装した人間が珍しくないとは言わないがおかしな話でもない、こちらが何か被害を被ったわけでもない上要請にも従ってくれている。」

 

 特に咎められたりはしないらしい。さらに詳しい話を聞くと、ここら一帯は彼女らがいるため比較的少ないがそれでもこの物騒な時代、護身用に銃器を所持する人間はそれなりにいるそうだ。

 しかしこのままここを出ても行く当てもないのも事実、手持ちもない。あっても 使えるとは思えないが。そういえば社会で普通に働いた事ってないな。

 

 若干の焦りを覚えつつ、心優しき司令官殿が無知な流浪人に付き合ってくれる内にできる限り情報を引き出すことにした。

 もういっその事ここで仕事をもらたりしないだろうか。伊達に単独任務を任されてるわけじゃない。軍で培った経験を生かせばそれなりの働きはできるはずだ。

 




なかなかFNCとFN49に喋る機会があげられない
これが星5の力か

指揮官の声はセレン・ヘイズをイメージ
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